2014年10月9日木曜日

農産物の小口輸出―北海道のHOP1サービスに学ぶ!

 前回のブログに続き、今回も農産物の輸出の話になるが、ヤマト運送と提携したクール便の小口の輸出が、北海道限定で行われている。その名はHOP1サービスだ。輸出先も、現在はヤマトの配送ネットが整備された台湾、香港、シンガポールに限定されている。 

北海道の方は「農家の友」2014年10月号に、北海道国際輸送プラットホーム推進協議会会長の千葉博正氏(札幌大学教授)の書かれた「簡単に低価格で海外へ」の文章を読むのが早い。さらに詳しく知りたい人は、ネットで「歩P1サービスの詳細・利用法」を検索するのがよい。 

このサービスは北海道大学、北海道開発局、金融機関、ヤマトグループ等が加わり、官民一体となって検討の結果、誕生したもの。そして、ヤマトグループの物流網を生かして、段ボール1箱から安価に冷凍・冷蔵温度帯で空輸する仕組みだ。複雑な通関手続き、食品成分ラベル、代金回収の代行、倍賞保険なども付加され、混載して輸送するため低価格が実現できる。平成24年9月からスタートした。 

北海道に一度来た海外観光客が、旅先で食べたもの、お土産に買ったものをもう一度欲しい・・・といたときに、気軽に輸入・輸出できる。観光立国を目指すとすると、不可欠なシステムである。おそらく、ヤマトの現地デポにもカタログ等が用意されているはず。 

当方はヤマトの絶対の支持者。20年来、仕事上や私的な宅配は総てヤマトにお願いしてきた。最近は簡単な手紙までヤマトだ・・・やや重いばあい郵便局より安いからだ。配送センターが車で3分と近いことや、セブン・イレブンもヤマトだから利用しやすいこともある。 

なによりも安全・確実で一回の苦情も起きていない。「いま、自分の便がどこを走っているか」も、受け取ったシールのコード番号で瞬時に分かるそうだ。各種の法的規制と戦いながらシステムを構築してきただけにエラーが起きない。 

以上のような分けで、HOP1サービスが、やがて全国に及び、輸出先も中国、インドネシア、マーレシアなどにも及ぶことを願わずにいられない。 

北海道以外の農業者の方に、そもそもHOP1とは何か・・・を簡単に紹介しておこう(詳しくは、ネット検索)。 

輸送対象物  現在は北海道の冷凍、冷蔵、常温(冷蔵帯で輸送)の品。輸出禁制品以外の品。サイズは縦・横・高さの合計が120cm以内、重さ15kg以内。

➁輸送機関  毎週金曜日に集荷で締切は18時が原則で地域により異なる。最短で木曜に現地に届く。通関や天候で遅延することもあり得る。

輸送方法  省略

保険  お届け先までの輸送時における事故を対象にした輸送保険。責任限度額は30万円。輸送商品に対して生産物賠償保険(PL保険)を付保。保険代は、本サービスのHPO1サービスの使用手数料に含む。

輸出・輸入者  ヤマトホームコンビニエンスが一端買い取った形になり、ヤマトが輸出業者となる。同様に輸入したものは台湾では台湾ヤマト、香港では藤田由夢工房、シンガポールではプライムストリームアジア、A&J HAKKOが輸入業者となる。

物品税等  シンガポールでは別途7%。関税は香港・シンガポールは掛からない(一部例外あり)。台湾については関税・営業税分が掛り、一律30%を徴収。

代金決済  海外のご購入者から入金があったばあい、あった金額を販売者の指定口座に入金。指定日までに入金がない場合の1回のみの督促まで・・・これがHOP1サービスの適用範囲。このあとのリスクは負わない。入金された金額からサービス利用料を差し引いた金額を入金。

ラベル作成  必要な成分ラベルはHOP1が作成し、事前に渡し出荷者が商品に添付する。

利用料金 このサービス利用料金は、物流経費、サービス使用手数料、関税等の合計額となる。

<物流経費>
縦・横・高さ 合計
重さ
(箱含む)
台湾・香港
料金
シンガポール
料金
120cm内
15kg以内
9,000
15,000
100cm内
10kg以内
7,000
12,000
80cm内
5kg以内
5,000
9,000

<使用手数料>
輸送以外の通関、代金決済、ラベル作成等に必要な経費は販売価格の9%をサービス手数料として入金代金から徴収。代金回収が必要ない場合は一律2,000円を徴収。

 

いろいろ素人では困難な要件を、HOP1サービスが担ってくれ、小口の輸出を促進するシステムとして参考にするとともに、その成果についても知りたいところである。