2014年12月1日月曜日

養鶏経営(小規模)の規模連続指標-売上高と経費は!所得3倍の例も!

 農水省では営農類型別に、経営収支の指標を毎年出している。養鶏の場合は1万羽未満(平均常時羽数5,861羽)、1万~3万羽(同21,719羽)、3万羽以上(同38,748羽)の3区分で収支・科目金額が整理されている。となると、例えば常時飼育羽数が13,993羽の時の収支はいくらかという計算が瞬時にはできない。 

 これを瞬時に行えるように、H24年度統計を前提に、最少二乗法という方法で傾向値の式を科目別に算出したのが下表である。黄色の分部に貴経営の常時飼育羽数を置き、これを「定数」として、定数にそれぞれaを掛け、+bとした解をy金額欄に算出すると、自動的に粗収益や経営費が出、家族所得も出る・・・といったワン・タッチ方式である。 

あくまで大規模養鶏ではなく3,000< >50,000羽クラスの小規模養鶏の指標と理解していただきたい。ただし、自経営の実態との乖離・・・特に卵価、飼料価格は修正し、より現実的な指標に修正する。そして、6列目に自家の決算書の数字を落とし込、平均=指標に比し、実態が良いか否かを検討する。 



常時飼育数X=

13,993


 

 

科目別金額y=

a X + b

科目区分



y金額

平均

誤差%

Ⅰ.粗収益

 

Ⅰ合計→

 

 

 鶏卵販売額

2.400

5,256.8

 

± 5.

 畜産収入

0.014

54.1

 

±30.

 他農業収入

0.013

740.5

 

±10.

 共済・補助他

0.267

-1260.4

 

±72.

 修正プラス分

0.077

0.00

 

 

Ⅱ.経営費

 

Ⅱ合計

 

 

 元畜代

0.261

-273.8

 

± 0.7

 飼料代

1.853

1066.8

 

± 6.5

 農薬・医療

0.048

-24.7

 

±17.5

 光熱・動力代

0.054

474.3

 

± 4.0

 雇用労賃

0.188

-499.1

 

±55.9

 農用自動車

0.009

229.8

 

± 2.5

 農機具

0.077

49.0

 

± 7.9

 農用建物

0.130

-214.6

 

± 0.2

 賃借料

0.013

17.7

 

±32.1

 共済等掛金

0.110

-294.5

 

± 5.3

  減価償却費 

0.105

482.8

 

±15.5

その他経費 

0.129

208.4

 

±17.8

修正マイナス分

-0.064

0.0

 

 

Ⅲ.家族所得

個人経営

Ⅰ-Ⅱ→

 

 

 家族労働費

 

 

 

 

 経常利益 

 

 

 

 

法人家族所得

法人経営


 

 

    黄色い箇所の13,993羽は24年統計の総平均羽数である。この時の粗収益、経費と傾向値の若干のズレを修正したのが、修正プラス分、マイナス分である。この修正で13,993羽の場合、統計数値と完全に一致している。 

(1)個別経営で、業者への卸販売、直売・・・と販売形態や商品のこだわりにより、販売卵価は異なる。この調査時点の平均卵価は1kg=173.1円である(実際は微々たる金額の鶏糞・廃鶏収入も含む)。皆さんが仮に直売などで平均250円、350円と高く売っていれば、鶏卵販売額のところを1.444倍、あるいは2.022倍に修正する必要がある。 

(2)飼料代の項目も、H24年の養鶏配合飼料代は全国平均1トン当たり75,189円なので、値上がり・値下がりしていれば、その倍率で修正が必要になる。 

(3)いずれにH24年度に比し、大きく値上がりしたり、値下がりしたものを修正すれば、H24以降の年の経営分析にも通用する。 

(4)黄色の囲みは、貴経営の常時飼育羽数=Xだ。各科目の傾向値Yはy=aX+bの
式で得られる。エクセルに下表と同じ行と列の表を作り、下記数値も記入する。そして、
黄色い部分の自家の羽数を{定数}とした定数掛け算の答えをy金額欄に打ち出すようにする。定数掛け算の仕方はパソコン集計に詳しい人に聞けば教えてくれる。 

 いずれにしても、経営の良否について一定の物差しを持つべきで、直売比率100%(ケーキ店や食品店への直卸含む)の優良事例の場合、同規模指標レベルに比し、粗収益2.8倍、所得で3倍という結果になる。

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