2014年9月15日月曜日

主婦の買い物行動とスーパーのリサーチ技法➄-家庭内シェア3段跳びの法則と店の選択基準!

1.家庭内1番店になれば売上倍増に 

「家庭内シェア」とは、聞きなれない言葉のはず。当方の訪問調査をし「どこで買い物するか」の店別頻度を聞き、非店舗購入の場合は、その月額を月購買力で割り、1世帯ごとに購入先別のシェアが計算できるようにしてきた。この積み上げが、現状の地区全体の店別シェアをつかむ一助になるからだ。 

ところで、複数、つまり2~3店舗(非店舗購入先含む)に同程度の頻度で行く人も少なくない。9都県の500世帯の分析では、こうした「等距離外交型の買い物」をする人が約16%いる。AとBのそれぞれの良いものを、比較しつつ買うか、Aでは○○分野を、Bでは△△分野を買うといった選択購入をしているはず。 

一方で、1番店で100~80%を購入する「集中型」の人も10%いる。幼児をかかえる若妻、足腰の弱い高齢者等は集中型になりやすい。若い単身者や単身赴任の方などは、通勤の途中にある複数のコンビニなどに寄るため、全店15%以下の小口な等距離型になる可能性もあるはず(調査からは除外されているが)。 

人様々だが、総てを平均すると、あたかも陸上競技の三段跳びのように、ホップで50%、ステップで25%、ジャンプで12.5%・・・といったように1番店から3、4番店にかけ1/2ずつほどシェアが減る姿になる。

表―1 家庭内シェアの順位別構成比%


家庭内シェア

9都県

500世帯

別途6都県

9地区平均

1番店

53.6%

53.9%

2番店

24.0%

24.1%

3番店

12.5%

12.3%

4番店

.0%

  .8%

5番店

.5%

 

6番店

.0%

省略

7番店

.3%

 

8番店

.1%

1例約40世帯

以上からすると、自店の魅力度をアップし、顧客が選択順位をワンランク・アップすれば、その顧客の購入額が2倍になることを意味する。ポイントカードから容易に2~4番店の該当人は分かる。「あなたの改善提案をお聞かせください」といったアンケートを送り、回答者が望む粗品を選択してもらい事後に贈る。かつ提案内容を確実に売り場に反映する・・・このようなアクションをすればランク・アップの助けになるはず。 

2.多様な価値観のため24要素の選択

家庭内シェアに最も関係するのが、店の選択理由だ。多様な価値観の時代になり、選択要素を追加していくうちに、24件にも増えた。支持率5%以下の微小要素も7件ほど含まれている。最大要素は「近い」で、以下に「生鮮品の鮮度」「価格が安い」「「チラシを見て」「1ケ所で総て揃う」「品揃えが豊富」「買い慣れている」が続く。以上が支持率20%以上の7大要素だ。 

「買い慣れ」は全国平均に比し、東京や長野が下回っており、主なリサーチ地区に含まれる中京、大阪、九州などでもっと高い数値ということになる。西日本では、より「フレンドリー」とか「人情的」な面が重視され、「買い慣れ」が重視されているように思う。 

表―1 店の選択理由支持率%


選択理由

全国66

地区平均

東京18

地区平均

長野11

地区平均



店が近い

70.6

64.9

71.2


価格が安い

35.6

31.7

28.8

P

チラシを見て

29.8

25.1

29.8


1ケ所で総て揃う

27.1

23.1

29.6


品揃えが豊富

26.1

31.8

29.1


生鮮品の鮮度

61.3

64.7

52.9


美味である

7.8

10.5

8.5


品質(品位)高い

6.7

13.9

0.0


珍しい品ある

1.3

3.5

2.0


安全志向品ある

9.6

13.1

13.5


配達で便利

5.1

5.9

10.9


センス・楽しさ

0.6

1.2

0.9


買い易い

13.9

8.8

10.5


買い慣れている

23.3

11.9

13.9


接客が良い

2.5

2.2

2.9


駐車し易い

12.4

9.7

14.4


何処かに行くつで

9.2

14.2

9.6


勤帰りに寄れる

9.7

10.0

10.2


長時間営業

2.0

3.8

1.4


スタンプ・ポイント

6.4

7.0



会員・勤め先・馴染み・知人

3.7

3.2



まとめ買いできる

2.8

3.2

12.6


運動・散歩がてら

3.2

10.7



行き易い

4.5

3.7



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


















































<注> C=コンビニエンス(便利志向)、P=プライス
(価格志向)、Q=クオリティ(品質志向)、V=バラエ
ティ(品揃え志向)。今までは他に分類していたM=ムー
ド(雰囲気志向)、他=区分しにくいがPではない。

 「近い」という物理的な要素を除けば、実質的な魅力度の第1位は「生鮮品の鮮度」だ。日本は南北に長く、四季折々の生鮮品が出回る国。したがって生鮮食品中心の食卓である。地元品だけでも結構多いため新しさになれている。それだけに北や南のはずれから輸送される野菜、果物、魚、肉にしても鮮度に敏感である。農水省の調査、各県の消費者モニター調査でも、食品の選択基準の1位は野菜と鮮魚は鮮度、果物は「味」が一位で鮮度は2位・・・という結果が定着している。 

 ではアメリカはどうなのか。生鮮野菜や果物は、西海岸に生産集中していて貴重品。その西海岸を4度旅したが、ホテルの朝食はパンにバター、そして「コーヒー・オア・ティ」の注文にしたがった品しか出てこない。唯一、朝食に野菜サラダが出たのは、レタス産地のサリナスのホテルだった。普通は特別注文しない限り、貴重品の野菜・果物、さらに肉・魚は出てこない。スーパーに行けば、加工品の山、また山である。ケロッグ、ドールやデルモンテ等の缶詰、キャンベルの缶スープ、冷凍食品は日本の3~4倍ものアイテムだ。加工食品文化である・・・ただし西海岸は青果の出回りも豊富で、バルク販売(量り売り)に沿った青果の裸陳列は実に美しく、圧倒される。 

 以上のため、スーパーは生鮮の鮮度のノウハフを競い、その優劣がスーパー全体の価値を高め、「良いスーパー」と評判を取ってきた。しかし、20~40代前半の主婦となると少し違う。ご主人の所得も低く、食べ盛りの子供さんを抱え、「質より量」で、第3位の「価格の安さ」「チラシを見て」を選ぶ。 

 逆に所得にも余裕の出る40代後半~60代前半の熟年主婦は「食事にアクセントを出し、食そのものを楽しみたい」となり、「1ケ所で総て揃う」「品揃え豊富」の選択になる。GMSやデパート、各種専門店を選ぶことになる。 

3.コンビニエンスの時代!

強調したのは、勤労や家事・育児、趣味・習い事と忙しい時代になり、「近い」を初めとしたコンビニエンス(便利性)を重視する時代ということ。「配達」「買い易い」「買い慣れ」「行き易い」「駐車」「ついで」「勤め帰り」「長時間営業」「馴染み」「まとめ買い可」「運動・散歩がてら」などC要素の選択項目は11と極めて多い。主婦のばあいコンビニを利用するのは少ないが、C要素を1つでも選択する主婦は90%以上にのぼる。 

 非店舗購入の生協の共同購入の動機も変質している。調査を開始した初期には「安全志向品が買える」が全国平均12%ほどを占めていた。それが後半になると表のように9.6%平均に減った。安全もさることながら「配達で便利」に置き換わっている・・・特に東京・長野を除く他県でこの傾向が強いと言えそうだ。 

 スーパーやGMSにおいて「近い」「勤め帰りに寄れる」は、物理的条件で動かしにくい面がある。だが「買い易い」「駐車し易い」などは、コストを掛けず、工夫次第で改善できる。コンビニは、スーパーやGMSが苦戦を続けるなか、業態全体としては売上高が漸増している。コピーはもちろん各種支払い、宅急便、ATMとサービス領域を広げ、青果やFFとしてのコーヒーまで必ず置くようになり、便利性の切り口をさらに深めている。たかが100㎡(30坪)に過ぎない品揃えなのに、高齢者の利用も日々増えている。「便利性」とは何か・・・を学ぶ良き手本である。

 
 
 

食品スーパーの売上予測調査承ります スーパー開発 近藤



売り場規模

備考

調査分析

旅費・宿泊

300~600坪

40件の訪問

調査含む

30万円

実費

300坪未満

25件の訪問

調査含む

20万円

 

実費

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