2014年4月8日火曜日

惣菜は直売所や小型食品店の戦略商品だ!新厨房器具の駆使もポイント!

 農業の6次産業化が叫ばれて久しいが、惣菜は売上高構成比こそ一般加工食品に劣るが、少ないアイテムで高い粗利益率及び回転性があるから、1アイテム当たりの稼ぎは、一般加工品を圧倒する。同一粗利益を確保するスピードは、一般加工食品の17.3倍となる。 

このため6次産業化に当たっても、農産物直売所の販売にあっても、瓶缶詰め等の加工品でなく惣菜をまず重視すべきだ。まだまだ無限の伸びがあり、1点あたりの売上高のボリュームも大きいからである。さらに、開発商品は無限にあり、店の個性も打ち出しやすい。

しかも最近は下記に述べるが、真空パック-冷凍貯蔵の機械も発達し、半製品、完成品を長期保存もでき、惣菜の完成品を冷凍庫で売ることも可能になっている。 

表 惣菜と加工食品の比較(スーパーH1920年平均)


部門

売上構成


粗利益


年回転


アイテ

ム数

惣菜

5.58

34.7

191.1

262

一般加工品

15.58

18.1

21.2

2,455

 4月4日(金)に、厨房器具のホシザキ東京(株)が主催する惣菜セミナーに出た。18才で渡仏し、ル・コンドンブルー・パリで学んだ現(株)ユリーシーズ代表取締役の多田鐸介先生が講師の実践的セミナーで、惣菜の理論のあと8品の実調理を行い、全品の試食もさせていただいた。温厚で誠実な手ほどきに敬服した。

   
<写真>右側が多田鐸介先生。左側はホシザキ藤井麻梨子主任
 
Ⅰ.理論編

 多田先生が理論編で強調したのは・・・

1.はじめに(問題提起)
①近年の食生活の多様化により、外食、内食との差があいまいになてきた。
  ➁ご飯のおかず?パンのおかず?それともお酒のおつまみ?
  ➂なぜ売れるか?なぜこの商品をお客様が買ってくれるのか(マーケティング戦略が大  切)?
 ④季節感を表現できているか?
 温暖化による味覚の変化への対応がされているか?
 ⓺家に持ちかえって。キッチンで一工夫とは?
 ⑦大型ナショナルチェーンに対抗する方策とは?目を引く惣菜とは?何? 

 2.揚げ物が多くありませんか?
 油切ったものばかりでは飽きられる。品揃えに片寄はないか? 

3.素材の持ち味が大切!!
 ホウレンソウ本来の味を生かす料理―たとえばおしたし。アジの本来の味を生かす料理-たとえば塩焼き。 

4.季節感を前面に打ち出す!!
 春の惣菜―たとえば山菜、たけのこ
 夏の惣菜―夏野菜をふんだんに使いカロリーもあるもの
 秋の惣菜―サンマ、キノコ釜飯
 冬の惣菜-ダイコンや肉のローウ巻き他   (写真のため、充分には分からない) 

5.家に帰って一工夫!!(消費者が工夫の料理に)
 ラタテュイユ→夏野菜パスタ
 ブイヤベース→パエリア
 タケノコ土佐煮→タケノコご飯
 ローストチキン→グリルチキンサラダ 

6.新調理法を活用(新しい厨房器具を生かす)
  素人なりきに、ネットで得た知識で説明(近藤)

①スチームコンベクションオーブン  標準小売998~1,620千円
   従来も強制循環の熱風オーブンに、蒸気発生器をつけ、熱風、蒸気を各単独や併用
  で動かせ、かつ温度・蒸気量などもコントロールできるもの。天ぷら以外の煮る、焼   
  く、蒸す、炒める・・・の各機能に対応し、多様なお惣菜作りに貢献。
 クックチル方式
   加熱調理(75度C/1分)した調理品を、加熱後30分以内に急速冷却して芯温3  
  度Cに90分以内で冷却可能。これを提供時に再加熱して出す。

 クックフリーズ方式
   加熱調理した品を、調理後30分以内に急速冷凍し、90分以内に芯温―5度C以  
  下に、120分以内にー18度Cまで冷凍できる。これを提供時に加熱して出す。

 ④真空低温調理法
 
   加熱調理した品を急速冷却し、30分以内で芯温3度C以下にして冷蔵貯蔵し、提   
  供時に再加熱して出す方法。

 パーツアセンブル方式
   惣菜の各部分要素を個別作り適温で保存し、提供時にアセンブリング(集め)して   
  1つの料理にする方式。豊富なメニュー構成に役立つ。

 ⓺プラストチラー
   最大―40度Cで、一気に急速冷凍し、調理直後の味を維持・・・細菌の繁殖する  
  温度帯を一気に通過させ、安全と品質維持。

 ⑦ウオーターチラー
   出口(蛇口)の水温を5~10度C維持でき、食品の鮮度保持。

 ⑧電解水生成装置
   食塩水を電気分解して、①酸性電解水(殺菌力の強い次亜塩素酸を多く含む水)と  
  ➁アルカリ性電解水(タンパク質の溶解や脂肪の乳化をする力のある水)を簡単に作  
  り、水道水を使う感覚で食品の殺菌や調理器具の除菌ができる。
 

7.まとめーお客様に喜んでもらえる惣菜を衛生的に安全に作る
 ①調理過程の衛生管理
 素材の適正な殺菌洗浄
 調理温度の共通化
 ④新調理(新器具)の導入で調理のばらつきを防ぐ
 混合調味料の平準化
 ⓺経時変化の把握
 ⑦味わいの変化を把握
 ⑧シンプルなパケージ
 ⑨季節のシズル感を演出
 ⑩食のトレンドを取り入れる
 ⑪家に帰って一工夫できる下処理惣菜の開発
 ⑫お客様に健康と安心、真心を販売する

Ⅱ.実技編 

以上を前提に、この日は次の8アイテムの手ほどきをしてもらい、各品を試食した。

1.根三つ葉と小松菜の胡麻和え
2.青梗菜(ちんげんさい)と干しエビの和え物
3.椎茸シュウマイ (皮そのものが千切り椎茸)
4.ベビーホタテと厚揚げの煮物
5.桜エビのスペイン風オムレツ
6.鯖(さば)の梅焼き
7.鶏もも肉の梅海苔焼き
8.クルミのおはぎ 桜風味


<写真>椎茸シュウマイ-椎茸千切りをまぶしたもの 

 全部のレシピを紹介できないので、参考までに「1.根三つ葉と小松菜の胡麻和え」のみ紹介するが、新調理器具の便利さが光る。

1.材料
A 根三つ葉          600g
B 小松菜           750g
C 自然塩            10g
D だし汁           300cc
E 白練りゴマ          60g
F 白すりゴマ          30g
G 本みりん           30cc
H 砂糖             45g
I 薄口醤油           30cc
J エクストラバージンオイル   20cc
K 伊那食品工業(株)プチドリップ 7g
 
2.作り方

①強酸性電解水で三つ葉、小松菜をよく洗う
ホテルパンにAの根三つ葉、Bの小松菜を並べ、上からCの自然塩を振りかけ、よくかき混ぜる
 →表面に水が出てくるまで放置する
 →Jのエクストラバージンオリーブオイルを振りかける
①をスチームコンべクションのスチームモード100度で5分加熱し、よく水分を切る
④ホテルパンにの根三つ葉、小松菜を入れ、Dのだし汁を注ぐ
 →ブラストチラーで急速冷却する
ゴマだれを作る
 →ボールの中にEの白練りゴマ、Fの白すりゴマ,Gの本みりん、Hの砂糖、Iの薄口
 醤油、Kのプチドリップを入れ、よく混ぜ合わせる
⓺仕上げ ④の根三つ葉、小松菜の水気を軽く切り、5センチ幅に切り分ける
 →④のボールの中に入れよくかき混ぜる
 

3.感想

 調理については、ずぶの素人で正確なことは分からないが、「美味さ」を一義におき調
味料は多数を駆使している・・・ごま油、エクストラバージンオリーブオイル、本みりん昆布茶、中華スープ、オイスターソース、無添加鶏ガラスープ、日本酒、だし汁、黒こしょうなどだ。梅干しをたたいた練梅なども参考となる。 

 最後に個人的に「日々の新製品の割合は」の質問に、「新製品もさることながら、定番
を美味くできなければ、新製品を出しても売れない」といい、「普通、新製品の割合は
30%ほど」と副次的に教えてくれた。個性ある、美味で健康で、安全な惣菜作りに、ぜ
ひ直売所や小規模食品店も挑戦して欲しい。若い時代に短期だがミニ・スーパーの食品ボ
ランタリーチェーンの指導部長をしていたことがある。組合員は昔ながらの乾物店出身者
も多く、漬物、煮物惣菜からスタートし、惣菜が得意な会員店があった。 

こうした店は大手チェーンストアの時代になった今日でも生き残っている。粗利益40~50%のはずで、表の34.7%は、主に冷凍素材を使った安易なチェーンストアの惣菜の実態を表すものに過ぎない。

注:スキル不足で、下書きでは行が整っているにもかかわらず、ネット上では行がばらけ、申し訳ありません。

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