2014年5月19日月曜日

「直売所農業が地域を救う 定年は80才」は直売所関係者必読!

 日本の農業には、機械化によって省力も可能で、規模拡大も可能な平地の農業もあれば、中山間地のように山肌を這うように小さな区画で、省力化も進めにくく、大規模化のメリットの少ない地区もある。そして中山間地が農地の60%を占めるとされる。つまり、一律に農業・農村を考えるのは間違い。-律に方向性を打ち出せば、限界集落ばかりになる。 

 最近、「里山資本主義」(藻谷浩介著)という本も出て、ベストセラーにもなっているが、これも一律主義へのアンティテーゼある。山には森林が使われずにあり、この無料の資産をバイオマス発電とし有効利用し、成功した例もあれば、中山間地や里山地区には耕作放棄地という無料の資産があり、耕してくれることを望んでいる。この里山資本主義を実践しているのが、下記の大分県清川村かもしれない。 

「直売所農業が地域を救う 定年は80才」(著者・三浦俊荘・青木隆夫。ベネット刊・本体1,000円)は、大分県中山間地にある「有・清川ふるさと物産館夢市場」を中心とした物語である。しかも約25人(夫婦での記述も1人として)が、それぞれ直売所出荷や生産・加工の喜びを語っている。珍しく生の声が多数聞ける冊子である。 
 

 
   ごたぶんにもれず、清川村でも高齢化が進み、出荷量も衰え見せ始めている。だが、新規就農者もあたたかく迎え入れ、直営農場(3ha。将来10~20ha)も設けて、出荷量の確保に励んでいるのがすばらしい。直営農業で経験を積み、地元に新規就農する人もいる。既存の生産者も、「80才までは生産年齢」とし、高齢化に負けまいと頑張っている。 

その牽引役が著書の1人でもあり、夢市場のある道の駅館長の三浦俊荘さんである。全国直売者研究会副会長でもあるが、役場職員だったものの、H12年に村長に村長から「お前は百姓の経験がないが、農業を重々勉強せよ」と物産館担当を命じられ、バレーで鍛えた体力と根性で市場を今日の繁栄に導いた。年商は3億円。 

この直売所は数々の特徴を持つ。まず全国区のオンリーワンとも言える、糖度21~22度にもなり、平均15~16度のグリンピーチ(わい化台についだ桃)がある。300~400gだと1個800円、中元用の6玉入りの箱は5,000円にもなる。
 

このグリーンピーチからはヒット商品のソフト・クリームのはか、ジュース、プッセ、ヨーグルト、もなか、キャンディー、コンポート、ロールケーキ、ゼリー等もつかられ、年商2,500万円になるとか。

マムシや金ゴマも特産商品に仕上げた。発芽入りゴマ、すりごま、金ゴマペースト、かりんとう。金ゴマポン酢もある。加工に使う金ゴマは買い上げているのも注目に値する。 

傘下の加工場も2つある。中野加工場では6人47~73才)のメンバーが朝2時に集合し酒まんじゅうを毎日500~700個作り、催事のときは1,500個も売る。ゆで餅、高菜まんじゅう。おはぎ、山菜おこわ、お弁当も作る。H24年の年商は」2,800万円という。原料のモチ米は地元ののうかと契約生産して買い上げている。 

もう一つは「清川まんじゅう加工グループ」だ。こちらも酒、炭酸、うぐいす、みそまんじゅうのほか、焼きもち、シバ餅など。やはり朝4時から5人掛。28才から73才のメンバーだ。7人だったときは3,000万円も売っていたという。 

多方面にわたり、成果をあげているが、さらに直営農場の隣接地に貸農園を作ったり、観光農園の計画もあるし、近畿日本ツーリストからツアー企画も持ち掛けられているほど。あとは読んでのお楽しみとしたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿