2014年6月19日木曜日

農産物直売所も農薬検査の対象(埼玉)-対応策の早期実現を!

 6月17日の読売新聞埼玉版ページに、「直売野菜も農薬検査」の記事が出ていた。埼玉県では農薬の残留検査を直売所まで広げた。昨年末に独自の検査要領を策定、4月から県内4ケ所の保健所が直売所の抜き打ち検査を月3回ほど実施し、採取した野菜は県衛生研究所に持ち込み、10日前後で結果を通知しているとのこと。 

 これまでの結果によれば、県南部と西部の直売所でシュンギク、ホウレンソウから使用禁止農薬が検出され、廃棄処分にしている。 

 当ブログでは、千葉県の某直売所の禁止農薬使用―営業停止事件や直売所のトレーサビリティの情報開示事例も紹介してきた。当方はNPO「食の安全・安心支援機構」の会員だった時期には、当方もトーレサビティの詳しい調査をしたこともある。 

問題は、JAなどがトレーサビリティを実施しているにも関わらず、多品種・少量生産の直売所の商品にまで、充分に対応していないように思う。JA系の直売所の目立つ場所に、検査結果の綴りを展示している例も見られるが、100人以上の出荷者がいるにもかかわらず、綴りの開示はせいぜい10~20人、品目数で30~60点止まりの例しか見られななかった。綴りの開示もさることながら、「当店は全品の農薬検査実施済み」のPOPを堂々と貼れることが望ましい。 

実際は「出荷者の名前が表示されているから安心」とのコンセプトで、「真の安全保証」を怠っている直売所がまだ多いのではないか。直売所の伸びが心配される今日こそ、トレーサビリティ(生産履歴の追跡システム)を完全実施し、「新鮮さだけでなく、安全管理も十分な直売所」を目指すべきだろう。多少、労力や設備の充実も必要になるが、 

問題はJA関係の直売所では、OCR記帳シート配布→記入し出荷前に提出→OCR(文字)読み取り→集中センターのプログラムで自動確認→本人に通知・・・のチェック体制ができている。JA以外の直売所では、どこかの集中管理システムに参加で切ればよいが、それもかなわない中小グループ、個人の直売所も多い。どうすべきか? 

奈良県の某例では、農林振興センターの協力を得て、簡易な方法で確実なチェックを実施している。これを参考に当方なりきに簡易農薬チェック・システムを考えると・・・A4横長の用紙を準備し、下記を印刷し、必要生産者に渡す。生産者は出荷前にFAX送信するか、直売所に持参しコピー分を渡す。直売所は暇な時間帯にチェックし、結果を電話等で連絡。

直売所扱いの全品目について、品目ごとに生産履歴記入表を作成する。

基本記入項目は、品目名、氏名、生産者番号、住所、電話(携帯がベター)、FAX、栽培開始日(播種・定植)、収穫予定日、栽培面積(坪、本数)。

チェック記入項目として、左から右に、農薬名、希釈倍率・10a散布量、使用時期、

対象病虫害、使用月日(4月/12日―例)を書ける欄を4枠ほどとる。

上記の枠の下には、あらかじめ使用できる農薬について、全種類の農薬の希釈倍率、散布量、散布時期、対象病害虫について記入しておく。空欄は使用月日のみで、ここだけ生産者が記入。 

以上であれば、書きなれない高齢者にも十分記入可能のはず。また、希釈倍率、使用時期、対象病害虫も書いてあるため(この欄は振興センター等の協力も得る)、間違った使用も事前に防止できる。

 
追伸
読売新聞の9月21日(日)の「談論風発」に神戸市の主婦・谷井利子(54才)の下記投稿が掲載されている。参考までに。

私たち夫婦は、農業を営んでおり、地域のJA直売所に野菜などを出荷しています。そこでは、栽培履歴を毎月提出しないと、出荷できません。何月何日に種をまき、どんな肥料を使い、どんな農薬をいつ使用したかなどです。
農薬は必ず作物に適したものを使い、年に1回ほどの講習会を受ける必要があります。安全にたいしてはかなり徹底してます。
育てた人の名前がわかり、安全が保証された作物を、消費者の方に安心して欲しいと思います。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿