2013年5月18日土曜日

小型スーパー「まいばすけっと」(イオン)は下町の救世主!

 
 郊外地や地方の方はイオンの「まいばすけっと」を見ていないと思う。大型スーパーが土地問題でなかなか出店できない、東京23区や神奈川の市街地に出店し、狭い45~61坪の売り場面積で2,000アイテムを置き、高い効率を上げるという「小型スーパーのビジネスモデル」である。
 
 かつて当方が寝食を忘れ、指導に当たった50坪以下の小型(ミニ)スーパーは、生鮮の強さにおぼれ、多労ー安売りで、粗利の低下、人件費高に苦しみ自滅していった。狭い売り場にもかかわらず。最低青果2人、鮮魚1.5人、精肉1.5人は配置せねばならず、売上も最低1日150万円が必要であった。「まいばすけっと」は、システム志向で、少ない陣容で小型スーパーの弱点を克服し、下町や都心の星的な存在になろうとしている(だが、その人件費など実態はつかんでいない)。

 




 

                    住宅地の店(練馬)
 
 青山1丁目の店
 
 まずは、その一例を見てみよう。東京都心の港区青山1丁目の店は、オフィスビルの中にあり、周囲は一流企業のオフィスや高層マンション等である。
 
 付近にはファミリーマート、セブンイレブンほかのコンビニはある。だがスーパーはない。青山のアップグレードスーパーの紀ノ国屋まではやや遠い。
 
 この店は約57坪・・・コンビニの30坪平均の倍近い。レジ3台。駐車場はもちろんゼロ。7時から23時の営業で、この点もコンビニとは異なる。
 
 青果のフェイスはかなりタップリだ。平台が店頭9尺、店内4尺、多段ラック8尺、冷蔵多段オープン6尺だ。アイテムにして約60の青果がある。これは農産物直売所のアイテムでなく品目数に匹敵し、基本素材はまずもれなく揃う。
 
 肉・魚は多段オープンケース6尺分だ。この2部門はコンパクトにまとめている。肉が4段でハムソーまで入れ22アイテムほど、魚が塩干魚中心に練り製品までいれ37アイテムだったと思う。マグロほかの刺身5アイテムを含んでいる。
 
 以上の生鮮3品に必要な人員は1人以下で済んでいるはず。小型スーパーの5人分とは大違いで、ここにこそ「まいばすけと」の強さがある。
 
  いずれにしても、しばし客層を観察したが、男女比は男子65%、女子35%といったところ。年齢は男子では30>40>50代の順、女子では40>70代>30・50・70代といったところ。女子の
ほうは高齢や自転車客も多いが、この層は付近のマンション住まいと思う。
 
 男子の場合は、オフィス出入りのサラリーマンが圧倒的と思われた。昼間はコンビニ店の客とかなりバティングしていると見る。しかし出入りは激しく、1日100万円くらいはキープしているのではないか。
 
 
  
 
 
 

2013年5月17日金曜日

6次産業化-缶・瓶詰めが総てでない。カット野菜にも注目を!


    農家の6次産業化を目指す皆さん!加工と言えば瓶詰め・缶詰め・・・と考えがちですが、もっと回転頻度の高いものも沢山ある。少しでもヒントになればと思い紹介すると・・・
 

 コンビニ・チェーンの多くはカット野菜を3~5品は必ず置いている。キャベツ、レタス、そのミックス等だ。1袋105~128円ほどである(写真)。 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  コンビニの雄であるセブン・イレブンでは「米・肉中心の惣菜では栄養が偏り良くない」と考えたのだと思うが、丸いカップに入れた「野菜タップリのサラダ系惣菜」を多い店では10~15品も置いている。たとえば「振って食べるゴ―ヤとツナのサラダ」270円、「ツナ・コーンサラダ」199円(写真)。スパゲティ、春雨とのコラボ商品もある。 

 コンビニでもローソン100当たりは、180㎝幅の多段冷ケース1台と非冷の棚180㎝で青果60~70品を売っている。ここまで行かなくとも、ロスを避けカット野菜のパックや野菜タップリのカップ入り商品を強化して行く店が多くなると考えてよい。
 
 

  これらにはレタス、キャベツ、ニンジン、スイトコーン、スプライト等が主に使われているようだが、先記の通りゴ―ヤほかベビーリーフ等広く使われる可能性がある。 

  農業者で、すでにコンビニ・チェーン数店に野菜の供給をしている人の話を聞いたことがあるが、生野菜の配送が週1回。それでも残品が多く、「今後は返品のカット化をしていく」としていた。そうであれば、青果そのもの出にくい立地のコンビニには、カットしたパック品を中心に出して行く方が妥当とも言える。このばあい、日持ちのため窒素ガス充てんという方法もあるはず。 

  カット野菜は、多くはサラダ用だが、ヨーロッパの視察では、スープ用のカット野菜専用工場も見た。7品ほどのミックスものを出していた。まだスープは日本のばあい食卓に定着していないが、やがて「スープ用カット野菜」がもと売れる可能性もある。

2013年4月18日木曜日

農産物直売所は売場面積により生産性に大差-改善策はある!

 
    直売所の皆さんに分かりやすいよう、面積は㎡でなく坪数としたが、表は「平成16年度農産物地産地消等実態調査」(農水省)をもとにした分析表である。数字が古いので、売上高レベルについては、おしなべて現在値より低いと思われる。 

  ここで問題にしたいのは、直売所の場合、売場規模による従業者1人当たり売上効率、1坪面積当たり売上効率ともに格差が極端にあることだ。明快に言えば、スーパーなどに比して「規模のメリットが出やすい」「小さい規模では生産性が低く、直売所側の人件費(労働所得)や利益も出にくい」といえる。 

表―売場規模別の3要素分析(最小2乗法による傾向値)


売場規模

区分

 

従業者

趨(人)

 

従業者1人

年売上高

(万円)

売場1坪

年売上高

(万円)

25坪

.

135

65

50坪

.

988

130

75坪

.

,487

169

100坪

10.

,840

196

125坪

12.

,115

217

150坪

14.

,339

234

175坪

17.

,529

248

200坪

19.

,693

261

    小型スーパーやコンビニの場合、小なりとも従業員の雇用を前提にスタートしてきたから、効率の悪い小型スーパーは消え、300~450坪クラスのスーパーのみ永続性が保たれている。またコンビニは合理的に効率化を達成し今でも微増している。 

    直売所は、家族営業や労力の無料奉仕による共同体として誕生したいきさつもあるため、労力費を正当に評価しなかったのか、25~50坪の経営では、75~200坪に比し、1/2以下の効率になっている。2要素の効率ともボールを斜め上に投げたときに描く放物線のように、初期に急上昇し、上(面積が)に行くほど伸びは鈍化する。それでも絶対値は大きくなる。 

    JAが直売所の大規模化を進めるのも、この表からすると妥当である。しかし、この「一般的傾向」を超え、小規模でも効率の高い店も沢山ある。ではどうすれば良いか・・・ 

    表からすれば、小さい店ほど2倍、3倍もの努力をしなければ大規模店並みになれない・・・との自覚がまず第一。努力が並みならまず50坪以下の小型店は消えるだろう。 

    1人当たりの売上効率は「売上高÷投入労力」だから、売上を増やす、労力を減らすの2要素で達成される。1坪当たりの売上効率は「売上高÷投入面積」だから、やはり売上を増やすことが第一・・・面積を減らすのは愚なことで、2段、3段利用も考え、品揃えを増やし、通路も広げ買い易く、働きやすくすることだ。 

    では共通する売上拡大はどうするか。大型直売所を圧縮した品揃えではなく、大型店にない個性商品を徹底して探し、時に創る(惣菜・和菓子とう6次化商品)ことだ。「あそこにしか無い」という商品があれば、遠方からも来てくれるし、ギフトとして宅配ルートにも乗せられる。減化学農薬・肥料のエコ野菜などもギフトになる。レストランや学校給食などにも歓迎される。店内で売るだけでは、飛躍は期待できない。

  次に投入労力の問題・・・これは適正な労働配置のコントロールと質が問われる。小さな店においても、開店1時間前から閉店1時間後くらいの刻みの表を作り、名前を書き込み、レジの客数も考え、日々労働時間を書き込み、むだがないかひと目で分かるようにする。

  ある時間帯は2人、ある時間帯は1人とシフトを日々見える化する。それでも手が空くときはレジから離れ、補充、陳列の乱れを直す、清掃する・・・と第2の作業も決めておく。ともあれ、1日10万円の販売で1.5人、20万円で3.0人ほどのシフトが標準である。もちろん店長も入れての話だ。

  質とは作業のスピード、確実性、臨機応変さ、商品知識などだ。これは先進店で実習するなり、店長が教えるなりの教育の問題だ。高い教育は従業員にとっても誇りにつながる。そして売上げがアップすれば、時給アップをするなどインセンティブを与え、やる気にあふれた店になって欲しい。

  
 

2013年4月17日水曜日

JAみずほ「さくらファーム直売所」は地元商工会と上手に連携の」!

 埼玉県のJAみずほ「さくらファーム直売所」(幸手市内国分間)が4月の桜の時期に合わせオープンした。定休日は毎月曜、営業時間9時30分~18時である。

 名の通り、中川の権現堂堤は春にサクラ、菜の花、梅雨にはアジサイ、秋にはマンジュシャゲが咲き乱れるサクラを中心とする花が売りの観光名所である。堤防の内側にはいま菜の花の絨毯(じゅうたん)が1,500坪ほども広がっている。公営の駐車場だけでも1,200台分あるとか。

 「さくらファーム」はこの堤と向合い、公営駐車場にも近いので、自身の駐車場は50台と少ないが、救いがある。店舗は売り場126坪、レジ4台だが、サクラに候には1日1,800人以上が押し掛けたとのこと。

 もともと水田地帯。出荷者は顔写真から判断すると、160人ほどで、野菜の出荷計画も出してもらったが、なれないためまだ出荷が少ないのが悩みのようだ。それでも、イチゴなど飛ぶように売れている。確かに果物5品目、野菜約55品目と少なめ。また季節の制約のためかなり仕入品が目立つ。だが、野菜ではトマトのみの特設コーナーもあるし、ネギなども豊富。ローズマリーやロリーエのハーブもあれば、アイスプラントもある。



 しかし、これからが野菜の本格シーズンで、すぐ現金化でき、所得率のアップすることを知れば、出荷も急増するはず。5月になれば、店頭に4コマあるファースト・フードのコーナーも開店し、土日の行楽客も採り込み、年4~5億円の店に成長するだろう。

 特徴の1つが、早くから幸手の商工会と連携し、地元の一流専門店を呼び込む努力をしてきたこと・・・2度にわたり一緒に講演会+ミーティングもし(当方も講演に関与)、直売所の視察もしてきたおかげで、21人の地元業者が各90cm幅の多段にした平台に出店しており、写真の通り個性ある商品、上手な演出を競っている。小間貸しの形なので、仕入れではなく、店の運営も楽である。

 
 
 
<写真>豆腐・納豆もびっしり 
惣菜類も直営、テナント分を含め6尺×5本分にもなる。天ぷら、てんぷら+うどんセットはもちろん、珍しい牛肉コロッケ、豚の揚げ餅、ちじみ、海鮮ちじみ、牛すじ煮込み丼、5色の寿司セットなどもある。豆腐・納豆類も6尺オープンケースがびっしりの豊富な品ぞろえだ。和菓子、洋菓子、ベイカリーの充実ぶりも立派である。
 

 おそらく、これだけ一流店と連携し、個性ある商品を専門店的に提供している直売所は例がないはず。盆栽とメダカを扱う業者の方もいるが、盆栽は3,800円と安く、すでに何回転もしているとのことだ。メダカのコーナーも半端でなく、6尺幅で多種のアイテムがある。

市民農園企業のエンタメ直売所「朝採れファーム」(日高市)!

  市民農園や農地付き住宅など、農地活用の提案・運営を手掛ける株・アグリメディアが、食のエンターテイメントを目指し、西武池袋線・高麗駅の武蔵台団地地区に4月13日(土)に「朝採れファーム」直売所をオープンした。昔、東急ストア=150坪があった撤退跡地で、青果店、精肉店、ドラッグストア等もある商店街の中だ。共有駐車場も60台ある。

  武蔵台地区は丘陵地に展開するが、戸建ての武蔵台団地とこれに続く横手団地まで含めると、人口約8,250、世帯約3,240という数字になる。普通なら450坪のスーパーも支えられる規模である。

  坂道だらけで、将来「買い物難民」も出かねない地区だが、住民の1人の話では、「4kmほど先にスーパーのマミーマートを含むショッピングセンターが出来るとすぐ、東急ストアが閉店<;店が150坪と小型だったためか?>。高齢世帯が増えるなか困ったが、マミーマートが巡回バスを出してくれ、年寄りも助かっていた」という中のオープンである。

   
  開店当日は、3台のレジに各20人も並び、入場制限で入口前にも100人も並ぶ盛況ぶりだった。会員登録にも長い列ができていた。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

  今回店舗は約83坪、うち16坪ほどはFFのコーナーで、飲物、アイス、たきたての豆腐が提供され、32人が坐れるようになっている。特徴は商店街に鮮魚店がないため、6尺冷ケース3台、平台3台でブリ切り身、同かま、カレイ、イワシ、サンマ、アジ、むきエビ、アサリなど鮮魚約20アイテム、塩干魚約25アイテムを置く。刺身盛合わせも480円、680円、880円とある。ドライ食品はメーカー品、個性品に分け3尺10本分ほど配置、地域のニーズに応えていることだ。



 
 
    会員登録が多いのは、「食と農のエンターテイメント企業」として、店舗販売にとどまらず、農産加工(団子作り、そば打ち含む)の1日体験、レジャー農園・市民農園への参加など体験イベントも用意し、うるおいを提供しようとしていることへの共感のためではないか。今後、多くの直売所が学ぶべきことが多い。写真のように、壁面に多数の農産物のパネルも展示し、農への理解を深める努力もしている。
   
    4月29日 エンタメ直売所らしく、ゴールデン・ウイークの企画も沢山・・・27~29日は子供さん対象に、店前の広場でミニこいのぼり作りの体験教室をしたり、複数乗り物を用意、自由に乗りまわせる。新茶の詰め放題セールも実施。5月3日にはマグロ解体ショ-も。また3~6日は綿アメ、ボールすくい、輪投げ、こいのぼり作りの「こども縁日」も実施。4~5日は「ちまき作り体験」と続く。

   (刃渡り1mの包丁で本マグロ42.5kgの解体ショー。本トロは内3Kgとか)

(子供さんの乗りまわせるミニかーも6~7台あり、商店街の広場はにぎやか)

 肝心の野菜の場合、地元出荷者の品は当初15品ほどであったが、この日には28品近くに伸びていた。問題は地元分のスペースを広げ、仕入分を縮小する修正が不十分のようで、地元品のスペース不足を感じる。こだわりの加工品も置いてあるが、POP等のプレゼン不足で、回転(動き)を感じない。「できた豆腐」がFFコーナーで食べられる。  年中無休、営業時間10~18時。 農産物・加工品出荷者募集中だ。




2013年4月7日日曜日

日本政策金融公庫のアドバイザー試験(受験後記)!

 
 
 資格への挑戦は、その資格取得もさることながら、自己の能力を高める一助になる。社・農業経営支援センター関東ブロックでは、日本政策金融公庫「アドバイザー試験」の受験対策講座を5月18(土)、25日(土)の2回開催する。応募等の詳細は
関東ブロックHP       www1.m.jcnnet.jp/sien-kantou/       
を見て欲しいが、試験の内容について、実際に受験した仲間の試験後記を紹介する。

3次にわたる試験で集団面接も

・・・・24年農業経営アドバイザー第16回試験の受験後記(その1)・・・・

                       関東ブロック 小松崎 眞

  昨年、まとまった休みが取れる体制になったためJ-PAO主催の農業経営アドバイザー試験に挑戦し無事に資格を取得することが出来ました。今回は、その体験を少し紙面で紹介させていただき、これから試験に挑戦される方の参考にして頂ければと思います。

    まず、この試験は第3次試験まであり、1次試験が農業簿記、2次試験が農業政策、農業簿記その他2科目+レポート2課題(別紙1)、3次試験が集団面接試験という構成になっています。

    1次試験は、あらかじめJ-PAOから農業簿記のテキストが送られてきます。そのテキストには、農業に独特な科目の紹介、基本的な簿記仕訳についての説明を行っています。私は代表的な仕訳を自分でまとめ、何度も繰り返し練習し反射的に書ける様にしました。第1次試験の農業簿記の試験は、5月と10月に年2回開催され試験時間は、1時間となっています。実は1次試験は、同じ関東ブロックの先生にアドバイスして頂き2度目でパスし、1回目は時間が足りなくて苦労しましたが、2回目は30分で書き上げ問題文をじっくり再確認する時間が出来るほどになっていました(毎回内容は、異なっています。)。

    第1次試験の合格点は、全受験生の平均点以上でなければパスしないため、合格点として常に90点以上取るつもりで望まないと痛い目に遭うと考えてください。ちなみに5月の平均点が75点、10月は85点でした。

    1次試験の農業簿記の構成は、大問3題(カテゴリとして期末在庫、生物の償却、使用した飼料・肥料の期末仕訳)、小問として2から3問の構成となり、全体で7から8問で構成されています。解答ポイントは、農業独特の収穫基準、総額表示、育成仮勘定と育成費振替高の関係はしっかりと把握しておくこと、収穫基準に関して収入金額の把握の方法の理解は必須です。そのためにはテキストを読み込むこと、仕訳を覚えることの2つが重要となってくると思います。次回は,クロス・ウエーブ府中で行われた研修及び2次試験、その後の3次試験の概要について記述します。

 

特に農業簿記と労務管理が難しい

・・・・24年農業経営アドバイザー第16回試験の受験後記(その2)・・・・

                       
     さて、1次試験(1次試験受験者542名)を通過すると2万円+α(書籍等)の経費が掛かりますが、事前研修と2次試験(5日間)を北府中のクロス・ウェーブ府中で受けることとなります。昨年11月の受講生は、J-PAO発表で358名と言うことでした。研修と受験スケジュールは(別紙1)を見て頂ければ分かりますが、9:30から1730までしっかり研修があり、最終日の午前中が試験となっています。膨大な資料を覚え、最後の試験に臨む場合、よほど自信のある方以外は、事前に購入するテキストだけでもチェックすることをお勧めします。もちろん研修の講師からは出題範囲は示されますが、研修初日にも資料が配付され、出題範囲の2倍ほど覚えることがあると考えた方が良いでしょう。

    研修では初日から参加するメンバー以外に、後半から税理士、公認会計士と言った講習の一部免除者が参加してきました。さらに前回1科目だけ合格点に到達しなかった者も、当研修にスポット的に参加する事が出来るようになっています。特に農業簿記・税務の参加者が多いと感じました。また、受講生の話を聞いていると、地方から金融関係、税理事務所の方も多く参加しているようでした。

    研修の内容で,私が特に難しいと感じたのは農業簿記と労務管理でした。農業簿記と併せて農業税務も研修で行うため、講師の方の一言一言に神経を集中していないとあっという間に置いてきぼりを食ってしまう感じでした。また労務管理は、農業独自の取り扱い例えば、超過勤務に対しては、超過時間分の通常賃金の支払いは必要ですが、割増賃金の支払いはない。ただし、午後10時から翌朝5時までの深夜業割増は適用除外となっていない・・・等整理すべきところが多々ありました。

     さて、いよいよ試験当日の概要を記述させて頂きます。

    試験の難易度(1易~5難)は、それぞれ得意分野が違うのであくまで目安ですが、私の感想から言えば農業簿記・税務5,労務管理4、農地制度・農業生産法人3、農業問題に関する論文試験2、レポート提出3です。試験時間は、農業問題に関する論文試験が1時間、その他が30分となっており、簿記・税務はその出題量に対して解答時間が30分しかないことから、おそらく当日の受験生の多くは手こずったのではないかと感じています。合格点は各科目であらかじめ設定されており、労務管理の50点以外はすべて60点です。

    1時限目の農業問題に関する論文試験は、400字原稿用紙(縦)に、何字以内で記載せよとの条件の下、「‘05食料・農業・農村基本計画」が目標とする農家の年間所得額、認定農業者とは、農業経営者を増加させる方法はと言った問題に関し4~5問出題されました。

2時限目の農地制度・法人制度に関する基礎知識は, 農地法及び農業経営基盤強化法による農地の権利移動(売買・賃貸)、耕作放棄地の定義、農地の固定資産税率等に関して○×形式で、全体で30問程度出題されました。

   3時限目の労務管理に関する基礎知識は、一つの問題に対して5つの選択肢から成り、正解ないし不正解の記述を選ばせるもので10問出題。例えば、産前6週間は本人の請求により、産後8週間は請求の有無にかかわらず休暇を与える。ただし出産後6週間を経過し本人が請求し、医師が支障ないと認めた場合は業務に就かせても差し支えないと言った農業以外にも共通する問題も出題されました。

    4時限目の農業簿記・税務に関する基礎知識は、先にも言いましたようにとにかく問題量が多いので留意して下さい。A3様式の3枚から構成され、全体で5問。また問2以降は選択形式になっていて数値も入れる様になっています。1次試験の時の仕訳、期末在庫、生物の償却、使用した飼料・肥料の期末仕訳は当然出題。肉用牛売却所得の課税の特例措置、経営改善基盤強化準備金仕訳と法人税申告書別表4との関係、消費税の簡易課税等出題されました。この時、救いになったツールは、農業簿記の仕訳を反射的に書ける様にしていたことでした。

    次に研修後1週間以内に提出するレポートについてお話しします。「農業マーケテイング企画書」は、地場の特産品を使用した地域活性化について、2000字前後(A4様式2枚)にまとめることで、私は「静岡みかんの再生を目指して」の題で作成しました。講師の方からの指示は、知識を知恵に転化して活性策を考えて下さいとのことでした。「経営分析・診断論述」については、あらかじめ問いが配布されますので、それに従って作成(A4様式9枚程度)すれば良いのですが、農家経営診断の具体的進め方(経営診断にあたって特に重視する視点)について、しっかり書けば得点は高いとおしゃっていました。

   そして3次試験は公庫東京支社で行われ、当日230名の合格者に対して講師の先生方及びJ-PAOの担当者が2人ペアになり、5~6名をまとめて面接します。志望動機と、自分の強みを生かしてどの様な貢献が出来るか、その他フリートーキングで時間いっぱい各自が意見交換させていただくという感じです。

    以上概要をお話ししましたが、この紙面では完全にノウハウをお伝えすることは出来ません。受験講座にご期待ください。

   春の試験申し込みは終了しました。秋の試験(10月)に向け、今から準備すれば、充分な勉強ができます。ぜひ「試験・受験講座」にご応募ください。下記HP参照。

 

 

2013年4月1日月曜日

飲食店チェーンの海外進出と丸亀うどんジャカルタ開店!

   このところ、飲食店チェーンの海外進出は活発である。高齢化や景気の低迷があり、国内の消費の伸びが期待できないためだ。1世帯の外食支出は平成9年がピークで、現在は当時の87%レベルである。ただし洋食やハンバーガー、中華は依然伸びを保ち、和食、寿司、うどんなどは漸減している。

  こうしたなか、成長著しい東南アジアなど国外に進出の飲食店チェーンが目立つ。イタリアンレストランのサイゼリア(国内770店)は、中国の上海、広州、北京、そして香港、台湾、シンガポールに出店している。

  カレーの「CoCo壱番屋」は、ハワイ、中国、台湾、韓国、タイに計48店以上進出。定食の「大戸屋ごはん処」(235店)も、台湾、タイに20店舗を持つほか、インドネシアの首都ジャカルタ中心に10店舗の出店を予定している。また石焼きステーキの「ペッパーランチ」は、韓国、台湾、シンガポール、中国、オーストラリア、香港に進出。国内186店に対し、国外がすでに31店舗という。

 うどんにおいても、目下業界1位の丸亀製麺(680店)、業界2位の「はなまる」(332店)が海外進出を競っている、はなまるは中国の四川省や上海に出、丸亀製麺は、ハワイ1、中国10、香港1、韓国2、タイ6の店舗を持ち、2月にインドネシアにも出た。

 問題は進出先でどのような原料調達をし、いくらで売り、何を目指しているかだが、丸亀製麺について、日系人社会のため発行されている日本語の「じゃかるた新聞」の開店時の探訪記事が出ているので、そのまま掲載した。なお、じゃかるた新聞は、スハルト政権が崩壊したあと、報道・出版の自由がなり、政治情勢等を広く邦人に知らせるため、1998年11月に発刊されたという。

 <2013年2月19日のじゃかるた新聞記事>
  讃岐うどんの日本最大チェーン店「丸亀製麺」のインドネシア第1号店が14日、西ジャカルタのショッピングモール「タマン・アングレック」3階にオープンした。初日は予想の2倍の700人以上が本場讃岐のセルフうどんを体験。日本の運営会社トリドールは、進出6カ国目となるインドネシアで成功すれば、今後イスラム圏への進出の手掛かりになると期待している。

     3年前にインドネシア進出を決定した。近藤肇海外事業推進マネジャーによると、インドネシア最大のピザチェーン「ピザハット」を運営する製粉会社のオーナーと合弁会社を設立。うどんの生地を作る小麦粉はインドネシアと豪州産を混ぜており、食材もインドネシアで調達することに努めた。美味しいうどんを作るには良質の水が大量に必要。その水の安定確保に、日本では考えられないコストがかかったという。

    自分でお盆を手に取りうどんを注文しレジまで進む数分間に、湯気の立つ大きな釜でうどんを茹でる職人、てんぷらを揚げる様子が間近に見える。多くのインドネシア人にとって珍しいうどんの厨房内を見るのは初めての体験だ。

    レジを過ぎると天かすやおろし生姜など薬味を自由に入れる場所がある。そこには丸亀製麺の他国の店にはないチャベ(唐辛子)を小さく刻んだ容器も置かれている。ほとんどの人が白いうどんが隠れるほど赤いチャベをたっぷり乗せ、さらに座席でもテーブルにある七味唐辛子を大量にふりかけて食べていた。

     一番安いかけうどん・釜揚げうどん・ざるうどんが、税込みで3万3千ルピア(約320円)。280円の日本より少し高いが、「ショッピングモールにある他の料理と変わらない」という人が多かった。「ひとつ1万ルピア程度のてんぷらは安い」ともいう。この日、えび天が他のてんぷらに比べ断トツの人気だった。

   マネジャークラスの6人は日本で3週間の実地訓練を経験。日本では、中年女性が少人数で店を切り盛りしている姿を見て驚いたという。

    丸亀製麺は日本の全都道府県に680店ある。2年半前にハワイに進出。現在、海外で20店舗を運営する。

    粟田貴也社長の経営方針は「成功とは、日本人より現地の人に食べてもらうこと」。近藤マネジャーは「うどんはどんな国でも受け入れられる日本食。インドネシアで数十店開店できれば、次はイスラム圏への進出が目標。世界中の人にうどんを食べてもらいたい」と話した。(紀行作家・小松邦康)

8月19日追記   その後、日経ビジネス7月15日号を見るると、丸亀製麺ではインドネシア人は日本と同じスープだと辛く感じるため、日本に比し塩分濃度を0.5%程度下げ、また「すすりやすい細めの麺が好まれるため、日本に比べ1mmほど細い麺を採用」としている。

 
 
 離しは少し異なるが、攻めの農業の中で、日本食のブランド化=パテント化をしていこうととする動きのなか、海外事情に詳しい識者から「海外は海外なりきの素材を駆使して独自の寿し他の日本食が作られ、日本食ブ-ムになっている。日本食のパテント化はこうした流れに反する」の意見が強く出ている。フランス、イタリア、中華、韓国料理にパテント料を払うなど、日本国内ではあり得ない。輸出の素材についても、それなりに付加価値のあるものには、高い価格が得られ、このなかにパテント料は含まれると考えるべきで、ブームに乗じたパテント料を考えるのは、思いあがりと言えるのではないか。