2016年11月2日水曜日

農協や農業者の読書欲・情報欲への疑問?

 JAマンや農業者の方は、今書店に並んでいる「文藝春秋」11月号(2016年)を読んだだろうか?これには皆さんが最も関心を持つ小泉進次郎氏(自民党農林部会長)と奥長兵衛の対談や「47人の知事にTPP賛否を問う」の調査記事も出ている。

問題にしたいのは、TPPがらみの内容ではない。皆さんが記事を読んだか読まないかである。読書力の問題である。本ブログに昨年、「家の光」時代の先輩である鈴木俊彦氏の「激動の時代と日本農業の活路」について簡潔に内容を紹介したつもりだ。実物を読むのが「大変」と思う方に、アプローチして欲しかった。だが結果はみじめなものだった。すでに掲載後1年10ケ月になるが、アクセスは49人に過ぎない。

本ブログでもアクセスが最大のものは5,000を超える・・・下表参照。

アクセス数上位紹介  2016年11月1日現在

タイトル
アクセス
掲載年月
農産物直売所―売れるレイアウトと陳列
,551
2011/ 1
「食の駅」所沢店はワイドな品揃え
,096
2015/ 2
農産加工品の売価、値入は
,972
2011/11
埼玉農業大賞―桂ファームに学ぶ
,561
2011/10
農産物直売所―売れる陳列「マルシェ」
,516
2011/10
農産物の原価計算―皆さん苦手
,503
2010/12
「ふれあい大樹」-身障者の直売所
,436
2011/ 4
農産物直売所―損益の指標
,371
2011/ 2

   上位のものも2010年末のブログのスタートから見れば6年近くで到達した数字で、誇れるものではないし、いずれも経営の実務か、事例的なものが主である。農業の未来像や農政の動向についてのものにはアクセスが極めて少ない。農政や経営の将来に不満を示しながら、それを活字で正確に知る努力を欠いているのが残念でならない。

ついでに述べると、JAの展開する直売所に対する顧客の支持も、すこぶる低いと見るべきである。群馬県の農業関連企業が展開する埼玉県所沢市の「食の駅」については、当方が紹介してきた直売所では最も後である。にもかかわらずアクセス数は3,096である。この店に近いJA直売所については数か月前に紹介したのに、未だに315でジャスト1/10である。その他JA系の直売所も6年前から順次紹介してきたが、210、124、175、266、334といったアクセス数である。

直売所記事へのアクセスは、「噂で知ったので、確認してから行ってみたい」と思う消費者である。つまりJA直売所は消費者にそれだけ「関心」を持たれていないといえる。ネット上では当方が住む埼玉に近い、遠いいには関係ない(周辺の消費者の密度はある程度関係)。店の鮮度、価格、品揃え、接客・・・等々に魅力がなく、消費者が関心を持って見ていない証である。この反省がJAや関係農業者にあるのだろうか。なければかつてのJAコープ店舗のように衰退し、あと5年もすれば1/3は消えるのではないか。

補助金などの「おんぶにだっこ」のJAや農家の多くの人の体質では、消費者の支持は得られない。文春で小泉氏は「生産者を守る最後の砦は消費者である」として、ITも駆使し生産性を高めるとともに、安さと高品質と2極化している消費者のうちの「意識ある消費者」(後者)と結び付加価値を実現していくべきだ・・・との見方を示している。

消費者2極化の研究については、「安さだけが総てでない」の当方ブログ(主婦の食のライフスタイル分析)も読んで欲しいが、アクセス数はパットしない。直売所でもまだまだ「市場に出せない等外品を安く売るのだ」という考えを持つケースが多い。「食の駅」所沢の近くのJA直売所もその典型例である。

すでにブログで書いてきたが、直売所の商圏はスーパーの倍、3倍も広く、遠方から「鮮度、個性ある品質、安全などにこだわりを持つクオリティ型のQ型顧客を中心に集客している」のが実態。安さを求めるプライス型=P型顧客は、野菜だけ安くても得にならず来ない。コンビニエンス型=C型の顧客は近くを通れば寄る程度。多様な品揃えを求めるバラエティ型=V型は品揃えが青果に偏った直売所は敬遠し、大手スーパーに行ってしまう。そしてQ型は家族の健康、おいしさ、食の安全、時に便利さを選択し、賢い消費者といえる存在である。

・・・こうした食のライフスタイルもしっかり活字でも研究し、上滑りがないようにしないと失敗する。(小泉氏の提言の問題点はこのあとに続く・・・別のブログで紹介)