2013年5月21日火曜日

オランダの「農業革命」スマートアグリに学ぶ(NHK20日放映)!

 NHK5月20日19:30~20時「クローズアップ現代」を見られた方も多いと思うが、その概略をメモから再現しよう。農業のIT化を進める人、IT化に関心を持つコンサルタント等は必読である。

 オランダは九州ほどの面積にもかかわらず、農産物の世界第2の輸出国。施設園芸も輸出を前提に革新技術を採用してきた。東京ドームの何十倍ものハウスがあり、天井の高さは日本の2倍(6m)もあり、3倍も収穫できるそうだ。このハウスはスマートアグリの概念によって温度、湿度、水、CO2、日照等の基本要素だけでなく、500もの要素をITでコントロールしている。こうした大規模生産起業が5ヶ所ほどあり、主にトマト、キュウリ、パブリカなどを栽培している。

 その1つの経営者であるフランクさんは、農場から離れた事務所に朝7時に出向き、パソコンに向き合い操作し施設を管理している。めったに農場には出向かないようだ。要素別の適性数値はあらかじめ入力され、時間の経過にしたがい適正数値と実態値がPC上に表示される。適正値に沿い、各種オートメーション機器が作動し、両者のブレは微小にとどまるよう管理されている。生育促進のため、COの発生装置も持っているのが日本との違いか?

 土壌は汚染を防ぐため人口繊維で、養分や水は毎日60回、自働的に散布され適正レベルに保たれる。水も殺菌されたものを使う。COは2倍以上にコントロールされているようだ。これらのPCデーターは経営コンサルタントとも共有され、たえず修正もできるようだ。

 フランクさんもかつては、昔ながらのハウス栽培をしていたが、EUの前身のEC(欧州共同体)ができた31年前に安い農産物が輸入され打撃を受けた。オランダは農水省と経済省を統合した組織に再編し、IT農業を支援した。フランクさんは100億円を投資し、現在52.5haを経営、46億円を売り上げている。そして15ha、5haと今後も拡大計画を持つ。

 ゲストの三菱総合研究所・主任研究員の伊藤保氏は、「日本も農業のIT技術は進んでいるが、国内向けに美味で安全なものを出荷する技術を個々人が持つため、スマートアグリの必要性を感じてこなかった。オランダや韓国は輸出を前提に、コスト競争力をつけるため、スマートアグリが進んだ。高い天井のハウスは台風とうに弱いということもある。熊本には現状のハウスを強化し、スマートアグリを導入、トマトについて500~1,000の要素を管理している農家もある」。

 「東北大学主催のスマートアグリカルチャー研究会では、カメラと連動させたスマートアグリも考案している。身の丈に合った対応が必要である」

・・・と言う。しかしに国内消費が縮小するなか、農業の成長戦略として「輸出拡大」が謳われており、国谷裕子キャスターは「チームジャパンを立ち上げ、スマートアグリを推進する必要があるのでは」と結んでいた。

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