2024年12月2日月曜日

スーパーの顧客の交通手段と買物動向

 1.自動車率は地域により15~60% 

車の普及で、「モータリゼーション中心の買い物になりつつある」と思いがちだが、食品の購入のばあい、商圏半径は0.8~2.5kmのため、全国66ケ所の当方統計では、表-1のように自動車36.6%、自転車35.4%と、二つが拮抗している。徒歩はこれらの半分の17.9%だ。配達という非店舗購入も5.6%あることを忘れてはいけない。 

1世帯の自動車購入費は平成8~10年に最高額を示し、その後は漸減、21年からやや回復傾向にある。以上からすれば、すでに車社会のニーズは満たされ、全国的には表のレベルが一般的と考えてよい。高度な車社会の長野の優良スーパー・チェーンのばあい、年約500万円に1台の駐車場になっている。 

したがって長野の%を基準に、地域の自動車率を調べ 地元率/長野率=a とし、年商予測万円÷(500万円÷a)=上限駐車台数 となる。そして面積は1台10坪が標準ではないか。山梨のリサーチの際、「2店回るときもあり、日蔭でないと生鮮が痛む」の声も聞いた。夏日の厳しい地方では一部屋根のある駐車場も必要である。 

表―1 交通手段別の構成比%      (近藤調査)


手段

区分

全国66

地区平均

東京35

地区平均

長野11

地区平均

配達

5.6

4.6

9.5

徒歩

17.9

24.7

8.6

自転車

35.4

49.7

18.1

バイク

2.1

1.0

3.2

自動車

36.6

15.2

59.6

バス

1.3

2.8

0.5

電車

1.1

2.2

0.5

  問題は今後エコを考えると、駐輪場も広く、かつ停めやすくし自転車を奨励する雰囲気を作ることも大切、ガソリン代の高騰もあり、自転車客も増えるはず。 

2.各種の自動車要素の数値

 ここでは、①自家用車保有台数、②主婦の運転免許率、主婦のマイカー保有率の3点を紹介する。ついでに平均値も最下欄に示す。 

表―2 自家用車保有台数別の構成比% 

台数

全国66

地区平均

東京35

地区平均

長野15

地区平均

0台

9.4

15.9

5.2

1台

50.5

71.4

19.7

2台

26.4

10.1

42.9

3台

8.8

2.1

19.8

4台

3.5

0.4

8.2

5台上

1.4

0.1

4.2

平均台数

1.51

1.01

2.19

表―3 主婦の運転免許取得率%

有無

全国66

地区平均

東京35

地区平均

長野11

地区平均

有り

54.5

41.7

69.4

無し

45.5

58.3

30.6

表-4 主婦のマイカー保有率%


有無

全国66

地区平均

東京35

地区平均

長野11

地区平均

有り

34.6

11.4

59.7

共同利用

13.0

19.2

4.2

無し

52.4

69.4

36.1

  表―1、表―4からすると、食品+雑貨の買い物のばあい、ほぼ買い物に車を使う率は、マイカーの保有率に比しやや多い程度である。やはり自身の車でないと日常的に車を使わないと見られる。 

長野など兼業農家も多い地区では主婦平均60%ほどまでマイカーを持ち、農家などは敷地も広く3~4台の駐車場が見られる。それでも70代過ぎの高齢層は結構免許を持たない主婦も多く、「買い物を含む家計の主導権が、昔と違い若奥さんに移っている」の感を深くする。 

逆に、東京など市街地では、自転車+徒歩で75%になり(車は1世帯1台平均で、ご主人が主に使う)、高齢主婦といえども家計をがっちり握り、優雅な年金生活を送っている。大都市と近郊部では、高齢者をターゲットとするマーチャンダイジングにもっと目覚めるべきだ。高齢者向けのプレゼンのPOPをほとんど見たことがない。 


3.交通手段別の移動距離(別項にも掲載)
 

 食品を買うため主婦は徒歩なら、自転車なら、車なら・・・どのくらい移動してくれるのだろうか?
   これはスーパーにとっても、食品専門店にとっても、チラシ配布エリアや、駐輪・駐車台数の適正配置上、重要なことである。だが意外にもはっきりした資料がない。下記のまとめは、当方が訪問調査で得た買物先、購入先別の購入シェア(頻度と客単価を想定し全戸計算)を前提に計算したものである。 

    地図に訪問家庭を点で落とし込み、該当スーパーに向けて、シェアに応じた長さの→を記入してあるので、交通手段別(これは原票に記入)の距離や購入シェアを、いつでも整理可能なのだ。距離は迂回でなく、あくまで直線距離だ。迂回距離はとうてい測れないし、他の地域に適応しにくい。この点では直線距離のほうが、他地区に適用しやすい。 

(1)徒歩(96事例) 平均移動距離0.54km 

 表のとおり、普通は「徒歩商圏750m」と言われてきたが、実態も750mまでに79%まで集中している。0.75kmを越えると急速に該当者が減る傾向にある。だが1.5kmまで来ているが、回帰分析から、限界距離は1.22kmという解も出てくる。なお結構、健康がてら、散歩がてらに長距離を徒歩で行く人も増えている。 

 家庭内のシェアにおいては、0~0.25kmは50.8%にもなる。0.25~0.75kmでも39~34%ほどを維持し、自転車や車客より高い。よく「徒歩客は購入額では最大の良い客」と言われるが、固定客になりやすく、客単価は低くても(持てる限度ある)、購入頻度が高くなり、毎日型の来店も多く、当然の評価である。 

表-5 距離別・交通手段別の利用度と購入シェア

距離区分


距離別利用者率%


家庭内平均購入シェア%


km


徒歩


自転車


自働車


徒歩


自転車


自働車


~0.25


16.7


4.5


 


50.8


30.8


 


~0.50


30.2


26.3


11.5


38.6


31.2


35.3


~0.75


32.3


30.1


20.7


34.2


26.4


23.2


~1.00


12.5


21.8


17.2


27.6


22.7


26.5


~1.25


6.2


9.8


6.9


19.0


16.7


24.0


~1.50


2.1


3.8


12.6


4.1


19.7


17.9


~1.75


 


3.0


9.2


 


5.1


32.7


~2.00


 


0.7


14.9


 


18.6


30.8


~3.00


 


 


2.3


 


 


9.6


~4.00


 


 


3.5


 


 


4.4


~5.00


 


 


1.2


 


 


5.0


(2)自転車(133事例) 平均移動距離0.71km

 平均距離からすれば、徒歩との差は200m足らずである。「楽に早く近隣を回れる」という便利さもあって、かなり近隣でも自転車は利用される。利用者例も徒歩より多い。 

 徒歩に押され0~0.25kmは、利用者が極めて少ない。0.25~1.00kmの利用者が78%と圧倒的に多い。1.0kmを越えると急減するが、限界距離は回帰分析では1.56kmとなるも、実際には2.0kmの例もある。 

 購入シェアにおいては、荷台に乗せる量に限界があり、頻度を考えたばあい車より家庭内シェアは低くなっている。 

(3)自働車(87事例) 平均移動距離1.38km

 平均距離からすれば、自転車の倍近くになっている。車には限界距離がないとも言えるが(たとえば、農産物直売所は狭くて5km、15~25kmもあれば、観光地型は50~200kmに及ぶ)、日常の買物では今回のように約5kmになる。スーパーの一般的な商圏半径は、モータリゼーションの進んだ長野・群馬当たりでも2.5kmほどが普通。5kmも走れば、一般的には隣の商勢圏にまで出向くことが可能な距離である。
 

表のように、0~0.5kmの利用者は皆無であり、0.5~2kmぐらいまでに分散している。2kmを超えると急激に減る。これは先記のとおり、食品中心の商勢圏はほぼ半径1.5~2.5km単位に分割されていることとも関係する。

しかし、0.25~2.00kmの間、購入シェアは安定しており、「距離に関係なく、自己が魅力とする店に行く」傾向が強い。自働車にとっては1kmも2kmも50歩、100歩であるためだろう。また運搬重量にも耐えるからだ。 

車の積載量が多いことと合わせ、やや離れていても楽にマメに通うこともでき、購入シェアは自転車よりやや高めになる。ただし2kmを超えると間に合わせ買いのためか、急激に購入シェアは低下している。

・・・以上が、交通手段別の購入動向だが、①0~0.25kmは徒歩中心、②0.25~1.00kmは徒歩・自転車・自働車の選択圏、③1.00~2.00kmは自働車中心の自転車の選択圏、④2.00km超えは完全自働車圏と見てよい。

 高齢化が進めば、自働車→自転車→徒歩への流れも加速、配達、御用聞きといった必要性も増してくる。次なる対応も必要になる。

4.週の買い物回数は

 車による買い物はまとめ買が可能になり、徒歩・自転車ではコツコツ買いになる。では週の買い物回数はどうなるか?

表-6 週の買い物回数

週回数

全国66

地区平均

東京35

地区平均

長野11

地区平均

0.5-

1.5

0.2

3.9

1.5-2

7.1

3.9

14.3

2.5-3

15.0

12.5

22.3

3.5-4

22.5

22.5

23.6

4.5-5

15.0

16.6

11.0

5.5-6

7.5

7.6

7.1

6.5-7

31.4

36.7

17.8

平均回数

4.66

5.00

3.92

 結構、毎日に近い週6.5~7回が全国的にはトップで、ついで1日置き程度の週3.5~4回が2位となる。日本ほど「鮮度志向」の強い国はなく、今もって毎日派の多さ(約31%)を支えている。しかしモータリゼーションが進み、商圏半径も2.5kmと広い長野では毎日派は18%ほどまで低下する。農家や家庭菜園を持つ家も増え、野菜が自家調達できる面もある。 

  今後は高齢層も考え、果物のブドウとかカット・スイカをプラスチックの容器に入れ小口に販売したり、サンマやアジの1尾もの、切り身の1切れものを強化する。また野菜・果物や鮮魚等のアイテムを変えながら訴求する・・・これらの努力が来店頻度を高め、同時に購買力全体のアップにつながるはず。 

 鮮度については、保存法が発達しており、どうしても来店しにくい人には、各商品別の適正な保存法のPOPをつけ、ときに簡易パンフを配ることも必要ではないか。現在のスーパーは省力に走り過ぎ、プレゼンを伴うPOPがほとんどない。これまた反省すべきことだ。 

 


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2024年11月25日月曜日

団地やマンションのベランダー日光浴に最適の場

 

 

写真① ベランダの丸椅子と足を載せる外壁               












写真⓶ 11月だと3.6mも太陽が室内に差し込む

    この太陽光を利用しない手はない。手前は

    枕。上はひざ掛け。


 高層の団地やマンションにお住まいの方も多いと思う。高層住宅ではどの棟も太陽が当たるよう、東南、南、南西向きに建てられているのが普通。私の場合は午後1時の方向を向いた建物の下層階だ。幸い建物前が広場状で、太陽に近い側に別の建物があるが、それらの北側の窓はたいがい閉ざされ、仮に開けて望遠鏡で覗かれたとしても、細かい動作までは分からないはず。 

 こうした条件のなか、白い壁と手すり、ネズミ色の床に囲まれた幅90cmほどのベランダで、このところ天気の良い日は丸椅子を置き座り、足をベランダの外壁(80cmほど)に乗せ、日光浴を満喫している。晩秋以降になれば部屋の中にも3.6mほど陽がさしこみ、敷物を敷き上半身裸で日光浴することもある。実際に味わってみると、無風状態で太陽がさんさん・・・とう日も多く、実に快適だ。上半身裸であればビタミンも作られ、健康上の効果も高いと信じている。 

 上半身裸は全員にはお勧めできないが、せっかく高層の南面に住み、洗濯干し場のみにベランダを使っている人に申し上げたい・・・ベランダは狭い中庭である。ぜひとも鉢花などを育てる場だけでなく、開放感や健康に寄与する日光浴の場にも十分利用してほしいものだ。

   

ビタミンⅮの形成

   厚生労働省の調査によると、食品からとるビタミンDの必要量の目安は5.5µg程度。それに対して、1日に必要なビタミンDの量は15µg以上とされている。足りない10µgのビタミンDは、太陽光線を浴びて体内で生成する必要がある。

 紫外線の量は季節や場所、時間帯によって変動し、皮膚のタイプによっても変わるが、1日に必要な日光照射時間は、夏であれば15〜30分程度だ。

 ビタミンⅮの効用 (健康長寿ネットより)

 ヒトを含む哺乳動物では、ビタミンD2とビタミンD3はほぼ同等の生理的な効力をもっています。ビタミンDは肝臓と腎臓を経て活性型ビタミンDに変わり、主に体内の機能性たんぱく質の働きを活性化させることで、さまざまな作用を及ぼします。ビタミンDの生理作用の主なものに、正常な骨格と歯の発育促進が挙げられます。また、小腸でのカルシウムとリンの腸管吸収を促進させ、血中カルシウム濃度を一定に調節することで、神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行う働きがあります。

2024年11月14日木曜日

有機農業技術の集大成 農文協刊の大辞典

 

 戦後、長らく有機農業をけん引してきた農文協が、その集大成として「みんなの有機農業技

術大辞典」第1巻(共通技術編)と第2巻「作物別編」を完成、発売した。合わせて2,20

0ページに及ぶもので、2巻で定価44,000円である(2巻合わせ売り。単巻だめ)。

 1巻:共通技術編 ①有機農業とは何か ②有機農業と炭素蓄積 ③有機農業の共通技術 ④農家の有機資材 ⑤無農薬・減農薬の技術 ⑥話題の有機栽培 付録

 2巻:作物別編 ①水稲 ②畑作・転作作物 ③野菜・花 ④果樹 ⑤茶 ⑥畜産 検索 

出版の目的は  

 有機農業に取り組む農家の経営体は、現在全国に約6万9000戸あるが、その63%は65才以上。うち7割は後継者がいない。このため先駆者の知識や技術が失われてしまう。一方で今、新規就農者の20%が有機農業に取り組んでおり、技術の伝承はいそぐべき課題だが、それなら農文協が得意分野である。

本書は、農水省が作成した「みどりの食料システム戦略カタログ」にも対応している。カタログ紹介されているさまざまな技術や研究を、より詳細に解説する内容。そして、例えば「RNA農業」や「ゲノム編集」などは掲載していない。すべての研究を載せるのではなく、「農家が本当に現場で使えるか」という視点で厳選している。

本書は「共通編」「作物別編」各1100~1200ページの2巻セット。その核をなすのが全国の農家事例、農文協の機関雑誌「現代農業」に登場する農家たちから、試行錯誤して磨きあげた農業技術を、改めて紹介してもらっています。

有機農業にはさまざまな農法や流儀がある。耕すか耕さないか、動物性堆肥を使うか使わないか、JASで認められた農薬を使うか否か・・・本書では、これらの違いを乗り越えたいと思ている。(一部省略)


 

 

 

 

農産物直売所の珍しい品揃えー埼玉県日高中央例

 

写真①上 木の古株を加工した置物や骨董
 日高市中央農産物販売所の紹介は3回目になるが、秩父市に通じる299号に面し、観光客を広域に引ける優位な立地だ。ために事実、売り場面積474平方メートル、駐車場約100台で、レジ5台という繁盛店である。顧客が多いこともあるが、「こんなものが」と思える他所の直売所で見たこともない珍しい品が多数ある。

 例えば・・・イネわら1袋500円(以下総て税込み)、イネもみ殻1袋500円、堆肥1袋225円、竹炭5リトル550円。このほか最初の写真のように、林に放棄された木の根(あるいは河川の流木)を加工したような置物、骨とう品とも言える火鉢などまで、かなりな量を置いている。盆栽も別途ビニールハウスも設けるほどシャボテンまで含め沢山扱い、青松12,000円、真柏13,000円という品もある。農村と都市とが接近し、消費も共通してきており、農家の皆さんが「これがあれば役立つ」「これはうるおいになる」と思ったものを販売して、成功しているように思う。







写真⓶ 松や柏、シャボテン他の盆栽

         

写真③上 野菜苗を保護するための敷き藁          写真④下 消臭の竹炭










写真⑤
 家庭菜園向きの堆肥やもみ殻も                         
写真⑥ 家庭菜園用の堆肥

 花は店舗内の33㎡ほどに、金属製の花桶を100ほども置き、ゆうに50種を超える様々な切り花が用意され、極めて選択性が広い。花栽培農家も多いようだ。店頭では16㎡ほどにパンジー、ビオラ各120円ほかの絞られた鉢花が並んいる。そのわきには、持ち帰りやすいようにポリ袋にいれた野菜苗も写真のとおり置いている。


  




写真⑦ 野菜苗


     

写真⑧ 切り花コーナー






写真⑨下 鉢花コーナー




2024年10月19日土曜日

令和の米騒動は実際に起きたー農水省は何をした!

 

 妻を介護中で、私も食が細く、コメは朝2合も焚けばすんでしまい、買い物の中心では無く、「なくなったので買おう」と馴染のスーパーのコーナーへ。8月のことだが、スーパーの棚に普通米は皆無。やむなく1kgのもち米の袋を買い、すこし水を減らし粘りを減らすことにし1ケ月以上しのいだ。10月中旬に同じスーパーの棚は80%だったり100%だったりで、コメ不足が完全解消していなかかった。全国の世帯に2ケ月にもわったって不足をおこした状況を、「騒動」と言って言いすぎだろうか? 

 もち米の朝~夕食を食べるなどは、過去に一回も経験がない。①令和5年がやや不作だった、②インバウンドで外国人が米を沢山たべた、③東海大地震の予測が出て買いだめに走る地方があった、④令和も猛暑で不作が懸念された・・・と様々な要因がある。 

ここで登場してきたのが「政府・備蓄米」の放出問題だ。備蓄米という字はネット上では多数でてくる。生産者、農協、卸売り業者こぞって、ここぞとばかり「家庭内の備蓄にうちの米を」と宣伝するからだ。 

 問題のあるのは「政府備蓄米」だ。1993年に起きた「平成の米騒動」(記録的な冷夏により米の供給が不足した)が起き、政府は1995年に凶作時の米不足が起きないように、常時100万トンほどを目標にした備蓄を開始。この数字は10年に1度の凶作や不作が2年続いても耐えられる数字である。毎年20万トンほど買い入れはじめた。そして保管期間の5年を過ぎたものは、飲食用の米の流通に影響が出ないよう、「飼料米」や学校給食用などに放出する。 なお備蓄米は、多収穫でコストのやすくあがる飼料米だが、多収のため味が少し落ちる程度と言われる。

今回、この政府備蓄米はまったく活用されず、坂本哲夫農林水産大臣は、「今年の作況悪くない。新米出回る9月中には米不足は解消する」として8月27日に。卸売業者に「小売業に充分米が渡るよう」にと要請したにとどまるのだ。飲食用の米の流通は自然の需給関係に任せ、政府が関与すべきでない・・・との考えもあったようだが、問題は政府の備蓄米制度が極端にお役所しごとに成り下がっていることだ。備蓄米の放出については、「食料・農業・農村政策審議会食糧部会」において、放出の必要性に関し、作柄、在庫量、市場の状況、消費動向、価格及び物価動向等について総合的な観点から議論を行い、これを踏まえて、農林水産大臣が備蓄米の放出等を決定する」となっており、臨機応変に対応する仕組みになっていない。 

今後も不作だけでなく地震、津波、大規模洪水など全国的、地方的な急激なコメの過不足は起きる。緊急時には地方的にも放出が短期に可能にする法律に換えるべきである。そうすれば、「緊急会議が開かれる」というだけでパニックは事前に収まりもする。

農林水産省は11月19日(令和6年)の発表

 JAグループなどの集荷業者がコメを卸売業者に販売した際の相対取引価格を発表しました。それによりますと、ことしの新米の10月の相対取引価格は、すべての銘柄の平均で去年の同じ月と比べて57%上昇し、2か月連続で過去最高を更新しました。

産地別 価格上昇率】

北海道産「ななつぼし」63%
秋田産「あきたこまち」55%
山形産「つや姫」35%
新潟・魚沼産「コシヒカリ」22%


 農林水産省は、コメの高値が続く理由について農協が農家に前払いする「概算金」が増えたことや、集荷業者の間でコメの確保に向けた競争が激しくなっているためだとしています。

農林水産省では、9月下旬からスーパーなどでのコメの販売量は減少しているとしていて、今後、価格にどのように反映されるのか注視することにしています。 ネット情報より





2024年8月15日木曜日

マンション大規模修繕ー24年間の価格ダウン幅9%例

  








どこのマンションも、おそらく大規模修繕積立金を値上げするか否かで、頭を抱えているはず。確かに積立金の増額は、そこで生活する限り負担増。だが、耐震建築で作られた高層のばあい80年住宅、100年住宅とも言われ、水漏れの無いよう防水につとめ、新規塗装もし、水道や下水の漏れも防ぎ、かつモダンな、あるいは斬新な色の外装をすると、資産価値が高まり、「びっくりする値で売ること」もおきている。600~1,000万円の入間市周辺の売りマンション物件は、立派な退職金をもらう人にとれば、「戸締りが簡単で安全度が高く、老後の2人住まい等にもってこい」となる。ために、人気が出ているようだ。たとえば24年も前に買ったのに、値下がり幅は「わずか9%なのである」・・・信じられない話が次々起きている。いま築43年で80年住宅とすれば、まだ37年も住めるので、子供世代も住み続けられる・・・これも大規模修繕が継続し行われてきたからである。

下記は最近インターネット上に掲載された大規模修繕の記事そのもので、私の自身の原稿ではない。貴重なデーターなので。是非参考にして欲しい。

マンションの大規模修繕工事などのために、区分所有者らが負担する修繕積立金について、長期修繕計画で必要と定めた積立額に対し、実際の額が「不足している」と答えた管理組合が計36・6%に上ったことが、国土交通省の調査で分かった。新築分譲時に低く設定した積立金を、計画通り増額できていないことが背景にあるとみられる。(斉藤正志)

 修繕積立金が不足したままでは、12~15年程度の周期で行う大規模修繕工事が計画通りにできず、大幅な値上げが必要になる可能性がある。

 国交省が5年に1回、実施する「マンション総合調査」は、2023年10月~24年1月に全国約4300の管理組合を対象とした。

 長期修繕計画に対する実際の積立額との差は、20%超の不足が計11・7%となり、80%超は計5・0%に上った。10%超~20%が3・7%、5%超~10%が2・9%、5%以下が18・3%だった。

 計画的な増額が難しい理由の一つには、その積み立て方式がある。

 同調査によると、47・1%の管理組合が新築分譲当初は修繕積立金を低く抑え、段階的に値上げする「段階増額積み立て方式」を採用していた。将来の修繕に必要な額を見据え、均等に案分して負担する「均等積み立て方式」は40・5%だった。

 国交省は、安定的な積み立てのためには、均等積み立て方式が望ましいとするが、現状は段階増額積み立て方式を採用する管理組合が多い。マンションの開発業者が買い手側の負担を軽く見せるため、分譲当初から同方式を設定しているケースがあるとみられる。

 同方式を用いる管理組合の59・4%は「計画通りの額まで増額できた」と答えた。一方で、26・4%は「引き上げはできたが計画通りの額までは増額できなかった」、7・8%は「増額を検討したことも実施もしたこともない」、3・6%は「増額したかったができなかった」とした。

 修繕積立金の引き上げは、管理組合の総会で過半数の賛成を得る必要がある。合意形成がうまくいかず、長期修繕計画で見積もった通りに増額できないケースがある。

 一方、修繕工事費は高騰している。22年2月からのウクライナ戦争に端を発した円安により、輸入に頼っていた資材価格が上がっている上、24年4月からの建設業の残業規制で人件費が高くなっているためだ。

 国交省によると、22年末時点のマンションの総戸数は約694万3千戸。うち築40年以上は約125万7千戸で、42年末には3・5倍の約445万戸まで増えるとしている。

 マンションの老朽化が社会問題化しつつあるが、同調査では、老朽化対策について「議論したことがない」と答えた管理組合が66・1%に上り、「ある」は25・8%にとどまった。