2020年4月23日木曜日

商品知識を売るふれあいファーム(狭山市)

 農産物直売所は沢山あるが、経営主体のJAなどが荷を預かり、売れるだけ売り残れば返品・・・と、安易な経営の直売所が多い。ここに紹介する「ふれあいファームセンター」(埼玉県狭山市入間川1166.電話04-2956-7001)は、月に1回程度はチラシもまき、多数のイベント企画を実施し、かつ商品の特性もPOPで徹底的に知らる・・・と、販売意欲がすこぶる旺盛な直売所である。




 売り場面積約300㎡、レジ3台、駐車場33台の中規模直売所。営業時間9~17時、休日火曜日である。参加者は近隣の50農家ほどのようだ。商品構成にも特徴があり、自家製の総菜部門も持ち、精肉も一部扱い(冷60㎝×4段)、魚も干物10アイテム程度は扱う。地方果樹園と提携し果物も大量に売っている。加工食品もスーパーにない特徴あるローカルブランド品が多数揃っている。米穀コーナーも充実。店頭には花苗、野菜苗、種も扱っている。また小屋掛けの焼き鳥販売店、セルフの精米所、焼き芋のコーナーまある。焼き鳥部門ではとりもも、とり皮、つくねが1本100円、その他120円で販売されている。
         

 一番の特徴は下の3枚の写真のようにPOPで、商品の特性、栄養価、料理法などを丁寧に紹介していることだ。例えば「春菊」・・・独特の香りで好き嫌いが分かれる。100g食べれば1日の必要摂取量をクリア。カロチンを多く含んでいます。「水菜」・・・ミネラル豊富な優等生野菜。植物祖繊維が多い。カリュムやカルシュウムが多い。ミネラルが多い。ビタミンKやCが多い。 「はるか」…愛媛県西宇和の西村農園直送。見た目dでだまかされないで。全然酸っぱくないです。皮と果肉の間のワタも食べてね。   こんな具合で、2~3回通えば野菜や果物の深い理解者になれる。














 惣菜は作業場も置き、早朝加工しているのか9時の開店時には、パックされた20種ほどの天ぷらや煮物が並んでいる。

 大きな特徴は月の下旬3日ほどチラシ特売もしていることだ。多くの直売所は「新鮮で合理的な安さ」をモットーに坦々とした販売を続けているだけ。これでは週一チラシ特売を必ず実施するスーパーに少しづつ個客を奪われ、販売は細くなってしまう。魅力あるチラシで、店の魅力を再認識してもらい、固定客を増やす努力が必ず必要なのだ。

 ふれあいファームの場合、チラシは楽しさを盛り込み、かつ安さの演出も強烈である。楽しさの演出は餅つき大会、芋煮会、歳末抽選会などがある。2~3日の限定だが、「50円割引券」といったサービス券もしばしば打ち出す。野菜については特定のものではなく、全品20%引きといったセールが中心で、顧客のお買い得感は高い。果物は仕入れ品が多いため「○○のリンゴ直売会」「△△の販売中」と品目提示の特売が多い。


 青果以外の部門については、強烈である。日を限定し「唐揚げ30%引き」「炭火焼き鳥30%引き」などだ。変わったところでは、刃物砥ぎの「砥ぎ陣」というところも月、水、金、土、日に出店し、スーパーにない色どりを添えている。



2019年12月3日火曜日

市街地型の直売所―あぐれしゅふじみ野

 東武東上線の沿線は、中・新興住宅地として著しく側4発展を見た地域である。私がよく通過する上福岡、ふじみ野、鶴瀬などの駅周辺はも多く、人口が急増してきたエリア「開かずの踏切」も多いくらいで、東上線の西側1.5kmは人口密集の市街地である。イオン、ヨーカドー、ベルク、ヤオコーなどを核ににしたショッピングセンターやスーパーも多い立地である。
写真①-右側(見えないが)にJA事務所もある一体型店舗
 JAいるま野の「あぐれしゅふじみ野店」はふじみ野駅南西400mほどに位置し(埼玉県ふじみ野市うれし野2-4-1)、めずらしく市街地型の農産物販売書である。売り場面積は約330平方メートル(百坪)、レジ3台、駐車場71台。180×90cm幅の平台29本ほど。午前中に訪問したが、写真の通りキャベツ、ハクサイ、ネギ、コマツナ、ニンジン、サトイモなど地場野菜が山をなしている。
         
写真⓶-入口から店奥を望む
個性としてはこの新鮮な地場野菜の豊富さ、地場のパンジーや葉ボタンと絞った花の大量販売(店外)、地酒の販売、惣菜コーナーでのポテト・コロッケの販売、コメ6種の玄米→精米販売などを挙げることができる。精肉や鮮魚はまったくないが、スーパーが多数存在さうるので、「個性をどう出すか」が問われ、それなりの努力を感じる。

写真③-青果の平台コーナー
屋外の花の販売は150×120cmほどのパレットが29台も置かれ、このうち7割り近いパレットでパンジーと葉ボタンがならんでおり、この2品のはなについては地域1番点ではないか。価格も1株81円とどこよりも安い。別途、店内には180cm×3台分の切り花もある。

写真④-店外の鉢花売り場
お酒については埼玉産の地酒が90cm1本のゴンドラと180cm幅の平台1本で売られている。

サトイモコロッケ他のパン・惣菜コーナーは、約11㎡の半分」か壊れたコーナーがあり、付帯の作業場場がある。これも個性を演出するのに持ってこいであるが、まだ10時ごろだと十分な品ぞろえができていないのが残念であった。
        
写真⑤-サトイモコロッケなどの総菜売り場 
 すでにサンドイッチもあるが、地場産野菜の天ぷら、煮物の充実、うまいコメを使ったお結び、弁当などの開発に力を入れ、市街地の勤労客を呼び込む工夫も望まれるのでは。

写真⑥ 野菜類のPOPは、どこよりも細かい説明。
                 
写真⑦ 有名な三芳町を含む
「三富地区」の森のヒノキを使った表札板も販売ー個性のある商品で好感が持てる。
まな板もあるが、ヒノキは抗菌作用も持ち、価値ある品。
                   














2019年9月30日月曜日

働く者の必読書「仕事と心の流儀」-丹羽宇一郎著

1.社長だが電車で通勤・読書
 皆さん承知のことと思うが、丹羽宇一郎さんは伊藤忠商事の社長、会長も務め、中国大使にもなった方。丹羽さんは商社マンの入口でニューヨーク支店に勤務、大豆の仕入れ・販売も経験、農業への理解は深く、中国に行く前は乞われてNPO・日本プロ農業機構(JPAO)の理事長も兼務していた(私もかつてはここの会員)。
               
 丹羽さんのすごさは、社長になっても電車通勤をし、庶民感覚を日々吸収。かつ若いころは座れる始発駅を選んで住み、車中1時間を読書に充ててきた。本の要点をノートに記録し、かつ本の重要ページに印もした、ものすごい読書家である。J-PAOの総会を下町の公民館みたいなところで実施しても気楽に来てくれる・・・人柄にほれぼれとする真の指導者である。

広範囲な知識と実務経験のもとに書かれたこの本「仕事と心の流儀」(講談社860円)は、金言の連続である。農業者も、これからは一般企業並みの自己管理が必要だが、一介の職員、、課長ほかの管理職、社長等それぞれの立場での「あるべき生き方」が、愛情あふれる言葉で書かれている。

2.努力すれば人は鍛えられ強くなる
 まず最初に出てくる金言が「絶体絶命の状況でも努力を続けることで、人は鍛えられ、強くなる」。氏は伊藤忠入社6年目にアメリカに駐在し、さらに5~6年目頃に大豆の相場取引で買い増しをし、天候異変で豊作になり相場下落・・・大失敗の状況になり首になるかと思われた。だが現地視察や気象情報の収集などとことん勉強し、最終的に儲かる結果をもたらした。つまり干ばつ・高騰予測―雨多く豊作・下落予測―最終収穫期の霜・高騰。このつらい試練で人間的力量も増した。
 
その他の金言のごく一部を紹介しよう。実際に本書を読めば真意が分かる。
「勝者と敗者を分けるのは、心の強さと平常心」
「失敗のない優等生ほど怖ろしいものはない。小さい失敗をたくさんせよ」
「夢を持ちたいなら、自分の頭で考え、自分で行動しろ」
「能力や適性に大差はないー開花するかどうかは、どれだけ努力したかの違いだけだ」
「情熱が人を動かし、お金も動かす」
「良心に忠実に生きよ。それが会社を救い、社会を救う」
「誰にだってチャンスはある。でも勉強しないとチャンスは掴めない」