2017年10月3日火曜日

生鮮食品の市場経由率とセリ・相対等の率の推移

  東京における築地市場の豊洲への移転問題が全国的に報道され、ここ1年市場への関心が大幅に高まったが、主に食の安全に沿った構造上や土壌に焦点があり、市場機能や引の実態については、消費者にあまり伝えられてこなかった。ここでは、取引の実態(大枠)を知ってもらうべく、簡単な解説をする。



1.卸売市場の機能は・・・

    集荷機能 市場荷受会社が各地の生産者団体、生産者、産地移出業者ほかから集荷。

    価格形成機能 セリ・入札、相対と言った方法で、荷受会社が買参人(仲卸、スーパー、業務筋)との売り買いを通じ価格を決める。

    小口分荷他の機能 仲卸がスーパーや業務筋に対し、必要量に応じ小口に供給。ときにスーパー等の要望で小口パック、1次加工もする。

    金融機能 仲卸は購入品の代金を荷受に1週間以内に支払うのが原則だが、仲卸から仕入れたスーパー等は支払いを15日後とか30日後と延ばす。このため仲卸は金融機能も果たしている。

  貯蔵機能 むかしは入荷した商品はその日に売るのが原則であったが、いまは冷蔵倉庫も広く持ち、価額調整の必要もあり、ときにストックする機能も。



2.決済等のルール

    荷受会社は原則として取引の翌日までに、生産者団体等に販売代金を払う。しかし互いに協定を結んだ場合、猶予期間が設けられる。荷受会社ー仲卸人等、仲卸人ー小売業者等との決済についても同様の規定がある。

    生産者団体等は市場の販売額に応じ、荷受会社の手数料を引いた残りの額を受け取る。取引手数料は上限が規定され、その範囲内で各市場ごとに取り決める。上限は野菜8.5%、果物7.0%、花き9.5%、花き9.5%、肉類3.5%、水産5.5%である。買う側の仲卸等は手数料は払わない。ただし、店舗や駐車場の利用料を都など運営主体に払う。

    出荷の促進のため、荷受会社は出荷者の額に応じ「出荷奨励金」を払う。その上限額は野菜・果物1.0%、花き0.15%(?)、食肉1.1%、水産品は過去の実績で開設者が決める。

    代金支払いの円滑化を促すため、荷受会社は仲卸など買参人が協定した期限内に支払いを行った場合、次の上限額以内で「完納奨励金」を払う。野菜・果物1.0%、花き0.2%、食肉0.3%、水産物0.4%。



3.市場経由率は・・・

 近年、スーパー等が直接、産地農場と取引する例が増えるとともに、道の駅や農産物直売所で農家自ら直売する例もふえて、必ずしも卸売市場を経由しない流通が増大している。しかし、これも商品的な特徴もあって、部門によって大幅な差がある。

 鮮度の低下が激しく、かつ扱い品目が豊富な花きや野菜は依然経由率は高い。水産品も鮮度低下が激しく、品目も多いが、水揚げされた産地漁港の小規模市場で買い付けされるケースが増え、経由率の低下は激しい。

 果物は野菜に比べ、鮮度低下が遅く品目数が限られるため、直送取引がしやすく、かつ直売所、ロードサイドの専門市場、観光農園などの販売も活発で、経由率は大幅に低下している。

 牛肉や豚肉は、各産地に昭和30年代後半から「産地枝肉センター」が続々と設置され、ここで枝肉加工され相対取引されるケースが急増、市場を経由する必要がなくなり、経由率は急減してきた。

中央・地方卸売市場経由率(卸売市場統計)
年次
野菜
果物
花き
牛肉
豚肉
水産品
  5
84.5
72.0
85.8
22.7
12.1
70.2
   10
81.8
61.7
85.6
20.3
12.1
71.6
   15
78.9
53.7
80.9
15.8
10.2
63.2
   20
73.8
45.7
84.0
15.8
7.0
58.4
25
69.5
40.5
83.9
14.3
5.6
54.2
30
65.3
35.0
85.0
12.9
3.5
50.1

4.セリ・入札・相対の各取引・・・
 セリは指先の符丁で、金額を示し最高額の人に落札、入札は紙に金額を書き、最高額を書いた人に落札、相対は卸業者と買参人の間で個別に交渉し、互いに納得した価格に決定・・・する方法。相対であれば生産者の意向も反映されやすい。

 卸売市場に入荷した商品の総てが、表記の3通りの価額形成を経て買参人に渡される。セリは入荷が少なければ極端に価格はせり上がり、多ければ極端に価格は下がる・・・性質があり、昭和30年代後半には「暴騰暴落」の一因と指摘され、40年代当初に私(近藤)は、雑誌「販売革新」を通じて「緩やかな価格形成につながる相対取引の拡大を」「相対が進めば、産地直送取引も容易になる」の論陣を張る。この主張が徐々に浸透し、40年度位以降「相対」のウエイトが増え始めた。これらについてはブログ別掲「日本のラルフネーダー竹内直一氏と出会う」も参照ねがいたい。 

 表を見れば明らかだが、花きを除き野菜、果物、食肉、水産品共に急激にセリ・入札のウエイトは減っている。セリ・入札をした後、スーパーや飲食店に運び込むのでは、販売や調理の段取りがつかないことが最大の理由である。しかし表に価格が見えない相対のみが増えれば、価格形成が不透明になるという弊害も生じる。この点は関係者が留意すべきこと。

 花きのセリ・入札比率が今もって高いのは、鮮度維持がむつかしく、形状、美観などが多様で、実物を見たうえで価値を判断する余地が大きいこと。また仕入れて帰れば、そのまま販売できるものも多く、販売の段取りもしやすいからである。


中央卸売市場のセリ・入札率-残りが相対率 (同上)
年次
野菜
果物
花き
食肉
水産品
 
57.5
53.3
89.8
79.7
38.2
   10
51.0
47.6
89.6
74.4
36.0
   15
26.2
27.7
90.7
58.0
32.1
   20
17.3
21.4
85.8
37.5
27.0
25
9.8
15.7
86.6
27.0
17.9
30
1.2
9.4
82.7
  7.6
15.1


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