2011年11月3日木曜日

農産物直売所-売れる陳列③道の駅ちちぶは「木のぬくもり」!

   道の駅「ちちぶ」(埼玉県)は、市街地にあるが、背後地は中山間部である。そして林業を意識し、オール木製の陳列棚である。木の加工品も置きもの、ステッキ、子供向きのおもちゃまで並んでいる。
 
  直売所そのものは30坪ほどと狭い。注目に値するのは、野菜・果物の陳列棚を3~4段の多段式にしていること。ゴンドラ(スチール棚)を木でつくり、当方がかねて提案してきたが、台の裾に当る部分を空洞にし、ここに商品を並べる場合は4段利用となっている(写真・下)。

  狭い直売所の参考例になる。秩父は札所めぐりや有名な秩父神社もある観光地である。土産物がよく売れ、逆に野菜や果物の生産は傾斜地のため潤沢と言えない。売り場が広すぎても、ボリューム感が出ない。

  土産ものの陳列を増やせば、青果の販売はコンパクトにせねばならず、青果の陳列間口は6間弱に過ぎない。このため平台は1間聞=6尺1台のみで、他5間は3~4段利用の木製台である。ここに約120アイテムが並んでおり、品目でも50品はあるはずで、100坪の直売所と比べても見劣りしない。

  特産品の壁側の木製台は4段で額部分には、染物の暖簾も取り付け、他の道の駅にない地方性をよく演出している。デザインの企画力を称賛したい。

 直売所には立ち食いソバ・コーナー、ベーカリーもあり、狭いながらもゆったり感を残している点でもすばらしい。





      近藤・支援内容

  該当時間

1.農業のマネージメント講座

3~7時間

2.農産物のマーケティング講座

3~7時間

3.農産物直売所の新たな発展策講座

3時間

4.直売所・顧客視点の販売促進講座

 3時間

5.主婦の食のライフスタイル講座

 3時間

6.直売所顧客調査(200~300人)

2日16時間

7.直売所の総合診断

2日10時間

8.農業経営総合診断

2日10時間

<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)

リサーチ30万円(交通・宿泊費別)

講演の場合

1時間は4万円

2時間は6万円

経営診断20万円(交通・宿泊費別)

報告日は無料とし、交通・宿泊費別


     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料



下記の内容の講演・研修は、すでにパワー・ポイント
を用意してあり、いつでもご要望に応じます
1.主婦の買物動向と食のライフスタイルと対応
2.農産物直売所の顧客動向と対応
3、顧客視点に立った農産物直売所の運営
4.農産物直売所の計数目標と管理
5.農産物のマーケティング
6.食品加工業の就業希望者が知るべきポイントこと
7.6次産業化の身近な事例から学ぶ


















2011年11月1日火曜日

農産物直売所-売れる陳列②マルシェに学ぶ!

 
 写真はいずれも都内・青山の国連大学前で土日に開設されるマルシェ(青空市場)の写真である・・・1年前以上の開設2日め に撮影したもので、今日どうなっているかは 別問題である。

 3点とも平台に傾斜式に箱を立てかけて、目線に近づくよう陳列している。プロの指導 を受けこうしたのか、狭い1畳分のスペース を有効に活用したいための独自の工夫なのかは分からない。

 ともあれ合理性のある陳列で、直売所においても大いに参考にすべき陳列に違いない。その理由は・・・

 ①狭い面積が1.3倍、1.5倍にも広がり、それだけ有効に利用できる。

 ②5~6mはなれていても、全体の品揃えが見える。

 ③近くに寄った場合も均等な距離で視野に入り、手に取ることも容易である。

 「直売所と狭い場所借りのマルシェとは、訳が違う」と言うかもしれない。


















 しかし、合理的で美しいものは積極的に、直売所にも生かすべきだ。いまから40年も前、初めてアメリカ西海岸15日の旅に出た時に衝撃を受けた。

 なぜか・・・勤勉できれい好きの日本人よりも、人件費の高いアメリカの方が、スーパーやファーマーズマーケットの青果他の陳列が緻密でボリューム感もあり美しいことだった。救いが一つあった。この美しさの最高傑作がカリフォルニア?のゲルソンマーケットで、青果コーナーを構築したチーフが日系人であるということだった。作業現場も見てきた。

 ともかく、西海岸はバラ売り-秤販売が全盛だった。キュウリが同じ方向に何百本と並び、他のどの品も同一方向を向いて重ね置きされ、さらにカラーコントロール=縦に色分けされた陳列でもあった。

  美しい陳列は、食味をそそり、かつお客さんに「選んでかき混ぜれば、崩れる」という心理がはたらき、痛みも出ない・・・今は省力の時代であり、ゲルソン流をそのまま真似ることはない。  

 特に狭い直売所ほど、こうした立体陳列をし、品揃えの充実に努めるべきである。また中段の写真のように、ジャムやハチミツといったものは、平台に置いた場合、目線の下の方に沈みこんでしまうので、こうした立体陳列が特に望まれる。たとえゴンドラに並べるにしても、ブランドごとに傾斜台を棚にはめ込み立体陳列するのが得策である・・・少ない在庫でも豊富に見えるからだ。



      近藤・支援内容

  該当時間

1.農業のマネージメント講座

3~7時間

2.農産物のマーケティング講座

3~7時間

3.農産物直売所の新たな発展策講座

3時間

4.直売所・顧客視点の販売促進講座

 3時間

5.主婦の食のライフスタイル講座

 3時間

6.直売所顧客調査(200~300人)

2日16時間

7.直売所の総合診断

2日10時間

8.農業経営総合診断

2日10時間

<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)

リサーチ30万円(交通・宿泊費別)

講演の場合

1時間は4万円

2時間は6万円

経営診断20万円(交通・宿泊費別)

報告日は無料とし、交通・宿泊費別


     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料











2011年10月31日月曜日

福島屋(都下羽村市)が福島の米を売る!NHK放映

今日(10月31日)のNHK「プロへッショナル=こんな食品スーパーがあったのか!」で、東京・羽村市の福島屋が登場した。本プログで前に紹介した店である。

 社長にお会いしたのは1回のみだが、放送中にこやかな顔が続いたのが印象的である。生産者や消費者への貢献を、楽しさに変えている点で敬服した。放送後、一気に27人の方がブログにアクセスしてくれたことで、関心の高さが知れる。

 各地の農家を訪ね、「それを作る人の生産品と向合う心=こだわりを知って、取引きするかを決める」という意味の言葉が重い。

 後半、たどりついたのは、今まで売ったことのない福島の米である。福島のセールスマンがわざわざやってきて販売をお願いする。

 担当部署の数人の方は「いままで扱ったことのない福島県産の米を扱うのはリスクが多い」と言う。 福島社長も頭に手を置き、何回も苦悩する。しかし、最後には「一生懸命、こだわりを持って作った安全も保証されているものを、風評被害を気にして避けて通ることが正しいか」と職員に問う。

 わざわざ現場も訪ね、「あの端からこちらまで。田を這って雑草を取り、減農薬を大幅に減らした」の
農家の声。

 そしていよいよ販売開始! 大きなPOPで「国の検査ー生産者の検査-福島屋の検査」と3重チェックをしたことを表示していた。午前は雨、雨があがると続々顧客が来て、社長自らアンケートを採っていたが、納得ずくで次々と買う人が出て完売。

 顧客は「福島屋さんは、平素から信用しているので、福島産であっても信用する」と、何人もが語っていた。31日は偶然2店のスーパーを訪ね、小売の現場に触れたわけだが、残念ながら2店から学んだのは品揃えの豊富さのみで、生産者や消費者への「真の思いやり」は伝わってこなかった。 

H24年2月20日 追記
 新聞報道によれば、米など一般食品に含まれる放射性セシウムの新規制値は100ベクレル以下で、これを超えると出荷停止にすることを義務づけた。福島県の米についての検査によれば、昨年産の97.5%まで100ベクレル以下であったそうだ。福島産であっても、検査済みのOKの品しか出回らない。福島の農業復興支援のため、ぜひ福島産品を快く買ってほしいものだ。

2011年10月23日日曜日

埼玉農業大賞ベンチャー部門大賞に「桂ファーム」!(加筆)














  第2回埼玉農業大賞が20日に発表され、農業者の友人である栗原桂一代表の有限会社・桂ファーム(養鶏業-入間市)が、「農業ベンチャー部門」の大賞に輝いた。うれしい限りだ。
大賞は2部門に分かれ、「農業地域貢献部門」の大賞は本庄市の「ひびきの南部選果機利用組合」である。ちなみにベンチャー部門の優秀賞は有限・オオクマ園芸(三郷市)、高荷正行氏(深谷市)、地域貢献部門の優秀賞は北川辺米の会(加須市)、高橋博氏(さいたま市)である。11月19日午前11時から加須はなまき水上公園で表彰式が行われる。

  桂ファームは今年夏に、某農商工連携人材育成事業の際にも30人近くを案内し、栗原さんから経営の歴史と実態について話をしてもらった。HPも開かずの宣伝を嫌い、「隠れたベストセラー」ともいうべき存在だが、実際は付近の駿河大学との産学協同事業や各種の委員会にも関係、地元小学校の1~6年の某科目も担当するなど地域にも貢献し人脈は広い。

   また日に3冊の本を読んだ時代もある読書家で、すこぶる広い広い知識の持ち主でもある。これが「考える農業」「ゆとりある農業」を生み出す原動力になったように思う。

   目立ちにくい幹線道路から300mも入った奥まった立地で、常時25,000羽の養鶏を飼い、そのすぐ脇の施設で手選別し、生産タマゴの90%近くを農場付帯の直売所で売っている。品種は赤玉のポリスブラウンが90%、白玉のジュリアが10%。駐車台数は7台ほどだが、1台来て帰れば、次の1台が来るといった繁盛ぶりである。信用ある販売をすれば、口コミで広がり、多少立地が悪くとも客が来ることを教えてくれる。

              

   赤玉の直売価格はM以上が1kg480円、S以下が400円、B級品350円。白玉はM玉以上が350円、S以下が300円だ。総務庁「家計費調査」によれば、1kg平均の小売価格は269円であり、M玉は、その1.78倍になる。流通コストの削減分+単価の差があいまって、通常の25,000羽経営の平均販売額の数倍の売上高になる。選考委員の先生もその所得の高さにびっくりしたはずである。(高騰時の令和5年4月はM玉650円)。

   実際は、農水省の経営指標をアレンジした当方作成の規模別連続経営指標からすると、同規模=25,000羽の養鶏に比し粗収益は2.7倍にもなる。この数字は、生産者手取り価格をそのまま反映している。新聞報道によれば、H23年次の生産者手取り価格は中間流通経費も多いため1kg168円である。これに2.7倍を掛けると1kg454円になる。桂ファームの直売価格はこれに近いののになっている。いかに生産-直売の6次化効果が高いかを教えてくれる。

   安全で良い餌、良い環境で育て、美味なタマゴを生みだし、当方も購入して行きつけの喫茶店の馴染み客にもに数回食べてもらっているが、評判はすこぶる良い。「娘への土産にしたいから買ってきてくれ」のオーダーも何回かあったほど。

    すでに過日の「鶏卵」の項でも4点ほど書いたが、再度その理念を吟味すると7つほどの特徴が浮かびあがる。
①直売で売れる量だけ飼い、いたずらな規模拡大をしない・・・付加価値販売に沿った適正規模。
②鶏舎に余裕を持ち、オールイン・アウトの時間差を広げ、充分な消毒をする・・・鶏の安全の確保。
③1段か2段式のケージ(写真)でストレスがなく衛生的な快適環境を維持する・・・産卵環境の維持。
④現在のケージはさびず、鶏舎も20年以上持ち、無駄な投資をしない・・・償却費等の固定費削減。
⑤手選別で割れ玉も出ないが、鶏糞乾燥ハウス、鶏糞発酵機も備えその堆肥化・販売もしている・・・無駄な生産品を出さない。
⑥タマゴを1kg、2kg、4kgで売る場合、某飲料メーカーの空き箱をカットして使用・・・無駄な経費省く。
⑦ファークリフトを使った除糞やバケットローダーを使った鶏糞の切り返し(発酵のための)等の実施・・・省力すべきところは省力する。鶏糞の収入は

    だが、改めて長時間にわたり話を聞くと、一般常識と大いに異なる経営哲学を持っている。つまり、①シンプル、②スロー、③スモール、④ローカル、⑤アナログ、⑥アバウト、⑦ローテク、⑧スマイルで、「全体としては非効率と思われることをやって、最終的に効率が上がるもの」・・・と言う。
   当方も充分理解できていないが、
①養鶏一筋でかつ直販売一筋。かつムダな投資をしないシンプルな経営のほうが成果を達成しやすい。
②短期的な視野でなく長期的な視野を持ち、急がず考えながらスローに着実に最大の利益を追及する。
③質を高め、小さくても所得、利益の上がる経営を良しとする。
④都市近郊とか、遠隔地といた立地に見合った経営戦略で臨む。
⑤⑥物事を白黒と割りきらず、「あいまいさ」を残しながらアナログ的に、着実に基礎をしっかり築く。
⑦良い商品を作るには、労力を掛けるべきところは掛け、ハイテク(機械的管理)に走らない。
⑧最後には家族・従業員・顧客・地域が共に豊かになり、喜び合える経営になる。
・・・ということを、強調しているように思う。

 鶏糞の収入は売上全体の0.35%ほどにしかならないが、利用してくれる畑作農家のため、便利に散布できるようマニアスプレダーも購入し、無料貸し出ししている。軽4輪で運べるものだ。

   家族と社員5人、パート・アルバイト12人が1昨年までだが、昨年から息子さん、娘さん夫婦も加わり、社員7人、パート・アルバイト6人(実質3人)になった。従業者も充分確保されており、労力的にゆとりもあるため、畑を借りて新たな夢に挑戦しようとしている。24年の夏には、小麦の収穫の手伝いもさせてもらった。

 栗原さんの偉さは、「畑作は素人」として、その技術習得のため、栽培関係の塾に通ったことだ。「たえず謙虚であれ。そして急がず学び、ゆっくり実践し、目先の利益に走らず、信用を重んじ着実にお客を獲得していく」と、新事業の展開についても抱負を語っている。

故・栗原桂一氏を偲ぶ

 桂ファームの栗原社長は令和2年の8月に亡くなられた。6月だったか、電話に出られた栗原さんは「眼底の癌にかかり片目を取るはめになった。慣れればさほど不自由でもない」と元気な声が返ってきた。だが「一度会いに行こうか」と言うと、なぜか「今は止めておきたい」との回答。

 暮れにお歳暮の注文に行ったら訃報に初めて接し愕然とした。「農業界のエース逝く」である。私は昔、農業雑誌の記者であり、5年前までは農業コンサルタントだった。ために農業界の優秀な経営者にもたくさん会ってきたが、すぐれた実践者であり、同時に優れた実戦哲学を持った人はそう多くなかった。若いころは3冊の本を並べて交互に読んだ・・・と言うくらいの勉強家であった故に、広い視点に立った経営哲学が構築できたのだと思う。

 謙虚であり、私が50年も前に農業雑誌社「家の光」を独立する時、名刺がわりに書いた農業の本質論から説き起こし発展策を書いた「農業革命への提言」と言うタイプ打ちの小冊子を5年ほど前に渡したが、先の電話の際も「あれは大したものだ。今も大切に保管してあるよ」と言ってくれた。私の貴重な理解者が1人亡くなり淋しい限りである。




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2011年9月27日火曜日

農産物直売所と客単価-魅力度の指標だ!

 客数×客単価=売上高になる。昔、POSレジのない時代には、どこのスーパーもレジ会社から貰った月計簿(年間月別記録簿)に部門別売上、合計売上、客数、客単価、天候を記入したものだ。そして客数や客単価の増減に一喜一憂した。

 いまは、パソコン上にPOSレジの結果が自動的に出るため、手間をかけずに客数も客単価も出るため、2つの持つ重みを充分につかんでいないはず。

 実は、客単価は「店の魅力度」を投影する指標と言える。魅力があれば、それだけ多数の品が買われていることを示し、ときには高品質の単価の高いものを買っていることを示す。客単価が低ければ逆になる。

 しかし売り場坪数の広さで品揃えの魅力も上下するので、売り場坪数も配慮しないと「良い」「悪い」とは言えない。19件というわずかな例の傾向値であるが、直売所の規模別客単価:y円=3.36x+1,019.9 ±12.2%  x=坪面積  ひとつ自店の売り場坪数をx置いて計算してみて欲しい。

 25坪 1,106円    125坪 1,452円   
 50坪 1,193円    150坪 1,539円
 75坪 1,279円    175坪 1,625円
100坪 1,366円    200坪 1,692円
 
 という傾向値になる。実際には、かつて書いたが常時50坪、土日70坪でも1,800円強の店もある。米や惣菜も充実、しかし花がないのにこれだけになるのは、メインの野菜が85品目もあり、アイテム数にすれば200を楽に超えているためである。

 客単価が高くなれば、魅力度も高くなり客数も増えるのが普通である。また、「直売所が増え、客数が減った」と嘆く例も多いが、魅力を高め客単価を上げれば、徐々に客数も回復するものだ。

 50坪以下の小さな店であっても、工夫次第でいくらでも品揃えは増やせる。平台を2段台にする。下部をケコミにしてここに箱(前から見えるキャスター付き)を置けば3段に使える。花も雛壇にすれば、3段に立体的で見やすい陳列になる。スパイスなど小型商材は柱にプラスチックケースを貼りつけ、陳列もできる。

 またスーパーで売るようなナショナルブランドの加工食品・菓子は大幅カットし、6~8尺の多段オープンケースを1~2本は入れ、ウエット(濡れ物)食品であり回転の速い豆腐、納豆、こんにゃく、生めん、漬物、牛乳、デザートを充実させる。ギフト用に地域特産品を箱売りする・・・客単価向上の余地は無限にある。50坪以下のミニ・スーパーばかり100店以上も開店指導してきたので、陳列のアイデアはいろいろ経験している。

 大切なのは、総客数で日々の部門別売上高を割って、部門別客単価を出すことも大切。どの部門に問題があるかもすぐ分かる。

 なおちなみにスーパーの客単価の傾向値は、150坪で1,424円、200坪でも1,570円である。品揃えが専門店的な直売所の方が高いのは、商圏半径が5倍も10倍も広く、生鮮品であってもまとめ買いをしてくれるからだ。その代り、来店頻度はスーパーの1/4~1/5以下と低い。

2011年7月10日日曜日

農業革命!20代で時給1,700円を目指す経営へ!

 農業も年齢も考え、時給目標(時に年収)を明確に設定、これを達成するため、1.いかに省力するか、2.いかに資材や投資に無駄を省くか、3.生産物のうち、捨てる部分をゼロに近づけるか、4.付加価値販売に努め、手取り率を高めるか(直売や加工等の6次産業化の努力含む)・・・の4点から革新的管理を進める必要性がある。否、いま真剣にこの問題に挑戦しないと、人的資源の面で日本農業は、10年も持たないのではないか。それほど深刻な状況にある。

 私自身、畜産分野で直売をし、夫婦2人で年収3,000万円を達成している事例にも接している。そして上記4点を確実に実行しているのだ。農業法人協会の会員の面々を見ていても、かなりの所得をあげ、雇用の場を広げている人が多い。そして余裕を持って各地の研修に出向き、連携もしてさらに上を目指している。

 平成22年の推定では、農業者の平均年齢は65.8歳。販売農家は163万戸、・・・これに対し、新規就農者は推定6万人に過ぎない。平成12年の7.7万人、17年の7.9万人に比し増えていない。

 長期不況のなか「農業は魅力ある職業」ともてはやされているものの、農業の専門求人広告欄を見ると(都道府県別、作物・畜種別)、求人ゼロの場合が目立つ。県という広い単位でも、結構ゼロが多い。しかも当初の月給与13~18万円の求人が多く、20万円を超えることはまれだ。これでは劣悪な条件とされる介護部門と変わらない。新規就農希望者の研修講師を努めた際も、「必死に農業を勉強しているが、適正な給与の受け入れ先があるのだろうか」の声が強かった。

 一般産業の統計を紹介すると、年間労働時間は残業分まで含め、20年で1,751時間となっているが、平均年収は21年の場合の国税庁資料のまとめでは下記の通りで、仮に年1,800時間労働とした時給は( )の通りである・・・
            男子            女子
19才以下   148万円 (  822円)  110万円
20~24才   256万円 (1,422円)  230万円
25~29才   355万円 (1,922円)  289万円
30~34才   427万円 (2,372円)  291万円
35~39才   497万円 (2,761円)  285万円
40~44才   579万円 (3,217円)  282万円
45~49才   620万円 (3,444円)  274万円
50~54才   629万円 (3,494円)  269万円
55~59才   595万円 (3,306円)  251万円
60~64才   479万円 (2,661円)  217万円
65~69才   387万円 (2,150円)  201万円
70才以上    374万円 (2,078円)  225万円
平均       500万円 (2,778円)  263万円

 夫婦2人で働くとすれば、サラリーマン並みの年収とは763万円となる。美味しい食べ物、美味しい空気まで考えれば、これだけの年収になれば、サラリーマン以上の豊かさも実感できるはず。ともあれ、20代の単純平均の時給はサラリーマンは約1,700円である。年1,800時間労働では年収306万円、月収25.5万円である。30代では時給約2,567円、年収462万円、月収38.5万円である。

 後継者や新規就農者に、「上記年収ぐらいは払える経営」を前提に、経営計画を立て、冒頭の4点を前提に実践的な管理する・・・こんな経営であってほしいと願う。私もかつてバリバリ仕事を受けていた時代は、15年間市場調査のアッシスタントに昼食代も含め日給18,000~21,000円を払い、1人の求人に50人もの応募を得た経験を持つ。そのかわり、内容の手抜きはせず、徹底した作業工程の効率化に挑戦もしたものだ。

 新規就農者についても、20代から30代前半には結婚生活が保証できる農業を目指して欲しい。これこそが農業再生・発展の道と信じている。

















 
  
 

 



 
 

2011年6月27日月曜日

農業と古民家生活体験「コロット」の実践!!



















 写真(右)体験農場と貸し農園
    (左)古民家の内部

所沢市の西武球場に向かう西武線の下山口駅から徒歩15分。樹齢900年とされるケヤキの大木が目印。ここに100年以上を誇る古民家がある。株式会社「corot=コロット」の若き経営者・峯岸祐高さん(29歳)のおじいさんが残した農家住宅だ。ケヤキの11寸角の大黒柱、囲炉裏もある。建面積は当方の計算では40.5坪ほど。土間や長い廊下もある。 入口脇には手作りのピザ焼きの窯が置かれていた。

 敷地約400坪には、農具を置く納屋、手前味噌を造る小屋やかまどなどもあるが、建て替えペンキ塗りといた華美に見せるくふうは一切せず、古いままの原型がとどめられている。100年前に極めて近い風景に安らぎを感じる。

 敷地前の散歩道を隔て、1,500坪ほどの体験農場と貸し農園が展開し、ジャガイモや里芋他が植えられていた。入会金5,000円を払い、農園レンタルであれば3坪1ケ月5,500円、1日体験入園1,000円、古民家素泊まり2,500円、薪使用の管理人サポート付き素泊まり3,500円、ピザ講習3,000円・・・6月だけで7~8回もイベントがあり、計100~120人もが来てくれるそうだ。

 また、味噌作りは大豆の栽培から始め、収穫後に味噌作りで全行程では1年半を要するが、10回ほど通い農作業や仕込みを体験するが、8,000円+味噌作り4,000円(講師料含む)とのこと。

 ツイッターで客が客を呼んでくれ、無料の宣伝が行きとどき、最近テレビ東京の土曜スペシャルでも紹介された・・・かのデビ夫人、杉田かおる、川上麻衣子の3人が宿泊体験をしたそうだ。

 提供しているメニューの多さに感心するが、さらに耕作放棄地を広く借り、ビール麦も植えて、メーカーさんに渡し、顧客のマイ・ビールを開発出来ないか?のアイデアも持ち、古民家の雰囲気にマッチしたヨガ教室も開きたい・・・と夢は多い。またそれを実現する能力を持つところがすごい。

 イベント時の労力は高齢者を上手に使っている。助成金もあるためだが、雇用を広げ地域活性化に貢献したいとの意欲にも満ちている。6時産業化の物ではなく「新たなサービス作り」のパイオニアとも言える。早くお嫁さんが来れば、さらに大きく羽ばたくことになるだろう。