2010年11月27日土曜日

農産物直売所の集客半径は?車客は?頻度は?

 農産物直売所と一口に言っても、その性格は実に様々。当方の各平日・土日に分けた各400人の調査では、①近隣型でサブ幹線道路に面した場合が6.1km(車客の率67.4%)、②観光客がドライブに多く使う幹線道路沿いに面した場合が17.8km(同・86.5%)、③道の駅付帯で主幹線道路に面した場合が約25km(同・87.5%)。調査はしないが、観光地にある広域型では100~200kmになっても不思議でない。
 
 「随分細かい距離計算」ですね」と思われるかもしれないが、これは距離別の累計客数をLOGの最小2乗法で処理し、傾向方程式が100%に達する距離です。ポツリポツリとは県外とか上記以上の距離からも来ていても、客数貢献度からすれば無視してよくこうなる。
 
 問題は近距離型での約67%=約2/3は車客。中・遠距離型では約87%が車客。駐車場が充分なく、「順番待ち」ともなれば次に来るのを敬遠する。個性あるローカルにある広域型のスーパーの例を見ると年約500万円の売上に対して1台の駐車場になっている。年1億円売りたい場合、最低20台は
必要になる。5億円なら100台以上だ。
 
 大都市の中の駐車場の少ない直売所がどうしても苦戦するのは、直売所は専門店的で「広く浅く集客する」ためで、総ての人が対象になりにくい・・・という事実をしるべきだ。つまり別項で触れたがライフスタイルQ型(鮮度・品質=クオリティ型)中心の集客ということ。

 実際の来店頻度は、来ない人まで入れた計算では①の近隣型で、1km内の人でも週平均0.254回、③の遠距離型では0.194回と頗る低い。主婦は平均4店ほどのスーパーほかを回り、平均週
4.34回買い物に出るので(全国55地区-当方調査)、週1店1.09回の頻度となる。ここに4倍、5倍の開きがある。スーパーと業態差(近隣型)があり、頻度の差は残るが、魅力次第で直売所への来店頻度を大幅に上げる余地があると見る。
 
 このためには、店頭調査を年1回は繰り返し、苦情・要望を正確につかみ、イノベーションをすることが大切。店頭調査ならぜひ当方に任せていただきたい。売上予測の調査も同様だが、3地区について距離別集客係数を持っているものの、立地差が大きい。やはり類似の条件の直売所の店頭調査をし、係数を割り出し新規店に適用するのがベター。これもお任せください。



 

 

2010年11月26日金曜日

地産マルシェは地元連携の本物直売所


 「よくここまでやっているな!これは本物だな」と言えるのが都内地産マルシェだ。群馬県前橋市に本拠地を持つファームドゥ株式会社が経営する都内の阿佐ヶ谷店と中野店を改めて見た感想である。

 この会社は農家直送の採れたて野菜を中心に地元産の各種の加工品を扱い、レストランまで含む「食の駅」を群馬県下で5店舗展開している。「地域社会へに貢献」をモトーに生産農家と地元の中小の加工業者を一体化し、従来の農産物直売所と違い、ワンストップ(1ケ所で多種揃う)な直売所を都内・埼玉にも11店出している。

 阿佐ヶ谷店は約32坪、中野店は約45坪(レジ2台、常時2人体制?)とコンビニと同等かやや大きめの広いさに過ぎないが、野菜の品揃えは150坪の直売所以上に豊富で、細かく並べ阿佐ヶ谷60~中野130品にも及び、有機あり、泥つきのニンジン、ダイコン、ゴボウ、ネギありだ。

 さらに精肉(中野12品)、塩干魚(同・7品)、惣菜だけでなく、地元のメーカーさんの顔写真、名前まで掲示して豆腐・納豆類、こんにゃく、麺類、牛乳・乳製品、ハム・ソセージ、パン、ケーキの一部、和菓子、米、卵まで揃えています。特徴の出しにくいドライ食品は4尺のゴンドラ2~3本ほどに圧縮し、頻度の高い生鮮品、日配品に絞り、豊富さをキープしている。米粉入りのパン、バームクヘン、ハードケーキまである。
  
 

 「本物だな」と言ったのは、群馬の地元産、しかもこだわり品ばかりを置いていること。ナショナルブランド品は10品もないくらい。いま「農業の6次産業化・農商工連携」という言葉が盛んに使われているが、「地域の各業者の横の連携がポイントになる」とされるが、マルシェはこれを見事に実現している。素晴らしい。
 
 
 垢ぬけした店舗で、老いも若きも関係なく、こだわり客が来るはず。 営業時間のAM10~PM7:30ないし8:00時というのも好感が持てる。これなら並みの直売所と異なり、兼業主婦でも来店可能になる。

 
 60代の主婦は、「病院の近くなので、ある時寄って、野菜が新鮮で安いし、珍しいものばかりある。最近はバスでよく来ている」とのこと・・・話が弾み、一緒にバス停まで帰った。