2013年1月30日水曜日

直売所の惣菜販売は大きな可能性がある!

 惣菜とは、主食とともに食べる様々な副食のことを指すが、最近のスーパーではインストアベーカリー製のパン、自家製の和菓子・洋菓子なども含め、惣菜扱いにするのが普通である。生鮮3品以外の「店で調理・提供する部門総べて」を指す言葉になってきている。

   スーパーの場合、37企業以下の統計に過ぎないが、売上構成比8.4%、粗利益率34.7%、年商品回転率192.1回、ロス率8.2%という数字がある。粗利益率と回転率は生鮮4品中最高、ロスも出やすく最高である(消費期限の短縮競争も激しいため)。

   昔お付き合いしたミニ・スーパーには惣菜が頗る強い店も多く、友人が惣菜店を経営したこともあり、その見聞からすれば、自社で別途小売りする原材料を上手に使えば、粗利益率は50~60%にも高められる。チェーン・スーパーで粗利益が低いのは、省力のため半製品を仕入れ、競争を考え安く販売するためである。

   将来的には「野菜の1人当たり消費が半減する」という予測もあり、素材としての野菜販売だけにこだわっていれば、直売所の発展もない。しかも、①農産物直売所の場合、米、野菜、タマゴ、時に肉など原材料の宝庫で、新鮮で安いものが調達できる。②次に豊富に出回る品を、返品という形でなく一部買い取って惣菜に回す努力をすれば、出荷者の返品負担を軽減できる。③さらに個性ある商品が作り易く、直売所の顔にもなる。④TPOに応じ、食の簡便志向を持つ主婦は90%以上にのぼり、惣菜のニーズは伸びている・・・という面で、戦略のなかに惣菜強化を組み込む必要がある。

    ところが、実際に訪問してみると、折角初期に作った厨房施設を「うまく行かない」と遊ばしている直売所も多い。惣菜を育てるための基本を記してみたい。

1.惣菜のカテゴリーは?
 パンや和洋菓子を除いたものを惣菜とした場合、ほぼ下表のようなカテゴリーになる。そして大分類からすると・・・
  表―主に購入する惣菜(複数回答)
カテゴリー
支持率%
寿司
66.
コロッケ
55.
唐揚げ
34.
弁当
32.
サンドイッチ
23.
サラダ
22.
おむすび
21.
他フライ
20.
天ぷら
20.
メンチ
19.
とんかつ
15.
和風煮・炒め物
13.
和え物
13.
中華煮・炒め物
.
焼きそば
.
焼き魚
.
スパゲティ
.

<注>東京・埼玉264世帯の訪問調査。264人中119人は「惣菜は買わない」としていて、残り145人(54.9%)の「買う人」に関する複数回答の支持率である。
 

 カテゴリーの区分は多種考えられるが・・・
①米飯類 寿司、おこわご飯、赤飯、他の各種弁当、おむすび、いなり等。
②他の主食類 サンドイッチ、焼きそば、うどん・そば関係の弁等、スパゲティ等。
③てんぷら・フライ類 各種野菜・魚てんぷら、コロッケ、メンチ、とんかつ、唐揚げ等
④焼き物類 各種焼き魚、うなぎ蒲焼、焼き鶏、ローストチキン、ハンバーグ、餃子等・・・これらのものはコンベクション・オーブン1台あれば対応できる。
⑤和惣菜 和風煮・炒めもの、和え物、酢のもの。
⑥洋惣菜 各種ポテト等のサラダ。
⑧中華惣菜 中華風煮・炒めもの マーボー豆腐、カンシャオ・シャーレ、チンジャオロース等。ごま団子、しゅうまい、中華まんじゅう等。

一般的には直売所の場合、①②③が中心で、まだまだ④~⑧への挑戦例は皆無に等しい。

2.集中による大量販売
  観光客、ドライブがてらのついで客には、①②が中心になり、比較的近隣客にたいしては③が中心となり、将来は④~⑧にも挑戦すべきだと思う。留意すべきは・・・
 
 

  第1は定番品の設定・・・たとえばおこわご飯、赤飯、詰め合わせ弁当、おむすび、てんぷら等に集中し、量販売できるものを育てることだ。これが能率化やロスの軽減にもなる。

     第2に、旬の野菜・野草などを駆使しおかずや商品の一部を換え、アクセントをつけ、「珍しさ」や季節感で。絶えず新鮮な驚きを提供することだ。てんぷらなどは、その日の出回り品を上手に取り入れ、セット品として300円、500円といったパックしたものが売れるものだ。夕食を簡便に済ませたい客の、おかずに向く。

    第3は、旬を上手に生かし、単品多量販売できる「名産品」を育てること。これがゆでたエダマメだたり、トウモロコシであったり、削り節をかけたワラビやゼンマイであったり、地元特製のてんぷらだったりする。

3.単品多量販売の年間計画化
    基本は、売上や利益に貢献する「単品大量販売と能率化」である。それには、走りや旬の素材を前提に「この時期、この月、この週に何を売るか」の予定を立て、POPも用意し、大量に売ることだ。

    前にも紹介したことがあるが、群馬の某小型スーパーは横軸に和風、洋風、中華風、珍品とし、縦軸に万人向き(オール)、子供さん向き、中年向き、高齢向きとし、4×4=毎日違う16品のメニューをり、日々とかえひっかえ販売し、大量販売に成功していた(もちろん他に定番品もあり)。いずれにしてもオママゴトのように、定番品のみに1日各20ヶ、30ヶとこじんまり作り、売っていたのでは、惣菜は伸びない。同じものだけでは飽きられ、顧客の志向の分散も考え、目先を変えることで単品大量販売を達成するよう留意していただきたい。

  毎日目先を変えれば、どれもが「本日のお勧め品」となり、価格を安くする必要もなく、大量販売できる。そして、米+野菜+肉+副材料+調味料=原価 この原価÷(0.5~0.6)=売価 として60%ないし50%の粗利益率を実現して欲しい。

4.真心のこもった製品化
 写真は実際に某直売所で売られていた、かつ丼やコロッケである。箸、唐子、ソースまで含め、即食べられるようコンパクトにまとめられている。時に手拭き・口拭きの湿った紙まで必要かもしれない。内容物が良く見える、そして食味をそそる容器といった工夫も必要である。

 
 味も重要である。先記の群馬例では、デパートで素材の組み合わせ=メニューのヒントを得て、味はデパート的でなくパート全員で試食し、「これでよい」という自店の味を創り勝負していた。



  
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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