2012年10月6日土曜日

農産物直売所「売るための月間計画」は必要だ!

 直売所は「イベントやPOP等で販促していれば、それでいい」となっている場合が多い。しかし、自然にまかせれば土・日、祭日は売れても、平日はへこみ、店舗そのものや労力の完全燃焼にならない。

 
  直売所の商圏半径は最低でも5kmほどで、スーパーの場合は平均1.5kmほど。商圏面積にすれば直売所は最低でも3.4倍にもなる。充分にチラシを撒けば、3.4倍も費用がかかり、とても費用対効果が伴わない。

 こため直売所でもインストア・プロモーション(通称インプロ)といって、店内での販売促進を重視すべきである。なぜなら、並みの努力だけしていれば、新規顧客の拡大は不可能で、開店3年ほどで成長が止まってしまうからだ。

 毎日来る客に、日々「新鮮な驚き・感動」を提供してこそ、来る頻度を高め、新規の客も増える。このためには、年-季節-月-週-毎日へと順に下ろす形でのインプロ計画を立て、顧客に満足を与え、合わせて「買って欲しい」「また来て欲しい」の強力なメーセージを発信する必要がある。

 その方法の1つが店頭などで手配りする簡易チラシ(手書きやワードで打った)である。こうしたチラシは「また来てください・・・を意味する招待状」で、店のシッキイを低くし、来店頻度の向上につながる。
 

  先月訪問した熊本市の有機野菜中心に販売している「地球畑」(紹介ずみ)では、毎月1~30・31日に至るお買い得品やイベントの企画を立て、B4裏表のチラシを、レジや店内で配っている。HPでも内容が見える。しかも地球畑は3店あるが、それぞれ別途のチラシを作成し、成果を競っているように思う・・・いずれにしてもその企画力は素晴しく、「毎日、必要な商品が置いてあればよい」という旧来型の直売所と大違いである。

  全体の特徴を明確にしておくと、
 ①スーパーのように、目玉商品(赤字の)を前面に掲げたものでない。割引は最大10%としている。10%であれば,週1ほどは仕入先も強力してくれ、店の粗利益は犠牲にならない。
 ②安さよりも、総ての部門にわたりイベントを展開し、日々の魅力作りと同時に、全体が売れるように努力している。「生産者のだれそれさんが持ちこむ日」の記述にとどめたものもある。生産者を売りにしているのだ。
 ③小さい手書きのイラストも多数ちりばめ、楽しい読みやすい雰囲気にしている。
 

 具体的に、訪ねた荒田店の9月のチラシを紹介すると・・・、
 
 ①「決算月ですよ」というイメージを打ちだしている。
 
 ②まず頭に曜日別の特売情報を掲げている。
日曜-冷凍食品・ハムソーセージ10%引き。平素10時オープンだが9時30分開店で12時まで朝市やってます。
月曜-麺10%引き。カフェ「惣菜の日」(隣にカフェあり)
火曜-果物10%引き。
水曜-豆腐・納豆10%引き。ポイントカード会員の特別割引。
木曜-野菜10%引き。300円以上お買い上げの方は野菜プレゼント。
金曜-お肉の日。10%引き。
土曜-雑穀・アイス10%引き。


1日ーポイント2倍デー。市山さん来店!お菓子・飲物10%引き。
2日-朝市・・・お菓子・飲物10%引き。
3・4・5・6日-地球畑オリジナル商品試食会・・・だいだいマーマレード、冷凍トウモロコシ等。
7日-穂満さん来店!地鶏で作った鶏飯etc。
8日-お茶の日。緒方さん来店!生産者のお茶10%引き。
9・10日-きのこ祭り。きのこ10%引き。炊き込みご飯販売。
11日-職員研修のため午後2時までの営業。
12日-霧島のどか園さん十五夜団子販売!
13・14日-健康食品フェア。3年番茶10%引き。
15日-お米割引の日。久木元さん来店!調味料10%引き。
16・17・18・19・20・21・22日-書籍フェア~秋の夜長に書籍で自分磨きをtime~
16日-朝市。
17日ー敬老の日・・・70才以上の方衣料10%引き。お買い上げ分10%還元。
~22日-お彼岸フェア。おはぎ販売。餅米・小豆・化粧品10%引き
23日-朝市。レディスフェアで化粧品・衣料品・エコ雑貨10%引き。
25・26日-カレーフェア。カレールウ・レトルトカレー10%引き。
26日ーふくろうのパン・並河さん来店。
26・27日ー石鹸・シャンプー・洗剤・歯磨き粉10%引き。
28・29・30日-決算セール。一部商品除き店内商品10%引き。
28・29日-お米5%引き。お米基金会員様10%引き。黒豚さつまはやと阿久根、玉利さん、又間水産さん来店!
30日-カフェ特製の十五夜団子販売!


 このほか、裏面ではお彼岸フェア、敬老フェア、書籍フェア、十五夜団子の詳しい説明のほか、「秋味噌予約承り中」「9月の野菜・果物」「ポイントカード会員様募集」の説明もあり、全体とすれば、「地球畑ニュース」といった感がある。瓦版の編集に当る人の並々ならぬ努力が伝わってくるが、こうした企画・編集は何年も積上げれば、案外スラスラと出来るものである。

 職員全員でアイデアを出し合えば、すぐ10日や15日分のプランができ、出入りの農業者や業者が来たときに、「何か安くしていただけないか」「何か販促のプランはないか」と聞き、レイアウトに従い穴を埋めていけば、1週間もあればチラシ原稿はまとまるはずである。

 さらに「地球畑」では四季ごとに、地球畑通信を出したり、携帯電話による情報も流している。情報発信力を日々養うことも大切である。






 
 


 

2012年10月5日金曜日

黄金サンマの魚耕と荻窪の商店街の想い出!そしてコンセンショナルCの時代!

 本日は、肩の凝らないブログらしい内容にしたい・・・米粉パンを求め池袋の西武デパートに行ったら、朝テレビで報道されていた「黄金サンマ」見たさの列ができていて、20番目くらいに並んだ。各人写真を撮るので、15分は並んだように思う。

  岩手県大船渡市で水揚げされ、築地市場に2尾のみ入荷、これを魚耕さんが1尾1万円で仕入、池袋の西武と荻窪の2店で展示したものである。何故、金色になったか知らないが、新鮮なサンマは口先が黄色いことからすれば、ウロコに金色の色素もあって、これが何かの異常で表に出たのではないか(写真の下の物)・・・黄金色についての解説はどこにも出ていない。疑問を残すところに話題性もある。

 
 
 魚耕といっても東京の一部の人しか知らないのではないか。当方長らく荻窪に住み(現在は別)、駅前の商店街に魚屋の横綱と言える魚耕さんと、東信水産さんがあることを誇りに思ってきた。魚耕さんはブリやカレイなど切り身類を木の板に何切れも並べて売り切ってくのがすばらしかった。
 
 一方の東信水産は、カニ、ホタテ、ドジョウなど、必ず生きたままの品を4~5品は置いていて、夕方に行くと、タイルの白い陳列面がむき出しになっていた。共に売り切り商法で新鮮さや安さを競っていた。引っ越して何十年にもなるが、妻はいまでも「荻窪ほど魚に恵まれたところはない」と述懐する。
 
 当方は東信水産の想い出も多い。脱サラしてコンサルタントになったまなしに、東信水産の2階に上げてもらったことがある。2階から3方で1階が見えるようになっていて、1階のザルに1万円札や千円札がたまると声がかかり、2階から竿の先に紙挟みを付けたものを下ろし、札を挟んで2階に引き上げて、机にバラバラと札が集められているのだ。超繁盛ぶりが伺えた。
 
  
  数年経って、紙挟みは近代的なエアーシュウターに代わり、10ケ所ほどにタコ足のようにシュウターが伸び、ひっきりなしにシューターで札が吸い上げられていた。
 
 東信水産も魚耕も、現在は共に鮮魚料理店も経営していて、儲かる経営であったことは事実だ。鮮魚店と料理屋の2面作戦となれば、儲けにさらに拍車がかかっているはず。東信水産の料理屋はやや離れたところにあるが、中・高校のクラス会で3度使ったことがある。
 
  多くの駅ビルやスーパー等に出店し、駅ビル、デパート、スーパーのブランド力と自社の販売力のコラボレーションを進める専門店チェーンを、コンセンショナリー・チェーンと言うが、2社ともこの面でも成功している。だが、さらに消費者の評判の高いのが東京立川からはばたいた「魚力」である。デイスカウントでなく「質で勝負」のコンセプトだが、5回ほどで「魚力」の関係するエリアでマーケット・リサーチをしたが、鮮度、品揃え、価格の3要素とも100点満点に近い回答だった。
 
 
   昔と違い、駅ビルも増え、大型店にしても強力テナントを求める時代になっており、コンセンショナリー・チェーンの時代・・・スーパーだけの時代でない。成城イシイや紀ノ國屋、三浦屋といったやや小型のアップグレイド・スーパーも、こうしたコバンザメ商法をとりつつあることも知っておく必要がある。
 
 
 
 
 
 


2012年9月15日土曜日

新規就農!50aで売上げ年1,000万円目標!

    埼玉県狭山市の畑でエダマメを見て回るのが木村友洋さん(37才)。当方が親しくしていた神奈川県三浦市の山森農園の元従業員で、東京高円寺の青果直売店で何度かあったことがある。昨年、社長の山森一樹氏が突然の事故で他界し、秋に独立し山森農園の出城であった狭山の農園と高円寺の店を引き継ぎ、現在50aで野菜作りをし、直売している。

 

 環境保全を学び、農業にあこがれる金指さんという女性アッシスタントと2人3脚の経営だ。この地区は江戸時代から「三富自然循環農業」といって、人工林を作りその落ち葉を利用して野菜栽培をしてきた。学会でも注目され、外国で応用モデル農場もできている。金指さんにピッタリの大地ののだ・・・もっとも最近は落ち葉で堆肥を作る例はごく少数と聞く。

 
 
 
 木村さん自身は、飲食業の出だが山森農園で、厳しい実習をしてきたから、4枚ほど見せていただいた区画は、ズッキーニ、オクラ、ピーマン、ナス、白ナス、トマト、キュウリ等が、いずれも立派に育っている。バジルやつるムラサキ、エンダイブ、モロヘイヤ、バナナピーマン、UFOカボチャなど珍しいものが多い。いずれも減農薬につとめ、作物残渣を使った有機堆肥通信の栽培。

 多品種少量生産の直売志向で、「生産者直売」を謳う高円寺の店は6坪ほどのこじまりとした店で、いま現在は(9月中旬)品揃えも15品ほどと少ない。畑では秋のサラダ菜、ホウレンソウ、タカナ、コマツナ、ハクサイ、ダイコン、ジャガイモなどの播種や苗の定植が進められている。

 いずれにしても、50aで目標売上1,000万円を目標にしている。農水省のやや古い資料によるが、露地野菜の平均手取り額は24品目平均で67.1万円になっている(資料1)。50アールでは336万円に過ぎない。だが別の野菜の流通段階ごとの単価統計によれば、小売売価は生産者手取りの2.75倍になっている(資料2)。

 
 これを前提に計算すれば直売の場合、50aで923万円の売上高となり、1,000万円にかなり近いものになる。実際。高円寺の直売所では1日平均3万円を売っており、年1,000万円には届く。
 
 ところで資料1では生産者手取りに占める経費率は51.8%、そして資料2で省き得ない経費率は31.2%となっている。こうした条件を踏まえ全体の所得率を計算すると・・・
 
生産者手取りの小売値に占める% 36.35 × 経費率51.8%(0.518)=18.8(A)
小売値を100%           100×省けない経費率約20%(0.200)=20.0(B)
注:省けない経費とは、運送費とか小売の家賃、水道光熱費等
 
 
A+B=はやや多く見ても40%で、このため所得率は60%になる。つまり1,000万円売れれば約600万円の所得になる。これを2人でどう配分するかは別として(その後、販売のパート採用し変化)、50aの経営とすれば好成績と言える。    
 
最近まで2人で農業もやり。売場も担当・・・「無理」があったが、ここにきて売店にパートさんがはいるようになり、農作業に半ば打ちこめるようになった。その分、売上目標も増やす必要があるが、有力直売所にも持ち込める話は前からある。だが某直売所は「良品志向」であり、技術改善も求められている。

   当方としては、小売部門ではもっと「農場直売」を個性として売り込み、野菜量販店(競合が3店以上)と差別化する必要を感じる。農場や作物の写真パネルを充実、口で対応している説明をPOP化する必要性を説いている。さらに「便利性」を考えれば、トマト、キュウリ、キャベツ、レタスほかの売れ筋は、仕入しても揃えるべき・・・との考えである。同じ野菜のため複数店回るとは、お客にとって苦痛になるからだ。

 木村さんは「もし農業に真摯に向合う同じ志の人がいれば、一緒にやりたい」との考えている。まだまだ農地を借りる余地があり、かつハウスの設備もすでに借りているからだ。こんな人がいれば、当方にでもメールをいただきたい。

 

2012年7月8日日曜日

[このままでは直売所が農業をつぶす」(長谷川久夫著)!

    全国直売所研究会会長の長谷川久夫氏の「直売所が農村を変える」に続く第2弾の著書・・・「このままでは直売所が農業をつぶす」だ。
   出版社「ベネット」(電03-5913-2627 定価・税込1,000円)。手ごろな長さで、1時間半も掛ければ充分に読み切れる。茨城県つくば市の「みずほの村市場」の実践に裏打ちされた農業経営の書だ。
   長谷川久夫氏はかつて日本法人協会の会長を務めたくらいで、農業の現場視点で「農業のあり方を示せる数少ない見識者の一人」と、いつも尊敬している。そして気さくにだれとでも話をされる方だ。
  この本は直売所関係者だけが読めばよいものではない。農業者の生きるべき道を真剣に説いている。ぜひ多くの農業者や農業関係者が読むことをお勧めしたい。

ポイントをいくつか紹介すると・・・・
1.「直売所は農業者が農業で生活を成り立たせるひとつの販売の手段である。その目的を忘れ、ただ(安売りも辞さない)販売に特化した場になていないか」と苦言する。「生活が成り立つだ
けの所得をあげ、自立を達成し、かつ消費者と信頼関係で結ばれるようでないと直売所に未来はない」と提言。

   2.1農家平均の直売所の出荷額は80万円。「孫に小遣いを上げられれば、そこそこの売上高でよい」と安売りに走る。100万円では家族どころか夫婦の生計も成り立たない。「みずほ」では1農家平均750万円売る。農業でやれるから、若者の農業者が増えている。「みずほ」では権利金年30万円を徴収し「最低販売額」と「売上目標額」を決め、最低に達しなければ不足分について15%の違約金を権利金から引く。逆に目標額を超えれば、その分に15%の報奨金を払う。

  3.市場に出した後の、残りものや規格外品だけ売っていたら、消費者は魅力を感じない。売上げが減り、出荷している人も直売所に出す魅力がなくなり、出荷しなくなりますます客足は減る。「みずほ」では農業者が競ってよい商品を出す仕組みを作っている。つまり前に人が100円なら、後で出す人はこれを超える品質にし、一段高く売ることを義務にしている。また「商品管理ペナルティ制度」を設け、商品としてふさわしくないものは自己回収(販売価格で)を義務づけている。

 4.「みずほ」では作付・出荷計画も事前に提出させることを1995年からやり、年1回欠品や絶対量を考えた検討会をし調整をしている。消費者に「いつから、〇〇さんの大玉スイカがでる」と時前に知らせ、農家が計画を守るよう促して、計画出荷をまもる癖をつけてきたた。

 まだまだ沢山の内容に触れられている・・・①1万3,000人の会員制度やこの仕組み、②イベントなど妥当な販売促進の方法、③消費者モニター制度、④いかに放射能汚染や風評被害を解消していたか、⑤新店を軌道に乗せるたまの努力等々。あとは皆さん自身に読んでいただきたいのでための、省略させていただきます。


      近藤・支援内容
  該当時間
1.農業のマネージメント講座
3~7時間
2.農産物のマーケティング講座
3~7時間
3.農産物直売所の新たな発展策講座
3時間
4.直売所・顧客視点の販売促進講座
 3時間
5.主婦の食のライフスタイル講座
 3時間
6.直売所顧客調査(200~300人)
2日16時間
7.直売所の総合診断
2日10時間
8.農業経営総合診断
2日10時間
<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)
リサーチ30万円(交通・宿泊費別)
講演の場合
1時間は4万円
2時間は6万円
経営診断20万円(交通・宿泊費別)
報告日は無料とし、交通・宿泊費別
     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料

    



    

2012年5月16日水曜日

農業経営の目標設定は売上高?経常利益?所得?

    農業者の皆さん!5年後、10年後の経営改善計画を立案する場合、①粗収益、②売上高、③営業利益、④経常利益、⑤家族労働報酬・・・どれを選らんで数値目標の基礎とするか。これには家族中心の経営、従業員も多数いる経営・・・といった体質によっても違ってくるかもしれない。
 ところで、①~⑤について個々の内容を吟味したい。
1.粗収益=生産品の売上+副産物の売上+自家消費+生産品に関係する補助金・交付金
2.売上高=生産品の売上+副産物売上
3.営業利益=粗収益-生産・販売経費
4.経常利益=営業利益+営業外収入(利子や生産品と関係ない保険等の収入)ー営業外支出
=税引き前利益
5.家族労働報酬=専従者報酬(法人では家族役員報酬等)+経営主報酬 
  
  ざっとこんなことになる。1や2は、あくまで入ってくる金で、利益とか家族労働報酬の高さとは関係ない。規模拡大すれば、普通なら売上高や粗収益は上がる。しかし、規模拡大のみ急ぎ、借金まみれ、赤字まみれになっている経営は少なくない。酪農経営で110頭まで増やしたが、草地が劣悪のため、餌不足で年間1頭の乳の量が7,500kg(標準9,000kg)で、8,000万円以上の借金のため、返済できず競売にかかった例も見てきた。

 
 3や4の営業利益や経常利益は目標値になるか?家族労働報酬を高くすれば、シーソーゲームのように、一般に営業利益や経常利益は減る。実際、節税対策のため、家族個々の報酬を増やし、営業利益や経常利益を抑える例は多い。5の場合の家族労働報酬もまた、3や4とのシーソーゲームで低くなったり高くなったりする。

  経営の5ケ年、10ケ年の中・長期計画を立てる場合、それが期待や希望に満ち、楽しいものでなければ、「おっくう」なものになる。「10年後には子供も2人になり、このくらいの所得が欲しい。
借金が楽に返せ、投資も充分にできるだけの余裕を確保したい」・・・こんな前提で、経営計画が立てられることがベターである。

  とするならば、1~5の単独型経営計画は総てバツである。そして家族所得や経常利益を組みこんだ4+5型のものであるべきだ。個人経営の場合、経常利益は差引経営者所得に組みこまれている。これに専従者所得(給与)を加えれば、法人経営の家族役員報酬+経常利益に類似してくる。法人と個人の別なく収益力の比較も可能になる。また(4+5の額)÷(粗収益対比の4+5の百分率)×100=目標粗利益額となり、収入全体の目標も簡単に計算できる。

 2、3、4,5年後の粗収益の目標といっても、その前提として、目標労働報酬、目標経常利益というものが計算に組み込まれていなければ、将来の発展に結びつかない。適正な労働報酬は家庭のうるおいを保証し、経常利益は返済余地や投資の余地を広げ、着実な発展を保証してくれる。

 できれば、家族労働報酬だけでなく、雇用者の労働報酬も含めて目標に折り込むのが正解である。さもないと、人的面で行きずまる・・・新規の就農者不足も報酬の低さに起因しているからだ。

  今回、以上の点に触れたのも、個人経営には経営主所得を、法人経営には営業利益を採用し、
5ケ年の実績評価をする・・・といった同質性のない要素で評価する場面に出会ったからである。
また我々コンサルタント仲間においても、農業者に個人、法人の決算書例を示し、丁寧に数字の意味を説明したうえで、経営計画立案を指導していただく必要がある・・・と感じるからだ。

  経営計画を立案する場合、年々の変化は売上高=栽培ないし飼育規模×出荷量×単価になる。そして単価はこだわりの程度(付加価値)や販売チャネルで異なるだけではなく、①対象とのる生産物の価格推移・・・回帰分析による推定、②価格変動が激しい場合はそのリスクを折り込む必要がある。また経費面では①家族及び雇用者の所得=労働報酬の向上を見る、②主たる資材の値上りまで組む・・・といった配慮をして、初めて本物の経営計画になる。ただ過去の延長であってはいけない。

 
 回帰分析(=最小ニ乗法)による傾向値の計算は、難しいものではない。関数を使うのでなく、エクセル表で視覚でとらえながら計算する方法もある。必要な方には無料で計算方法を伝授する。
  ところで、部門別の所得率(法人であれば家族労働報酬+経常利益)のメドだが、やや古いH19
年の統計では、償却費を含んだ所得率レベルは、稲作全国38.9%、柑橘34.0%、リンゴ37.4%、露地野菜全国29.6%、施設野菜35.2%、施設花き30.3%、茶30.2%、キノコ25.6%、酪農全国23.4%、肉牛全国10.4%、養豚11.2%、採卵鶏9.3%、ブロイラー9.4%である。


 


2012年2月8日水曜日

食のライフスタイル分析②-スタイル別の対応!

では、スタイル別の特徴と対応を述べてみたい。

 1.C単独型  C型は年齢において全世代にまたがり、平均的には1人当たり食品他の消費力は低位。世帯人員は中位。選択店数は少なく、近いとか寄り道しやすい等の条件があれば、スーパー、専門店などの固定客になり易い。

 食を大切にするタイプではなく、便利性本位に考え、料理選択の総ての要素(健康、安全、美味、ボリューム、安さ、季節の味、家庭の味、簡便)で最低レベルである。仕事が忙しいというよりは、価値観の主たる対象が仕事、スポーツ、趣味など他にあるためと見るべきだ。

 惣菜だけでなく、インスタント食品、レトルト食品、各種のだし汁、たれ汁なども買い進むと見る。スーパーでも夜間営業、商品以外のサービスなどコンビニ要素をコンビニ並みに導入すれば有効である。今後は高齢層のC単独型の厚みが増すため、食品スーパーや専門店も、高齢者向きのコンビニ要素を強化することが望まれる・・・小口パック、小容量調味料、歯にやさしい食材・惣菜、趣味のための各種参考本やコピー機、宅配便窓口などだ。

 なお「兼業主婦はC単独型」と考えがちだが、これは間違いある。それほどC単独が多いわけではない。専業主婦のC単独型比率が8.6%、パート主婦が11.8%、自営・正勤務主婦が18.8%で、兼業主婦のC単独率は専業主婦の2倍以上になるが、しかし兼業主婦の88~82%はC単独型ではない。仕事が忙しくても、必死に食を大切にする兼業主婦が圧倒的に多いのだ。

 2.P型  年齢は20~30代に多く、平均的には1人当たりの食品消費力は50~60代の60%以下と低位だが、世帯人員が多く1世帯消費力では中位。安さを求め買い回るため選択店数は多く、固定客になりにくい。だがスーパーでもエブリデー・ロープライスに徹すれば確実に固定化できる。「料理の選択基準」では安さにおいてトップだが、健康とか美味、季節の味などにも配慮している。安さ+アルファーの要素にも注目すべきだ。安さだけの訴求で100%の成果は期待できない。

 子供さんのが多い層であり、「子供さんの好きな料理」(上位よりカレー、ハンバーグ、ラーメン、スパゲティ、ステーキ、焼き肉、寿司、グラタン、シチュー、サラダ類、その他焼きそば、サンド、ハム等)に関係する商材、インスタントラーメン、菓子、アイス、デザート、アイス、弁当のオカズ向き冷凍食品などインプロに留意すべきだろう。

 3.Q型  所得も高くなる40代から、貯金もあり年金もある60・70代まで広く分布する。平均的には1人当たりの食品他の内食支出は最高レベルで、世帯人員は子供が独立した家庭も多いため少ない。選択店舗数は最も多い。GMS、食品スーパー、専門店、生協、直売所などを問わずカテゴリーごとに鮮度や良い品質の店を選び、買い回るため固定化はしにくいようだが、特定部門・商品に限れば固定できる。

 鮮度、品質、安全などに軸足を置いたコンセプトの店なら全面的に支持する。今後は、Q型にシフトした「良品・こだわり品」に特化した食品スーパーや直売所が増えるはずだ。いな、農産物直売所は今も鮮度・安心面でQ客中心の集客をしているのだ(鮮度の支持率90%超える)。

 家族の健康、美味しさ、安全、そして簡便性まで総合的に考える、食の豊さと真剣に向き合うスタイルである。鮮度・品質志向のSMとすればQ型に支持されることが固定客の増加につながり発展の鍵である。食品専門店においてもQ型の支持があれば存続可能だ。

 Q型は惣菜を最も買わないスタイル。だが簡便化にも留意する層だ。「家庭の味を凌ぐ美味なものを、食卓にもう1品」と提案すれば充分受け入れられる。

 ところでQ型に含まれているS単独型(食の安全本位)は生協組合員が90%以上で、平均すると生協ルートの家庭内シェアは58%ほどである。残り42%は一般SM他で購入している。S単独型は4.0%と少ないが、Sが付く他の型(総べてQ関連型)を含めると全体の13.7%になる。

 3.V型 
 所得の高い60~70代に多いが、絶対数は少ない。1人当たり内食支出力はQ型とほぼ同じで、外食まで含めばQ型を上回はず。所得ではQ型を上回るアッパー層が多く含まれる。GMS中心で、デパートでの買い物や外食も好む。選択店数はGMS中心のため少ない部類。食品スーパーではでは珍しいとか、高級なこだわり品まで品揃えを広げないと固定化しにくい。
 
 GMSやデパ地下で、珍しいとか美味なものがあれば、惣菜も買い、ドライ食品、菓子、酒類でも、美味な地方ブランド品、高級品、輸入品などを買い進み、アップグレイドの食品スーパーも利用している層である。高度成長-バブル期といった良き時代を経て停年を迎えた世代は、かなり豊かさがしみついている。堅実な消費だけでなく華美な消費もしてきた。このためQ型、V型だけでなくQV型も多い。安さだけが総べてでないことを、再認識して欲しい。

 標準型の食品スーパーにおいても、地方発のブランド品、非ブランドのこだわり品にも注目し、こうしたコーナーを今後育てて行くべきだ。筆者は農業関係のコンサルタントでもある。農業の6次産業化、農商工連携事業で生まれる地方発商品のためにも、こうした取組を推進して欲しい。

 4.料理の選択基準(表:支持率%)

 別途、テーマごとにスタイル別の反応の詳細結果を紹介すると(一部すでに触れたが)・・・埼玉78人(複合型省略)でサンプル数不足は否定できないが、それなりに予想した傾向が出ている。
           Q型     V型     P型     C型
健康        100     60      70      55
安全        100     40      30      23
ボリューム       0     20      20       9
安さ           0      0      50       9
美味        100    100      80      55
季節の味      67     60      50      23
家庭の味       0     40      20       5
簡便         67     40      30      27

 表のようにQ型は健康、安全、美味、季節の味だけでなく簡便性にも配慮し、総合的に食と向き合い、健康・安全・美味といったバランスのとれた料理を追求している。食卓にもうい1品を加えたいときは。簡便料理も辞さない「食に対して堅実な姿勢」を示す層と理解する。

 アッパー層(所得高い)を含むV型は、美味という点ではQ型と並び1位だが、他のQ型1位要素については2~3位で、特に健康・安全については、Q型との差が多い。「家庭の味」は1位であり、ご主人を中心とした料理なり味なりで食卓を飾り、豊かさを反映しているように思う。反面、健康や安全の点ではQとの差が大きく、家族全体の健康への配慮を欠いている感じだ。

 P型は安さが1位で、当然の結果が出ている。だが健康や美味への配慮は、Q型より劣るものの、大幅な差はなく、「ただ安ければ良い」という姿勢ではない。子供さんもいる若年主婦が多く、子供さんへの配慮も怠りないと言える。

 5.お惣菜の購入割合

 これは購入率の高さで見ており、低ければ「惣菜を買わない=手作り率」が高いことになる。(東京・埼玉138人訪問調査)
           V  QV   Q  PQV  PV  PQ  P  C単独
惣菜購入率%  44  48  33  67  50  44  69   71
カテゴリー指数0.56 0.48 0.36 1.15 0.75 0.67 0.85 0.74 

 表で分かるとおり、便利性を求めるC単独型、育児で忙しい若年主婦を多く含むP型はQ型の2倍以上も惣菜購入率が高い。Vも美味しければデパ地下の惣菜を買うアッパー層を含むため、Q型より高い比率になる。「カテゴリー指数」は、惣菜の17のカテ ゴリーを上げ、買うものに丸をつけてもらい、どの程度のカテゴリーを買っているかを指標化したものである。ほぼ購入率と連動する。PQV型はPが増幅されるよう働くタイプのか2つの率・指数とも最大になる。

 なお詳しい数値は省略するか、 GMS(総合スーパー)で買い物する比率は、「1ケ所で総て揃う」「否揃え豊富」を基準にVを区分したためもあるが、V型の家庭内1番点としてGMSを選ぶ比率 は実にQ型やP型の3倍にのぼる。このため、青果専門店的な農産物直売所には通常ほとんど来ていないと推定する。ただし旅先の道の駅等での「珍しいものあさり」は、 最もする人と推定している。

 5.ライフスタイルをどうつかむか
 お客さんの額や胸にQ・V・P・C単独・・・が表示されてはいない。店頭調査やポイントカードを駆使し、
どんなスタイルの人が、何パーセントずつ来ているかを知り、そのあとどんなスタイルの人に来て欲しいかの目標を持つことが、新たな挑戦につながる。
 
 商品にはスタイル見合いの顔がある。商品をスタイル区分に分け、その商品を買えば何型・・・として顧客分類をしておけば、提案すべき商品もある程度明確になる。また商品構成の改善計画にもつながる。これを機会にぜひ「顧客一般」という捉え方でなく、食のライフスタイルに沿った、個別スタイル別の顧客満足度の充実に向かって欲しい。

 講演用のパワーポイントの用意あり

2012年2月4日土曜日

食のライフスタイル分析①-安さだけが総てでない!

長引く不況で、スーパーはどこも価格競争に走り、デフレ解消の出口が見えない。だが主婦の「食品購入ルートの選択基準」を切り口とした食のライフスタイル分析からすると、主婦の安さ志向の構成比は26.7%と少数派である。 スーパーはもちろん、直売所や農産加工品の販売に当ってもこの点に留意すべきである。

 特定セグメント(例えばライフスタイル)→顧客ターゲット→業界内のポジショニングと進むべきマーケティング理論の構築が叫ばれながら、スーパーや飲食店等は一律「安さ」を前面に打ち出すだけのマーケティングになり、自らの首を絞めている。逆に品質や珍しさ(個性やこだわり)を求める客の満足から、ますます離れってしまっている。多元的なライフスタイルを意識し、多元的なマーケティングを展開しなければ、食品スーパーやGMS(総合スーパー)は利益が出ず、不況が長期化すればその一部は生命が絶たれる。

  ここで紹介する主婦のライフスタイルは、9都県約20地区500世帯の訪問調査の分析結果である(栃木を除く関東と長野、山梨、静岡。実際は青森から鹿児島に至る25都道府県で1万人以上の訪問調査をしてきた)。特定地域に片寄った分析ではないことを断っておきたい。また「食品の購入先をどのような理由で選ぶか-選択項目24)を切り口としたライフスタイル分析である。

 ライフスタイルは①親の生き方ほかの家庭環境、②居住地の商業環境などで長年かかって形成されたもので、過去の分析で景気の良し悪しにあまり影響されないことを確認している。なぜなら、デフレで価格全体が下がれば、安さ志向の主婦はさらに下限狙いの買物をし、非価格志向の主婦は「今は安くて当然」として、やはり鮮度や品質、品揃えといった別の価値を追求する。このようにライフスタイルそのものは簡単に変えない。

   店の選択基準(非店舗購入もあるためルートが正解)の24因子を基に分類すると・・・
①鮮度・品質志向のQ型(Quality)…生鮮品の鮮度、安全、
    美味、品位高い
②品揃え重視で華美な消費志向のV型(Variety)・・・1ケ所で
    総て揃う、品揃え豊富
③安さ志向のP型(Price)・・・安い、チラシ見て、ポイントが付く
④便利性志向のC型(Convenience)・・・近い、買い慣れ、買
    い易い、勤め帰りに寄れる、ついでに寄れる、散歩がて
    らに寄れる、行き易い、駐車し易い、配達、長時間営業
 
 この4分類の単独ないし2~3の組み合わせにより、P、PQ、PV、PQV、Q、QV、V、C単独の8つのスタイルに区分できる。店の選択基準以外に対しどう反応するかも、追調査をして、各スタイルの特性を深めてきた。

1.現代は便利性の時代

 ひとまずライフスタイルと離れると、全国55地区・13都府県別の平均からすると、便利性志向=Cの因子に該当するものが10/24と多く、その支持率を合計すると全体の43.2%にのぼる。ちなみに品質志向=Qは19.8%、品揃え=Vが16.8%、価格志向=Pが14.0%である。、便利性が突出している。そして90%以上の人がTPOに応じて使い分けるためC因子を持っている。まさに現代はコンビニエンス(便利・簡便さ)の時代と言える。 これは簡便性のある食品の消費とも深く関係してくる。ボトルや缶の飲料、インスタント食品(レトルト含む)、冷凍食品、惣菜、弁当等ばかり伸びているのもこのためである。

 90%以上の主婦がC因子を持つのは、家事・育児だけでなく、正規やパートの仕事があったり、趣味を深めたい・・・等々の忙しさのためである。現代は「時間の有効利用時代」でもあり、C因子の時代でもある。兼業主婦だから後記のC単独型と限らない。兼業主婦にC型は20%ほど多いに過ぎない。
 
 ところでCはC因子は90%以上に含まれているため、総てC因子の人のみ「C単独型」にしないと、スタイルの分類ができない。分子/分母に共にCを含む場合は数学的にカットしてよい。

 2.多いのはQ型・QV型でP型は少数派
 昼間の訪問調査のため、世帯持ちの主婦中心の構成比になるが、スタイルで最も多いのがQ型の17.9%、QV型の17.5%で、以下にC単独型14.7%、P型13.3%、PQ型13.3%、V型9.5%、PV型7.8%、PQV型6.8%が続く。

 P型はまだ所得も低く、幼児等のいる20~30代の若年主婦に多いが、人口の年齢構成も関係するため少数派である。関与因子別の構成比を出すと、Q型36.7%、V型26.9、P型26.7%、C単独9.7%で、P型は1/4程度に過ぎない。以上から「安さだけが総てではない」と言い切るのだ。

 スタイル別の特徴は、後日に詳細な説明するが、Q型は鮮度・品質本位に考え、野菜はA店、魚はB店、精肉はC店と購入先を選び、かつ専門店、スーパー、総合スーパー、生協、農産物直売所の別なく選択する層である。惣菜は工夫して主に自家で作り、購入度は低い。

 V型は華美な消費層を含むが、総合スーパー=GMSを好み、惣菜も美味・珍しいとなればデパ地下などで買い進む。

 P型は20~30代の若い主婦に多い。所得の低さもあって、チラシで動いたり、エブリデ―・ロープライスの店好みである。C型は食生活以外への関心が強く、便利性本位の買物をし、多くの店に対して中立である。

 ところで、マーケティングでは「消費の多様化・細分化を考え、特定セグメント(特定ライフスタイル等)をターゲットとしていくべき」とされているが、食品は100円、最大でも2,000円程度のものが多く、かつ顔や外見からスタイルを判断できない。このためスーパーや最近ブームの農産物直売所でも、ライフスタイル分析なしのマーケティングがされてきた。

 実際はライフスタイルを意識しないまでも、以下のとおりセグメントに対応している例も多い。また都会でなくむしろ農村において、地産地消のうねりのなかで、Q・V対応の美味・健康・安全・環境等のこだわりを考えた付加価値販売が活発に論じられ、実践されている。

 (1)例えばスーパーの中で粗利益率や粗利益生産性の高い精肉では、同じ豚ロース肉100gで輸入98~148円、国産248円、薩摩の黒豚348円と言ったように3通りの品揃えをし、結果的に生鮮3品の中で最も高い粗利益率を実現している。鮮魚でも塩サケ、しらす、たらこ・明太子などはピン・キリの品揃えをし、広い消費に応えている。こうしたセグメント対応が商品全般の販売に及ぶべきである。

 (2)優良スーパーとされるヤオコーは、毎日入口の果物の陳列を変え、美しいカップ入で販売をし、季節の果物はほぼ糖度表示をしているし、完熟、木熟、陽当たり、きづっこ(傷っこ)・・・などの表示品も多い。トレーサビリティ品や有機野菜のコーナーもあった時代もあるが、いま地場野菜コーナーは必ず設けている。ヤオコウーならではのPB商品も多い。トレーサビリティ対応のSEICAカタログ商品を多数揃えてもいる。イオンの「グリーンアイ」やヨーカドーの「顔の見えるシリーズ」も、こだわり客を対象にしたセグメント政策の1つといえる。

 (3)小型スーパーの東京都羽村市の福島屋は道路を挟み、アップグレイドの店とディスカウントの店を持つ。前者では生産者と話し合って育てた「自然農法の米や野菜やその加工品」も多数扱い、手製のPOPで細かい表示もし、ライフスタイルの多様性に対処している。産直野菜をメインとしたレストランやカフェ、洋菓子店、生花店も持ち、コミュニケーションの場(レストランやカフェ)も確保し、多様な切り口で消費者を取り込のんでいる。社長の福島徹氏は「食の理想と現実」(幻冬舎、700円+税)といった著書も書いているくらいだ。・・・別項で2回紹介。

 (4)農産物直売所は、いま伸び盛りからやや転換期にさしかかっているが、繁盛店は規格外品の販売を中心とせず、例えば「みずほの村の市場」(茨城県つくば市)の場合、「今以上に良い品を出荷しなければ扱わない。出せば高く売るよう売価設定させる」とし、直売所のブランド化を進めている。調味料や菓子にしてもナショナルブランド品ゼロで、全国の珍しい物ばかりだ。主力の野菜コーナーには毎日7品もの、薄く味付けされた試食品が置かれている。裏の温室では30種ほどのランが売られている。また直売所のなかには、地方の一流ブランド農産品ばかり集め、全国に向けギフトとして発送しているところもある。

「 主婦の食のライフスタイル」の講演に応じます。パワーポイント既存。