これまで、我々が頼りにしてきたのは農水省「農産物地産地消等実態調査」(平成21年度実施-23年7月25日公表・A欄)のもので、直売所数(今回は経営体数で、本来違いがないはずですが)16,816件、年総売上高8,767億円である。3年間経過してた今日、売上高においては近似しているものの319億円少なくなっている。逆に経営体数は1.40倍になり、6,744経営体も増加している。明らかに大きな矛盾だ。
2つ統計に大幅な乖離があり、何を信じてよいか統計の信頼性を揺るがす。今回調査の「直売所認定の規定」も読んだが、「無人販売所、移動販売及びインターネットのみによる販売は除く」としており、21年度調査と一致しているように思えるのですが、経営体数の乖離があまりにも多過ぎる。今回の経営体の数の乖離は、主に農家のテント掛けハウス等の畑隅販売を計上したためと思われる(後記)。
表―1 21年と24年調査の数値比較 (左項目)
0
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分類
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事業体数
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0
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/調査年度
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21年 A
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24年 B
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1
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農業協同組合 小計①
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1,901
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1,950
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2
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農協女性部・青年部
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427
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3
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生産者又生産者グループ
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10,685
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5,170
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4
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農家個人 (Bの分類)
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11,090
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5
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農家法人 (Bの分類)
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490
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6
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小計➁
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10,686
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16,750
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7
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第3セクター
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450
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640
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8
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地方公共団体
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203
| |
9
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小計➂
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653
|
640
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10
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会社 (Bの分類)
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3,149
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1,430
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11
|
その他
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2,790
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12
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小計④
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3,149
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4,220
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13
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合計 ①+➁+➂+④
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16,816
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23,560
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表―2 21年と24年調査の数値比較 (右項目)
0
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総売上額(億円)
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1事業体年売上(万円)
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0
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21年 A
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24年 B
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21年 A
|
24年 B
|
1
|
2,811
|
1,176
|
14,787
|
6,031
|
2
|
124
|
|
2,904
|
|
3
|
2,452
|
1,255
|
2,296
|
2,427
|
4
|
|
573
|
|
517
|
5
|
|
119
|
|
2,429
|
6
|
2,776
|
1,947
|
2,598
|
1,162
|
7
|
518
|
656
|
11,511
|
10,250
|
8
|
139
|
6,847
| ||
9
|
657
|
656
|
10,061
|
10,250
|
10
|
2,723
|
484
|
8,647
|
3,385
|
11
|
2,408
|
8,631
| ||
12
|
2,723
|
2,892
|
8,647
|
6,853
|
13
|
8,767
|
8,448
|
5,213
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3,586
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<注>1.横幅がないため、本来右に繋がるべき表を表―2として
下段に持ってきた。2.4つの小計を黄色のストライブとし、Aに比しBが大幅に異なる場合、オレンジ色にした。3.Aに比しBが
大幅に異なる場合、水色とした。
どこで差が生れたかを、類似項目について整理し比較してみた。結果は・・・21年調査と24年調査の乖離が大きいのは、(1)農協経営の直売所の売上高及び1事業体売上高、(2)生産者または生産者グループ等に分類される事業体数、売上高、1事業体売上高、(3)会社その他の直売所の経営体数、1事業体売上高だった。全体の売上高やその他の「小計」は比較的近似した数値も多い。
特に経営体の数の差を生んでいるのは生産者及び生産者グループの小計で、約6,000件のふくらみがある。農家個人が畑隅にブルーシート掛け等の2~6坪ほどのトンネル状のハウスを作り販売している売上高の小さいものが、かなりカウントされているものと推定される。確かに小計➁欄の農家個人のばあい、1経営体当たりの年商は517万円、1日当たりでは1.4万円と極めて少ない。
・・・東京の23区+多摩地区の中央線や総武線の沿線部にはこのような例が無数にあります。つい最近も昭島市、立川市を車で走り実感した。また武蔵野市の直売所の紹介パンフでは全直売所がこのタイプ。都市部と近郊部にはこうした例が多く、統計数字が膨らんだとみるべきだ。6次産業化の調査となると、これらが無視できないためと言えよう。
なお、これまでの農水省、まちむら機構、JA等の直売所統計のどれもが、要素別のクロス分析がなされておらず、コンサルタント泣かせの統計である。クロス分析ができるはずなのに、各要素の平均値と分散状況が示されるだけで、売り場面積(時にレジ台数または従業者数)に対応した年商とか客数、駐車台数等の相関が示されずに終っており、税金の無駄使いになっているのが残念である。