2012年11月15日木曜日

農産物直売所の安売りは内部競争-個性化で是正を!

 
  各地からの直売所情報を聞くと「競合店やスーパーとの価格競争が激しく困っている」との声ばかりである。実際は「売れれない理由を価格にだけ求め、仲間内で値下競争している」のではないか。売上減の真の原因追究から目をそむけていないだろうか?
  

  当方の農産物直売所3ケ所、計1,200人の顧客店頭調査では、来店理由のトップは鮮度で、その平均支持率は92.3%(1位)である。これは突出した数値である。スーパー等対象とした買い物理由調査の場合、鮮度の支持率は61.3%(近いの70.6%に次いで2位)である。その差約1.5倍である。

 以上で分かることだが直売所の場合、圧倒的多数の人が鮮度目当てにきている。直売所客は鮮度・品質を好む客中心であることを、強く認識すべきだ。

 安さの支持率も53.3%(2位)と確かに高い。スーパー等の調査では35.6%(3位)であり、やはりその差約1,5倍である。だが、同じ「安さ」といっても、直売所の安さは「生産者が直売し、中抜きのため合理的に安い」との認識であると推定している。直売所の顧客の75.1%までは、50代以上であり(2店各400人の調査)、所得的にも高く安定した層で、本来安さ志向ではない。

 スーパー等の安さを支持する層は、所得が低く、パートに出ることも多い20~45才までの若年主婦である。子供さんもいて総合的に食品、菓子、雑貨などの安さを追求するので、野菜が安くても直売所に来ない。ディスカウント店を選んだり、スーパーのチラシを見て買い回れば、すぐ200円や300円は安く買えるからだ。ロスリダーと言われる目玉商品を3点買えば、それだけで300円や400円倹約ができる・・・開店指導でさんざんスーパーのチラシも作ってきたので明言できる。

 
 「本質的な安さ志向客」がこの通り、ほとんど直売所に来てないのに、「スーパーや他の直売所との競争が激しいから安く売る」というのは、ある意味でムダな努力と言える。効果が出ないからますます安売りをしたくなってしまう。

 直売所は数こそ16,800店となり、スーパーの約15,000店を超えたが、総売上高は8,800億円で、スーパーの18億9,000万円の4.7%に過ぎない。シェアからみればヒヨコと言ってよい。

 今日、多くの直売所が売上げ、客数で低迷ないし縮小しているのは、発展方向を見失い、かつスーパーの過酷なまでの努力に比し、充分な魅力作りされていないからである。

 具体的に言えば①柔軟なコンセプトの変更や顧客本位のコンセプトの設定、②計画的な出荷量や品質の確保、③新製品の開発、④安全・安心の向上、⑤POPの徹底や情報力の向上(他販促全般)、⑥店長自身やパートの教育、⑦計数・財務管理の徹底など。努力の領域は無限に残されている。営業時間・休日といた面でも、自分の都合が優先している(短い)。

 1.柔軟で顧客本位のコンセプトの設定・・・「地産・地消」は直売所スタート時点の共通の理念であって、コンセプト(発想)ではない。コンセプトは、「ストア・コンセプト」とか「企業コンセプト」と言う字が前に付き、その店の個性を物語るものでなければならない。

 地産・地消という言葉を金科玉条と取り、独自の個性が追求されていない。個性がなく、同じものをどこでも売れば、客は大型の品ぞろえの豊富な店に自然集まってしまう。

 また「地産」のみにこだわれば、雪や寒さの時期に、全く商品が集まらない直売所もある。「顧客の利便を優先し、近隣や遠隔地のこだわりの商品も揃える」のも一つの発想である。「午後が欠品になりやすいので、仕入品も入れ、利便を優先するため、市場仕入もする」も発想の一つである。

  現に20%前後の仕入品を入れ、夕方までパックし補充を続ける店で、60坪にもかかわらず年8億円強を売る店もある。この店の場合、まず青果の品ぞろえが80品目強と多い。普通は50~60品目止まりである。このほか米、米飯、餅、落花生、酒などの品ぞろえも他店の数倍ある。代表者も毎日店の補充を手伝いに来、率先垂範している。惣菜は残ると見れば、各人午後から値引きもする。仕入品をパックし補充するため、午後行っても、誰一人手持ちぶさたな従業員はいない。このため、利益も出て余剰金の積立もかなりな額ある。

 ところで、「こだわり」も多様化しており、徹底した美味の追求、新品種や珍しいものの率先導入、トレーサビリティやGAP(管理適正規範の導入)による安全保障、減農薬や有機品の充実、商品知識の提供、満足してもらうおモテナシの徹底、6次産業品化による付加価値商品やサービスの充実・・・等々「こだわり」の引き出しを沢山持ち、複数の組み合わせで強い個性を創造すべきである。

 最近でこそ、トレサビリティの記録ファイルを店に置く直売所も現れているが、真剣に安全・安心の保証を個性にした直売所に接したことは10に1つもない。

 「地消」という枠はもともと空論である。直売所は近隣型でも、すぐ商圏半径は5kmにもなり、観光地に向かう道路沿いでは15~20kmになり、観光地であれば50~200kmにも及ぶ。集客圏はもともと地元を超えている。地元に限定すれば供給が消費をすぐ超えていまい、3年ほどで満杯になり伸びがなくなる。繁盛店はどこも直売所のブランド化で、広域集客を達成し、広域の宅配も増やし、「他消」に成功しているところである。

 個性を強めれば、遠方からも来てくれ、「来年は季節になったら宅配で送ってくれ」「ギフトとして頼みたい」ということになり、努力次第で県下全体、日本全体を商圏にできる。このためには、「市場に出せない等外品を売る」から、「信頼される良品販売に徹する」というコンセプトへの転換も必要になる。

 
 2.計画的な生産量と質・・・「好きな時に、好きな量を出荷すればよい」では、同じ品ばかり出荷され内部の価格競争を生む。出荷組合と店が充分POS情報も参考に、適正品質のものを、適正時期に出荷する体制を確立すべきだ。違反者にはペナルティを、計画履行者にはインセンティブを出すくらいにすべきである。茨城の「みずほの村市場」では実施している。安全・安心商品、新製品の開発もこの努力に含まれる。

 3.POPの徹底や情報発信力・・・いまやスーパーのPOPは省力のため、アイキャチャーなどもないプライスカードになりきっている。直売所こそがPOPや印刷物を通じ、農業者の想い、商品知識を伝える唯一の場所になっており、この面でも個性を競うべきである。

  試食見本も常時3~6品を用意する、糖度、美味しさ、その理由、安全管理、料理法、保存法、栄養価、素材の組み合わせで健康確保・・・など、食育・農育に沿ったPOP、写真パネル、料理教室、農業体験等もまたすこぶる必要である。

 
 HP、プログ、ツイタ-といったネットを通じた、多面的な情報展開もしていけば、これまた商圏拡大になる。自店の従業員がITに弱くても、近隣に声を掛ければ月1~2万円でHPやブログを代行してくれる人もいくらでもいる。

 できなければ、手書きで手渡しのチラシを作り店頭で配布したり、旅行社に送り、観光バスを呼び込む方法もある。売場でただ売上げ減を嘆くのでなく、行動に移すことではないか。

 4.店長やパートの教育・・・定年退職後の人を半年とか1年研修を受けさせ、店長に据えるケースに良く出あう。5年たてば交代・・・これでは経験が蓄積しない。また、熟年のためパソコンのできない店長にも2例出あったことがある。若い30代、40代の人材を育て、JAなど組織が大きい場合、この人材が直売所担当の課長、部長となり、多店化の要になっていくぐらいでないと、旧・Aコープのように、衰退の運命をたどると思えてならない。絶えざるイノベーションのため、男性・女性、正社員・パートの別なく人材を育て、経営の革新に備えなければならない。

 パートについても、マニュアルが準備され、かつ応用問題も解決できるよう、厳しい3~7日ていどの教育は必要である。これまでは店長が経験がなく、教育もできない店が多かったのではないか。数値目標も提示し、一緒に考える場も持ち、全員野球の出来るレベルアップを日々追求すべきだろう。

 5.計数管理の徹底・・・財務管理はプロに任すとしても、毎日の売上高、客単価、客数、天候、気温、部門別売上等などは全員が見れるようにし、日々の成果とその原因を知り、改善のために役立てる必要がある。

 長期的な低迷、減少が認められれば、価格競争に走るのではなく、個性を充実させる方向で、再スタートすべきだ。方向とすれば、すで別ブログで触れてきたが、下記3方向が考えられる。
 ①地域の深起こし・・・地域資源の再発見、惣菜や時に精肉の充実。学校給食・民宿・レストランへの供給。
 ②ブランド化・・・直売所の個性を強めブランド化し、商圏を集客、ギフト等の宅配を通じ広域化する。
 ③経営の多層化・・・6次産業化に沿い、ブランド化できる加工品の開発、農村レストランや体験農場の設置、料理教室、グリーンツウリズムとの結合による商圏の超広域化。



      近藤・支援内容

  該当時間

1.農業のマネージメント講座

3~7時間

2.農産物のマーケティング講座

3~7時間

3.農産物直売所の新たな発展策講座

3時間

4.直売所・顧客視点の販売促進講座

 3時間

5.主婦の食のライフスタイル講座

 3時間

6.直売所顧客調査(200~300人)

2日16時間

7.直売所の総合診断

2日10時間

8.農業経営総合診断

2日10時間

<注>講演3H7万円・7時間10万円 (交通・宿泊別)

リサーチ30万円(交通・宿泊費別)

講演の場合

1時間は4万円

2時間は6万円

経営診断20万円(交通・宿泊費別)

報告日は無料とし、交通・宿泊費別


     携帯 080-3464-2607    各種電話相談無料



 

 


  

2012年11月3日土曜日

援農ボランティア「すずしろ22」に学ぶ!農業の労力不足対策

                   
 農業就業人口は昭和55年の697万人から、平成22年には261万人となった。6.6%も減少した。しかも22年には就業者の74%が60才以上である。昨年から4ヶ所ほど「新規就農者する人の研修講座」にも招いていただいたが、なかなか、「就農者求む」のニーズに応えるだけの応募者はいないように思う。

 第2、第3の手だてても考えておかないと、直売所はじめ出荷者不足も進行し、農業の現状維持が難くなる。

 市町村が兼業農家で停年退職し、農業にリターン出来るようになった人を登録してもらい、その人たちに作業請負や借地農業を拡大してもらうのも大切だ。75~80歳までは十分即戦力になるはずだ。もう一つは農業者と消費者と農消連携のネット・ワークを構築し、農作業の部分部分を担当してもらう方法だ。

1.援農ほか3つが柱

 以前に紹介した東京の八王子市で活躍する「NPO法人・すずしろ22」が、農消連携の進んだモデルである。前理事長の合津秀雄さん、事務局の飛田恵美子さんの2人に、先日直接話を聞いたが、合津さんは「すずしろを参考にした組織が全国に広がることを願っている」としていた。

 そして、事後にも「①人手が必要な農家がある、②農業に関心のある市民がいる・・・③両者のニーズをコーディネイトすべきである、④責任性・継続性・両者の対等性に配慮して、有償ボランティア活動とする、⑤ある程度の実績に基づき、この活動を横に向け拡大展開できたら素晴らしい」と、意見を整理しメールで送ってくれた。

 「NPO法人すずしろ」は平成19年に誕生したが、その目的として「広く一般市民と農家を対象として、援農ボランティア、農作業の受託事業及び地場野菜供給事業を行い農業の活性化をはかる。同時に食料供給、防災、環境保全、農耕文化の継承など多面的価値ある農地を、都市住民の生活環境の中に存続させ、社会教育の推進や環境の保全に寄与する」と定款で謳っている。そして消費者の「農作業を手伝ってみたい」と云うニーズと、農業者の「農作業を手伝って欲しい」のニーズを橋渡しして、大きな成果を上げている。

2.すでに援農年12,000時間以上

 具体的には1.援農作業、2.農産物販売、3.農地の活用の3本柱で活動している。現在会員は農家約25軒、消費者約140人で、個人正会員1,500円、団体会員10,000円、個人・団体の賛助会員1,000円の各年会費を払っている。

まず1の援農作業だが、右肩上がりで昨年は12,000時間の援農作業をし、24年度は14,000時間を予定、将来的には30,000時間を目標にしている。援農1時間につき540円を農家会員から徴収、消費者会員に460円を支払い、80円を本部運営費に充てている。さらに内60円が援農業務の担当者に支払われている。

会員同士のやりとりで、かつ有償だが安い金額である。交通費は払われていない。農家側が労力支援の希望を時間単位で出し、作業時間について帳票で管理、毎月月末に締めて、15日までに事務局に入金。入金なきばあいは事務局で集金に回る。

作業はトマト他の野菜の種まき、苗植え、堆肥撒き、土寄せ、草取り、収穫、出荷作業、果物ではブルーベリーのせん定・枝片づけ、ネット張りと片付け、収穫、梅のもぎ取り、稲作では苗の補植、はざ架けなど。畜産はまだ依頼がないとのこと。また機械作業は刈り払い機、耕運機は認めるも、チエンソーは認めてない。つまり危険の少ない補助的な作業が中心である。

問題もいくつかある・・・

1.たとえば、8月は草取りなど援農ニーズのピークになるが、暑いので援農者が少ないといったこと。云った問題も起きる。

2.作業の失敗で損害が出た場合の保証。これは当日の作業報酬の範囲内で弁済する約束。3時間労働であれば1,620円の弁済だ。

3.つぎに作業中の事故に対する保証。労災保険が適用されないので、危険な労働は避けるとともに、万一の場合は個人の健康保険で対応している。将来、NPOとして保険会社の任意保険に入る方法も考えているようだ。

年金などで恵まれた消費者会員も多く、「農業をときどき楽しみたい」ということで、報酬額にこだわらない面がある。会報には「作業は厳しかったが、その後の充実感がたまらない」といった言葉が多く寄せられている。

3.農産品の販売は学校給食や宅配

2の農産物の販売ルート開拓については、「例え有償の援農を受けても、それ以上に儲かるように」と、直売的な学校給食、イベントでの販売、宅配に力を入れている。学校給食は八王子市内に68~69の対象校があるが、28校に現在供給している。農家に荷を取りに行き、学校に運ぶ。合津さんは「本気度」を見てもらうため乗用車を捨て、軽トラックまで購入し配達に当たっている。

チームがいくつかあり、某班では4月人で月1~2回直売イベントをしている。1回25,000~33,000円の販売額という。昨年秋までは月3~4回やっていたが、地産地消が進み、競争が厳しくなり、1ヶ所閉店したとのこと。また宅配は注文を受け1パック1,000円の詰め合わせを発送している。人材や車を確保できれば、まだまだ伸ばせるとのことである。

4.農地活用は遊休地の活用で市民農園

 3の農地活用は「遊休農地の活用を農家・市民・環境の3面から期待されている活動」と位置づけている。1つは「農作業受託方式」で、キーマンが生れ、10~20aの土地を請け負ってもらう方式を目指している。2つめの市民農園の開設・運営はすでに18人ほどが関与し、1区画約15坪(50㎡)を21区画運営し、年41万円ほどの収入になり、半分が農家(地主さん)に還元されているという。農園にはNPO開設型と農家開設型の2種の市民農園があり、前者はNPOの管理で後者は農業者の管理だ。

5.作業の高度化も必要ではないか

援農については農家と援農者が相互に評価することは、現在されていないという。人間関係を良好に保つための配慮と思う。しかしさらに進む人手不足を考えれば、実地研修も強化し能力の向上をはかるとともに、作業の難易度、その達成度、作業環境などの相互評価をし、能力に応じた向き向きの人を派遣し、時給もAランク(高度の作業に耐える)940円、Bランク(中程度の作業に耐える)740円、Cランク(軽・補助作業レベル)540円とするなどして、熟練農業者の代換えも可能な人材を育てることも必要だと思う。つまり半専従希望者、ときに新規就農者になり得る層が出てくることが望ましいように思う。

やや古い農水省統計によれば、露地野菜24品の農家所得は1時間平均1,343円となっている。直売所出荷の農家であれば、1.5倍の約2,000円にはなっているはず。540円を仮に上限940円にしても、農家にメリットはあるはず。

 機械作業や農薬散布など、高度の作業を担当すれば危険度も高まる。これには、民間保険会社の任意労災保険にNPOなり団体で一括加入する方法もある。当然、報酬の中に保険料負担分を含ませる等の工夫も必要になる。交通費の支給も課題になるだろう。

いずれにしても、すずしろの実践を全国に普及する必要性が益々増している。それには各市町村に、市民3人、農家3人ぐらいのコアになるキーマンがいれば十分スタートが切れるように思う・・・必ず農家と市民の相互にニーズが存在するからだ。あとは「地域活性化」の視点から市町村や農業委員会の方等の協力を引き出すことではないか。
 
「NPOすずしろ22」の定款もいただいている。必要であればメールをくださればお送りするので、参考にしていただきたい。

2012年10月19日金曜日

JA仙台「たなばたけ」直売所高砂店-6次化を進めた直売所!

 仙台から仙北線で陸前高田下車・・・駅に隣接した場所にJA仙台の「たなばたけ農産物直売所」高砂店がある。敷地も1,726坪と広く、駐車台数113台、レジ8台と店舗は大きい。農産物直売コーナー約167坪。6次化推進のため/惣菜工房、豆腐工房、今搗き米工房、スイーツ工房が売場を囲み配置されている(およそ計50坪)。事務所や荷捌き場まで含めた建て坪は299坪である。

 
 
    カタログによれば、惣菜工房は「JA仙台産の野菜や食材を使用したオフクロの味をご提供。また、レシピもお知らせ」となっている。豆腐工房は「JA仙台産の大豆を使用した、豆腐・加工品をご提供。安心・安全な食材を通して、地元に愛されるお店がモットー」としている。

 さらにスイーツ工房は「地産地消をコンセプトに、仙台で採れた野菜の新たな魅力と可能性を野菜スイーツで表現しました。もっと野菜を大好きに、もっと仙台を大好きになってもらいたくて、毎日心を込めてスイーツを作っています。旬の野菜を使った色とりどりのスイーツが沢山の笑顔を作れますように」としている。

 これらコピーはいずれもすばらしい。そして6次化による付加価値販売への努力は大いに評価できる。

 平成19年12月に約75坪の仮店舗でスタート、23年1月に工事を始め、東日本大震災で工事が中断したが、23年10月8日にオープンに漕ぎつけた。がから復興を象徴すかのように、オレンジ色の外装が光輝いている。木曜休みで、営業時間は10~18時である。

 
    やはり福島の原発事故にともなう風評被害が相当あったのだろう・・・平台の島ごとに、あるいは柱に東北大学とタイアップしたセシウム134、同137の測定結果が展示され安全のPRに努めていた。ここらが埼玉など関東の直売所と違っている。また風評被害や津波による被害もあり、出荷量はまだまだ本調子でないようだ。
 
 
 現在の客数は平日800~900人、土日1,000人、平均900人、客単価は平日1,200~1,300円、平均推定1,370円ほどとのことで、すでに年商6億5,000万円にはなりそうである。生産者は514人、そしてレジも8台であれば、将来10~12億円は予定していると思われる・・・風評被害・津波被害などから回復すれば、実現可能と見られる。
 
 
 なにせ、購買頻度の高い日配品等の冷ケースは充実しており、いわゆる水もの(豆腐、納豆、コンニャク、ゆで麺、漬物、佃煮)は6尺3台、精肉6尺1台、牛乳・乳製品6尺1台があり、他にオリジナルな豆腐6尺1台と充実している。従来型のJAの店は、うっかりするとこれらの冷ケースがゼロの店まある。いくらドライ商品のゴンドラを充実しても、スーパーの安売りとバッティングし効果は出ない。この点、「たなばたけ」は妥当な対応をしている。
 
 青果の平台は50台に及ぶ。午後言ったので朝の充実ぶりhが分からないが、今の時期でカボチャ、キュウリ、トマトのアイテムが豊富、ルッコラ、ワサビ菜など珍しいものもある。写真のように、セルに書いた似顔絵、青果のイラストが目立った。後ろの商品も透けて見え、気づかいに感心した。しかし商品のこだわり、料理法、栄養価などを訴えるPOPはまだまだ少なく、商品が減った午後の売り場を寂しいものにしている。
 
 花も店頭・店内と品ぞろえは豊富だ。「鉢花のラッピングを始めました。1鉢200円。希望の方はサービスカウンターへ」というPOPが店頭にあった。これは他店でも真似してよいことではないか。
 
 規模からすると客単価は、1,600~1,800円になってもおかしくない。青果や日配品の品ぞろえがまだまだ不十分と言えよう。珍しい商品や新商品の開発も急務と思う。米作地帯の宮城であれば、米飯だけでなく、米から作るのし餅、やわらか餅、かき餅、だんご、大福、まんじゅう、米粉パン
や米粉ケーキなど商品開拓分野は広い。ひとつ米作地域では本欄でも紹介したが、米の6次産業化の優等生・・「中井農産センター」(埼玉県吉川市)のHPを参考にして欲しいものだ。
   
 





2012年10月7日日曜日

米粉パンはおせいじ抜きで美味だ!BKコイガクボに学べ!

 

  10月2日(火)の読売新聞「生活・調べ隊」の記事・・・今年8月発表の総務庁「家計費調査」(2011年分)によれば、2人以上の世帯の1家族支出はパンが年28,321円に対し、米が27,425円で、初めて米がパンを下回った。
 

 農水省の調査によると、2011年度に国民1人が食べた米の量は57.8kgで、ピークだった1962年度の118.3kgの48.9%≒約半分に過ぎない。

 いまのシルバー世代が、戦後米不足の中でアメリカの小麦粉支援でパン食にならされ、それが団塊の世代、団塊ジュニアへと引き継がれ、米離れは加速してきた。最近は主食離れも進み、パン自身の消費も平成4年以降は一進ー退で伸びていない。

 これでは、流入飼料の大幅高騰(アメリカのトウモロコシ、大豆の凶作)とあいまって、日本の食糧自給率を下がり続けることになる。長期的な視野からすれば、地球温暖化・人口増加もある。将来、世界的に食糧不足になることは目に見えている。

 
  米は加工でなく家庭の食事分は、ほぼ100%自給である。米を中心とした日本食は長寿にもつながり、世界的に注目もされている。中国の富裕層は日本米を1kg1,400~1,800円(国内の4倍前後)と高値で買い、美味・安全の面でも信頼されている。

 この国産米を大切に守るには、水田の減反分で栽培され始めている特別需要米(米粉や飼料用)も上手に育てる必要がある。所得と言う面で、一般米作とリンクされてくるからだ。

 米粉用の米の生産は、平成17年に約3,000トンだったものが、平成23年度は40,311トンと約13倍に伸びている。全国の米粉加工食品販売・製造業者も、平成19年10月に約600業者だったものが、平成23年3月には2,153業者に増えている(農水省飼料)。

 
 米粉を使いパン、うどん、ケーキ等を製造・販売する例が急増しているためだ。しかし、米粉用の米の生産は米全体の200分の1に過ぎない。米粉パンほかの普及が望まれるが、巷のスーパーを訪ねても米粉パンになかなかお目にかかれない。

 10月5日に5店ほど見て回ったが、ヤオコー某店ではパスコの1アイテムにわずかに米粉が使われているのを発見。コープ某店では、インストア・ベーカリーのコーナーで米粉のコッペパンが1点、池袋の西武百貨店ではテナントのベーカリーを3店回ったが、蒸しパンで1点・・・と少ない。3年前に熊本に行った際、市中で調べたら2点ほどすぐ発見できたのとは大違いである。

 
 米粉は高性能の製粉機でないと細粒にならない。そして細粒でないとパンにならない。このため熊本県では、「パン用の粉は、これこれの工場で委託加工してくれます」と、農業者や2次加工業者のPRしている。このためかどうかわからないが、後述の埼玉県のベーカリー「コイガクボ」でも、熊本県の米粉を使っているとのこと。

 
 東京や埼玉は消費県のため、農業者や農水省の想いが届きにくいのかもしれない。珍しいもの・高いものにも飛びつく層が多いはずであるが、そうした傾向が見られない。

 たしかに、米粉は小麦粉に比して高い。小売価格の安値同士を比較すると、1kg378円対278円で1.36倍。製品のパンを比較すると40gもので73,8円対40.7円で1.81倍、60gもので85.6円対48円で1.78円という資料もある(ごく限定された調査)。

  この高さを押して米粉パン買ってもらうには、美味くなければならない。コープ店舗で買った小コッぺパンは1ケ150円だったが、2ケ分を仲間4人がアッと言う間に食べ、「美味い」の感想だった。



  翌日は本ブログで紹介したこともある入間市のジョンソン・タウンというモダン商店ばかりある1角の米粉パン専門店のコイガクボを訪問した。5坪ほどの売場から、パン焼き窯も見える。ここのパンはすべて米粉パン。しかも一部使用でなく米粉100%(もちろんグルテン使用)もの。店内にも写真の通り100%の標示がしてある。

 棚には毎日少しずつアイテムを変えていると思われるが30品ほどがトレイに乗せられ販売され、セルフ・セレクション。当方はオレンジ・コッぺ1ケ150円を2ケ、つぶあんぱん140円、チョコクロアッサン190円、カマンベールルノア180円、枝豆&明太子170円を各1ケ買って帰った。

 御飯で夕食をして、間食に妻と二人、ニ度に分けて賞味したが、おせいじ抜きで、食べ足りないほどの「超美味い」だった。加工法に沢山の工夫がされているのだろう・・・もちもち感、米の甘さに加え、どれにも経験したことのない複雑な美味さがあった。

 例えばチョコクロアッサンは皮のこうばしさと中側の巻かれているチョコレートが少量の塩味のため、美味さが引き立っていた。

 コイガクボの各種パンに属する売れ筋5品は①おむすびパン、②地中海ミートソース180円、③サンドイッチ240円、④ビストロカレー190円?、⑤カマンベール・ノア(上記)。
 
 菓子パン5傑は①当方も買ったオレンジ・コッペ(上記)、②白焼きキャラメルチョコ?円、③粒あんぱん140円、④チョコ・クロワッサン190円、⑤クルミパン160円。

 あえて商品名と価格を出したが、名だけ知っても真似できないはずであるからだ。食パンは1斤1,050円、ハーフ600円であった。高いと映る人もいるだろうが、次々と客が来ており、美味いなら少々高くても良いとする人が多いのだ。


 米粉パンはこの通り専門店としても繁盛し、充分に支持されることが実証されている。自信をもって各地で挑戦して欲しいと願う。この点はパンメーカーに対しても同様である。

 なお米粉パンは、①もっちりした食感、甘さだけでなく、②水分が40~45%(小麦粉パン35~38%)で、固形分も小麦パンより5%少なく低カロリー、③良質の蛋白質が多く含まれている、④ゆっくり消化され、血糖値の上昇が少ない・・・などもPRすべきことだ。

 




2012年10月6日土曜日

農産物直売所「売るための月間計画」は必要だ!

 直売所は「イベントやPOP等で販促していれば、それでいい」となっている場合が多い。しかし、自然にまかせれば土・日、祭日は売れても、平日はへこみ、店舗そのものや労力の完全燃焼にならない。

 
  直売所の商圏半径は最低でも5kmほどで、スーパーの場合は平均1.5kmほど。商圏面積にすれば直売所は最低でも3.4倍にもなる。充分にチラシを撒けば、3.4倍も費用がかかり、とても費用対効果が伴わない。

 こため直売所でもインストア・プロモーション(通称インプロ)といって、店内での販売促進を重視すべきである。なぜなら、並みの努力だけしていれば、新規顧客の拡大は不可能で、開店3年ほどで成長が止まってしまうからだ。

 毎日来る客に、日々「新鮮な驚き・感動」を提供してこそ、来る頻度を高め、新規の客も増える。このためには、年-季節-月-週-毎日へと順に下ろす形でのインプロ計画を立て、顧客に満足を与え、合わせて「買って欲しい」「また来て欲しい」の強力なメーセージを発信する必要がある。

 その方法の1つが店頭などで手配りする簡易チラシ(手書きやワードで打った)である。こうしたチラシは「また来てください・・・を意味する招待状」で、店のシッキイを低くし、来店頻度の向上につながる。
 

  先月訪問した熊本市の有機野菜中心に販売している「地球畑」(紹介ずみ)では、毎月1~30・31日に至るお買い得品やイベントの企画を立て、B4裏表のチラシを、レジや店内で配っている。HPでも内容が見える。しかも地球畑は3店あるが、それぞれ別途のチラシを作成し、成果を競っているように思う・・・いずれにしてもその企画力は素晴しく、「毎日、必要な商品が置いてあればよい」という旧来型の直売所と大違いである。

  全体の特徴を明確にしておくと、
 ①スーパーのように、目玉商品(赤字の)を前面に掲げたものでない。割引は最大10%としている。10%であれば,週1ほどは仕入先も強力してくれ、店の粗利益は犠牲にならない。
 ②安さよりも、総ての部門にわたりイベントを展開し、日々の魅力作りと同時に、全体が売れるように努力している。「生産者のだれそれさんが持ちこむ日」の記述にとどめたものもある。生産者を売りにしているのだ。
 ③小さい手書きのイラストも多数ちりばめ、楽しい読みやすい雰囲気にしている。
 

 具体的に、訪ねた荒田店の9月のチラシを紹介すると・・・、
 
 ①「決算月ですよ」というイメージを打ちだしている。
 
 ②まず頭に曜日別の特売情報を掲げている。
日曜-冷凍食品・ハムソーセージ10%引き。平素10時オープンだが9時30分開店で12時まで朝市やってます。
月曜-麺10%引き。カフェ「惣菜の日」(隣にカフェあり)
火曜-果物10%引き。
水曜-豆腐・納豆10%引き。ポイントカード会員の特別割引。
木曜-野菜10%引き。300円以上お買い上げの方は野菜プレゼント。
金曜-お肉の日。10%引き。
土曜-雑穀・アイス10%引き。


1日ーポイント2倍デー。市山さん来店!お菓子・飲物10%引き。
2日-朝市・・・お菓子・飲物10%引き。
3・4・5・6日-地球畑オリジナル商品試食会・・・だいだいマーマレード、冷凍トウモロコシ等。
7日-穂満さん来店!地鶏で作った鶏飯etc。
8日-お茶の日。緒方さん来店!生産者のお茶10%引き。
9・10日-きのこ祭り。きのこ10%引き。炊き込みご飯販売。
11日-職員研修のため午後2時までの営業。
12日-霧島のどか園さん十五夜団子販売!
13・14日-健康食品フェア。3年番茶10%引き。
15日-お米割引の日。久木元さん来店!調味料10%引き。
16・17・18・19・20・21・22日-書籍フェア~秋の夜長に書籍で自分磨きをtime~
16日-朝市。
17日ー敬老の日・・・70才以上の方衣料10%引き。お買い上げ分10%還元。
~22日-お彼岸フェア。おはぎ販売。餅米・小豆・化粧品10%引き
23日-朝市。レディスフェアで化粧品・衣料品・エコ雑貨10%引き。
25・26日-カレーフェア。カレールウ・レトルトカレー10%引き。
26日ーふくろうのパン・並河さん来店。
26・27日ー石鹸・シャンプー・洗剤・歯磨き粉10%引き。
28・29・30日-決算セール。一部商品除き店内商品10%引き。
28・29日-お米5%引き。お米基金会員様10%引き。黒豚さつまはやと阿久根、玉利さん、又間水産さん来店!
30日-カフェ特製の十五夜団子販売!


 このほか、裏面ではお彼岸フェア、敬老フェア、書籍フェア、十五夜団子の詳しい説明のほか、「秋味噌予約承り中」「9月の野菜・果物」「ポイントカード会員様募集」の説明もあり、全体とすれば、「地球畑ニュース」といった感がある。瓦版の編集に当る人の並々ならぬ努力が伝わってくるが、こうした企画・編集は何年も積上げれば、案外スラスラと出来るものである。

 職員全員でアイデアを出し合えば、すぐ10日や15日分のプランができ、出入りの農業者や業者が来たときに、「何か安くしていただけないか」「何か販促のプランはないか」と聞き、レイアウトに従い穴を埋めていけば、1週間もあればチラシ原稿はまとまるはずである。

 さらに「地球畑」では四季ごとに、地球畑通信を出したり、携帯電話による情報も流している。情報発信力を日々養うことも大切である。






 
 


 

2012年10月5日金曜日

黄金サンマの魚耕と荻窪の商店街の想い出!そしてコンセンショナルCの時代!

 本日は、肩の凝らないブログらしい内容にしたい・・・米粉パンを求め池袋の西武デパートに行ったら、朝テレビで報道されていた「黄金サンマ」見たさの列ができていて、20番目くらいに並んだ。各人写真を撮るので、15分は並んだように思う。

  岩手県大船渡市で水揚げされ、築地市場に2尾のみ入荷、これを魚耕さんが1尾1万円で仕入、池袋の西武と荻窪の2店で展示したものである。何故、金色になったか知らないが、新鮮なサンマは口先が黄色いことからすれば、ウロコに金色の色素もあって、これが何かの異常で表に出たのではないか(写真の下の物)・・・黄金色についての解説はどこにも出ていない。疑問を残すところに話題性もある。

 
 
 魚耕といっても東京の一部の人しか知らないのではないか。当方長らく荻窪に住み(現在は別)、駅前の商店街に魚屋の横綱と言える魚耕さんと、東信水産さんがあることを誇りに思ってきた。魚耕さんはブリやカレイなど切り身類を木の板に何切れも並べて売り切ってくのがすばらしかった。
 
 一方の東信水産は、カニ、ホタテ、ドジョウなど、必ず生きたままの品を4~5品は置いていて、夕方に行くと、タイルの白い陳列面がむき出しになっていた。共に売り切り商法で新鮮さや安さを競っていた。引っ越して何十年にもなるが、妻はいまでも「荻窪ほど魚に恵まれたところはない」と述懐する。
 
 当方は東信水産の想い出も多い。脱サラしてコンサルタントになったまなしに、東信水産の2階に上げてもらったことがある。2階から3方で1階が見えるようになっていて、1階のザルに1万円札や千円札がたまると声がかかり、2階から竿の先に紙挟みを付けたものを下ろし、札を挟んで2階に引き上げて、机にバラバラと札が集められているのだ。超繁盛ぶりが伺えた。
 
  
  数年経って、紙挟みは近代的なエアーシュウターに代わり、10ケ所ほどにタコ足のようにシュウターが伸び、ひっきりなしにシューターで札が吸い上げられていた。
 
 東信水産も魚耕も、現在は共に鮮魚料理店も経営していて、儲かる経営であったことは事実だ。鮮魚店と料理屋の2面作戦となれば、儲けにさらに拍車がかかっているはず。東信水産の料理屋はやや離れたところにあるが、中・高校のクラス会で3度使ったことがある。
 
  多くの駅ビルやスーパー等に出店し、駅ビル、デパート、スーパーのブランド力と自社の販売力のコラボレーションを進める専門店チェーンを、コンセンショナリー・チェーンと言うが、2社ともこの面でも成功している。だが、さらに消費者の評判の高いのが東京立川からはばたいた「魚力」である。デイスカウントでなく「質で勝負」のコンセプトだが、5回ほどで「魚力」の関係するエリアでマーケット・リサーチをしたが、鮮度、品揃え、価格の3要素とも100点満点に近い回答だった。
 
 
   昔と違い、駅ビルも増え、大型店にしても強力テナントを求める時代になっており、コンセンショナリー・チェーンの時代・・・スーパーだけの時代でない。成城イシイや紀ノ國屋、三浦屋といったやや小型のアップグレイド・スーパーも、こうしたコバンザメ商法をとりつつあることも知っておく必要がある。
 
 
 
 
 
 


2012年9月21日金曜日

直売所「地球畑」(鹿児島市)は本格派の有機栽培品の販売店!

 
  講演の仕事を終えて、鹿児島市下荒田の無農薬・有機野菜の店「地球畑」を見た。正式には「かごしま有機生産組合直売店」である。他にも2つの店を持ち、組合員は150人にのぼると聞いた。

  荒田店は売場約47坪、レジ1台、駐車場も裏手に20台分あり、市街店ながら広域集客に耐えられるようになっている。隣にはレストランも併設され、有機野菜の料理も食べられ、万全の布陣である。営業時間は10時~19時30分。原則無休。

  「有機」を謳っていても、名ばかりの店が多い。ここは「地球畑はいのちと環境を守る有機農業の店です」「顔の見えるつながりを大切にし、おいしさと安全をお届けします」とコンセプトも明確なら、
信頼を裏切らず55品目ほどの野菜すべてが、「無農薬・有機肥料の栽培」である。JASの有機認定の赤いシールを張った認証品も10品近くを数える・・・さらにパケージに印刷したものもあるはず。

  慣行栽培品は完全に排除されており、「無農薬・有機栽培品だけのの直売所」という鮮明な特徴を持つ。全国的に見ても稀れな存在だ。東京でも有機が売りの小型店を見たことがあるが、「減農薬率が20%程度のものもある」と聞いて、看板に偽りありと思ったことがある。ここは本物である。

 加工食品も安全志向のこだわり品で全品固めている。また精肉や鮮魚も揃え、直売所としてはワンストップ・ショッピングのニーズに応えている。日配品も含めれば、平の冷蔵オープンケースも5台あり、計34尺にもなる。



 
 正確なことは分からないが、こうした有機専門の直売店がいくつもあるのは、有力な指導者が古くからいて、かつ県や市のほうでも有機農業を推進してきたからあと思える。店内にNPO法人「鹿児島県有機農業協会」のオーガニック=Organicという立派でモダンな体裁の雑誌も置かれていたが、①JAS認証の有機農産物はここで手に入ります、②農家の台所、③オーガニックフェスター今年も開催、④原発と有機農業、⑤畑の学校、⑥特集ー健康に生きていくために、⑦有機農産物が、なぜ拡がらないか?・・・の見出しが躍っていた。身を切りながら、説得を試みる⑦のような内容もあり好感が持てる。

 
 NPOといった推進母体があり、個人会員でも入会金2,000円、年会費5,000円も払っている。これはすごい。鹿児島は日本一の有機推進県と思えてならない。高温・多湿の日本では、病原菌や害虫が発生しやすく、減農薬は難しく、有機農産物の流通は農産物全体の0.18~0.19%ほどとされる(認定を受けない隠れ有機はカウントされていないはず)。この気候的な困難さに負けず、環境・食の安全の理想に向け努力を続ける鹿児島県に敬意を表したい。

 EU諸国は農地の3.5%が有機栽培だ。アメリカは年率9~16%の割合で伸び、いま現在流通シェアは3%ほど。9年前の統計で食品類の1.9%を占め、スーパーで44%、自然食品の店で47%、直売や生協ルート、輸出で9%となっている。日本との差が大きいが、日本のばあい栽培の大規模化や省力化の面で遅れをとっていて、出回りが少なく馴染みがないことも原因。 
 

  隣のレストランでは、有機野菜の天ぷらセット、特製野菜シチュー、900~930円、有機おにぎり2ケ300円ほかメニューも豊富。

 「地球畑」の偉さは、一般小売店並みに販促も多様な形で行っていることだ。手づくりのチラシには1ケ月分の販促企画が1日ごとに記され、さらに①曜日別の特売品も設定、②2~4日単位のテーマや部門に応じたイベントも多数組まれている(朝市、キノコ祭り、書籍フェアー、決算セール)。
さらに3店が競って独自のチラシを作っている点でも素晴らしい。