2011年3月4日金曜日

農産物直売所-損益の指標はどうなるか!②


 カット写真は栃木の生産者からいただいた「とちおとめ」。生産者番号をフイルムに印刷

前回も述べたが、まずコントロールすべきは最大の経費である人件費だ。スーパーやコンビニを含む各種小売業の労働分配率は46.6%という数字もあるが、新規出店の場合「初期設備投資の償却もかさむので45%ほどに抑えるのがベター。
 
 粗利益率17.5%の場合、人件費率は×0.45=7.88%になる。3店平均の9.02%-7.88=1.14%・・・が浮いてくる。経常利益の2.11%+1.14=3.25%となる。小売業では3%前後の経常利益を目標にするのが常識である。スーパーの40社ほどの平均は1.55%だが、価額競争でなく鮮度・品質中心の「こだわり競争」であれば、この程度は取れるはずである。実際、事例3事例の1つはそうなっている。
 
 次に大切なのは初期投資である。初期の設備+運転資金投資は・・・年売上高÷3より少なくすることが原則だ。つまり経営資本回転率を年3回以上にする。スーパーでは平均3.15回転という数字が出ている。直売所の場合、冷ケース、肉・魚などのバックヤードへの投資は少なく、安い木の平台中心で、3回転では甘いぐらいだ。

 売上予測に見あ合わない広い売り場、電気や空調が無駄になる高い天井の建物であれば、コストがかかり無駄も生むことに留意する必要がある。以前にも書いたが、直売所の売り場面積見合いの平均的売上高は 年y万円=256.5xー1,026.1 (x=坪面積)。年商の1/3以上の投資になっている場合は、売り場の予定を2/3とかに圧縮してみるとよい。2/3の面積でも工夫次第で1.5倍分の品揃えとそのボリューム確保は可能である。

 ちなみに売り場面積見合いの平均客単価を紹介しておくと・・・客単価y円=3.46x+1,020(x=坪面積)である。 さらに年売上高÷客単価=年客数である。一般に50~150坪くらいで客単価は1,500~1,600円のはずだが、60坪で1,800円の店もある。157坪の店の品目数が53品に対し、この60坪の店は87品であった。同一品目について選択できるよう複数アイテムあることも必要だが、まず品目の多さが必要なことを教えてくれる。

 品揃えに魅力があればそれだけ買い回り、客単価は上昇する。肉のインストア処理店では2,000円超えの店もある(う宮やーな=富士宮市)。

 ついでに言えば、直売所の多くは目標管理に沿った、計数の管理がほとんどできていない。パソコンのできない店長にもであった。POSレジがなんでも数字を処理してくれるが、結果を見てないし、生かしていない。ここがスーパーとの違いで、いずれスーパーが直売所経営に参入したら簡単に負けてしまいかねない。

 スーパーでは財務管理と合わせ、部門売上、部門粗利益率、部門ロス率、売り場1坪売上、従業員1人売上、従業員1時間当り粗利益額・・・など常時月ごとに分かるようになっている。この見張りが機能していなければ、JAの大型店であろうとも、タイタニック号に等しい。

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