2022年12月12日月曜日

古地図で見る農村の変貌(入間市野田地区)

 

写真:わずかに黄色く見えるのが田んぼ。上方の中央が、最も広い谷田の泉を水源とした

 昔の水田部。水田には無数の上田、中田、下田、下下田の文字が書かれている。


                                                                                       近年になり、鮮明に描き換えた同地図

   入間市野田という名は、南北朝時代(1336~1392年)からあったそうで、武蔵七党の円党に属する野田氏が開拓した土地だから、その名がある。 

仏子エリア全体の古地図にはまだ接していないが、入間川北側の野田については、明和4年11月(1767年・・・今から255年前)に記された「野田村絵図」という古地図が西武図書館に保存されている。ほぼ、今の野田のエリアに近いと思われ、谷田の泉の南西部に楕円形の、そして円照寺の北部にはおしゃもじ型や、東西に延びる細長い田んぼが見られる。全体の面積の20%以上は田んぼだったのでは。 現在は田はゼロに近い。

田んぼには必ず上田、中田、下田、下下田と4区分の字が無数に記されている。これは、田の年貢取り立てのための生産性(収量)の差を現わすようで、この地図は、地元領主が年貢取り立てのために描かしたものと思われる。畑にも上畑、中畑、下畑の文字が書かれている。

当時の人家も1戸ごとにマーク的に描かれており、私の計算だと137戸になる。現在の大字・野田は2022年11月現在4,203世帯であり、30倍も戸数がふえたことになり、明治以降~高度成長期に急速に住宅地として拡大してきたと言える。 

住宅地の中に「おしゃもじ田」というところがあるが、2~3年前はかつて田があったことを思わせる底地だった。円照寺以北の水田は、入間川から水を引くのでなく、谷田の泉近くの田のように、段丘の湧き水に支えられていたはずである。谷田の泉=「下池」の西方向にもう一つ「中池」というため池もあり、田の水源になっていたため、谷田の水田といわれるものが、水田としては最も広く描かれている。他の水田は飯能側から流れこんだ川沿いに細長く東西に延びる横長の田がほとんどで狭い。。


谷田の泉と周辺.







写真:上は「下池」と言われる

谷田の泉を支えるため池

中は「谷田の泉」の説明板・・・詳しく非常に参考になる。

下は昔、泉につながる水田だった低地…驚き!水田が現存した!!

      小学生さん等のための実験田か?刈り残しのイネ株ー野田最後の田!

 現在の谷田の泉は、段丘の下部からわずかな水を噴き出しているにすぎないのか、土手で囲んだ下池というため池は水量があるものの、よどんで流は感じられない。スズメバチの巣が付近にあるため「注意」の紙がはられている。人影が少ないのはこのためか。南手には昔水田だった面影のある低地が広がり、水を流す水路が周囲を囲んでいて、一部に刈り後のイネ株が。現在ここ以外には田は皆無のはず。この野田地区の大方のエリアには、畑もかなかなり残っていて、貸農園もある。

2022年9月24日土曜日

下水道処理品から廉価なリン肥料

 この記事はネット上に津村豊和さんという方がアップした記事である。下水処理場の汚水をもとに安価にリンを取り出した話。この再生リンを使った肥料は従来より2~3割も安くなる耳よりな話。ぜひ農業者やJAは地元の下水処理場と話し合ってみる必要がある・・・・


福岡市に七つある下水処理施設の一つ、東区の和白(わじろ)水処理センター。積み上がった白い結晶を職員に両手のひらですくってもらうと、指の間から砂のようにさらさらとこぼれ落ちた。臭いも全くない。

 結晶の正体は「再生リン」。窒素、カリウムと並ぶ化学肥料の3要素の一つのリン酸を、市民生活で出た下水から回収、抽出したものだ。市は博多湾の水質汚濁を防ぐため、1996年にリンの回収事業をスタート。さらに、国土交通省が開発した回収技術を今年4月に導入したことで回収量が15倍になり、年間に最大で150トンを見込めるようになった。

 回収量が増えたのを機に福岡市は、JA全農ふくれん(同市)と共同で、再生リンを使った肥料の製品化に取り組むことにした。従来商社に販売していた再生リンは肥料メーカーに渡り、堆肥(たいひ)に配合して肥料に生まれ変わる。ふくれんが8月末から福岡県内で農家向けに販売を始めた。

 日本は肥料に欠かせないリン酸のほぼ全てを輸入に頼っているが、価格はロシアのウクライナ侵攻などで高騰している。そうした中、再生リンを使った肥料は従来品より23割価格を低く抑えられるといい、肥料の値上げに悲鳴を上げる農家にとっては朗報だ。

 約97000人の下水処理人口を抱える和白水処理センターの佐々木友幸所長は「海外のリン市場価格に左右されず、農家に安定的に肥料を提供できるシステムにしていきたい」と意気込む。白く輝く結晶のいくつかは、畑と食卓を経て、やがてこの場所に再び巡ってくる。【津村豊和】


 農水省もさっそく利用促進を予算化(朝日新聞報道)

 10月9日の朝日新聞の1面トップに、さっそく「肥料 汚泥の活用促進 政府 化学原料高、国産化へ」の記事が出た。農水省は2023年予算に3100万円を計上し、汚泥肥料の利用拡大を図る。職員が下水汚泥を肥料化する施設を訪れ、汚泥肥料の成分を実際に測定し、安全性をPRしたり、窒素やリン酸が豊富で使いやすいことをアッピールしていく。

 排水中にはカドミウムや水銀などの重金属が濃縮されている可能性があり、かつ汚泥から作るので臭気も強い。これらに対する十分な対策が必要になるようだ。

 

2022年9月13日火曜日

森永卓郎氏の「マイクロ農業の実戦」講演会ー10月8日

                                

 

  森永氏は独協大学経済部教授でありながら、にこやかに、かつ分かりやすく経済問題を解説してくれる茶の間の人気者。 三冨落葉農業地区を含む所沢市に住み、自らも農作業をし、「好きな物を自分のペースで作るマイクロ農業」を提唱している。 

 10月8日(令和4年)土曜の14~16時に、三芳町藤久保1100-1のコピスみよしホールで、この森永先生の上記に関する講演会が行われる。 演題:「農業との関りで、楽しく、安心でき、豊かな生活を」 400名様に限り無料参加できる。主催は三冨地区農業振興協議会。申し込みは10月3日締め切り。

電話 :049-242-1808

FAX :049-243-7233

メール:r4218103@pref.saitama.lg.jp

講演内容・・・当方、左耳が全く聞えず、当日の富永先生の講演も聞き取り不可能であった。だが先生の著書「マイクロ農業のすすめ」(農文協 1,400円)を読めば講演以上に

深い理解ができる。本では、日本の政治、経済にまで踏み込み、日本農業の問題点についても、多角的な分析がされいる。そして都市と農村部の中間的なトシイナカ地区での小規模の兼業的農業の大切さが説かれている。また農村に移住するにしても、このトシイナカ型の農業体験を経てからが良い・・・とも指摘している。


2022年1月4日火曜日

「ぼくらの農園」は野菜作り実地教育―トマト直売も

  1.技術指導型の「ぼくらの農園」

          写真① 経営主の岩田 浩さん

          写真⓶ 翌日出荷の準備 青いトマトではなく真っ赤だ!







 

   入間市の宮寺地区は、住宅や工場も多いがまだまだ畑作地も多い近郊農業地帯だ。この宮寺2603に岩田浩一さん(42才)の農場4.5ヘクタールがある。岩田さんは、2003年地方の大学を出て実家に就農。いま700㎡の巨大ハウスでトマトの溶液栽培が大々的におこなわれ、近々1,500㎡のハウスも稼働する。他にネギ2ヘクタール、エダマメ80アール、ブロッコリー80アール等も栽培され、トマトの売上は全体の20%ほどというから、他の生産額も大きい。そして、この直営作業部門に加え、2009年から「ぼくらの農園」(2019年11月に株式会社)となり、栽培指導付きの体験農場を開き、入間市青年会議所とタイアップし、消費者に呼掛けトマトやジャガイモの収穫体験、味噌づくり体験も実施し、武蔵藤沢の島屋豆腐店の春の豆腐祭りにも参加している。正確には宮寺2603。近くには不老川というこの地区唯一の川が流れ、南関東の大動脈といえる国道16号線が走る。

 

写真③ 同じスタイルの栽培群が70区画も並ぶー体験農場 

写真④ 農場に自由に使えるよう鍬を掛ける場所も。バケツやジョウロの置き場も

   国道16号線もあり、近くも遠くも狙える立地だが、岩田さんは「食べてくれる消費者と直接触れ合い、心を通じ会える近い関係を重視した農業をしたい」を目標にし、行く行くは地元にレストランを開きたいと言う。マーケティングの基本は「顧客のニーズを正確に知り、これに十分に答えること」だが、このため消費者ともに野菜を作れば消費者のニーズだけでなく、ライフスタイル全体が分かり、次なる開発商品のアイデアもつかめる。教える側の岩田さん自身、東京の練馬区にあった体験農園でそのシステムを1年間学び、教え方のノウハウを持ち帰って体験農園を始めた。希望者に3m×13m=39㎡の土地を貸し、年15回ほど土曜、日曜のいずれかに来て、1時間ほど技術講座を受け、あとの1時間で実際に作業をする。種まきの前後は月2回だが、普通月1回来ればよい。

 「貸農園と違い、農家の方が実際に農作業を教えてくれるので、すぐ上手になれるのが魅力」と評判である。ときに土壌のPHの測定法やパワーシャベルの操作法まで実指導。圃場の現場に農具や資材の置き場があり、水道の蛇口の2ケ所にある。だから指導日以外の時に来て作業を楽しむ人もいる。実際に育てる野菜の数は15種以上にもなる。たとえばトマト、ネギ、ニンジン、エダマメ、ブロッコリー、コマツナ、ホウレンソウ、キャベツ、トウモロコシ、ジャガイモなど。 

現在、体験農場には約70組が参加し、同じものを植えた70の区画が連なる畑は壮観である。種子や苗、肥料、農薬、農機具は一切農場側が持ち、参加者は手ぶらで来ればよく、貸農園とは大違いである。年間の指導料は3,000円。1月にして3,200円ほど。収穫物は全部持ち帰れる。ある生徒さんが実際に計算してみたら、収穫物の価格は6~7万円になったそうで、「実質負担はゼロ」ともいえる。参加者の半分は農業をしたい男性会員、半数は家族で農業を楽しみたいという家族会員といった状況のようだ。 

2.若手農業者の育成にも挑戦

 今農場全体の正社員は3人、パートは延べで15人ほど。年商は5500万円程という。トマトは中玉を作っているが、溶液栽培のためすべて機械でコントールでき、省力化・安定化しやすい。8月下旬に苗を植えれば、翌年の7月中旬まで次次収穫でき栽培が楽である。1,500㎡のハウスが加わればトマトの販売比率が40%以上になるという。パック作業場で直売もしている。

写真⑤ トマトの溶液栽培・・・周年収穫している

 






写真⑥ 直売のノボリ           

   販売先は、主に10店舗ほどのスーパーだ。農協から紹介された先もあるが、自身で開拓した店もある。前日夜にパーケージして冷蔵庫に入れたものを、翌日配達する。売り場で値付けをして陳列。返品が気になったが、「前日の残りは値引きして売り、持ち帰ることはない。新しいシールを打ちだし付け替える」だけとのこと。スーパーのほうも農家の誠実さを全面的に信じていて良好な関係が構築されている。直売所のばあいは「前日の品が残れば返品」と聞いていたが、スーパーでは売価下げ―再販売でよいと聞いてひと安心。 配送に2~3人で朝出掛、値付けもあり各2~3時間かかるようだ。

岩田さんは、若き農業者の育成に意欲を燃やしており、これまで2人を育てたが、独立し地方に帰っていった。できれば近くに農園を持ってもらえる人であれば、土地を手当てしたり、販売の支援もできる。また協力し合えればマーケティング力なども強くできる。さらに欲を言えば「農場に残り、中軸を担う後継者にもなりうる人を育てたい」という。いずれにしても若さにあふれたダイナミックな経営である。    岩田さんの携帯080-1172-0831

2021年8月22日日曜日

事業協同組合を作り通年雇用して農家に派遣

 

 

日本農業新聞によれば・・・長崎県のJA壱岐市などは、通年で人を雇用し農作業に派遣する「壱岐市農業支援事業協同組合」を設立した。JAは「農業版マルチワーカー」と位置付け、地域の雇用・定住促進と農業の担い手育成につなげる。11月にも派遣を始める。県によると、農業支援に特化した事業協同組合設立は全国初という。 壱岐市農業支援事業協同組合は「特定地域づくり事業協同組合」に当たる。2020年に関連法が成立。運営費の2分の1を行政から交付金で受け取れるようになった。人口が急減する地域が対象。  

今回の事業組合の出資者はJAと、農業生産事業を手掛けるJA子会社「アグリランドいき」、発起人であるJAの川崎裕司組合長ら常勤役員3人の計5者。派遣先は原則、出資者に限られるため今後、働き手を求める農家には出資を募る。管内で盛んな畜産や、アスパラガスなど施設園芸での作業請負を想定する。年間の中で、季節に応じて複数の職場を渡り歩いて働く仕組み。雇った職員の給与は事業組合が払うことで、周年雇用が実現する。初年度は3人の雇用を目標とする。  

JAは営農振興10カ年計画「第9次営農振興計画」を策定中。柱の一つに新規就農者100人の参入を掲げる。県や市、関係機関とつくる「壱岐地域農業戦略推進会議」で、人口減や農業の担い手不足といった課題を共有。議論を続ける中で、今回の事業組合の設立に至った。8月上旬にあった創立総会で、事業組合の理事長に就いた川崎組合長は「(働き手が)技術を習得して就農する。その繰り返しが、着実な農業の就業人口増加につながっていく」と思いを述べた。JAは広報誌などを使って取り組みを周知。働き手や派遣先となる農家を募る。 

・・・なお、このようなシステムは、ベトナム等の技能研修生を季節的に受け入れている地区にも採用すべきだと思う。そうすれば、研修生も年間雇用され、多数の農業技術も習得でき、母国の農業の発展に大いに寄与できる。望めば、技能者として日本への長期滞在もできるようになり、日本農業の人手不足の抜本的解消も可能になる。

 

2021年4月16日金曜日

チューリップは可麗だが短命!栽培のこつ。

 

 今年のチューリップは3月20日頃、ソメイヨシノとともに早くに咲き、4月10日でほぼ開き終えた。仏子に越してきてすでに19年だが、昨年春に初めて「彩の森入間公園」に行き、チューリップを見るなら彩の森公園ということを知った。県営公園だが1万本のチューリップが市民の協力も得て植えられ、その集団艶舞や街路樹下の寄せ植えが見事だ。 










 



  







   マイ団地でも、10人ほどに球根を配り、11月から12月上旬にかけ球根を植え、3月中旬ころに色づいた蕾が出、桜の開花と同じ3月下旬から咲き始め、4月中旬までに250株がほぼ咲き終えた。サクラ同様にチューリップもまた花の命はせいぜい20日ほどと短いのが残念である。

 1昨年、昨年と1球当たり45円?のバラ売りの球根を購入(これまでは20球入りのミックス・セット)。今年の場合、①充実した球根に加え、②腐葉土などの施肥、②春先の温暖な気候、③適度の雨…のおかげで赤、ピンク、オレンジに黄色の縞、黄色、白色の大きな花が咲いた。チューリップの場合、やはり花が大きいほど可憐で、小さな花多数よりもはるかに華やかである。



 ところで、今年の花から秋に植える球根を取る場合は、それなりの注意が必要だ。花弁が1枚でも下向きになったら、花のすぐ下から摘みとり、養分が花に奪われないようにする。そして葉が黄色く枯れるまで1ケ月ほど置く。栄養分を新規の球根に流し込むためだ。1け月ほどして掘り上げ、浅い段ボール箱に入れ、風通しの良いところ影干しする。その後、薄く小さい鱗片状の球根を取り除き(来年咲かない)、同じ段ボール箱に入れ、タンスの上など湿度のないところに置いて置けば十分。収穫時に消毒をしたこともないし、かつ水洗いもしない。 

購入、自家採取の別なく、球根の植付けは紅葉の時期だが、入間では12月中旬を過ぎてもOKであった。冬の低温に充分会えば花が咲くのだそうだ。15センチほどの深さに掘り、腐葉土等を混ぜ込み、深さ10センチ=球根3ケ分の深さに球根を植える。葉の向きをそろえるためには、球根のふくらみとへこみを考え一定に並べる。

  また、「10センチおきなど等間隔に並べる」と書かれているが、100株、200株と植える場合は別として、20球程の場合は4球×5つの群・・・と言ったように、寄せ植え的に集中と分散を考えたほうが競艶感が出て迫力がある。私の場合、4×4群植えをしたのだが、その場所が不明確なまま、ビオラを囲み白妙菊などを植えた。これを囲むようにチューリップ10株以上が咲き誇り、デラックスな寄せ植えになった。(写真3)

 

 

2021年4月5日月曜日

シラヌイの「デコポン」が美味しくなった!

  シラヌイ(品種登録名・農水省)とデコポン(商標登録名・特許庁)は実は同じ品種なのです。ただし、デコポンは熊本県の農協が一定の基準を満たしたもののみに与えた登録商標名のです。今年のデコポンをおいしく頂きました。見た目がキレイでうまく、世界一のデザート果物と言えます。 


2月までの早出し物は特有の味が出ていない感じでしたが、3月末からは、最適のお天気の具合で甘酸相まって晩柑特有の味が出ました。この味は世界的にも類を見ないものと言えます。 

 年末から3月初めまでの早出し物は比較的に好天に恵まれましたが、中晩柑の味は出ていなくて価格的にも残念なものでした。他方、見た目は早出し物は良かったのですが、 4月からの露地ものの肌とサイズは50点以下で価格的にも食味相当とはなっていなくて極めて残念なことと言えます。 

内外共に食欲を促す品質が望まれますので、技術の向上を望みます。それで国内外の需要拡大が望まれます。水害地のアシキタ地方の復興産物としても最適地ですから関係者のご努力が期待されます。 なお、これからはハウスミカンが出ますのでなるべく高値のものを味わいましょう。 

投稿者;東山春紀(熊本市 84歳 無職 080 1784 4647番)