このため6次産業化に当たっても、農産物直売所の販売にあっても、瓶缶詰め等の加工品でなく惣菜をまず重視すべきだ。まだまだ無限の伸びがあり、1点あたりの売上高のボリュームも大きいからである。さらに、開発商品は無限にあり、店の個性も打ち出しやすい。
しかも最近は下記に述べるが、真空パック-冷凍貯蔵の機械も発達し、半製品、完成品を長期保存もでき、惣菜の完成品を冷凍庫で売ることも可能になっている。
表 惣菜と加工食品の比較(スーパーH19・20年平均)
部門
|
売上構成
%
|
粗利益
%
|
年回転
数
|
アイテ
ム数
|
惣菜
|
5.58
|
34.7
|
191.1
|
262
|
一般加工品
|
15.58
|
18.1
|
21.2
|
2,455
|
Ⅰ.理論編
多田先生が理論編で強調したのは・・・
1.はじめに(問題提起)
①近年の食生活の多様化により、外食、内食との差があいまいになてきた。
➁ご飯のおかず?パンのおかず?それともお酒のおつまみ?➂なぜ売れるか?なぜこの商品をお客様が買ってくれるのか(マーケティング戦略が大 切)?
④季節感を表現できているか?
➄温暖化による味覚の変化への対応がされているか?
⓺家に持ちかえって。キッチンで一工夫とは?
⑦大型ナショナルチェーンに対抗する方策とは?目を引く惣菜とは?何?
2.揚げ物が多くありませんか?
油切ったものばかりでは飽きられる。品揃えに片寄はないか?
3.素材の持ち味が大切!!
ホウレンソウ本来の味を生かす料理―たとえばおしたし。アジの本来の味を生かす料理-たとえば塩焼き。
4.季節感を前面に打ち出す!!
春の惣菜―たとえば山菜、たけのこ夏の惣菜―夏野菜をふんだんに使いカロリーもあるもの
秋の惣菜―サンマ、キノコ釜飯
冬の惣菜-ダイコンや肉のローウ巻き他 (写真のため、充分には分からない)
5.家に帰って一工夫!!(消費者が工夫の料理に)
ラタテュイユ→夏野菜パスタブイヤベース→パエリア
タケノコ土佐煮→タケノコご飯
ローストチキン→グリルチキンサラダ
6.新調理法を活用(新しい厨房器具を生かす)
素人なりきに、ネットで得た知識で説明(近藤)
①スチームコンベクションオーブン 標準小売998~1,620千円
従来も強制循環の熱風オーブンに、蒸気発生器をつけ、熱風、蒸気を各単独や併用
で動かせ、かつ温度・蒸気量などもコントロールできるもの。天ぷら以外の煮る、焼
く、蒸す、炒める・・・の各機能に対応し、多様なお惣菜作りに貢献。
➁クックチル方式
加熱調理(75度C/1分)した調理品を、加熱後30分以内に急速冷却して芯温3 度Cに90分以内で冷却可能。これを提供時に再加熱して出す。
➂クックフリーズ方式
加熱調理した品を、調理後30分以内に急速冷凍し、90分以内に芯温―5度C以 下に、120分以内にー18度Cまで冷凍できる。これを提供時に加熱して出す。
④真空低温調理法
加熱調理した品を急速冷却し、30分以内で芯温3度C以下にして冷蔵貯蔵し、提
供時に再加熱して出す方法。
供時に再加熱して出す方法。
➄パーツアセンブル方式
惣菜の各部分要素を個別作り適温で保存し、提供時にアセンブリング(集め)して 1つの料理にする方式。豊富なメニュー構成に役立つ。
⓺プラストチラー
最大―40度Cで、一気に急速冷凍し、調理直後の味を維持・・・細菌の繁殖する 温度帯を一気に通過させ、安全と品質維持。
⑦ウオーターチラー
出口(蛇口)の水温を5~10度C維持でき、食品の鮮度保持。⑧電解水生成装置
食塩水を電気分解して、①酸性電解水(殺菌力の強い次亜塩素酸を多く含む水)と
➁アルカリ性電解水(タンパク質の溶解や脂肪の乳化をする力のある水)を簡単に作
り、水道水を使う感覚で食品の殺菌や調理器具の除菌ができる。
7.まとめーお客様に喜んでもらえる惣菜を衛生的に安全に作る
①調理過程の衛生管理➁素材の適正な殺菌洗浄
➂調理温度の共通化
④新調理(新器具)の導入で調理のばらつきを防ぐ
➄混合調味料の平準化
⓺経時変化の把握
⑦味わいの変化を把握
⑧シンプルなパケージ
⑨季節のシズル感を演出
⑩食のトレンドを取り入れる
⑪家に帰って一工夫できる下処理惣菜の開発
⑫お客様に健康と安心、真心を販売する
Ⅱ.実技編
以上を前提に、この日は次の8アイテムの手ほどきをしてもらい、各品を試食した。
1.根三つ葉と小松菜の胡麻和え
2.青梗菜(ちんげんさい)と干しエビの和え物3.椎茸シュウマイ (皮そのものが千切り椎茸)
4.ベビーホタテと厚揚げの煮物
5.桜エビのスペイン風オムレツ
6.鯖(さば)の梅焼き
7.鶏もも肉の梅海苔焼き
8.クルミのおはぎ 桜風味
全部のレシピを紹介できないので、参考までに「1.根三つ葉と小松菜の胡麻和え」のみ紹介するが、新調理器具の便利さが光る。
1.材料
A 根三つ葉 600gB 小松菜 750g
C 自然塩 10g
D だし汁 300cc
E 白練りゴマ 60g
F 白すりゴマ 30g
G 本みりん 30cc
H 砂糖 45g
I 薄口醤油 30cc
J エクストラバージンオイル 20cc
K 伊那食品工業(株)プチドリップ 7g
2.作り方
①強酸性電解水で三つ葉、小松菜をよく洗う
➁ホテルパンにAの根三つ葉、Bの小松菜を並べ、上からCの自然塩を振りかけ、よくかき混ぜる→表面に水が出てくるまで放置する
→Jのエクストラバージンオリーブオイルを振りかける
➂①をスチームコンべクションのスチームモード100度で5分加熱し、よく水分を切る
④ホテルパンに➁の根三つ葉、小松菜を入れ、Dのだし汁を注ぐ
→ブラストチラーで急速冷却する
➄ゴマだれを作る
→ボールの中にEの白練りゴマ、Fの白すりゴマ,Gの本みりん、Hの砂糖、Iの薄口
醤油、Kのプチドリップを入れ、よく混ぜ合わせる
⓺仕上げ ④の根三つ葉、小松菜の水気を軽く切り、5センチ幅に切り分ける
→④のボールの中に入れよくかき混ぜる
3.感想
調理については、ずぶの素人で正確なことは分からないが、「美味さ」を一義におき調
味料は多数を駆使している・・・ごま油、エクストラバージンオリーブオイル、本みりん、昆布茶、中華スープ、オイスターソース、無添加鶏ガラスープ、日本酒、だし汁、黒こしょうなどだ。梅干しをたたいた練梅なども参考となる。
最後に個人的に「日々の新製品の割合は」の質問に、「新製品もさることながら、定番
品を美味くできなければ、新製品を出しても売れない」といい、「普通、新製品の割合は
30%ほど」と副次的に教えてくれた。個性ある、美味で健康で、安全な惣菜作りに、ぜ
ひ直売所や小規模食品店も挑戦して欲しい。若い時代に短期だがミニ・スーパーの食品ボ
ランタリーチェーンの指導部長をしていたことがある。組合員は昔ながらの乾物店出身者
も多く、漬物、煮物惣菜からスタートし、惣菜が得意な会員店があった。
こうした店は大手チェーンストアの時代になった今日でも生き残っている。粗利益40~50%のはずで、表の34.7%は、主に冷凍素材を使った安易なチェーンストアの惣菜の実態を表すものに過ぎない。
注:スキル不足で、下書きでは行が整っているにもかかわらず、ネット上では行がばらけ、申し訳ありません。
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