2012年12月20日木曜日

直売所はHPやPOPで何を知らせるか?イベントに何を?

 
   日本政策金融公庫の「農産物直売所に関する消費者意識調査」(H23年11月インターネット調査。20才以上の全国の一般消費者1,025人)は、極めて多数の項目の調査がされており、直売所関係者必須の資料である。

  これまで、HPや店内におけるPOPで、何に重点をおいて書けばよいか?の指針はなかった。だが、「直売所にある商品説明やシールへの記載要望内容」(複数回答)は、この点の指針となる。無料の公的ポータルサイトのSEICAカタログ(野菜、果物、米等)であれば、下記の調査要素の総てを表現できるが、直売所としてはHP向けの要素、POP等で売場で訴求すべき要素・・・と、ある程度分けて考えるべきだろう。


POP等の説明要素

支持率

料理方法

30.1

賞味期限等の鮮度情報

28.2

農薬や肥料の使用量

22.6

味など商品の魅力

18.6

生産地

17.0

農家のこだわり

15.9

生産者氏名・住所・連絡先等

12.2

栽培方法

10.8

売れ筋ランキング

10.1

商品の栄養成分

8.1

アレルギーに関する情報

5.1

その他・特にない

31.5

  いずれにしても生産地、生産者氏名は直売所の場合、ほぼラベル表示でクリアーされている。住所・連絡先が分からなくても、直売所では把握できていて、追跡(トレーサ)可能である。

  また売れ筋ランキングはHPで広く伝えるべきことだ。 道の駅付帯の直売所ではランクを公表していることもあるが、 今後は「たまに」ではなく、確実に打ち出すべきだろう。だが前年実績を打ち出すなど、季節を先取りした情報でないと、来る人の利便につながらない・・・後の祭りでは、顧客をがっかりさせるだけである。

 
 当方もPOP作りについては、実際に手伝ってきたが、外部の人間が書けるのは料理法、栄養成分、アレルギー情報等である。本など見ればどうにか分かるからだ。だが、その支持率は合わせて43.3%である。

  これに対し、鮮度情報、農薬や肥料の使用量(有機農業の程度)、味など商品の魅力、農家のこだわり、栽培方法は合わせて96.1%にもなる。これらについては、農業を実際にやっている出荷者しか正確なことが書けない。(減農薬・減化学肥料のエコファーマーなどの表示は、1人1人が競うくらいでないと、顧客の要望に沿わない・・・22.6%の支持率。トレーサビリティ全体については、店側が一括表示したり、記録簿全部を見せて行く姿勢が必要である)。

 
  以上を考えると、POPを直売所側が一括作成するにしても、文案については出荷者自らが充分書きこんだものを作り、そのポイントを的確に表現しPOP化する必要がある。出荷者はこの前段の努力なくしては「売る資格なし」とさえ言える。スーパーに並んでるメーカー品は、POPはない代わりに包装資材にアイキャチャーや調理法が表示されている。これに近づかないと信用は得られない。

 
 
  POPを書きなれていない人もいるのが普通である。たとえば1枚100円で店側が請け負い、ラミネート加工やセルに挟み、シーズン通して使用するなどの支援システムも必要になる。

   もうひとつ「農産物直売所に望むサービス・イベント」(重複回答)についても紹介しておこう。上記とダブル要素も結構あるが・・・
 表のように、試食の提供>レシピの提供>農薬・肥料ほか生産方法等の説明>チラシ・HP・メール等による情報提供>ポイントカード・・・などが上位だ。だが試食やレシピの提供など、ほとんど実施していない例が多い。

 毎日6~7品の試食を実施しているのは、茨城県の「みずほの村市場」くらいで、あとは1~2品の試食を実施している例にたまに出あう程度である。ニーズとの乖離がありすぎる。「美味しいですよ」とPOPで謳っても、実際に食べさせなければ判断できない。

 季節の走り品、珍しい新製品などを中心に、毎日3点、5点と目標を設定し、ゆでたり、油でいためたり、焼いたり、ドレッシングや浅漬けの素を掛けたりした試食品を出して行く必要がある。①出荷者が持ち回りで試食品を無料で出す、②費用を店・出荷者が折半して出す・・・などルールづくりも必要である。


サービス・イベンの要素

支持率

試食の提供

42.6

レシピの提供

25.5

農薬・肥料等の生産特性

24.6

HP等による営業・商品・価格

18.7

ポイントカード等のサービス

15.7

郵送・宅配サービス

11.3

抽選会等気軽なイベンと

10.6

料理教室等食材の利用法

5.6

農業体験教室等のイベント

5.4

特になし

27.3

 注目すべきは、「商品の郵送・宅配サービス」を希望する人も11.3%もいることだ。仮に宅配ゼロの店が宅配に取り組めば11%ほどの売上げ増も可能になる。もはや地産・地消だけでは発展できない。「他消」まで加味することが、顧客の要望でもあるのだ。


      近藤・支援内容
  該当時間
1.農業のマネージメント講座
3~7時間
2.農産物のマーケティング講座
3~7時間
3.農産物直売所の新たな発展策講座
3時間
4.直売所・顧客視点の販売促進講座
 3時間
5.主婦の食のライフスタイル講座
 3時間
6.直売所顧客調査(200~300人)
2日16時間
7.直売所の総合診断
2日10時間
8.農業経営総合診断
2日10時間
<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)
リサーチ30万円(交通・宿泊費別)
講演の場合
1時間は4万円
2時間は6万円
経営診断20万円(交通・宿泊費別)
報告日は無料とし、交通・宿泊費別
     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料

2012年12月13日木曜日

伊佐沼農産物直売所は個性が詰め込まれている!

 
 川越市東部の伊佐沼という沼や、田や運動場に囲まれたのどかな地区に「伊佐沼農産物直売所」がある。有限会社・あぐり小江戸が運営する民営直売所である。昔はカヤブキ屋根だったという、「うどんや」の伊佐沼庵も裏にあり一体運営されている。心の安らぎを覚える場所と雰囲気の直売所だが、中身も優れている。
  
 
 
  駐車場22台ほど、売場面積42坪ほど、レジ2台とこじんまりとしているが、沢山の個性的な商品があるのが立派である。野菜類も2段台に30~40品が豊富に並んでいるが、注目に値するのは、まず冷ケースの中だ。手づくりのロールケーキ、モンブラン、野菜の羊羹、プリン、ティラミス等のスイーツ。そして小江戸の黒豚のスライス・・・100gの小間切れ250円、バラ肉260円、ロース肉370円。白もつもある。 豆腐もオリジナルなもの2銘柄が大量に置かれ、ゆば=湯葉まである。 
 
 
 次に平台等で展開する惣菜類・・・多種である。写真のように、コロッケをパックにし、ソース、辛子、レモンまで添えられいるのが好感が持てる。3ケ入り180円だ。すし巻き・のりまき各350円、かつ丼380円、五目ごはん180円、うの花100円、きんぴらごぼう130円、小松菜ピリいなりパック250円、そして鶏唐揚げのバラ売り1ケ60円もある。おにぎりもサケ、ウメ、青菜、おかかとある・・・いずれも飛びつきたくなるほど美味そうである。
 
 
 無添加の手作りパンコーナーの充実ぶりは目を見張る。写真のとおり3尺ゴンドラ3本分にビッシリと45アイテム以上ならんでいる。これだけパンを売る直売所をみたことがない。 
 
 幸い、統括マネージャーの綱島寛之さんにも話が聞けた。「現在8年め。市の倉庫だった建物で、現在も建物は市のもの。出荷者は70~80人。私も最近になりここに来たが、すぐ1kmもないところにJAの大型店もできた。スーパーのヤオコーなども幹線道路沿いに2店も出てこようとしている。やはり競争は厳しい。低迷し始めたものを再発展軌道に乗せるため手を打っている。50~60代の顧客が中心だが、もっと若い人にも来てもらわないと未来がないと思う。高齢化で出荷も少なくなるので、地場産という考えも、もっと広域にとらえたい。顧客も高い年齢のため、ネットを見てもらえない。宣伝に工夫が必要。生産者の方にも、作るだけでなく、もっと売る姿勢に立って欲しい」と、率直な声を聞かしてくれた。
 
 
   品揃えが極めて個性的かつ斬新である。個性を看板や大型POPにし、道行く人にストップをかける工夫、さらには子供連れの若い主婦に対して敷居を低くするイベント企画の工夫・・・等が望まれるのではないか。宣伝カーによるゲリラ的な速報性のある宣伝も有効だと思う。
 
  従業員(主婦)も、なかなか活発に対話をしてくれた。人的なサービスの面でも優れており、ぜひ多くの人に訪ねて欲しい直売所である。私の友人の農家の方も、スイーツ系の商品の充実を目指しており、実際スイーツも多い部類だ。若い人にも愛される一歩をすでに歩んでいる。


2012年11月15日木曜日

農産物直売所の安売りは内部競争-個性化で是正を!

 
  各地からの直売所情報を聞くと「競合店やスーパーとの価格競争が激しく困っている」との声ばかりである。実際は「売れれない理由を価格にだけ求め、仲間内で値下競争している」のではないか。売上減の真の原因追究から目をそむけていないだろうか?
  

  当方の農産物直売所3ケ所、計1,200人の顧客店頭調査では、来店理由のトップは鮮度で、その平均支持率は92.3%(1位)である。これは突出した数値である。スーパー等対象とした買い物理由調査の場合、鮮度の支持率は61.3%(近いの70.6%に次いで2位)である。その差約1.5倍である。

 以上で分かることだが直売所の場合、圧倒的多数の人が鮮度目当てにきている。直売所客は鮮度・品質を好む客中心であることを、強く認識すべきだ。

 安さの支持率も53.3%(2位)と確かに高い。スーパー等の調査では35.6%(3位)であり、やはりその差約1,5倍である。だが、同じ「安さ」といっても、直売所の安さは「生産者が直売し、中抜きのため合理的に安い」との認識であると推定している。直売所の顧客の75.1%までは、50代以上であり(2店各400人の調査)、所得的にも高く安定した層で、本来安さ志向ではない。

 スーパー等の安さを支持する層は、所得が低く、パートに出ることも多い20~45才までの若年主婦である。子供さんもいて総合的に食品、菓子、雑貨などの安さを追求するので、野菜が安くても直売所に来ない。ディスカウント店を選んだり、スーパーのチラシを見て買い回れば、すぐ200円や300円は安く買えるからだ。ロスリダーと言われる目玉商品を3点買えば、それだけで300円や400円倹約ができる・・・開店指導でさんざんスーパーのチラシも作ってきたので明言できる。

 
 「本質的な安さ志向客」がこの通り、ほとんど直売所に来てないのに、「スーパーや他の直売所との競争が激しいから安く売る」というのは、ある意味でムダな努力と言える。効果が出ないからますます安売りをしたくなってしまう。

 直売所は数こそ16,800店となり、スーパーの約15,000店を超えたが、総売上高は8,800億円で、スーパーの18億9,000万円の4.7%に過ぎない。シェアからみればヒヨコと言ってよい。

 今日、多くの直売所が売上げ、客数で低迷ないし縮小しているのは、発展方向を見失い、かつスーパーの過酷なまでの努力に比し、充分な魅力作りされていないからである。

 具体的に言えば①柔軟なコンセプトの変更や顧客本位のコンセプトの設定、②計画的な出荷量や品質の確保、③新製品の開発、④安全・安心の向上、⑤POPの徹底や情報力の向上(他販促全般)、⑥店長自身やパートの教育、⑦計数・財務管理の徹底など。努力の領域は無限に残されている。営業時間・休日といた面でも、自分の都合が優先している(短い)。

 1.柔軟で顧客本位のコンセプトの設定・・・「地産・地消」は直売所スタート時点の共通の理念であって、コンセプト(発想)ではない。コンセプトは、「ストア・コンセプト」とか「企業コンセプト」と言う字が前に付き、その店の個性を物語るものでなければならない。

 地産・地消という言葉を金科玉条と取り、独自の個性が追求されていない。個性がなく、同じものをどこでも売れば、客は大型の品ぞろえの豊富な店に自然集まってしまう。

 また「地産」のみにこだわれば、雪や寒さの時期に、全く商品が集まらない直売所もある。「顧客の利便を優先し、近隣や遠隔地のこだわりの商品も揃える」のも一つの発想である。「午後が欠品になりやすいので、仕入品も入れ、利便を優先するため、市場仕入もする」も発想の一つである。

  現に20%前後の仕入品を入れ、夕方までパックし補充を続ける店で、60坪にもかかわらず年8億円強を売る店もある。この店の場合、まず青果の品ぞろえが80品目強と多い。普通は50~60品目止まりである。このほか米、米飯、餅、落花生、酒などの品ぞろえも他店の数倍ある。代表者も毎日店の補充を手伝いに来、率先垂範している。惣菜は残ると見れば、各人午後から値引きもする。仕入品をパックし補充するため、午後行っても、誰一人手持ちぶさたな従業員はいない。このため、利益も出て余剰金の積立もかなりな額ある。

 ところで、「こだわり」も多様化しており、徹底した美味の追求、新品種や珍しいものの率先導入、トレーサビリティやGAP(管理適正規範の導入)による安全保障、減農薬や有機品の充実、商品知識の提供、満足してもらうおモテナシの徹底、6次産業品化による付加価値商品やサービスの充実・・・等々「こだわり」の引き出しを沢山持ち、複数の組み合わせで強い個性を創造すべきである。

 最近でこそ、トレサビリティの記録ファイルを店に置く直売所も現れているが、真剣に安全・安心の保証を個性にした直売所に接したことは10に1つもない。

 「地消」という枠はもともと空論である。直売所は近隣型でも、すぐ商圏半径は5kmにもなり、観光地に向かう道路沿いでは15~20kmになり、観光地であれば50~200kmにも及ぶ。集客圏はもともと地元を超えている。地元に限定すれば供給が消費をすぐ超えていまい、3年ほどで満杯になり伸びがなくなる。繁盛店はどこも直売所のブランド化で、広域集客を達成し、広域の宅配も増やし、「他消」に成功しているところである。

 個性を強めれば、遠方からも来てくれ、「来年は季節になったら宅配で送ってくれ」「ギフトとして頼みたい」ということになり、努力次第で県下全体、日本全体を商圏にできる。このためには、「市場に出せない等外品を売る」から、「信頼される良品販売に徹する」というコンセプトへの転換も必要になる。

 
 2.計画的な生産量と質・・・「好きな時に、好きな量を出荷すればよい」では、同じ品ばかり出荷され内部の価格競争を生む。出荷組合と店が充分POS情報も参考に、適正品質のものを、適正時期に出荷する体制を確立すべきだ。違反者にはペナルティを、計画履行者にはインセンティブを出すくらいにすべきである。茨城の「みずほの村市場」では実施している。安全・安心商品、新製品の開発もこの努力に含まれる。

 3.POPの徹底や情報発信力・・・いまやスーパーのPOPは省力のため、アイキャチャーなどもないプライスカードになりきっている。直売所こそがPOPや印刷物を通じ、農業者の想い、商品知識を伝える唯一の場所になっており、この面でも個性を競うべきである。

  試食見本も常時3~6品を用意する、糖度、美味しさ、その理由、安全管理、料理法、保存法、栄養価、素材の組み合わせで健康確保・・・など、食育・農育に沿ったPOP、写真パネル、料理教室、農業体験等もまたすこぶる必要である。

 
 HP、プログ、ツイタ-といったネットを通じた、多面的な情報展開もしていけば、これまた商圏拡大になる。自店の従業員がITに弱くても、近隣に声を掛ければ月1~2万円でHPやブログを代行してくれる人もいくらでもいる。

 できなければ、手書きで手渡しのチラシを作り店頭で配布したり、旅行社に送り、観光バスを呼び込む方法もある。売場でただ売上げ減を嘆くのでなく、行動に移すことではないか。

 4.店長やパートの教育・・・定年退職後の人を半年とか1年研修を受けさせ、店長に据えるケースに良く出あう。5年たてば交代・・・これでは経験が蓄積しない。また、熟年のためパソコンのできない店長にも2例出あったことがある。若い30代、40代の人材を育て、JAなど組織が大きい場合、この人材が直売所担当の課長、部長となり、多店化の要になっていくぐらいでないと、旧・Aコープのように、衰退の運命をたどると思えてならない。絶えざるイノベーションのため、男性・女性、正社員・パートの別なく人材を育て、経営の革新に備えなければならない。

 パートについても、マニュアルが準備され、かつ応用問題も解決できるよう、厳しい3~7日ていどの教育は必要である。これまでは店長が経験がなく、教育もできない店が多かったのではないか。数値目標も提示し、一緒に考える場も持ち、全員野球の出来るレベルアップを日々追求すべきだろう。

 5.計数管理の徹底・・・財務管理はプロに任すとしても、毎日の売上高、客単価、客数、天候、気温、部門別売上等などは全員が見れるようにし、日々の成果とその原因を知り、改善のために役立てる必要がある。

 長期的な低迷、減少が認められれば、価格競争に走るのではなく、個性を充実させる方向で、再スタートすべきだ。方向とすれば、すで別ブログで触れてきたが、下記3方向が考えられる。
 ①地域の深起こし・・・地域資源の再発見、惣菜や時に精肉の充実。学校給食・民宿・レストランへの供給。
 ②ブランド化・・・直売所の個性を強めブランド化し、商圏を集客、ギフト等の宅配を通じ広域化する。
 ③経営の多層化・・・6次産業化に沿い、ブランド化できる加工品の開発、農村レストランや体験農場の設置、料理教室、グリーンツウリズムとの結合による商圏の超広域化。



      近藤・支援内容

  該当時間

1.農業のマネージメント講座

3~7時間

2.農産物のマーケティング講座

3~7時間

3.農産物直売所の新たな発展策講座

3時間

4.直売所・顧客視点の販売促進講座

 3時間

5.主婦の食のライフスタイル講座

 3時間

6.直売所顧客調査(200~300人)

2日16時間

7.直売所の総合診断

2日10時間

8.農業経営総合診断

2日10時間

<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)

リサーチ30万円(交通・宿泊費別)

講演の場合

1時間は4万円

2時間は6万円

経営診断20万円(交通・宿泊費別)

報告日は無料とし、交通・宿泊費別


     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料



 

 


  

2012年11月3日土曜日

援農ボランティア「すずしろ22」に学ぶ!農業の労力不足対策

                   
 農業就業人口は昭和55年の697万人から、平成22年には261万人となった。6.6%も減少した。しかも22年には就業者の74%が60才以上である。昨年から4ヶ所ほど「新規就農者する人の研修講座」にも招いていただいたが、なかなか、「就農者求む」のニーズに応えるだけの応募者はいないように思う。

 第2、第3の手だてても考えておかないと、直売所はじめ出荷者不足も進行し、農業の現状維持が難くなる。

 市町村が兼業農家で停年退職し、農業にリターン出来るようになった人を登録してもらい、その人たちに作業請負や借地農業を拡大してもらうのも大切だ。75~80歳までは十分即戦力になるはずだ。もう一つは農業者と消費者と農消連携のネット・ワークを構築し、農作業の部分部分を担当してもらう方法だ。

1.援農ほか3つが柱

 以前に紹介した東京の八王子市で活躍する「NPO法人・すずしろ22」が、農消連携の進んだモデルである。前理事長の合津秀雄さん、事務局の飛田恵美子さんの2人に、先日直接話を聞いたが、合津さんは「すずしろを参考にした組織が全国に広がることを願っている」としていた。

 そして、事後にも「①人手が必要な農家がある、②農業に関心のある市民がいる・・・③両者のニーズをコーディネイトすべきである、④責任性・継続性・両者の対等性に配慮して、有償ボランティア活動とする、⑤ある程度の実績に基づき、この活動を横に向け拡大展開できたら素晴らしい」と、意見を整理しメールで送ってくれた。

 「NPO法人すずしろ」は平成19年に誕生したが、その目的として「広く一般市民と農家を対象として、援農ボランティア、農作業の受託事業及び地場野菜供給事業を行い農業の活性化をはかる。同時に食料供給、防災、環境保全、農耕文化の継承など多面的価値ある農地を、都市住民の生活環境の中に存続させ、社会教育の推進や環境の保全に寄与する」と定款で謳っている。そして消費者の「農作業を手伝ってみたい」と云うニーズと、農業者の「農作業を手伝って欲しい」のニーズを橋渡しして、大きな成果を上げている。

2.すでに援農年12,000時間以上

 具体的には1.援農作業、2.農産物販売、3.農地の活用の3本柱で活動している。現在会員は農家約25軒、消費者約140人で、個人正会員1,500円、団体会員10,000円、個人・団体の賛助会員1,000円の各年会費を払っている。

まず1の援農作業だが、右肩上がりで昨年は12,000時間の援農作業をし、24年度は14,000時間を予定、将来的には30,000時間を目標にしている。援農1時間につき540円を農家会員から徴収、消費者会員に460円を支払い、80円を本部運営費に充てている。さらに内60円が援農業務の担当者に支払われている。

会員同士のやりとりで、かつ有償だが安い金額である。交通費は払われていない。農家側が労力支援の希望を時間単位で出し、作業時間について帳票で管理、毎月月末に締めて、15日までに事務局に入金。入金なきばあいは事務局で集金に回る。

作業はトマト他の野菜の種まき、苗植え、堆肥撒き、土寄せ、草取り、収穫、出荷作業、果物ではブルーベリーのせん定・枝片づけ、ネット張りと片付け、収穫、梅のもぎ取り、稲作では苗の補植、はざ架けなど。畜産はまだ依頼がないとのこと。また機械作業は刈り払い機、耕運機は認めるも、チエンソーは認めてない。つまり危険の少ない補助的な作業が中心である。

問題もいくつかある・・・

1.たとえば、8月は草取りなど援農ニーズのピークになるが、暑いので援農者が少ないといったこと。云った問題も起きる。

2.作業の失敗で損害が出た場合の保証。これは当日の作業報酬の範囲内で弁済する約束。3時間労働であれば1,620円の弁済だ。

3.つぎに作業中の事故に対する保証。労災保険が適用されないので、危険な労働は避けるとともに、万一の場合は個人の健康保険で対応している。将来、NPOとして保険会社の任意保険に入る方法も考えているようだ。

年金などで恵まれた消費者会員も多く、「農業をときどき楽しみたい」ということで、報酬額にこだわらない面がある。会報には「作業は厳しかったが、その後の充実感がたまらない」といった言葉が多く寄せられている。

3.農産品の販売は学校給食や宅配

2の農産物の販売ルート開拓については、「例え有償の援農を受けても、それ以上に儲かるように」と、直売的な学校給食、イベントでの販売、宅配に力を入れている。学校給食は八王子市内に68~69の対象校があるが、28校に現在供給している。農家に荷を取りに行き、学校に運ぶ。合津さんは「本気度」を見てもらうため乗用車を捨て、軽トラックまで購入し配達に当たっている。

チームがいくつかあり、某班では4月人で月1~2回直売イベントをしている。1回25,000~33,000円の販売額という。昨年秋までは月3~4回やっていたが、地産地消が進み、競争が厳しくなり、1ヶ所閉店したとのこと。また宅配は注文を受け1パック1,000円の詰め合わせを発送している。人材や車を確保できれば、まだまだ伸ばせるとのことである。

4.農地活用は遊休地の活用で市民農園

 3の農地活用は「遊休農地の活用を農家・市民・環境の3面から期待されている活動」と位置づけている。1つは「農作業受託方式」で、キーマンが生れ、10~20aの土地を請け負ってもらう方式を目指している。2つめの市民農園の開設・運営はすでに18人ほどが関与し、1区画約15坪(50㎡)を21区画運営し、年41万円ほどの収入になり、半分が農家(地主さん)に還元されているという。農園にはNPO開設型と農家開設型の2種の市民農園があり、前者はNPOの管理で後者は農業者の管理だ。

5.作業の高度化も必要ではないか

援農については農家と援農者が相互に評価することは、現在されていないという。人間関係を良好に保つための配慮と思う。しかしさらに進む人手不足を考えれば、実地研修も強化し能力の向上をはかるとともに、作業の難易度、その達成度、作業環境などの相互評価をし、能力に応じた向き向きの人を派遣し、時給もAランク(高度の作業に耐える)940円、Bランク(中程度の作業に耐える)740円、Cランク(軽・補助作業レベル)540円とするなどして、熟練農業者の代換えも可能な人材を育てることも必要だと思う。つまり半専従希望者、ときに新規就農者になり得る層が出てくることが望ましいように思う。

やや古い農水省統計によれば、露地野菜24品の農家所得は1時間平均1,343円となっている。直売所出荷の農家であれば、1.5倍の約2,000円にはなっているはず。540円を仮に上限940円にしても、農家にメリットはあるはず。

 機械作業や農薬散布など、高度の作業を担当すれば危険度も高まる。これには、民間保険会社の任意労災保険にNPOなり団体で一括加入する方法もある。当然、報酬の中に保険料負担分を含ませる等の工夫も必要になる。交通費の支給も課題になるだろう。

いずれにしても、すずしろの実践を全国に普及する必要性が益々増している。それには各市町村に、市民3人、農家3人ぐらいのコアになるキーマンがいれば十分スタートが切れるように思う・・・必ず農家と市民の相互にニーズが存在するからだ。あとは「地域活性化」の視点から市町村や農業委員会の方等の協力を引き出すことではないか。
 
「NPOすずしろ22」の定款もいただいている。必要であればメールをくださればお送りするので、参考にしていただきたい。

2012年10月19日金曜日

JA仙台「たなばたけ」直売所高砂店-6次化を進めた直売所!

 仙台から仙北線で陸前高田下車・・・駅に隣接した場所にJA仙台の「たなばたけ農産物直売所」高砂店がある。敷地も1,726坪と広く、駐車台数113台、レジ8台と店舗は大きい。農産物直売コーナー約167坪。6次化推進のため/惣菜工房、豆腐工房、今搗き米工房、スイーツ工房が売場を囲み配置されている(およそ計50坪)。事務所や荷捌き場まで含めた建て坪は299坪である。

 
 
    カタログによれば、惣菜工房は「JA仙台産の野菜や食材を使用したオフクロの味をご提供。また、レシピもお知らせ」となっている。豆腐工房は「JA仙台産の大豆を使用した、豆腐・加工品をご提供。安心・安全な食材を通して、地元に愛されるお店がモットー」としている。

 さらにスイーツ工房は「地産地消をコンセプトに、仙台で採れた野菜の新たな魅力と可能性を野菜スイーツで表現しました。もっと野菜を大好きに、もっと仙台を大好きになってもらいたくて、毎日心を込めてスイーツを作っています。旬の野菜を使った色とりどりのスイーツが沢山の笑顔を作れますように」としている。

 これらコピーはいずれもすばらしい。そして6次化による付加価値販売への努力は大いに評価できる。

 平成19年12月に約75坪の仮店舗でスタート、23年1月に工事を始め、東日本大震災で工事が中断したが、23年10月8日にオープンに漕ぎつけた。がから復興を象徴すかのように、オレンジ色の外装が光輝いている。木曜休みで、営業時間は10~18時である。

 
    やはり福島の原発事故にともなう風評被害が相当あったのだろう・・・平台の島ごとに、あるいは柱に東北大学とタイアップしたセシウム134、同137の測定結果が展示され安全のPRに努めていた。ここらが埼玉など関東の直売所と違っている。また風評被害や津波による被害もあり、出荷量はまだまだ本調子でないようだ。
 
 
 現在の客数は平日800~900人、土日1,000人、平均900人、客単価は平日1,200~1,300円、平均推定1,370円ほどとのことで、すでに年商6億5,000万円にはなりそうである。生産者は514人、そしてレジも8台であれば、将来10~12億円は予定していると思われる・・・風評被害・津波被害などから回復すれば、実現可能と見られる。
 
 
 なにせ、購買頻度の高い日配品等の冷ケースは充実しており、いわゆる水もの(豆腐、納豆、コンニャク、ゆで麺、漬物、佃煮)は6尺3台、精肉6尺1台、牛乳・乳製品6尺1台があり、他にオリジナルな豆腐6尺1台と充実している。従来型のJAの店は、うっかりするとこれらの冷ケースがゼロの店まある。いくらドライ商品のゴンドラを充実しても、スーパーの安売りとバッティングし効果は出ない。この点、「たなばたけ」は妥当な対応をしている。
 
 青果の平台は50台に及ぶ。午後言ったので朝の充実ぶりhが分からないが、今の時期でカボチャ、キュウリ、トマトのアイテムが豊富、ルッコラ、ワサビ菜など珍しいものもある。写真のように、セルに書いた似顔絵、青果のイラストが目立った。後ろの商品も透けて見え、気づかいに感心した。しかし商品のこだわり、料理法、栄養価などを訴えるPOPはまだまだ少なく、商品が減った午後の売り場を寂しいものにしている。
 
 花も店頭・店内と品ぞろえは豊富だ。「鉢花のラッピングを始めました。1鉢200円。希望の方はサービスカウンターへ」というPOPが店頭にあった。これは他店でも真似してよいことではないか。
 
 規模からすると客単価は、1,600~1,800円になってもおかしくない。青果や日配品の品ぞろえがまだまだ不十分と言えよう。珍しい商品や新商品の開発も急務と思う。米作地帯の宮城であれば、米飯だけでなく、米から作るのし餅、やわらか餅、かき餅、だんご、大福、まんじゅう、米粉パン
や米粉ケーキなど商品開拓分野は広い。ひとつ米作地域では本欄でも紹介したが、米の6次産業化の優等生・・「中井農産センター」(埼玉県吉川市)のHPを参考にして欲しいものだ。