2012年1月2日月曜日

顧客視点から見た農産物直売所の新展開法!!

地産・他消の発送品もドッサリ


1.その現状と問題点
(1)セブン店舗数を3,000店も超える
  農産物直売所は都市生活者にとっても、身近な存在になっている。東京23区にもあれば、土日に空き店舗や軒下を利用した都心型の直売所や集団化したマルシェ(青空市場)もある。
 農業センサスによると、全国の直売所は2005年に13,538あったものが、2010年には16,829と大幅に増えている。運営主体の内訳は地方公共団体210、第3セクター462、JA経営2,315、その他13,842となっている。「その他」は個人、グループ、農事組合法人、会社組織など様々だが、個人や有志の任意組合が圧倒的に多いはずである。

 コンビニエンス・ストアの雄・セブンイレブンの国内店舗数は現在約13,050店で、直売所の5年前に近く、「セブンに近い店舗数」と言われてきたが、あっさり追い抜いたところに今の直売所の成長性が読み取れる。数が増えたため最近は「直売所に出してきたが、売上が減り魅力がない」の声もよく聞くほどで、様々な問題も浮上している。。
 
 診断士仲間ともに3店について各400人(平日200人、土日200人)、計1,200人の来店客調査をしたが、顧客視点から見て様々な問題を抱えている。苦情・要望で突出しているのは「品揃え」の40.1%である。直売所も小売りの業態であり「主人公は商品」だが、「午後に行けば欠品だらけ」「季節の特定品目に集中」といった例が実に多い。店舗の通路の狭さ、駐車場の狭さ(年商500万円に1台が目安)、価格の高い安いのバラツキ、接客の悪さ、POP表示の不足なども問われている。問題は顧客視点からスタートしていないことにある。

 また多数の直売所に接し、関係者の話も聞くと、問題の本質はもっと深いところにあると思う。例えば・・・
 ①「手数料制・残れば生産者に返品」が普通であり、リスクなき企業のため、スーパーに等しい厳しい経営努力、サービスがされない。閉店時間も17時が一般的である。
 ②返品ありのため、追加補充がされず、午後になると極端に品薄になる。午後の客数が大幅に減てしまうのにレジ要員数は同じで、人件費率を高め、貴重な設備を遊ばせることにもなっている。
 ③店長が「生産者自身が高齢化し、出荷量が減っている」と答える場合が多いいが、出荷予備軍を育てる等の努力がされていない。
 ④数が増えため、店間や生産者同士の価格競争も起きている(生産者組織が売価設定のルールを設定しているところは別)。
 ⑤並みの直売所では、当初3年ほどは売上が伸びるが、その後は停滞、減少に転じる。チラシを播かなくても、足元地区は3年ほどで開拓が完了し、その後の発展策が準備されていない。
 ⑥地域に依存(地産・地消費)した属地主義のため、支店を次々出し、発展をはかることはできない。 商圏半径も5~25kmと広く、近くに支店を持てば食い合いになる。
 ⑦手数料一つとっても12~23%と極めて幅があり、委託品と仕入れ品の比率も様々で、多数の指導書が出ているものの、経営指標というものが明確になっていない。

2.外部参入企業によるチェーン化
 最大の問題は、外部の参入である。千葉県に本部を持つホームセンター他を経営してきたタカヨシは、直売所「わくわく広場」を直営やフランチャイズで千葉、神奈川、茨城、東京に46店展開。
群馬県に本部を持つ「ファームドゥ株式会社」は、肥料・農薬・種苗などの販売がメインと思われるが、直売所機能と道の駅機能を合体した「食の駅」「食の駅+援農S」の売り場150~300坪店を群馬中心に9店舗、直売所+コンビニ機能をコラボレートした「地産マルシェ」30~40坪を都内と埼玉に7店展開している。資本金1億7千万円、従業員540名、年商142億円である。群馬や埼玉地区の農業者5千人ほか日配加工業者を農商工連携的に結集し、計画された品揃え、陳列・レイアウト、外装の店を出している。一般直売所にくらべれば魅力を多数持っている。
 
 NEXCO東日本、中日本、西日本といった高速道路会社も、それぞれ直売所を設置する方向で数店を開設している。中日本の場合チャレンジV計画により、サービスエリア10ヶ所への出店を予定し、すでに計4ヶ所に「やさい村」を開いている。山梨の「談合坂」のばあいテント掛け50坪(レジ2台ー年商推定1億2千万円)ほどだが、通常の直売所と同様、出荷組合の品を野菜20~加工品25%で委託販売している。運営はNEXCOの子会社が当たっている

 チェーンオペレーションにたけたスーパー等が本格参入すすれば、サービス力を欠いた直売所はひとたまりもない。このため体質強化を支援していくことが急務である。

3.顧客視点に立った販売に
 問題の一つは顧客調査がされず、顧客属性や行動が分からないまま、「作り易い物を作り、出来たものを全量出し、大雑把な値をつけて売る」といった勝手主義だ。顧客視点の販売に変えていく必要があり、店頭での顧客調査も支援の対象となる。

 スーパーの商圏半径は徒歩圏0.8km(都心部)~自働車圏2.5km(群馬・長野など)だが、調査で分かったことは、直売所は近隣型でも5km、長距離型では15~25km(幹線道路沿いや道の駅)、超長距離型では50~200km(観光地等)にもなる。広く浅くの集客である。

 調査2店で1km圏の世帯数に対する週来店頻度を出すと、0.254回、0.194回となる。スーパー等(50地区の近藤調査)については、1世帯週平均4.59日買物に出て、平均4.0店を利用している(生協の共同購入、ドラッグストア等を含む)。1店平均週1.15回の来店となる。これは商圏全体の平均で、1km圏の店に限ればもっと高いことになる。主婦の買い物頻度と比べて1/4~1/5という低さだ。この事実は「特定ニーズ」「特定ライフスタイル」客を中心に集客していることになる。

 主婦の食のライフスタイル区分はQ=クオリティ型  V=バライティ型  P=プライス型  C=コンビニエンス単独型、そしてQ、V、Pの複合に分かれる。
Q型(品質志向客)
 物を吟味し、専門店、SM、直売所、生協など使い分ける。真摯に食と向き合う層で直売所の顧客のほとんどはQ型と見ている。
V型(品揃え志向客)
 地方性の高い土産品購入大手SM・GMS・デパート好み。華美な消費。このため観光地の直売所に
は良く寄ると見る。
C型(便利性志向客)
 近い、ついで、勤め帰り道、行き易い、長時間営業など便利性で動く。ドライブ、散歩、ジョッキングなどのついでに直売所による。
P型(価格志向客)
 加工食品・雑貨を含め、ディスカウント店やチラシ商品を選ぶ。青果の安さのみでは動かない。このため直売所と無縁の場合が多い。
<注>SM=食品スーパー。GMS=総合スーパー

 直売所3店の利用理由調査によれば、3店平均で新鮮92.3%>安さ53.5%>安心29.4%>品質・味28.3%>青果の品揃え25.3%>安心29.3%>珍しい品6.8%>特産品あり4.9%>生産者と対話可3.4%となる。「新鮮さの魅力」が突出している。これは別途関東5県(栃木除く)・長野・山梨・静岡の18地区500人の主婦対象の「食のライフスタイル区分」(近藤調査・分析)のQ型客と重なる。
Q型は商品の鮮度・品質を重視、良いとなればSMだけでなく、専門店、直売所、生協などで選択購入する。V型はGMSやデパ地下を好みで、GMSを1番店として選択する率がQ型やP型の5倍にもなり、青果専門的な直売所を好まない。アッパー層が含まれ、道の駅やドライブインなどの直売所で地方名産品と言った珍しいものは買うと見る。Q型もV型も40~70代の所得が高位安定した層に多い。Q因子が絡む主婦は36.7%と最大多数である。
 
 P型は所得が低い20~30代に多い。世帯員1人当たり食費支出も50~60代の2/3程と低く、野菜だけが安くても直売所に来ない。実際直売所調査2店の平均では20~30代の構成比は12.4%%、土日だけに限っても19.3%と低いことでも証明される。C型は中立で、散歩やドライブの途中に直売所があれば寄る。

Q型は鮮度・品質が良ければ、市場出荷できない規格外品も買うが、反面こだわりを持った高品位の品、減農薬・減化学肥料の品も買う可能性がある。「料理の選択基準」においても健康、安全、美味、季節の味、簡便さなど総べての要素でトップを占め、食と真摯に向き合うタイプ。直売所は試食、料理教室、パンフ、POP等を通じ、Q型客を育てることが必要になる。

4.強固な出荷組織の運営を
 同時に生産者に顧客視点に立ち、計画的に①顧客ニーズに沿った種類や質の品を、②必要な量だけ作り、③適正な売価で供給し、④苦情が多い場合、出荷停止・・・といった運営になっている必要がある。「勝手主義」の運営では品揃え不足(珍しい新製品や減農薬品等)、午後の欠品、売価競争や不適正な売価設定といった問題は解決しない。

 大きな白板や黒板を使い、当日の売価基準を示している直売所も多々ある(埼玉県・花園農産物直売所等)。また出荷者が高齢化し、量が不足する場合、企業をリタイア-した兼業農家の人を育てるとか、市民の援農組織を結成し手伝ってもらうなど、打つ手はいくつもある(八王子市や入間市に事例あり)。
 
 直売所組織の運営にしても、午後の欠品が多い場合、①午後出しの人は、翌日出荷時に返品、②午後出しの手数料を下げる、③午後は買取りにする。残れば翌日午前に値引き販売するとか惣菜に回す・・・などこれまた打つ手は多数ある。福岡市の「ぶどう畑直売所」は全量買い取りだ。女性が代表者(新開玉子氏)惣菜等の加工販売が得意のためである。

5.直売所発展の方向・・・すでに本ブログで何回となく言及ずみ。
(1)量的拡大戦略
減農薬・減化学肥料品、ときに精肉、惣菜、FF、農家レストラン等の充実。給食センター、民宿、ホテル等への供給→客単価の向上

(2)質的拡大戦略
こだわりの良品販売に徹し、直売所そのものをブランド化し、広域集客やギフト宅配を増やす→広域商圏化で客数拡大

(3)多層化戦略
農家レストランにとどまらず、ハウスなどの観光農園、体験施設、遊園地等も加え、総合的な憩いとレジャーの場を構築→超広域化さて、最大の課題は売上髙の停滞ないし減少対策である。もはや「地産・地消」といった単純なコンセプトではやれなくなっている。様々なこだわりを意識し、個性あるコンセプトの直売所を創造し、成長性を維持できるよう支援する必要がある。発展策として3方向が考えられる。

 1は選択性を広げ、地元消費をさらに開拓し、客単価や売上髙を伸ばすことだ・・・つまり地元ニーズの深起しである。養豚の盛んな茨城の「JAポケットファームどきどき牛久店」や静岡県富士宮市の「う宮やーな」は、自店処理の精肉コーナーや主婦のランチを狙った大規模レストランも持つ。

 2については、全国直売所研究会長の長谷川久夫氏が経営する「みずほの村市場」が好例である。農業者の所得向上を第1義とし、仮にAのホウレンソウが100円とすると、Bはこれをしのぐ良品でないと出荷を認めない。「良」となれば「120円で売ってよい」となる。野菜はもちろん米、加工食品、菓子まで含め、近隣スーパーにない「こだわり品」ばかりである。野菜コーナーでは常時7~8品の試食ができ、ヨウジを捨てる箱も準備している。裏のハウスでは時に1万円を超えるようの蘭(ラン)が50種ほどもある。直売所がブランド化され、商圏が広域化し県外客も多い。
 
 3については三重県の「モクモク手づくりファーム」、埼玉県日高市の「サイボクハム」が先進例で、多様な業態を直営で集積している。後者派何回も訪問しているが、直営の加工場と合体したSMのミートセンター、楽 農広場という名の直売所、大規模な焼肉等レストラン、FF、天然温泉、パターゴルフ場、陶芸教室、3尾の子豚のいる小規模な遊園地からなり、食・遊・憩いといった「農業版デズニーランド化」を目指している。これにより、商圏は巨大化し、発展が持続する。他も直営や連携によってイチゴ等の観光農園、農業体験施設、広い植木園、コンビニ、精肉店、複数の飲食店、遊園地等を持つ道の駅付帯の直売所(群馬県のららん藤岡等)もある。


      近藤・支援内容
  該当時間
1.農業のマネージメント講座
3~7時間
2.農産物のマーケティング講座
3~7時間
3.農産物直売所の新たな発展策講座
3時間
4.直売所・顧客視点の販売促進講座
 3時間
5.主婦の食のライフスタイル講座
 3時間
6.直売所顧客調査(200~300人)
2日16時間
7.直売所の総合診断
2日10時間
8.農業経営総合診断
2日10時間
<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)
リサーチ30万円(交通・宿泊費別)
講演の場合
1時間は4万円
2時間は6万円
経営診断20万円(交通・宿泊費別)
報告日は無料とし、交通・宿泊費別
     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料

2011年12月4日日曜日

農業ファンドとは何か?6次産業化の強化!(加筆修正)

 注:H24年11月16日に改めて関東農政局から、農業ファンドの説明を受けた。骨子は変わっておらず、ごく一部補筆させていただく。

 農水省では25年度予算要求の柱の1 つとして、「農業漁業成長産業化ファンド(仮称)」の設立を掲げている。このため財政投融資資金200億円が計上されている。

 ファンドとは何か?。事業をするための元手、資本、基金と言った意味。 今回のファンドは、官民共同して 基金を出し、本ブログでも何回か紹介してきた6次産業化事業に資本投入して、農業者の資本力の弱さをカバーし、事業をより大きなものに育て、強い体質の農業にしようとするもの。TPP等の貿易自由化の流れにも配慮した施策といっても良い。賛否の議論は別として、中身について簡単に紹介すると・・・

 すでに触れたとおり6次産業化と一体の関係にあり、6次産業化プランナー等を300人規模から500人規模への増員したり(16 億→20億円)、輸出・観光等のメニューを追加したり(15億→23億円)、10%ほどの女性企業家枠を設定したりの施策とセットになっている。
 
 
 

  現在は1次産業年10兆円、2次産業(関連製造業)+3次 産業(流通・飲食業)年90兆円という規模である。1次×2次×3次の6次産業化事業は、過小資本のため農林漁業者の主体的な立場での価値連鎖の取組が遅れている。
 

 ファンドが出来れば、農林水産業者は6次事業体の25%以上の株を持てばよく、別途融資も受けられるので、最低4倍以上の資本で、事業展開できる。農水省では従来の投資規模の7倍程度、売上高10倍をめざしている。

 
 ファンドによるテコ入れで、6次化事業の資本強化をして付加価値の連鎖を高め、現在の1次の1兆円産業を今後5年で3兆円に、10年で10兆円に拡大して行こうとするものである。

 ファンドは下記の通り、3段階の仕組みである・・・
 1.(㈱農林漁業成長産業化支援機構に国及び民間の商社、食品 企業、金融機関=メガバンク等が出資。国は融資も行う。20年間の時限組織で、ファンド事業全体の指揮・監督に当り、意に沿わない案件に対しては拒否権を保持する。

 2.1のファンドの資金50%(上限)+地域金融機関や地元 企業が出資して、「地域ファンド」=サブファンドを立ち上げる。出資期間は最長15年(この間に下記の事業体について経営成果を上げ回収することを目標とする)。

 3.農林漁業者が25%以上、パ-トナー企業が25%以下、2の地域ファンド(サブファンド)が50%以下の出資をして「6次産業事業体」を立ち上げる。 事業が軌道に乗れば、農業者や連携事業者が地域ファンド分の基金(株)を買い取りる形で、1や2のファンドは資金を回収する仕組み。事業が失敗すれば、資金の回収が不可能になり、立上げには厳しい審査が必要となる。また運営には技術・販路・ノウハフ面でのタイトな連携が必要になる。

  農林漁業者は①高品質、②大規模供給力、③トレサビリテ ィ対応、④生産者グループ形成力等が求められる。また6次産業化支援組織のプランナーやパートナー企業が①販売ネットワークの提供、②マーケティング力、③物流ノウハフの提供、④IT技術の提供等をして支援していく体制が取られる。

 年200~500件ほどのスピードで、6次産業化ファンドを立ち上げる予定とされるが、これまで農業者1~3人程度が関係する「点」に近い6次産業事業を、地域の多数が関係する「面」に育てるといった期待が持てる。この点、意欲的なプランである。

 上記3のように、農業者の出資を25%以上にし、あくまで農業者主導の事業になるよう配慮されているが、民間企業の出資がはいることで農商工連携事業との違いが出せるか(農業者の所得向上)?との懸念もないわけではない。

 しかし農業者の弱い企画力やマーケティング力やを補ってくれ、所得率はやや下がっても、所得のボリュームを拡大することにつながることは間違いない。雇用の規模も多くなり地域活性化への効果も高まる。 

 (間違いがあるといけないので、詳細は今後、農水省のHPや新聞にも出ってくるので、正確にその知識を得て欲しい)


      近藤・支援内容
  該当時間
1.農業のマネージメント講座
3~7時間
2.農産物のマーケティング講座
3~7時間
3.農産物直売所の新たな発展策講座
3時間
4.直売所・顧客視点の販売促進講座
 3時間
5.主婦の食のライフスタイル講座
 3時間
6.直売所顧客調査(200~300人)
2日16時間
7.直売所の総合診断
2日10時間
8.農業経営総合診断
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2011年11月19日土曜日

農産加工品の売価・値入れは?売価調査が必須!

    これは加工品の話ではないが、鹿児島の方から「直売所で初めて花を売ることになったが、売価設定をどうしたら良いか」と問われたとき、「原価÷0.50~0.40で良いのではないか」と答えたことがある。

  だが農家の方で、自家製品の原価を正確に把握している人は、10%もいないことが分かっている。分かっていながら上記のアドバイスをするのは矛盾である。6次産業化や農商工連携事業で、ジャムやジュース、チーズ、ソフトクリームなどの新製品を作る場合も、同じように原価が問われる。

  平均的な農産物の原価は、農水省や県農業試験場などの経営指標を参考にすれば、主材料の原価は出せる。経営指標について言えば、北海道(農業生産技術体系)、秋田、石川7、群馬、長野、岐阜、鳥取、広島、山口、熊本など多数の県で、細かい作物・畜種ごとの指標が出ている・・・農水省のものよりはるかに細分化した作物別の統計がある。ぜひ参考にして欲しい。

 だが、法人経営などにおいては商品別、作業別の労働時間の記録をとるようにしないと、正確な原価は出ない・・・と自覚すべきだ。合わせて、従事者全体の1時間労賃も確定しておく必要がある。

 
 加工の場合、「販売段階で利益を確保する」との考えでなく、「原価段階で生産に要した家族労力費、及び利益を確保する」と考えるべきである。経営主の所得も生産段階のものは原価に含める・・・そのうえで下記の粗利益を上乗せすべきだ。

  問題は粗利益額・率である。これを原価に乗せないと、販売が成立しない。粗利益=販売管理費+利益(通常は経常利益)・・・だが、販売管理費には、梱包費、輸送費、各種の中間手数料、販売の間接費、セールスマンや販売に要する人件費などが含まれる。

 仮に直売所で売る場合、委託手数料は加工食品や総菜では20~28%の例が多い(青果・花の12~20%と違い)。ネットで直接消費者に売る場合でも、大手のポータルサイトに出店するときは「出店料、販促費、カード手数料などに12%ほどかかり、粗利益率20%以下であれば損する」と言われている。

 
 HPで直接販売する場合、宅配便を使うので配送費のみですぐ15%ほども掛ってしまう。包材費や人件費まで考えれば、すぐ30%近くの粗利益が必要になる。このためもあり、配送費を別建てで示している例が多い。

 一般の食品加工業の指標では、売上高対比率で原価70.3%、粗利益29.7%、うち販売管理費26.4%、営業利益3.3%、経常利益4.1%という数値もある。

 製造と同時に多数の直営店で小売している例では、原価率61.8%、粗利益率38.2%、うち販売管理費34.4%、営業利益3.8%、経常利益3.5%となっている。

 29.7%の粗利益を達成するには返品や値引き(特売)まで考えると、平均33%ほどの値入率になることもある。値入率と最終の粗利益率は違うことを知って欲しい。また、価格競争型の商品(主にメーカー品)と個性の出しやすい品(中小工場や6次産業化の品)で、かなり差があることも知って欲しい。

 6次産業化や農商工連携品となると、規模が小さく生産性が低い。原価額が高いから、より「こだわり」を前面に出し、高い売価を設定しないと、並みの粗利益率は確保できない。

 小売の値入率を見ても・・・某チェーンの値入率を紹介すると、中小メーカーの多いコンニャクAは46.2%、コンヤクBは41.7%、豆腐Cは30.0%、ひき割り納豆Dは33.0%、いりごまEは33.7%、片栗粉Fは31.6%とかなり高い。これに反し、皆さんもよく知っているキッコーマン醤油Gは10.1%。QPドレシングHは20.7%、雪印バターIは16.7%、マル米みそJは17.8%と低い。

 大量に売れる売れない、回転が速いか遅いかなども、値入率や売価に関係することも知って欲しい。同時に直売をする場合と、小売や問屋に卸す場合とでは売価の概念が異なってくる。後者の場合は卸売価となるが、上記の小売段階の値入率や売価を考え設定しなければ、相手に受け入れられない。このため付加価値販売が実現しにくくなる。

 70円の原価のものを30%の値入率で売る場合・・・100-30=70  ÷100=0.70(70%の原価率の意味) 70円÷0.70=100円 が売価だが、小売段階でさらに30%の値入をして売る場合、100÷0.70=143円ほどになる。「これでは消費者に買ってもらえない」となると、生産者の粗利益率を15~20%に下げる必要が起きる。実際、販売を小売に任せれば経費が少なくなり、生産者の粗利益なり売価は下げて当然と言える。

 注意しなければならないのは、直接ネット販売するのと、卸や小売業者に任せるのと併用する場合、だれしもネットも見ているので、両者に差がありネット価格が安ければ、安いレベルに小売値を下げるよう要求される。 このため値入率や売価は、卸の場合下がってしまう。「一物一価」の原則が働くので、併用型の場合は売価を統一し、ポイントとか情報サービスとか別のプレミアで対応しなければならなくなる。

 以上から理解できると思うが、自己の粗利益率を高めるには、こだわりを持った個性力を高め、消費者なり小売り側だ「ぜひお宅の商品が欲しい」と言われるようにする必要がある。 

 最後に売価の設定だが、これは原価+販売管理費+利益として積み上げ計算が出来ない場合が多く(原価不明で)、直売所、スーパー、ネットで容量別の価格を徹底的に20~30例ほど調べ、横軸を容量、縦軸を価格とする分散表をパソコンのエクセルで作り、平均傾向線、上限傾向線、下限傾向線を引いてみて、自家の容量および品質・こだわりレベルを考え設定するのが妥当である。



      近藤・支援内容

  該当時間

1.農業のマネージメント講座

3~7時間

2.農産物のマーケティング講座

3~7時間

3.農産物直売所の新たな発展策講座

3時間

4.直売所・顧客視点の販売促進講座

 3時間

5.主婦の食のライフスタイル講座

 3時間

6.直売所顧客調査(200~300人)

2日16時間

7.直売所の総合診断

2日10時間

8.農業経営総合診断

2日10時間

<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)

リサーチ30万円(交通・宿泊費別)

講演の場合

1時間は4万円

2時間は6万円

経営診断20万円(交通・宿泊費別)

報告日は無料とし、交通・宿泊費別


     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料


2011年11月3日木曜日

農産物直売所-売れる陳列③道の駅ちちぶは「木のぬくもり」!

   道の駅「ちちぶ」(埼玉県)は、市街地にあるが、背後地は中山間部である。そして林業を意識し、オール木製の陳列棚である。木の加工品も置きもの、ステッキ、子供向きのおもちゃまで並んでいる。
 
  直売所そのものは30坪ほどと狭い。注目に値するのは、野菜・果物の陳列棚を3~4段の多段式にしていること。ゴンドラ(スチール棚)を木でつくり、当方がかねて提案してきたが、台の裾に当る部分を空洞にし、ここに商品を並べる場合は4段利用となっている(写真・下)。

  狭い直売所の参考例になる。秩父は札所めぐりや有名な秩父神社もある観光地である。土産物がよく売れ、逆に野菜や果物の生産は傾斜地のため潤沢と言えない。売り場が広すぎても、ボリューム感が出ない。

  土産ものの陳列を増やせば、青果の販売はコンパクトにせねばならず、青果の陳列間口は6間弱に過ぎない。このため平台は1間聞=6尺1台のみで、他5間は3~4段利用の木製台である。ここに約120アイテムが並んでおり、品目でも50品はあるはずで、100坪の直売所と比べても見劣りしない。

  特産品の壁側の木製台は4段で額部分には、染物の暖簾も取り付け、他の道の駅にない地方性をよく演出している。デザインの企画力を称賛したい。

 直売所には立ち食いソバ・コーナー、ベーカリーもあり、狭いながらもゆったり感を残している点でもすばらしい。





      近藤・支援内容

  該当時間

1.農業のマネージメント講座

3~7時間

2.農産物のマーケティング講座

3~7時間

3.農産物直売所の新たな発展策講座

3時間

4.直売所・顧客視点の販売促進講座

 3時間

5.主婦の食のライフスタイル講座

 3時間

6.直売所顧客調査(200~300人)

2日16時間

7.直売所の総合診断

2日10時間

8.農業経営総合診断

2日10時間

<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)

リサーチ30万円(交通・宿泊費別)

講演の場合

1時間は4万円

2時間は6万円

経営診断20万円(交通・宿泊費別)

報告日は無料とし、交通・宿泊費別


     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料



下記の内容の講演・研修は、すでにパワー・ポイント
を用意してあり、いつでもご要望に応じます
1.主婦の買物動向と食のライフスタイルと対応
2.農産物直売所の顧客動向と対応
3、顧客視点に立った農産物直売所の運営
4.農産物直売所の計数目標と管理
5.農産物のマーケティング
6.食品加工業の就業希望者が知るべきポイントこと
7.6次産業化の身近な事例から学ぶ


















2011年11月1日火曜日

農産物直売所-売れる陳列②マルシェに学ぶ!

 
 写真はいずれも都内・青山の国連大学前で土日に開設されるマルシェ(青空市場)の写真である・・・1年前以上の開設2日め に撮影したもので、今日どうなっているかは 別問題である。

 3点とも平台に傾斜式に箱を立てかけて、目線に近づくよう陳列している。プロの指導 を受けこうしたのか、狭い1畳分のスペース を有効に活用したいための独自の工夫なのかは分からない。

 ともあれ合理性のある陳列で、直売所においても大いに参考にすべき陳列に違いない。その理由は・・・

 ①狭い面積が1.3倍、1.5倍にも広がり、それだけ有効に利用できる。

 ②5~6mはなれていても、全体の品揃えが見える。

 ③近くに寄った場合も均等な距離で視野に入り、手に取ることも容易である。

 「直売所と狭い場所借りのマルシェとは、訳が違う」と言うかもしれない。


















 しかし、合理的で美しいものは積極的に、直売所にも生かすべきだ。いまから40年も前、初めてアメリカ西海岸15日の旅に出た時に衝撃を受けた。

 なぜか・・・勤勉できれい好きの日本人よりも、人件費の高いアメリカの方が、スーパーやファーマーズマーケットの青果他の陳列が緻密でボリューム感もあり美しいことだった。救いが一つあった。この美しさの最高傑作がカリフォルニア?のゲルソンマーケットで、青果コーナーを構築したチーフが日系人であるということだった。作業現場も見てきた。

 ともかく、西海岸はバラ売り-秤販売が全盛だった。キュウリが同じ方向に何百本と並び、他のどの品も同一方向を向いて重ね置きされ、さらにカラーコントロール=縦に色分けされた陳列でもあった。

  美しい陳列は、食味をそそり、かつお客さんに「選んでかき混ぜれば、崩れる」という心理がはたらき、痛みも出ない・・・今は省力の時代であり、ゲルソン流をそのまま真似ることはない。  

 特に狭い直売所ほど、こうした立体陳列をし、品揃えの充実に努めるべきである。また中段の写真のように、ジャムやハチミツといったものは、平台に置いた場合、目線の下の方に沈みこんでしまうので、こうした立体陳列が特に望まれる。たとえゴンドラに並べるにしても、ブランドごとに傾斜台を棚にはめ込み立体陳列するのが得策である・・・少ない在庫でも豊富に見えるからだ。



      近藤・支援内容

  該当時間

1.農業のマネージメント講座

3~7時間

2.農産物のマーケティング講座

3~7時間

3.農産物直売所の新たな発展策講座

3時間

4.直売所・顧客視点の販売促進講座

 3時間

5.主婦の食のライフスタイル講座

 3時間

6.直売所顧客調査(200~300人)

2日16時間

7.直売所の総合診断

2日10時間

8.農業経営総合診断

2日10時間

<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)

リサーチ30万円(交通・宿泊費別)

講演の場合

1時間は4万円

2時間は6万円

経営診断20万円(交通・宿泊費別)

報告日は無料とし、交通・宿泊費別


     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料











2011年10月31日月曜日

福島屋(都下羽村市)が福島の米を売る!NHK放映

今日(10月31日)のNHK「プロへッショナル=こんな食品スーパーがあったのか!」で、東京・羽村市の福島屋が登場した。本プログで前に紹介した店である。

 社長にお会いしたのは1回のみだが、放送中にこやかな顔が続いたのが印象的である。生産者や消費者への貢献を、楽しさに変えている点で敬服した。放送後、一気に27人の方がブログにアクセスしてくれたことで、関心の高さが知れる。

 各地の農家を訪ね、「それを作る人の生産品と向合う心=こだわりを知って、取引きするかを決める」という意味の言葉が重い。

 後半、たどりついたのは、今まで売ったことのない福島の米である。福島のセールスマンがわざわざやってきて販売をお願いする。

 担当部署の数人の方は「いままで扱ったことのない福島県産の米を扱うのはリスクが多い」と言う。 福島社長も頭に手を置き、何回も苦悩する。しかし、最後には「一生懸命、こだわりを持って作った安全も保証されているものを、風評被害を気にして避けて通ることが正しいか」と職員に問う。

 わざわざ現場も訪ね、「あの端からこちらまで。田を這って雑草を取り、減農薬を大幅に減らした」の
農家の声。

 そしていよいよ販売開始! 大きなPOPで「国の検査ー生産者の検査-福島屋の検査」と3重チェックをしたことを表示していた。午前は雨、雨があがると続々顧客が来て、社長自らアンケートを採っていたが、納得ずくで次々と買う人が出て完売。

 顧客は「福島屋さんは、平素から信用しているので、福島産であっても信用する」と、何人もが語っていた。31日は偶然2店のスーパーを訪ね、小売の現場に触れたわけだが、残念ながら2店から学んだのは品揃えの豊富さのみで、生産者や消費者への「真の思いやり」は伝わってこなかった。 

H24年2月20日 追記
 新聞報道によれば、米など一般食品に含まれる放射性セシウムの新規制値は100ベクレル以下で、これを超えると出荷停止にすることを義務づけた。福島県の米についての検査によれば、昨年産の97.5%まで100ベクレル以下であったそうだ。福島産であっても、検査済みのOKの品しか出回らない。福島の農業復興支援のため、ぜひ福島産品を快く買ってほしいものだ。