客数×客単価=売上高になる。昔、POSレジのない時代には、どこのスーパーもレジ会社から貰った月計簿(年間月別記録簿)に部門別売上、合計売上、客数、客単価、天候を記入したものだ。そして客数や客単価の増減に一喜一憂した。
いまは、パソコン上にPOSレジの結果が自動的に出るため、手間をかけずに客数も客単価も出るため、2つの持つ重みを充分につかんでいないはず。
実は、客単価は「店の魅力度」を投影する指標と言える。魅力があれば、それだけ多数の品が買われていることを示し、ときには高品質の単価の高いものを買っていることを示す。客単価が低ければ逆になる。
しかし売り場坪数の広さで品揃えの魅力も上下するので、売り場坪数も配慮しないと「良い」「悪い」とは言えない。19件というわずかな例の傾向値であるが、直売所の規模別客単価:y円=3.36x+1,019.9 ±12.2% x=坪面積 ひとつ自店の売り場坪数をx置いて計算してみて欲しい。
25坪 1,106円 125坪 1,452円
50坪 1,193円 150坪 1,539円
75坪 1,279円 175坪 1,625円
100坪 1,366円 200坪 1,692円
という傾向値になる。実際には、かつて書いたが常時50坪、土日70坪でも1,800円強の店もある。米や惣菜も充実、しかし花がないのにこれだけになるのは、メインの野菜が85品目もあり、アイテム数にすれば200を楽に超えているためである。
客単価が高くなれば、魅力度も高くなり客数も増えるのが普通である。また、「直売所が増え、客数が減った」と嘆く例も多いが、魅力を高め客単価を上げれば、徐々に客数も回復するものだ。
50坪以下の小さな店であっても、工夫次第でいくらでも品揃えは増やせる。平台を2段台にする。下部をケコミにしてここに箱(前から見えるキャスター付き)を置けば3段に使える。花も雛壇にすれば、3段に立体的で見やすい陳列になる。スパイスなど小型商材は柱にプラスチックケースを貼りつけ、陳列もできる。
またスーパーで売るようなナショナルブランドの加工食品・菓子は大幅カットし、6~8尺の多段オープンケースを1~2本は入れ、ウエット(濡れ物)食品であり回転の速い豆腐、納豆、こんにゃく、生めん、漬物、牛乳、デザートを充実させる。ギフト用に地域特産品を箱売りする・・・客単価向上の余地は無限にある。50坪以下のミニ・スーパーばかり100店以上も開店指導してきたので、陳列のアイデアはいろいろ経験している。
大切なのは、総客数で日々の部門別売上高を割って、部門別客単価を出すことも大切。どの部門に問題があるかもすぐ分かる。
なおちなみにスーパーの客単価の傾向値は、150坪で1,424円、200坪でも1,570円である。品揃えが専門店的な直売所の方が高いのは、商圏半径が5倍も10倍も広く、生鮮品であってもまとめ買いをしてくれるからだ。その代り、来店頻度はスーパーの1/4~1/5以下と低い。