農産物直売所は①生産者からの委託品、②市場や生産者からの仕入品からなる場合が多く、決算処理では、収入額は①については委託手数料のみの計上、②については売上を計上・・・と2つの異質なものが合算されている。
このため、収支目標を設定するには、①についてもひとまず手数料収入÷手数料率(例えば15%の場合0.15)として③仮の売上を立て、③+②を全体の売上として、各経費率を出し、順当か否かを検討するといったややこしいことになる。
ところで野菜・果樹や花の委託手数料が仮に15%としても、手作りの惣菜ほかの加工品は20%だったり、仕入品は粗利益設定が25%だったりする。委託手数料にしても12~23%までと差が大きい。このため粗利益率の目標を中間的な17.5%と仮定し、目標となる経費率を考えてみたい。
まず3事例について異なる手数料や粗利益率を17.5%に揃えて、そのとき各経費率がどうなるか・・・をそのまま紹介しよう。最大経費の人件費は9.02%(うち0.55%は福利厚生費)。これは粗利益の51.5%になるが、労働分配率と言える。
広告宣伝費0.51%、研修・会議費0.18%、修繕費0.13%、事務用品・消耗品費0.80%、水道光熱費0.63%、旅費交通費0.16%、各種手数料0.53%、公租公課0.25%、保険料0.18%、諸会費0.17%、リース料0.16%、原価償却費0.54%、地代家賃0.11%、管理費0.92%、雑費0.36%となる。この結果人件費を含む経費合計は14.65%。
包装費は消耗品に含まれるとみるべきだし、POP費は広告費や事務消耗品にまたがっているのではと推察する。また人件費以外で比較的多い経費は、管理費(保守点検、財務・清掃・警備などの外部委託?)、事務消耗品等、水道光熱費、手数料(配達?)などだが、正直3社3様の分類がされていて、正確につかみにくい。直売所についての経営管理の指導書がほとんどなく、横並びの比較検討がしにくいのが残念である。
17.50-14.65=2.85%が営業利益になる。ここから金利等の営業外損益を引いた経常利益は2.11%となる。
これを自店に当てはめたいときは、例えば粗利益率が17.5%でなく15%なら、各費用科目を0.857倍に圧縮、20%なら1.143倍に拡大して比較してみて欲しい。
問題は敷地、店舗、設備の所有形態が様々で、 一般常識からすれば家賃地代、原価償却費などはもっとかかると見るべきだが、第3セクターの土地・建物を安く使うような場合は逆に率がもっと低いのが現状である。
いずれにしても、粗利益額の51.5%を占める人件費のコストコントロールが、黒字化のカギを握り、①事前や日々の職員教育(質)、②時間帯別の適正配置(量の適正化)などに留意しないと、委託手数料の上限20%でも採算に乗らない。直売所の主人公は消費者や出荷生産者であり、一般スーパーレベルの①②に努めることが店側の使命である。
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