2013年7月5日金曜日

「わいわい市・藤沢店」(直売所)は地域1番部門が多数!



 神奈川県藤沢市の辻堂駅前のショッピング・モール「Terrace Mall」を見るついでに、同市亀井野2504のJAさがみ「わいわい市」藤沢店を見せていただいた。「わいわい」に違わぬ繁盛店で、午後3時をすぎているのに車が20台以上も停まっていた。 

 生活道路と産業道路を兼ねた、467線に面し、広く集めやすいこともあるが、やはり「口コミ」を促がすだけの「優れた店」のためではないか。売場約140坪、レジ6台、駐車場118台、営業時間3~9月9:30~18:00時(他月15:00)、定休第3水曜と年末年始4日である。最低でも年6~7億円ほどは売っているのではないか。 

 品揃えのメリハリが効いていて、地域1番店と言える品揃えの部門が4つも、5つもあることだ。

1.まず店頭の花と野菜苗の豊富さだ。店頭の軒下からあふれ300アイテムはあるのでないか。野菜苗だけでも100~150円ほどの品が60アイテムほどあった。 

2.店内の入り口近くには、1,500円から最高10,500円の蘭が置かれ、「ギフト承ります」のPOPが印象的。安売りに走らず高級なギフト需要を開拓しているのが素晴らしい。(写真・下)
 
 

3.野菜の売れ筋のトマトも半端ではない。平台6尺×7台の陣形で、およそ22アイテムあった。桃太郎はもちろん、ミニトマト、青トマトはもちろん、中玉で極高糖度のフルティカ品種もある。(写真・下)

4.パンほかベイクのコーナーは6尺×多段6台と広く、オリジナルな食パン、菓子パンはもちろん(蒸しパン、チーズパン等)、パウンドケーキ、クッキー、ラスクなど極めて豊富である。(写真・下)
 

5.精肉は多段6尺×2台だが、結構豊富であり、鮮度も良い。これだけの精肉扱いはあまり直売所ではない。 

 このほか、タマゴにも6尺平台×4台を当てている。水物日配は冷ケース多段6尺×4台分あるが、グスグスで品揃え不足を感じた。ロスを出さず、満杯感を出すには、何を揃えるべきか・・・の課題が残されていると思う。たとえば、味噌、日もちする漬物、佃煮、ときに飲料の一部だ。

2013年6月22日土曜日

農産物の移動販売-セブン・イレブンに学ぶ!

  セブン・イレブンは東北の東日本大震災で自らの店舗を失った地域や、これとは別に今後の買い物不便地区の拡大を想定し、関東の茨城等でも、移動販売車を開発、「セブンあんしんお届け便」をスタートさせている。「顧客のあらゆる便利性のニーズ」を開拓して行こうとするその姿勢に、
おおいに学ぶべきではないか。

 セブンの移動販売のばあい、すぐに食べられ、購入頻度の高い、おにぎり、弁当、パン、飲料など150ほどを積んで販売するようだが、御用聞き-配達にもすでに着手している例もある。

 
   農産物の販売でも、直売所以外に①庭先販売、②HP-注文-宅配といった個人対個人の販売も活発になっているが、たとえHPやブログで宣伝しても、今後増える高齢世帯にはなかなか伝わりにくい。「待つ商法」から「顧客のところまで行く、攻めの商法」があってもよいはず。

 青果、鮮魚、精肉、加工食品など、総合的な「移動販売車」の歴史は古い。昭和40~41年に、冷蔵装備の移動販売車が正式が許可されたのを覚えている。これより前に、戦後いち早く青果の引き売りが登場し、昭和の30年代には、各市場に行くと仕入れや陳列を終えた移動車が、何台も市場で時間待ちをしていたものである。スーパーの拡大とともに、移動車の影は急減していった。

 だが、青果を中心とした移動販売の可能性は①こだわり農産物の拡大(スーパーではほとんど売っていない)、②顧客の高齢化で車で動けない買い物難民の増加、③新たに人のつながりを大切にする流れ・・・のなかで、充分あると見る。これは推測でなく、当方も実際に4農家の青果中心にした、タマゴ、農産加工品を積んだ移動販売を乗用車で実践してみて、可能性を実感した。


 <写真>乗用車の後部座席を倒し、売り場に変身。軽トラックでも良い

  これを成功させるには、いくつかの要件を満たす必要があることも分かった。これなら成功するだろう要件(失敗要件もふくめ)をあげると・・・

  ①我が家の近くにも、毎日曜にタマゴの移動販売車が、拡声器で「〇〇のタマゴ、よいタマゴ」とふれてくる。広域に回り、各地で固定客をつかんでいるはず。週1回と多頻度でなく、購入頻度を考えて巡回している。けっこう高額のこだわり商品のため(1kで500円近い)、ガソリン代も出る。

 ②野菜のばあい単価が低い。プラス果物、タマゴ、こだわりの6次産品まで混載し、単価の向上を図る。野菜だけでは300百円程度の客単価も、プラス商品があれば時に1,000円を超え、平均500円にはなる。

 ③宣伝カーの形を採り、随所で品目を上げ呼び込みをしても、顧客は外に全く出ってこない。一方、外に出ている人に声を掛ける方法もあるが(キャッチの可能性高い)、車の走行距離ばかり延び、ガソリン代が出なくなる。

 ④正しくは、名もでている住宅地図も用意し、特定団地群を軒並み呼び鈴を押して回り、「是非、車の商品を見てください」とアプローチする。この方法だと10軒に1軒は外に出てきて、品物を見てくれ、会話も弾み、固定客にできる。地図の名前に赤マルを付け、次回には必ず声を掛け、順次固定客を増やしていく。
 

  都市部はずれの新興・中高の住宅団地が500世帯としても1/20を獲得すれば25世帯・・・客単価500円とすれば、1日12,500円という数値にもなる。所得は1日5,000円になるはず。1/10を獲得すれば倍の効率になり、企業として成立もする。


  無為に庭先で待ったり、HPの反応を待っているより、この攻めのほうが顧客獲得の早道になるばあいもある。いずれににしても、濃密な住宅地を回り、日々2~3人の固定客を増やし、同時に顧客のニーズを聞き、自家で調達できないものも、注文-仕入-配達のスタイルでお届けしていく。こうした努力があれば、かならず上記の目標も達成できる。

 
 品名のPOP、プライスのPOP(両者切り離し、値段の日々の変化に対応)、釣銭も充分用意して(1日20,000円分の千円、100円、50円、10円玉)。1円は用意しやすいが5円刻みの売価でよい。さらに、持ち込む商品について品種、美味、安全、栄養価、料理法などを期した印刷物(コピーでよい)を用意し手渡しすれば、販促効果も高くなる。


7月31日追記
 
 
 セブン・イレブンだけでなく、イトーヨーカ堂本体も7月30日のテレビ報道によれば、中型バス並みの移動販売車を、東京の多摩ニュータウンの買い物困難地区の団地エリアで運行を開始した。ヨーカ堂の南大沢店が基地のようで、かさばる青果物については、別の車で荷を運び、路上販売もしているようだ。販売地点は、地元の市の要望にしたがい設定したという。

 地元の高齢者からは「大変、助かる」の感謝の言葉ばかりが聞かれた。移動販売の大きな流れが生まれようとしている。

 この多摩ヌータウン地区は、某チェーンの依頼で6~7回ほどマーケットリサーチをしたことがあるが、多摩センターと南大沢は商業集積が進み、買い物環境に恵まれているが、他の地区は、南北に走る丘陵の上に団地が造成され、昔はそれぞれ小型スーパーを含む商店街もあった。ところが、高齢化が進み、他からの顧客の流入がないため、次々と商店が閉鎖され、核となるスーパー
も撤退・・・買い物困難地区が拡大していった。
 

  一つには、団地のばあい公団の商業ゾーンの設計思想のまずさもある。駐車場が少なく、かつ車が進入しにくく、閉鎖的に設計され、広く外部の人も呼び込む姿になかった。地元民の高齢化で衰退に向かうというパターンなのだ。今後、大型団地の造成は少なくなるが、「外部に向かって解放型の商業ゾーンの設計にし、かつ福祉施設を含む永続型のゾーン作りの工夫が必要と言える。 成田ニュータウン他でも、同じ悲劇を見てきた。

 



 
 

2013年6月11日火曜日

武蔵野音大付属高校の「保健だより」が月1回配布!

 近くの丘陵の一隅・・・緑豊かな場所に武蔵野音大がある。その付属高校の生徒さんが、月1回「保健だより」というのを家庭に配布してくれる。

 産学共同と同じで、「地域に貢献したい」との発想だと思う。2013年6月号は写真の通りだ。良く見えないだろうが、熱中症予防、食中毒予防の3原則、酸蝕歯の3テーマだが、上手でかわいいイラストも10コマと豊富に挿入し理解しやすい。本当に「御苦労さま」「ありがとう」と言いたい。


 当方も高齢者だが、「高齢者が熱中症になりやすい理由は」・・・
①体温調整能力の低下    加齢に伴い、汗が出にくくなる。
②水分の摂取量が少ない   脳が水分不足の指令を出さなくなる。また、夜間の頻尿の心配から水分摂取を我慢する人も。
③尿として水分が出てしまう  体が脱水症状になると、腎臓は水分を対外に排出しないように、尿の濃度を濃くする。しかし、腎臓の働きが低下しているため、尿濃度は濃くならず、水分を排出してしまう。

 また酸蝕歯については・・・
虫歯は、虫歯菌が出す「酸」で歯が溶けること。酸蝕歯は、食事や飲料水などの「酸」が歯を溶かすこと。
②口のなかは、唾液によってpH6.8に保たれているが、食事をすると酸性に傾き歯を溶かす。食事が終わると唾液がpH6.8にもどしてくれる。
③このため食事をした後は、水やお茶で口をすすぐか歯磨きをする。また間食は控え、間食後も口をすすぐ。

 
 食中毒については、①バイキンをつけない、②増やさない、③やっつける・・・となっている。

 直売所やコンビニ、スーパーの関係者にも参考になることばかり。ときにPOP化し売り場に掲示しては。企業の社会的貢献度が問われているが、高校生がこれを実践している時代、遅れては大人の恥と思うべし。

7月12日追記 
  保健だより7月号がとどいた。民生委員の方が配布に当っているようだ。御苦労さま。今月は「熱中症にまぎれた血栓症」と「夏に多い皮膚トラブル」といった内容。前者では、気温32度を超えると血栓に注意とのこと。汗で脱水し血液がドロドロになり、血栓が生じやすいとのこと。脳梗塞志望者は、32度を超えたばあいもっとも低い死亡率に対し1.66倍の死亡率になるという。

 夏に多い皮膚のトラブルは①やけど・日焼け、②あせも、③とびひ、④脂労政漏性皮膚炎(かびが原因)という。





 

2013年5月21日火曜日

オランダの「農業革命」スマートアグリに学ぶ(NHK20日放映)!

 NHK5月20日19:30~20時「クローズアップ現代」を見られた方も多いと思うが、その概略をメモから再現しよう。農業のIT化を進める人、IT化に関心を持つコンサルタント等は必読である。

 オランダは九州ほどの面積にもかかわらず、農産物の世界第2の輸出国。施設園芸も輸出を前提に革新技術を採用してきた。東京ドームの何十倍ものハウスがあり、天井の高さは日本の2倍(6m)もあり、3倍も収穫できるそうだ。このハウスはスマートアグリの概念によって温度、湿度、水、CO2、日照等の基本要素だけでなく、500もの要素をITでコントロールしている。こうした大規模生産起業が5ヶ所ほどあり、主にトマト、キュウリ、パブリカなどを栽培している。

 その1つの経営者であるフランクさんは、農場から離れた事務所に朝7時に出向き、パソコンに向き合い操作し施設を管理している。めったに農場には出向かないようだ。要素別の適性数値はあらかじめ入力され、時間の経過にしたがい適正数値と実態値がPC上に表示される。適正値に沿い、各種オートメーション機器が作動し、両者のブレは微小にとどまるよう管理されている。生育促進のため、COの発生装置も持っているのが日本との違いか?

 土壌は汚染を防ぐため人口繊維で、養分や水は毎日60回、自働的に散布され適正レベルに保たれる。水も殺菌されたものを使う。COは2倍以上にコントロールされているようだ。これらのPCデーターは経営コンサルタントとも共有され、たえず修正もできるようだ。

 フランクさんもかつては、昔ながらのハウス栽培をしていたが、EUの前身のEC(欧州共同体)ができた31年前に安い農産物が輸入され打撃を受けた。オランダは農水省と経済省を統合した組織に再編し、IT農業を支援した。フランクさんは100億円を投資し、現在52.5haを経営、46億円を売り上げている。そして15ha、5haと今後も拡大計画を持つ。

 ゲストの三菱総合研究所・主任研究員の伊藤保氏は、「日本も農業のIT技術は進んでいるが、国内向けに美味で安全なものを出荷する技術を個々人が持つため、スマートアグリの必要性を感じてこなかった。オランダや韓国は輸出を前提に、コスト競争力をつけるため、スマートアグリが進んだ。高い天井のハウスは台風とうに弱いということもある。熊本には現状のハウスを強化し、スマートアグリを導入、トマトについて500~1,000の要素を管理している農家もある」。

 「東北大学主催のスマートアグリカルチャー研究会では、カメラと連動させたスマートアグリも考案している。身の丈に合った対応が必要である」

・・・と言う。しかしに国内消費が縮小するなか、農業の成長戦略として「輸出拡大」が謳われており、国谷裕子キャスターは「チームジャパンを立ち上げ、スマートアグリを推進する必要があるのでは」と結んでいた。

2013年5月18日土曜日

小型スーパー「まいばすけっと」(イオン)は下町の救世主!

 
 郊外地や地方の方はイオンの「まいばすけっと」を見ていないと思う。大型スーパーが土地問題でなかなか出店できない、東京23区や神奈川の市街地に出店し、狭い45~61坪の売り場面積で2,000アイテムを置き、高い効率を上げるという「小型スーパーのビジネスモデル」である。
 
 かつて当方が寝食を忘れ、指導に当たった50坪以下の小型(ミニ)スーパーは、生鮮の強さにおぼれ、多労ー安売りで、粗利の低下、人件費高に苦しみ自滅していった。狭い売り場にもかかわらず。最低青果2人、鮮魚1.5人、精肉1.5人は配置せねばならず、売上も最低1日150万円が必要であった。「まいばすけっと」は、システム志向で、少ない陣容で小型スーパーの弱点を克服し、下町や都心の星的な存在になろうとしている(だが、その人件費など実態はつかんでいない)。

 




 

                    住宅地の店(練馬)
 
 青山1丁目の店
 
 まずは、その一例を見てみよう。東京都心の港区青山1丁目の店は、オフィスビルの中にあり、周囲は一流企業のオフィスや高層マンション等である。
 
 付近にはファミリーマート、セブンイレブンほかのコンビニはある。だがスーパーはない。青山のアップグレードスーパーの紀ノ国屋まではやや遠い。
 
 この店は約57坪・・・コンビニの30坪平均の倍近い。レジ3台。駐車場はもちろんゼロ。7時から23時の営業で、この点もコンビニとは異なる。
 
 青果のフェイスはかなりタップリだ。平台が店頭9尺、店内4尺、多段ラック8尺、冷蔵多段オープン6尺だ。アイテムにして約60の青果がある。これは農産物直売所のアイテムでなく品目数に匹敵し、基本素材はまずもれなく揃う。
 
 肉・魚は多段オープンケース6尺分だ。この2部門はコンパクトにまとめている。肉が4段でハムソーまで入れ22アイテムほど、魚が塩干魚中心に練り製品までいれ37アイテムだったと思う。マグロほかの刺身5アイテムを含んでいる。
 
 以上の生鮮3品に必要な人員は1人以下で済んでいるはず。小型スーパーの5人分とは大違いで、ここにこそ「まいばすけと」の強さがある。
 
  いずれにしても、しばし客層を観察したが、男女比は男子65%、女子35%といったところ。年齢は男子では30>40>50代の順、女子では40>70代>30・50・70代といったところ。女子の
ほうは高齢や自転車客も多いが、この層は付近のマンション住まいと思う。
 
 男子の場合は、オフィス出入りのサラリーマンが圧倒的と思われた。昼間はコンビニ店の客とかなりバティングしていると見る。しかし出入りは激しく、1日100万円くらいはキープしているのではないか。
 
 
  
 
 
 

2013年5月17日金曜日

6次産業化-缶・瓶詰めが総てでない。カット野菜にも注目を!


    農家の6次産業化を目指す皆さん!加工と言えば瓶詰め・缶詰め・・・と考えがちですが、もっと回転頻度の高いものも沢山ある。少しでもヒントになればと思い紹介すると・・・
 

 コンビニ・チェーンの多くはカット野菜を3~5品は必ず置いている。キャベツ、レタス、そのミックス等だ。1袋105~128円ほどである(写真)。 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  コンビニの雄であるセブン・イレブンでは「米・肉中心の惣菜では栄養が偏り良くない」と考えたのだと思うが、丸いカップに入れた「野菜タップリのサラダ系惣菜」を多い店では10~15品も置いている。たとえば「振って食べるゴ―ヤとツナのサラダ」270円、「ツナ・コーンサラダ」199円(写真)。スパゲティ、春雨とのコラボ商品もある。 

 コンビニでもローソン100当たりは、180㎝幅の多段冷ケース1台と非冷の棚180㎝で青果60~70品を売っている。ここまで行かなくとも、ロスを避けカット野菜のパックや野菜タップリのカップ入り商品を強化して行く店が多くなると考えてよい。
 
 

  これらにはレタス、キャベツ、ニンジン、スイトコーン、スプライト等が主に使われているようだが、先記の通りゴ―ヤほかベビーリーフ等広く使われる可能性がある。 

  農業者で、すでにコンビニ・チェーン数店に野菜の供給をしている人の話を聞いたことがあるが、生野菜の配送が週1回。それでも残品が多く、「今後は返品のカット化をしていく」としていた。そうであれば、青果そのもの出にくい立地のコンビニには、カットしたパック品を中心に出して行く方が妥当とも言える。このばあい、日持ちのため窒素ガス充てんという方法もあるはず。 

  カット野菜は、多くはサラダ用だが、ヨーロッパの視察では、スープ用のカット野菜専用工場も見た。7品ほどのミックスものを出していた。まだスープは日本のばあい食卓に定着していないが、やがて「スープ用カット野菜」がもと売れる可能性もある。

2013年4月18日木曜日

農産物直売所は売場面積により生産性に大差-改善策はある!

 
    直売所の皆さんに分かりやすいよう、面積は㎡でなく坪数としたが、表は「平成16年度農産物地産地消等実態調査」(農水省)をもとにした分析表である。数字が古いので、売上高レベルについては、おしなべて現在値より低いと思われる。 

  ここで問題にしたいのは、直売所の場合、売場規模による従業者1人当たり売上効率、1坪面積当たり売上効率ともに格差が極端にあることだ。明快に言えば、スーパーなどに比して「規模のメリットが出やすい」「小さい規模では生産性が低く、直売所側の人件費(労働所得)や利益も出にくい」といえる。 

表―売場規模別の3要素分析(最小2乗法による傾向値)


売場規模

区分

 

従業者

趨(人)

 

従業者1人

年売上高

(万円)

売場1坪

年売上高

(万円)

25坪

.

135

65

50坪

.

988

130

75坪

.

,487

169

100坪

10.

,840

196

125坪

12.

,115

217

150坪

14.

,339

234

175坪

17.

,529

248

200坪

19.

,693

261

    小型スーパーやコンビニの場合、小なりとも従業員の雇用を前提にスタートしてきたから、効率の悪い小型スーパーは消え、300~450坪クラスのスーパーのみ永続性が保たれている。またコンビニは合理的に効率化を達成し今でも微増している。 

    直売所は、家族営業や労力の無料奉仕による共同体として誕生したいきさつもあるため、労力費を正当に評価しなかったのか、25~50坪の経営では、75~200坪に比し、1/2以下の効率になっている。2要素の効率ともボールを斜め上に投げたときに描く放物線のように、初期に急上昇し、上(面積が)に行くほど伸びは鈍化する。それでも絶対値は大きくなる。 

    JAが直売所の大規模化を進めるのも、この表からすると妥当である。しかし、この「一般的傾向」を超え、小規模でも効率の高い店も沢山ある。ではどうすれば良いか・・・ 

    表からすれば、小さい店ほど2倍、3倍もの努力をしなければ大規模店並みになれない・・・との自覚がまず第一。努力が並みならまず50坪以下の小型店は消えるだろう。 

    1人当たりの売上効率は「売上高÷投入労力」だから、売上を増やす、労力を減らすの2要素で達成される。1坪当たりの売上効率は「売上高÷投入面積」だから、やはり売上を増やすことが第一・・・面積を減らすのは愚なことで、2段、3段利用も考え、品揃えを増やし、通路も広げ買い易く、働きやすくすることだ。 

    では共通する売上拡大はどうするか。大型直売所を圧縮した品揃えではなく、大型店にない個性商品を徹底して探し、時に創る(惣菜・和菓子とう6次化商品)ことだ。「あそこにしか無い」という商品があれば、遠方からも来てくれるし、ギフトとして宅配ルートにも乗せられる。減化学農薬・肥料のエコ野菜などもギフトになる。レストランや学校給食などにも歓迎される。店内で売るだけでは、飛躍は期待できない。

  次に投入労力の問題・・・これは適正な労働配置のコントロールと質が問われる。小さな店においても、開店1時間前から閉店1時間後くらいの刻みの表を作り、名前を書き込み、レジの客数も考え、日々労働時間を書き込み、むだがないかひと目で分かるようにする。

  ある時間帯は2人、ある時間帯は1人とシフトを日々見える化する。それでも手が空くときはレジから離れ、補充、陳列の乱れを直す、清掃する・・・と第2の作業も決めておく。ともあれ、1日10万円の販売で1.5人、20万円で3.0人ほどのシフトが標準である。もちろん店長も入れての話だ。

  質とは作業のスピード、確実性、臨機応変さ、商品知識などだ。これは先進店で実習するなり、店長が教えるなりの教育の問題だ。高い教育は従業員にとっても誇りにつながる。そして売上げがアップすれば、時給アップをするなどインセンティブを与え、やる気にあふれた店になって欲しい。

  
 

2013年4月17日水曜日

JAみずほ「さくらファーム直売所」は地元商工会と上手に連携の」!

 埼玉県のJAみずほ「さくらファーム直売所」(幸手市内国分間)が4月の桜の時期に合わせオープンした。定休日は毎月曜、営業時間9時30分~18時である。

 名の通り、中川の権現堂堤は春にサクラ、菜の花、梅雨にはアジサイ、秋にはマンジュシャゲが咲き乱れるサクラを中心とする花が売りの観光名所である。堤防の内側にはいま菜の花の絨毯(じゅうたん)が1,500坪ほども広がっている。公営の駐車場だけでも1,200台分あるとか。

 「さくらファーム」はこの堤と向合い、公営駐車場にも近いので、自身の駐車場は50台と少ないが、救いがある。店舗は売り場126坪、レジ4台だが、サクラに候には1日1,800人以上が押し掛けたとのこと。

 もともと水田地帯。出荷者は顔写真から判断すると、160人ほどで、野菜の出荷計画も出してもらったが、なれないためまだ出荷が少ないのが悩みのようだ。それでも、イチゴなど飛ぶように売れている。確かに果物5品目、野菜約55品目と少なめ。また季節の制約のためかなり仕入品が目立つ。だが、野菜ではトマトのみの特設コーナーもあるし、ネギなども豊富。ローズマリーやロリーエのハーブもあれば、アイスプラントもある。



 しかし、これからが野菜の本格シーズンで、すぐ現金化でき、所得率のアップすることを知れば、出荷も急増するはず。5月になれば、店頭に4コマあるファースト・フードのコーナーも開店し、土日の行楽客も採り込み、年4~5億円の店に成長するだろう。

 特徴の1つが、早くから幸手の商工会と連携し、地元の一流専門店を呼び込む努力をしてきたこと・・・2度にわたり一緒に講演会+ミーティングもし(当方も講演に関与)、直売所の視察もしてきたおかげで、21人の地元業者が各90cm幅の多段にした平台に出店しており、写真の通り個性ある商品、上手な演出を競っている。小間貸しの形なので、仕入れではなく、店の運営も楽である。

 
 
 
<写真>豆腐・納豆もびっしり 
惣菜類も直営、テナント分を含め6尺×5本分にもなる。天ぷら、てんぷら+うどんセットはもちろん、珍しい牛肉コロッケ、豚の揚げ餅、ちじみ、海鮮ちじみ、牛すじ煮込み丼、5色の寿司セットなどもある。豆腐・納豆類も6尺オープンケースがびっしりの豊富な品ぞろえだ。和菓子、洋菓子、ベイカリーの充実ぶりも立派である。
 

 おそらく、これだけ一流店と連携し、個性ある商品を専門店的に提供している直売所は例がないはず。盆栽とメダカを扱う業者の方もいるが、盆栽は3,800円と安く、すでに何回転もしているとのことだ。メダカのコーナーも半端でなく、6尺幅で多種のアイテムがある。

市民農園企業のエンタメ直売所「朝採れファーム」(日高市)!

  市民農園や農地付き住宅など、農地活用の提案・運営を手掛ける株・アグリメディアが、食のエンターテイメントを目指し、西武池袋線・高麗駅の武蔵台団地地区に4月13日(土)に「朝採れファーム」直売所をオープンした。昔、東急ストア=150坪があった撤退跡地で、青果店、精肉店、ドラッグストア等もある商店街の中だ。共有駐車場も60台ある。

  武蔵台地区は丘陵地に展開するが、戸建ての武蔵台団地とこれに続く横手団地まで含めると、人口約8,250、世帯約3,240という数字になる。普通なら450坪のスーパーも支えられる規模である。

  坂道だらけで、将来「買い物難民」も出かねない地区だが、住民の1人の話では、「4kmほど先にスーパーのマミーマートを含むショッピングセンターが出来るとすぐ、東急ストアが閉店<;店が150坪と小型だったためか?>。高齢世帯が増えるなか困ったが、マミーマートが巡回バスを出してくれ、年寄りも助かっていた」という中のオープンである。

   
  開店当日は、3台のレジに各20人も並び、入場制限で入口前にも100人も並ぶ盛況ぶりだった。会員登録にも長い列ができていた。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

  今回店舗は約83坪、うち16坪ほどはFFのコーナーで、飲物、アイス、たきたての豆腐が提供され、32人が坐れるようになっている。特徴は商店街に鮮魚店がないため、6尺冷ケース3台、平台3台でブリ切り身、同かま、カレイ、イワシ、サンマ、アジ、むきエビ、アサリなど鮮魚約20アイテム、塩干魚約25アイテムを置く。刺身盛合わせも480円、680円、880円とある。ドライ食品はメーカー品、個性品に分け3尺10本分ほど配置、地域のニーズに応えていることだ。



 
 
    会員登録が多いのは、「食と農のエンターテイメント企業」として、店舗販売にとどまらず、農産加工(団子作り、そば打ち含む)の1日体験、レジャー農園・市民農園への参加など体験イベントも用意し、うるおいを提供しようとしていることへの共感のためではないか。今後、多くの直売所が学ぶべきことが多い。写真のように、壁面に多数の農産物のパネルも展示し、農への理解を深める努力もしている。
   
    4月29日 エンタメ直売所らしく、ゴールデン・ウイークの企画も沢山・・・27~29日は子供さん対象に、店前の広場でミニこいのぼり作りの体験教室をしたり、複数乗り物を用意、自由に乗りまわせる。新茶の詰め放題セールも実施。5月3日にはマグロ解体ショ-も。また3~6日は綿アメ、ボールすくい、輪投げ、こいのぼり作りの「こども縁日」も実施。4~5日は「ちまき作り体験」と続く。

   (刃渡り1mの包丁で本マグロ42.5kgの解体ショー。本トロは内3Kgとか)

(子供さんの乗りまわせるミニかーも6~7台あり、商店街の広場はにぎやか)

 肝心の野菜の場合、地元出荷者の品は当初15品ほどであったが、この日には28品近くに伸びていた。問題は地元分のスペースを広げ、仕入分を縮小する修正が不十分のようで、地元品のスペース不足を感じる。こだわりの加工品も置いてあるが、POP等のプレゼン不足で、回転(動き)を感じない。「できた豆腐」がFFコーナーで食べられる。  年中無休、営業時間10~18時。 農産物・加工品出荷者募集中だ。




2013年4月7日日曜日

日本政策金融公庫のアドバイザー試験(受験後記)!

 
 
 資格への挑戦は、その資格取得もさることながら、自己の能力を高める一助になる。社・農業経営支援センター関東ブロックでは、日本政策金融公庫「アドバイザー試験」の受験対策講座を5月18(土)、25日(土)の2回開催する。応募等の詳細は
関東ブロックHP       www1.m.jcnnet.jp/sien-kantou/       
を見て欲しいが、試験の内容について、実際に受験した仲間の試験後記を紹介する。

3次にわたる試験で集団面接も

・・・・24年農業経営アドバイザー第16回試験の受験後記(その1)・・・・

                       関東ブロック 小松崎 眞

  昨年、まとまった休みが取れる体制になったためJ-PAO主催の農業経営アドバイザー試験に挑戦し無事に資格を取得することが出来ました。今回は、その体験を少し紙面で紹介させていただき、これから試験に挑戦される方の参考にして頂ければと思います。

    まず、この試験は第3次試験まであり、1次試験が農業簿記、2次試験が農業政策、農業簿記その他2科目+レポート2課題(別紙1)、3次試験が集団面接試験という構成になっています。

    1次試験は、あらかじめJ-PAOから農業簿記のテキストが送られてきます。そのテキストには、農業に独特な科目の紹介、基本的な簿記仕訳についての説明を行っています。私は代表的な仕訳を自分でまとめ、何度も繰り返し練習し反射的に書ける様にしました。第1次試験の農業簿記の試験は、5月と10月に年2回開催され試験時間は、1時間となっています。実は1次試験は、同じ関東ブロックの先生にアドバイスして頂き2度目でパスし、1回目は時間が足りなくて苦労しましたが、2回目は30分で書き上げ問題文をじっくり再確認する時間が出来るほどになっていました(毎回内容は、異なっています。)。

    第1次試験の合格点は、全受験生の平均点以上でなければパスしないため、合格点として常に90点以上取るつもりで望まないと痛い目に遭うと考えてください。ちなみに5月の平均点が75点、10月は85点でした。

    1次試験の農業簿記の構成は、大問3題(カテゴリとして期末在庫、生物の償却、使用した飼料・肥料の期末仕訳)、小問として2から3問の構成となり、全体で7から8問で構成されています。解答ポイントは、農業独特の収穫基準、総額表示、育成仮勘定と育成費振替高の関係はしっかりと把握しておくこと、収穫基準に関して収入金額の把握の方法の理解は必須です。そのためにはテキストを読み込むこと、仕訳を覚えることの2つが重要となってくると思います。次回は,クロス・ウエーブ府中で行われた研修及び2次試験、その後の3次試験の概要について記述します。

 

特に農業簿記と労務管理が難しい

・・・・24年農業経営アドバイザー第16回試験の受験後記(その2)・・・・

                       
     さて、1次試験(1次試験受験者542名)を通過すると2万円+α(書籍等)の経費が掛かりますが、事前研修と2次試験(5日間)を北府中のクロス・ウェーブ府中で受けることとなります。昨年11月の受講生は、J-PAO発表で358名と言うことでした。研修と受験スケジュールは(別紙1)を見て頂ければ分かりますが、9:30から1730までしっかり研修があり、最終日の午前中が試験となっています。膨大な資料を覚え、最後の試験に臨む場合、よほど自信のある方以外は、事前に購入するテキストだけでもチェックすることをお勧めします。もちろん研修の講師からは出題範囲は示されますが、研修初日にも資料が配付され、出題範囲の2倍ほど覚えることがあると考えた方が良いでしょう。

    研修では初日から参加するメンバー以外に、後半から税理士、公認会計士と言った講習の一部免除者が参加してきました。さらに前回1科目だけ合格点に到達しなかった者も、当研修にスポット的に参加する事が出来るようになっています。特に農業簿記・税務の参加者が多いと感じました。また、受講生の話を聞いていると、地方から金融関係、税理事務所の方も多く参加しているようでした。

    研修の内容で,私が特に難しいと感じたのは農業簿記と労務管理でした。農業簿記と併せて農業税務も研修で行うため、講師の方の一言一言に神経を集中していないとあっという間に置いてきぼりを食ってしまう感じでした。また労務管理は、農業独自の取り扱い例えば、超過勤務に対しては、超過時間分の通常賃金の支払いは必要ですが、割増賃金の支払いはない。ただし、午後10時から翌朝5時までの深夜業割増は適用除外となっていない・・・等整理すべきところが多々ありました。

     さて、いよいよ試験当日の概要を記述させて頂きます。

    試験の難易度(1易~5難)は、それぞれ得意分野が違うのであくまで目安ですが、私の感想から言えば農業簿記・税務5,労務管理4、農地制度・農業生産法人3、農業問題に関する論文試験2、レポート提出3です。試験時間は、農業問題に関する論文試験が1時間、その他が30分となっており、簿記・税務はその出題量に対して解答時間が30分しかないことから、おそらく当日の受験生の多くは手こずったのではないかと感じています。合格点は各科目であらかじめ設定されており、労務管理の50点以外はすべて60点です。

    1時限目の農業問題に関する論文試験は、400字原稿用紙(縦)に、何字以内で記載せよとの条件の下、「‘05食料・農業・農村基本計画」が目標とする農家の年間所得額、認定農業者とは、農業経営者を増加させる方法はと言った問題に関し4~5問出題されました。

2時限目の農地制度・法人制度に関する基礎知識は, 農地法及び農業経営基盤強化法による農地の権利移動(売買・賃貸)、耕作放棄地の定義、農地の固定資産税率等に関して○×形式で、全体で30問程度出題されました。

   3時限目の労務管理に関する基礎知識は、一つの問題に対して5つの選択肢から成り、正解ないし不正解の記述を選ばせるもので10問出題。例えば、産前6週間は本人の請求により、産後8週間は請求の有無にかかわらず休暇を与える。ただし出産後6週間を経過し本人が請求し、医師が支障ないと認めた場合は業務に就かせても差し支えないと言った農業以外にも共通する問題も出題されました。

    4時限目の農業簿記・税務に関する基礎知識は、先にも言いましたようにとにかく問題量が多いので留意して下さい。A3様式の3枚から構成され、全体で5問。また問2以降は選択形式になっていて数値も入れる様になっています。1次試験の時の仕訳、期末在庫、生物の償却、使用した飼料・肥料の期末仕訳は当然出題。肉用牛売却所得の課税の特例措置、経営改善基盤強化準備金仕訳と法人税申告書別表4との関係、消費税の簡易課税等出題されました。この時、救いになったツールは、農業簿記の仕訳を反射的に書ける様にしていたことでした。

    次に研修後1週間以内に提出するレポートについてお話しします。「農業マーケテイング企画書」は、地場の特産品を使用した地域活性化について、2000字前後(A4様式2枚)にまとめることで、私は「静岡みかんの再生を目指して」の題で作成しました。講師の方からの指示は、知識を知恵に転化して活性策を考えて下さいとのことでした。「経営分析・診断論述」については、あらかじめ問いが配布されますので、それに従って作成(A4様式9枚程度)すれば良いのですが、農家経営診断の具体的進め方(経営診断にあたって特に重視する視点)について、しっかり書けば得点は高いとおしゃっていました。

   そして3次試験は公庫東京支社で行われ、当日230名の合格者に対して講師の先生方及びJ-PAOの担当者が2人ペアになり、5~6名をまとめて面接します。志望動機と、自分の強みを生かしてどの様な貢献が出来るか、その他フリートーキングで時間いっぱい各自が意見交換させていただくという感じです。

    以上概要をお話ししましたが、この紙面では完全にノウハウをお伝えすることは出来ません。受験講座にご期待ください。

   春の試験申し込みは終了しました。秋の試験(10月)に向け、今から準備すれば、充分な勉強ができます。ぜひ「試験・受験講座」にご応募ください。下記HP参照。

 

 

2013年4月1日月曜日

飲食店チェーンの海外進出と丸亀うどんジャカルタ開店!

   このところ、飲食店チェーンの海外進出は活発である。高齢化や景気の低迷があり、国内の消費の伸びが期待できないためだ。1世帯の外食支出は平成9年がピークで、現在は当時の87%レベルである。ただし洋食やハンバーガー、中華は依然伸びを保ち、和食、寿司、うどんなどは漸減している。

  こうしたなか、成長著しい東南アジアなど国外に進出の飲食店チェーンが目立つ。イタリアンレストランのサイゼリア(国内770店)は、中国の上海、広州、北京、そして香港、台湾、シンガポールに出店している。

  カレーの「CoCo壱番屋」は、ハワイ、中国、台湾、韓国、タイに計48店以上進出。定食の「大戸屋ごはん処」(235店)も、台湾、タイに20店舗を持つほか、インドネシアの首都ジャカルタ中心に10店舗の出店を予定している。また石焼きステーキの「ペッパーランチ」は、韓国、台湾、シンガポール、中国、オーストラリア、香港に進出。国内186店に対し、国外がすでに31店舗という。

 うどんにおいても、目下業界1位の丸亀製麺(680店)、業界2位の「はなまる」(332店)が海外進出を競っている、はなまるは中国の四川省や上海に出、丸亀製麺は、ハワイ1、中国10、香港1、韓国2、タイ6の店舗を持ち、2月にインドネシアにも出た。

 問題は進出先でどのような原料調達をし、いくらで売り、何を目指しているかだが、丸亀製麺について、日系人社会のため発行されている日本語の「じゃかるた新聞」の開店時の探訪記事が出ているので、そのまま掲載した。なお、じゃかるた新聞は、スハルト政権が崩壊したあと、報道・出版の自由がなり、政治情勢等を広く邦人に知らせるため、1998年11月に発刊されたという。

 <2013年2月19日のじゃかるた新聞記事>
  讃岐うどんの日本最大チェーン店「丸亀製麺」のインドネシア第1号店が14日、西ジャカルタのショッピングモール「タマン・アングレック」3階にオープンした。初日は予想の2倍の700人以上が本場讃岐のセルフうどんを体験。日本の運営会社トリドールは、進出6カ国目となるインドネシアで成功すれば、今後イスラム圏への進出の手掛かりになると期待している。

     3年前にインドネシア進出を決定した。近藤肇海外事業推進マネジャーによると、インドネシア最大のピザチェーン「ピザハット」を運営する製粉会社のオーナーと合弁会社を設立。うどんの生地を作る小麦粉はインドネシアと豪州産を混ぜており、食材もインドネシアで調達することに努めた。美味しいうどんを作るには良質の水が大量に必要。その水の安定確保に、日本では考えられないコストがかかったという。

    自分でお盆を手に取りうどんを注文しレジまで進む数分間に、湯気の立つ大きな釜でうどんを茹でる職人、てんぷらを揚げる様子が間近に見える。多くのインドネシア人にとって珍しいうどんの厨房内を見るのは初めての体験だ。

    レジを過ぎると天かすやおろし生姜など薬味を自由に入れる場所がある。そこには丸亀製麺の他国の店にはないチャベ(唐辛子)を小さく刻んだ容器も置かれている。ほとんどの人が白いうどんが隠れるほど赤いチャベをたっぷり乗せ、さらに座席でもテーブルにある七味唐辛子を大量にふりかけて食べていた。

     一番安いかけうどん・釜揚げうどん・ざるうどんが、税込みで3万3千ルピア(約320円)。280円の日本より少し高いが、「ショッピングモールにある他の料理と変わらない」という人が多かった。「ひとつ1万ルピア程度のてんぷらは安い」ともいう。この日、えび天が他のてんぷらに比べ断トツの人気だった。

   マネジャークラスの6人は日本で3週間の実地訓練を経験。日本では、中年女性が少人数で店を切り盛りしている姿を見て驚いたという。

    丸亀製麺は日本の全都道府県に680店ある。2年半前にハワイに進出。現在、海外で20店舗を運営する。

    粟田貴也社長の経営方針は「成功とは、日本人より現地の人に食べてもらうこと」。近藤マネジャーは「うどんはどんな国でも受け入れられる日本食。インドネシアで数十店開店できれば、次はイスラム圏への進出が目標。世界中の人にうどんを食べてもらいたい」と話した。(紀行作家・小松邦康)

8月19日追記   その後、日経ビジネス7月15日号を見るると、丸亀製麺ではインドネシア人は日本と同じスープだと辛く感じるため、日本に比し塩分濃度を0.5%程度下げ、また「すすりやすい細めの麺が好まれるため、日本に比べ1mmほど細い麺を採用」としている。

 
 
 離しは少し異なるが、攻めの農業の中で、日本食のブランド化=パテント化をしていこうととする動きのなか、海外事情に詳しい識者から「海外は海外なりきの素材を駆使して独自の寿し他の日本食が作られ、日本食ブ-ムになっている。日本食のパテント化はこうした流れに反する」の意見が強く出ている。フランス、イタリア、中華、韓国料理にパテント料を払うなど、日本国内ではあり得ない。輸出の素材についても、それなりに付加価値のあるものには、高い価格が得られ、このなかにパテント料は含まれると考えるべきで、ブームに乗じたパテント料を考えるのは、思いあがりと言えるのではないか。

2013年1月30日水曜日

直売所の惣菜販売は大きな可能性がある!

 惣菜とは、主食とともに食べる様々な副食のことを指すが、最近のスーパーではインストアベーカリー製のパン、自家製の和菓子・洋菓子なども含め、惣菜扱いにするのが普通である。生鮮3品以外の「店で調理・提供する部門総べて」を指す言葉になってきている。

   スーパーの場合、37企業以下の統計に過ぎないが、売上構成比8.4%、粗利益率34.7%、年商品回転率192.1回、ロス率8.2%という数字がある。粗利益率と回転率は生鮮4品中最高、ロスも出やすく最高である(消費期限の短縮競争も激しいため)。

   昔お付き合いしたミニ・スーパーには惣菜が頗る強い店も多く、友人が惣菜店を経営したこともあり、その見聞からすれば、自社で別途小売りする原材料を上手に使えば、粗利益率は50~60%にも高められる。チェーン・スーパーで粗利益が低いのは、省力のため半製品を仕入れ、競争を考え安く販売するためである。

   将来的には「野菜の1人当たり消費が半減する」という予測もあり、素材としての野菜販売だけにこだわっていれば、直売所の発展もない。しかも、①農産物直売所の場合、米、野菜、タマゴ、時に肉など原材料の宝庫で、新鮮で安いものが調達できる。②次に豊富に出回る品を、返品という形でなく一部買い取って惣菜に回す努力をすれば、出荷者の返品負担を軽減できる。③さらに個性ある商品が作り易く、直売所の顔にもなる。④TPOに応じ、食の簡便志向を持つ主婦は90%以上にのぼり、惣菜のニーズは伸びている・・・という面で、戦略のなかに惣菜強化を組み込む必要がある。

    ところが、実際に訪問してみると、折角初期に作った厨房施設を「うまく行かない」と遊ばしている直売所も多い。惣菜を育てるための基本を記してみたい。

1.惣菜のカテゴリーは?
 パンや和洋菓子を除いたものを惣菜とした場合、ほぼ下表のようなカテゴリーになる。そして大分類からすると・・・
  表―主に購入する惣菜(複数回答)
カテゴリー
支持率%
寿司
66.
コロッケ
55.
唐揚げ
34.
弁当
32.
サンドイッチ
23.
サラダ
22.
おむすび
21.
他フライ
20.
天ぷら
20.
メンチ
19.
とんかつ
15.
和風煮・炒め物
13.
和え物
13.
中華煮・炒め物
.
焼きそば
.
焼き魚
.
スパゲティ
.

<注>東京・埼玉264世帯の訪問調査。264人中119人は「惣菜は買わない」としていて、残り145人(54.9%)の「買う人」に関する複数回答の支持率である。
 

 カテゴリーの区分は多種考えられるが・・・
①米飯類 寿司、おこわご飯、赤飯、他の各種弁当、おむすび、いなり等。
②他の主食類 サンドイッチ、焼きそば、うどん・そば関係の弁等、スパゲティ等。
③てんぷら・フライ類 各種野菜・魚てんぷら、コロッケ、メンチ、とんかつ、唐揚げ等
④焼き物類 各種焼き魚、うなぎ蒲焼、焼き鶏、ローストチキン、ハンバーグ、餃子等・・・これらのものはコンベクション・オーブン1台あれば対応できる。
⑤和惣菜 和風煮・炒めもの、和え物、酢のもの。
⑥洋惣菜 各種ポテト等のサラダ。
⑧中華惣菜 中華風煮・炒めもの マーボー豆腐、カンシャオ・シャーレ、チンジャオロース等。ごま団子、しゅうまい、中華まんじゅう等。

一般的には直売所の場合、①②③が中心で、まだまだ④~⑧への挑戦例は皆無に等しい。

2.集中による大量販売
  観光客、ドライブがてらのついで客には、①②が中心になり、比較的近隣客にたいしては③が中心となり、将来は④~⑧にも挑戦すべきだと思う。留意すべきは・・・
 
 

  第1は定番品の設定・・・たとえばおこわご飯、赤飯、詰め合わせ弁当、おむすび、てんぷら等に集中し、量販売できるものを育てることだ。これが能率化やロスの軽減にもなる。

     第2に、旬の野菜・野草などを駆使しおかずや商品の一部を換え、アクセントをつけ、「珍しさ」や季節感で。絶えず新鮮な驚きを提供することだ。てんぷらなどは、その日の出回り品を上手に取り入れ、セット品として300円、500円といったパックしたものが売れるものだ。夕食を簡便に済ませたい客の、おかずに向く。

    第3は、旬を上手に生かし、単品多量販売できる「名産品」を育てること。これがゆでたエダマメだたり、トウモロコシであったり、削り節をかけたワラビやゼンマイであったり、地元特製のてんぷらだったりする。

3.単品多量販売の年間計画化
    基本は、売上や利益に貢献する「単品大量販売と能率化」である。それには、走りや旬の素材を前提に「この時期、この月、この週に何を売るか」の予定を立て、POPも用意し、大量に売ることだ。

    前にも紹介したことがあるが、群馬の某小型スーパーは横軸に和風、洋風、中華風、珍品とし、縦軸に万人向き(オール)、子供さん向き、中年向き、高齢向きとし、4×4=毎日違う16品のメニューをり、日々とかえひっかえ販売し、大量販売に成功していた(もちろん他に定番品もあり)。いずれにしてもオママゴトのように、定番品のみに1日各20ヶ、30ヶとこじんまり作り、売っていたのでは、惣菜は伸びない。同じものだけでは飽きられ、顧客の志向の分散も考え、目先を変えることで単品大量販売を達成するよう留意していただきたい。

  毎日目先を変えれば、どれもが「本日のお勧め品」となり、価格を安くする必要もなく、大量販売できる。そして、米+野菜+肉+副材料+調味料=原価 この原価÷(0.5~0.6)=売価 として60%ないし50%の粗利益率を実現して欲しい。

4.真心のこもった製品化
 写真は実際に某直売所で売られていた、かつ丼やコロッケである。箸、唐子、ソースまで含め、即食べられるようコンパクトにまとめられている。時に手拭き・口拭きの湿った紙まで必要かもしれない。内容物が良く見える、そして食味をそそる容器といった工夫も必要である。

 
 味も重要である。先記の群馬例では、デパートで素材の組み合わせ=メニューのヒントを得て、味はデパート的でなくパート全員で試食し、「これでよい」という自店の味を創り勝負していた。