2022年1月4日火曜日

「ぼくらの農園」は野菜作り実地教育―トマト直売も

  1.技術指導型の「ぼくらの農園」

          写真① 経営主の岩田 浩さん

          写真⓶ 翌日出荷の準備 青いトマトではなく真っ赤だ!







 

   入間市の宮寺地区は、住宅や工場も多いがまだまだ畑作地も多い近郊農業地帯だ。この宮寺2603に岩田浩一さん(42才)の農場4.5ヘクタールがある。岩田さんは、2003年地方の大学を出て実家に就農。いま700㎡の巨大ハウスでトマトの溶液栽培が大々的におこなわれ、近々1,500㎡のハウスも稼働する。他にネギ2ヘクタール、エダマメ80アール、ブロッコリー80アール等も栽培され、トマトの売上は全体の20%ほどというから、他の生産額も大きい。そして、この直営作業部門に加え、2009年から「ぼくらの農園」(2019年11月に株式会社)となり、栽培指導付きの体験農場を開き、入間市青年会議所とタイアップし、消費者に呼掛けトマトやジャガイモの収穫体験、味噌づくり体験も実施し、武蔵藤沢の島屋豆腐店の春の豆腐祭りにも参加している。正確には宮寺2603。近くには不老川というこの地区唯一の川が流れ、南関東の大動脈といえる国道16号線が走る。

 

写真③ 同じスタイルの栽培群が70区画も並ぶー体験農場 

写真④ 農場に自由に使えるよう鍬を掛ける場所も。バケツやジョウロの置き場も

   国道16号線もあり、近くも遠くも狙える立地だが、岩田さんは「食べてくれる消費者と直接触れ合い、心を通じ会える近い関係を重視した農業をしたい」を目標にし、行く行くは地元にレストランを開きたいと言う。マーケティングの基本は「顧客のニーズを正確に知り、これに十分に答えること」だが、このため消費者ともに野菜を作れば消費者のニーズだけでなく、ライフスタイル全体が分かり、次なる開発商品のアイデアもつかめる。教える側の岩田さん自身、東京の練馬区にあった体験農園でそのシステムを1年間学び、教え方のノウハウを持ち帰って体験農園を始めた。希望者に3m×13m=39㎡の土地を貸し、年15回ほど土曜、日曜のいずれかに来て、1時間ほど技術講座を受け、あとの1時間で実際に作業をする。種まきの前後は月2回だが、普通月1回来ればよい。

 「貸農園と違い、農家の方が実際に農作業を教えてくれるので、すぐ上手になれるのが魅力」と評判である。ときに土壌のPHの測定法やパワーシャベルの操作法まで実指導。圃場の現場に農具や資材の置き場があり、水道の蛇口の2ケ所にある。だから指導日以外の時に来て作業を楽しむ人もいる。実際に育てる野菜の数は15種以上にもなる。たとえばトマト、ネギ、ニンジン、エダマメ、ブロッコリー、コマツナ、ホウレンソウ、キャベツ、トウモロコシ、ジャガイモなど。 

現在、体験農場には約70組が参加し、同じものを植えた70の区画が連なる畑は壮観である。種子や苗、肥料、農薬、農機具は一切農場側が持ち、参加者は手ぶらで来ればよく、貸農園とは大違いである。年間の指導料は3,000円。1月にして3,200円ほど。収穫物は全部持ち帰れる。ある生徒さんが実際に計算してみたら、収穫物の価格は6~7万円になったそうで、「実質負担はゼロ」ともいえる。参加者の半分は農業をしたい男性会員、半数は家族で農業を楽しみたいという家族会員といった状況のようだ。 

2.若手農業者の育成にも挑戦

 今農場全体の正社員は3人、パートは延べで15人ほど。年商は5500万円程という。トマトは中玉を作っているが、溶液栽培のためすべて機械でコントールでき、省力化・安定化しやすい。8月下旬に苗を植えれば、翌年の7月中旬まで次次収穫でき栽培が楽である。1,500㎡のハウスが加わればトマトの販売比率が40%以上になるという。パック作業場で直売もしている。

写真⑤ トマトの溶液栽培・・・周年収穫している

 






写真⑥ 直売のノボリ           

   販売先は、主に10店舗ほどのスーパーだ。農協から紹介された先もあるが、自身で開拓した店もある。前日夜にパーケージして冷蔵庫に入れたものを、翌日配達する。売り場で値付けをして陳列。返品が気になったが、「前日の残りは値引きして売り、持ち帰ることはない。新しいシールを打ちだし付け替える」だけとのこと。スーパーのほうも農家の誠実さを全面的に信じていて良好な関係が構築されている。直売所のばあいは「前日の品が残れば返品」と聞いていたが、スーパーでは売価下げ―再販売でよいと聞いてひと安心。 配送に2~3人で朝出掛、値付けもあり各2~3時間かかるようだ。

岩田さんは、若き農業者の育成に意欲を燃やしており、これまで2人を育てたが、独立し地方に帰っていった。できれば近くに農園を持ってもらえる人であれば、土地を手当てしたり、販売の支援もできる。また協力し合えればマーケティング力なども強くできる。さらに欲を言えば「農場に残り、中軸を担う後継者にもなりうる人を育てたい」という。いずれにしても若さにあふれたダイナミックな経営である。    岩田さんの携帯080-1172-0831

2021年8月22日日曜日

事業協同組合を作り通年雇用して農家に派遣

 

 

日本農業新聞によれば・・・長崎県のJA壱岐市などは、通年で人を雇用し農作業に派遣する「壱岐市農業支援事業協同組合」を設立した。JAは「農業版マルチワーカー」と位置付け、地域の雇用・定住促進と農業の担い手育成につなげる。11月にも派遣を始める。県によると、農業支援に特化した事業協同組合設立は全国初という。 壱岐市農業支援事業協同組合は「特定地域づくり事業協同組合」に当たる。2020年に関連法が成立。運営費の2分の1を行政から交付金で受け取れるようになった。人口が急減する地域が対象。  

今回の事業組合の出資者はJAと、農業生産事業を手掛けるJA子会社「アグリランドいき」、発起人であるJAの川崎裕司組合長ら常勤役員3人の計5者。派遣先は原則、出資者に限られるため今後、働き手を求める農家には出資を募る。管内で盛んな畜産や、アスパラガスなど施設園芸での作業請負を想定する。年間の中で、季節に応じて複数の職場を渡り歩いて働く仕組み。雇った職員の給与は事業組合が払うことで、周年雇用が実現する。初年度は3人の雇用を目標とする。  

JAは営農振興10カ年計画「第9次営農振興計画」を策定中。柱の一つに新規就農者100人の参入を掲げる。県や市、関係機関とつくる「壱岐地域農業戦略推進会議」で、人口減や農業の担い手不足といった課題を共有。議論を続ける中で、今回の事業組合の設立に至った。8月上旬にあった創立総会で、事業組合の理事長に就いた川崎組合長は「(働き手が)技術を習得して就農する。その繰り返しが、着実な農業の就業人口増加につながっていく」と思いを述べた。JAは広報誌などを使って取り組みを周知。働き手や派遣先となる農家を募る。 

・・・なお、このようなシステムは、ベトナム等の技能研修生を季節的に受け入れている地区にも採用すべきだと思う。そうすれば、研修生も年間雇用され、多数の農業技術も習得でき、母国の農業の発展に大いに寄与できる。望めば、技能者として日本への長期滞在もできるようになり、日本農業の人手不足の抜本的解消も可能になる。

 

2021年4月16日金曜日

チューリップは可麗だが短命!栽培のこつ。

 

 今年のチューリップは3月20日頃、ソメイヨシノとともに早くに咲き、4月10日でほぼ開き終えた。仏子に越してきてすでに19年だが、昨年春に初めて「彩の森入間公園」に行き、チューリップを見るなら彩の森公園ということを知った。県営公園だが1万本のチューリップが市民の協力も得て植えられ、その集団艶舞や街路樹下の寄せ植えが見事だ。 










 



  







   マイ団地でも、10人ほどに球根を配り、11月から12月上旬にかけ球根を植え、3月中旬ころに色づいた蕾が出、桜の開花と同じ3月下旬から咲き始め、4月中旬までに250株がほぼ咲き終えた。サクラ同様にチューリップもまた花の命はせいぜい20日ほどと短いのが残念である。

 1昨年、昨年と1球当たり45円?のバラ売りの球根を購入(これまでは20球入りのミックス・セット)。今年の場合、①充実した球根に加え、②腐葉土などの施肥、②春先の温暖な気候、③適度の雨…のおかげで赤、ピンク、オレンジに黄色の縞、黄色、白色の大きな花が咲いた。チューリップの場合、やはり花が大きいほど可憐で、小さな花多数よりもはるかに華やかである。



 ところで、今年の花から秋に植える球根を取る場合は、それなりの注意が必要だ。花弁が1枚でも下向きになったら、花のすぐ下から摘みとり、養分が花に奪われないようにする。そして葉が黄色く枯れるまで1ケ月ほど置く。栄養分を新規の球根に流し込むためだ。1け月ほどして掘り上げ、浅い段ボール箱に入れ、風通しの良いところ影干しする。その後、薄く小さい鱗片状の球根を取り除き(来年咲かない)、同じ段ボール箱に入れ、タンスの上など湿度のないところに置いて置けば十分。収穫時に消毒をしたこともないし、かつ水洗いもしない。 

購入、自家採取の別なく、球根の植付けは紅葉の時期だが、入間では12月中旬を過ぎてもOKであった。冬の低温に充分会えば花が咲くのだそうだ。15センチほどの深さに掘り、腐葉土等を混ぜ込み、深さ10センチ=球根3ケ分の深さに球根を植える。葉の向きをそろえるためには、球根のふくらみとへこみを考え一定に並べる。

  また、「10センチおきなど等間隔に並べる」と書かれているが、100株、200株と植える場合は別として、20球程の場合は4球×5つの群・・・と言ったように、寄せ植え的に集中と分散を考えたほうが競艶感が出て迫力がある。私の場合、4×4群植えをしたのだが、その場所が不明確なまま、ビオラを囲み白妙菊などを植えた。これを囲むようにチューリップ10株以上が咲き誇り、デラックスな寄せ植えになった。(写真3)

 

 

2021年4月5日月曜日

シラヌイの「デコポン」が美味しくなった!

  シラヌイ(品種登録名・農水省)とデコポン(商標登録名・特許庁)は実は同じ品種なのです。ただし、デコポンは熊本県の農協が一定の基準を満たしたもののみに与えた登録商標名のです。今年のデコポンをおいしく頂きました。見た目がキレイでうまく、世界一のデザート果物と言えます。 


2月までの早出し物は特有の味が出ていない感じでしたが、3月末からは、最適のお天気の具合で甘酸相まって晩柑特有の味が出ました。この味は世界的にも類を見ないものと言えます。 

 年末から3月初めまでの早出し物は比較的に好天に恵まれましたが、中晩柑の味は出ていなくて価格的にも残念なものでした。他方、見た目は早出し物は良かったのですが、 4月からの露地ものの肌とサイズは50点以下で価格的にも食味相当とはなっていなくて極めて残念なことと言えます。 

内外共に食欲を促す品質が望まれますので、技術の向上を望みます。それで国内外の需要拡大が望まれます。水害地のアシキタ地方の復興産物としても最適地ですから関係者のご努力が期待されます。 なお、これからはハウスミカンが出ますのでなるべく高値のものを味わいましょう。 

投稿者;東山春紀(熊本市 84歳 無職 080 1784 4647番)

2021年1月18日月曜日

コロナ対策―「沈黙の春」作戦や1人飲食作戦!

 

 多くの人が、新たなコロナの「非常事態宣言」の効果について疑問を持っている。と同時にこれまでコロナ対策に投じた何兆円かが全く無駄になったと感じているのではないか。そんななか、感染者数は急増し医療崩壊や飲食店や観光関連業種の崩壊が確実に進んでいる。

  今までの①マスク着用、②手洗いの励行、③三蜜回避・・・をお題目のように強調するだけで良いのだろうか。また飲食店だけに犠牲を強いる抑制策でよいのだろうか。私はずばり、次の通りの対策を提案する。

  1.「沈黙の春」作戦 

食事をしながらしゃべるのが、最大の感染要素に挙げられているが、1都4県の調査だと64.0%が感染ルート不明だという。ということは、「恥ずかしくて云えない」場合もあると思うが、職場や学校に感染者が紛れていて、知らず知らずに感染している場合も多いと思われる。

 「沈黙の春」は環境問題についてのレイチェル・カールソンの小説の題名だが、

非常事態宣言を発するなら、同時に職場、学校における「不要不急」の会話をこの春に大幅カットするよう勧告すべきである。あわせて、これを機会に、国民全員で手話の勉強をするのも良いだろう。

  2.「1人飲食」作戦

飲食店の負担を軽減させるには、「昼間も1人来客歓迎、夜8時以降は1人客のみ、従業員との会話以外禁止」とすれば、飛沫感染、接触感染ともに大幅にへる。夜8時以降はテレビでも備え、1人で飲食を楽しんでもらう。友人同士数人で来店しても、店の権限で離ればなれに座ってもらう。これを守れない客は帰ってもらえるよう店に権限を付与すべきだ。合わせて店の従業者全員のPCR調査を義務づけ、陽性者は絶対に店に立てないようにする。

3.「噴霧消毒」作戦

コロナの伝染もとの武漢の映像を見ると、日本や欧米と違い、噴射機で消毒薬を広範囲に散布し、路上は泡だらけになっている。封じ込みに成功したのもこの噴霧消毒も一因と思う。推定だが次亜塩素酸水の噴霧とされている。

日本では消毒手段としてアルコールのみが強調され、次亜塩素酸水とか他の方法についてはまったく紹介されない。飲食店が苦しんでいる今日、もし次亜塩素酸水による噴霧消毒の効果があれば、加湿器式の機械で部屋全体を絶えず消毒し、飛沫感染や空気感染の一部を抑えられる。粒子は早くに机や床にも落下し除菌し接触感染も抑制される。独立法人「製品評価技術基盤機構」や経済産業省は使用に否定的だったが5回ほどの試験を得て、次亜塩素酸水がコロナに有効との結論を出した。次亜塩素酸水は最終的に水になり、人畜に無害なもの。問題はその濃度により効果が異なるなど留意点が多いことだ。

 厚生労働省のほうで、問題ない噴霧装置、次亜塩素水の認定をし、苦境にある飲食店が利用できるようにし、規準に見合った設備であれば、24時間営業も認めてよいのではないか。

 このほか設備や壁、床などを抗菌コートし、酸化チタンの光触媒作用を利用した殺菌方法もある。こうしたものを含め、厚生労働省は飲食店他がコロナ禍の中でも営業できる方策を必死に追求すべきである。

 

次亜塩素酸水の解説

 次亜塩素酸水と次亜塩素酸ソーダはまったく性質が異なり、後者はアルカリ性で、時に爆発物にも転化する。一方、次亜塩素酸水は弱酸性で、ph.5以下で、有効塩素濃度が35ppm以上だと有効な消毒薬になるとされる。また次亜塩素酸水は有機物に触れたり、紫外線に当たるとただの水に戻るので安全性が高い。だが、生成した後の保管状況、使用状況、時間の経過によって有効塩素濃度が低下し、効果が得られなくなる可能性化があり、これらに充分注意を払う必要がある。

酸化チタン・光触媒作用

 1967年に日本で発見された「世界に誇るか環境技術」とされる。酸化チタンが光に当たると空気中の酸素や水分が反応し、酸化チタンの表面で活性酸素または活性水酸基が発生し、これが酸化チタンに接触するウイルスほかの有機物を酸化分解あるいは分解を起こし、菌ほかを減少させる。


追記 令和3227日の「読売新聞」気流欄に、私の主張とほぼ一致する・・・「黙食」「個食」で飲食店支援・・・と言う自営業の向後美紀さん61才(横浜市)の投稿が掲載されている。全文を紹介すると、

 食事中の会話を控える「黙食」を呼びかけるポスターを貼る店が増え、話題となっている。食事中の飛沫が危険だということは皆、理解している。だから感染対策を徹底した飲食店で、黙って食べれば感染のリスクは低く、問題はないと思う。

 飲食店は営業時間の短縮が求められているが、補償は十分ではない。飲食店のみならず、農作物などの生産者も多大な負担を強いられている。

 黙食や1人で食べる「個食」が増えれば、飲食店の支援にもなる。コロナ禍を乗り越え、大勢で食事を楽しめる時が来る日までは、有効な手立てだ。

拡散希望

 

2021年1月8日金曜日

農協よ、販売とともに生産のセンターたれ!

  


   古い話になるが、農産物流通の改善、とりわけ①乱高下を増幅するセリ取引に変わる相対取引の流通センターの確立、②流通ルートを短縮し農家の手取りを増やす産地直送・・・の2点については、農協系「家の光」記者を辞した昭和40年に商業界刊の「販売革新」論陣を張る一方、当時物価問題の要となっていた経済企画庁国民生活局の中西一郎氏、参議官で後日本のラルフネーダーと呼ばれた竹内直一氏ほかの関係官僚15人ほどにレクチャーもした。

 その後、全農の集配センターも3ケ所ほど?にでき、中央・地方の卸売り市場でも相対取引が主流になり、スーパーの産地直取引や農協の直売所も躍進をとげ、私もブログで50件以上の直売所関係記事も書いてきた。農協の販売面の近代化は半ば達成されてきたように思う。ところが本来基盤となるべき生産指導の方は生産資財の販売、農機具の販売といった供給面が今もって中心で、生産指導となると、篤農家と言われる人たちのサポートに依存しているように思う。 

 農協が今後も成長していくには、生産面の指導・援助ということが前面に出て、生産性の向上、戸別農家への機械や労力面のサポート、耕作放棄地の農協による耕作や新規就農者への支援・・・こうしたことが必要である。

 私が「家の光」当時の昭和30年代の後半、「農協の請負耕作」ということが一時脚光を浴びた。やはり高度成長がはじまり農業の人手不足が深刻になったからだ。今もまた、外国人の技能実習生に頼らなければならないほど人手不足は深刻。この外人すら都市では、男なら時給1,000~1,200円、女なら800~1,000円で仕事を得ており、雇う側は派遣会社に手数料を払うため実質の雇う側の負担は時給200円増しだ。技能実習生として来ている例は少なく、それでいて都市部の雇用はコロナが結着すればさらに拡大し、農業で働きたいとする外人は減る一方のはず。都市部では国別に連絡のとれるコロニーが出来ていて、助け合いも可能だし、同じ言語で語り合うこともできるのだ。 

 どだい、今の技能実習制度は出国時に100万円もの大金を取るようなブローカーが暗躍する制度・・・日本が生んだ恥じづべき制度。持続すべきでないとも言える。農協がリーダーシップをとり、きちっと各種の労務の諸規程を作り、海外の農業・農協組織と連携、一元的に受け入れ、農家に必要に応じ派遣する。場合により農協自らのファームで働いて貰う・・・こうしたシステム作りが必要だろう。そうでないと、キャベツの収穫時、小松菜の収穫時といった細切れの雇用になり、相手にとってありがたいものではない。農協の連帯機構のなかで調整すれば野菜―果物、野菜―畜産といった季節別の連続雇用の体制もでき安定雇用につながる。 

 一気に外国人の雇用に入ってしまったが、農協が生産センターの機能を持ち、季節性の高い器械は個々に持つとして、汎用性の高いトラックター、防除機械等は農協が持ち、農家の要請に沿い部分の作業を請け負っていく。特に新規就農者の支援もできるし、余剰な農協職員の配置転換にも役立つ。 

 私の第1回アメリカ旅行は昭和43年ころだが、当時からアメリカでは農薬散布請負業が幅をきかせ、訪問した日系人も都市に住みながら農薬散布業をしていた。作物の種類、時期、面積、地形などの過去のデーターを蓄積し、註文があればすぐに対応している様子だった。家庭には屋内卓球場もあって、土足で出入りできる家屋の習慣に目を見張ったものだ。 

 農村回帰の若者が増えつつある。だが荒れた休耕地などを即座に農地に換えるには多大な労力がかかる。農協で正確でかつ儲かる請負労賃と機械等の償却・運営費を割り出し、こうした新規入植者のニースに応える必要がある。体制ができれば、今よりもっと若者ほかの新規入植者が増え、過疎化に歯止めがかかるだろう。 

 最近云われるのは「環境問題、世界の経済格差の縮小を考えるとき、経済成長を望むことができず、過去のように自然と共生したなかで、成長を求めず新しい形の幸せを追求する・・・こうしたスタイルを創造する時代になる」・・・と見る人も多い。農協はこうした流れも考え、生産に根差した農協活動の領域を開拓すべきである。

 一方、若い職員が得意とするパソコンやスマホなどITも駆使し、直営の近代的ハウス経営や養鶏、養豚、酪農、肥育牛等の実経営もし、儲かる近代農業のモデルを自ら示して、真の生産センターになることも重要である。これには若い新規参入者のアイデア等を借りることも重要になる。

2021年1月7日木曜日

各地にクマ出没-共存の方策を探る!

   私も5年前まではスーパーのリサーチや農業診断のため、農村部にもしばしば出かけイノシシ、シカ、カモシカなどの対策で、畑の周囲に電気牧柵を張り巡らした風景をしばしば見てきた。また長野県の中野市では、サルがトウモロコシ畑を荒らす現場も見てきた。

 だが最近は、ど う猛性を持つ熊が里山だけでなく、住宅地にもしばし出現している。北海道ではヒグマ、本州、四国、九州ではツキノワクマのようだが、これらは絶滅危惧種。本来なら丁重に山へ追い返すべきだが、北海道では2005年に578頭が殺されたという記録が出ている。

   足跡などの痕跡を一部含む目撃情報は、2016年のばあい2,422件で、うち東北が57.3%、北陸が17.8%、近畿が12.0%、北海道が4.5%、関東が2.0%、その他6.4%である。

  どうすれば住宅地に現れるようになったクマと共存できるのだろうか? 山のドングリが不作だから、クマが住宅地に出没する・・・という説に、40年以上にわたりクマの生態研究をしてきた日本ツキノワクマ研究所の米田一彦氏は懐疑的である。米田氏によれば、雄クマは雌クマの発情を促すため、時に子グマを殺す。ために雌クマは雄クマを恐れ、安全な育児場所として人間が住む場所の近くで子を産み育てる。人間の脅威を逆手にとり、雄クマの脅威から逃れ、育児が済むと森の奥に戻って行くという。 

 確かにテレビ報道を見ていると、住宅地に現れるのは子クマだったり、子連れの雌クマが多いように思う。もしこの通りだとするなら、餌場を人家から離れたところに作り、家庭の残飯をここに集め、子育て期間が終われば閉鎖とすれば、住宅地での徘徊は大幅に減少するはず。このばあい、住宅地の残飯荒らしができないよう各家庭のごみ対策も厳格に行う必要がある。 

 あわせて、住宅地寄りには定期間隔で銃声を録音したものを流す。林地に入る場合は、やはり鉄砲音とか鈴の音、他の金属音等が1分おきでも発生するものを携帯する・・・これを義務付けるなどが有効なクマ対策になるはず。なお、こうした定期的に音の出る器具の開発も急がれる。