2011年7月10日日曜日

農業革命!20代で時給1,700円を目指す経営へ!

 農業も年齢も考え、時給目標(時に年収)を明確に設定、これを達成するため、1.いかに省力するか、2.いかに資材や投資に無駄を省くか、3.生産物のうち、捨てる部分をゼロに近づけるか、4.付加価値販売に努め、手取り率を高めるか(直売や加工等の6次産業化の努力含む)・・・の4点から革新的管理を進める必要性がある。否、いま真剣にこの問題に挑戦しないと、人的資源の面で日本農業は、10年も持たないのではないか。それほど深刻な状況にある。

 私自身、畜産分野で直売をし、夫婦2人で年収3,000万円を達成している事例にも接している。そして上記4点を確実に実行しているのだ。農業法人協会の会員の面々を見ていても、かなりの所得をあげ、雇用の場を広げている人が多い。そして余裕を持って各地の研修に出向き、連携もしてさらに上を目指している。

 平成22年の推定では、農業者の平均年齢は65.8歳。販売農家は163万戸、・・・これに対し、新規就農者は推定6万人に過ぎない。平成12年の7.7万人、17年の7.9万人に比し増えていない。

 長期不況のなか「農業は魅力ある職業」ともてはやされているものの、農業の専門求人広告欄を見ると(都道府県別、作物・畜種別)、求人ゼロの場合が目立つ。県という広い単位でも、結構ゼロが多い。しかも当初の月給与13~18万円の求人が多く、20万円を超えることはまれだ。これでは劣悪な条件とされる介護部門と変わらない。新規就農希望者の研修講師を努めた際も、「必死に農業を勉強しているが、適正な給与の受け入れ先があるのだろうか」の声が強かった。

 一般産業の統計を紹介すると、年間労働時間は残業分まで含め、20年で1,751時間となっているが、平均年収は21年の場合の国税庁資料のまとめでは下記の通りで、仮に年1,800時間労働とした時給は( )の通りである・・・
            男子            女子
19才以下   148万円 (  822円)  110万円
20~24才   256万円 (1,422円)  230万円
25~29才   355万円 (1,922円)  289万円
30~34才   427万円 (2,372円)  291万円
35~39才   497万円 (2,761円)  285万円
40~44才   579万円 (3,217円)  282万円
45~49才   620万円 (3,444円)  274万円
50~54才   629万円 (3,494円)  269万円
55~59才   595万円 (3,306円)  251万円
60~64才   479万円 (2,661円)  217万円
65~69才   387万円 (2,150円)  201万円
70才以上    374万円 (2,078円)  225万円
平均       500万円 (2,778円)  263万円

 夫婦2人で働くとすれば、サラリーマン並みの年収とは763万円となる。美味しい食べ物、美味しい空気まで考えれば、これだけの年収になれば、サラリーマン以上の豊かさも実感できるはず。ともあれ、20代の単純平均の時給はサラリーマンは約1,700円である。年1,800時間労働では年収306万円、月収25.5万円である。30代では時給約2,567円、年収462万円、月収38.5万円である。

 後継者や新規就農者に、「上記年収ぐらいは払える経営」を前提に、経営計画を立て、冒頭の4点を前提に実践的な管理する・・・こんな経営であってほしいと願う。私もかつてバリバリ仕事を受けていた時代は、15年間市場調査のアッシスタントに昼食代も含め日給18,000~21,000円を払い、1人の求人に50人もの応募を得た経験を持つ。そのかわり、内容の手抜きはせず、徹底した作業工程の効率化に挑戦もしたものだ。

 新規就農者についても、20代から30代前半には結婚生活が保証できる農業を目指して欲しい。これこそが農業再生・発展の道と信じている。