環境保全を学び、農業にあこがれる金指さんという女性アッシスタントと2人3脚の経営だ。この地区は江戸時代から「三富自然循環農業」といって、人工林を作りその落ち葉を利用して野菜栽培をしてきた。学会でも注目され、外国で応用モデル農場もできている。金指さんにピッタリの大地ののだ・・・もっとも最近は落ち葉で堆肥を作る例はごく少数と聞く。
木村さん自身は、飲食業の出だが山森農園で、厳しい実習をしてきたから、4枚ほど見せていただいた区画は、ズッキーニ、オクラ、ピーマン、ナス、白ナス、トマト、キュウリ等が、いずれも立派に育っている。バジルやつるムラサキ、エンダイブ、モロヘイヤ、バナナピーマン、UFOカボチャなど珍しいものが多い。いずれも減農薬につとめ、作物残渣を使った有機堆肥通信の栽培。
多品種少量生産の直売志向で、「生産者直売」を謳う高円寺の店は6坪ほどのこじまりとした店で、いま現在は(9月中旬)品揃えも15品ほどと少ない。畑では秋のサラダ菜、ホウレンソウ、タカナ、コマツナ、ハクサイ、ダイコン、ジャガイモなどの播種や苗の定植が進められている。
いずれにしても、50aで目標売上1,000万円を目標にしている。農水省のやや古い資料によるが、露地野菜の平均手取り額は24品目平均で67.1万円になっている(資料1)。50アールでは336万円に過ぎない。だが別の野菜の流通段階ごとの単価統計によれば、小売売価は生産者手取りの2.75倍になっている(資料2)。
これを前提に計算すれば直売の場合、50aで923万円の売上高となり、1,000万円にかなり近いものになる。実際。高円寺の直売所では1日平均3万円を売っており、年1,000万円には届く。
ところで資料1では生産者手取りに占める経費率は51.8%、そして資料2で省き得ない経費率は31.2%となっている。こうした条件を踏まえ全体の所得率を計算すると・・・
生産者手取りの小売値に占める% 36.35 × 経費率51.8%(0.518)=18.8(A)
小売値を100% 100×省けない経費率約20%(0.200)=20.0(B)
注:省けない経費とは、運送費とか小売の家賃、水道光熱費等
A+B=はやや多く見ても40%で、このため所得率は60%になる。つまり1,000万円売れれば約600万円の所得になる。これを2人でどう配分するかは別として(その後、販売のパート採用し変化)、50aの経営とすれば好成績と言える。
当方としては、小売部門ではもっと「農場直売」を個性として売り込み、野菜量販店(競合が3店以上)と差別化する必要を感じる。農場や作物の写真パネルを充実、口で対応している説明をPOP化する必要性を説いている。さらに「便利性」を考えれば、トマト、キュウリ、キャベツ、レタスほかの売れ筋は、仕入しても揃えるべき・・・との考えである。同じ野菜のため複数店回るとは、お客にとって苦痛になるからだ。
木村さんは「もし農業に真摯に向合う同じ志の人がいれば、一緒にやりたい」との考えている。まだまだ農地を借りる余地があり、かつハウスの設備もすでに借りているからだ。こんな人がいれば、当方にでもメールをいただきたい。