2013年12月2日月曜日

溶液土耕栽培(明大農学部・小沢聖特認教授が研究)の普及を!

 静岡で地上に水槽を設置した野菜の水耕栽培を見学したこともあるが、先般、明治大学黒川農場の収穫祭に伺い、水槽を使わず土壌に液肥を直接注入する溶液土耕栽培の講演とハウス実験棟の前で、小沢聖特任教授からその説明を受けた。

 国土の60%が乾燥地帯のイスラエルで、節水栽培のため開発され、すでにオランダ、韓国はもちろん、フイリッピン、マーレシアでも普及をしているが、日本ではまだ「これから」の段階とのこと。イスラエルは園芸作物の輸出大国になっているが、その原動力が、この栽培法だと言う。
 
  
 
 水に肥料を溶かした培養液を、必要に応じチューブから点滴のように土中に送りこむので、水も肥料も少なくて済む。余分な肥料が土中に増えたり、水と共に肥料分が地下水に流れ込むこともなく、ブログ別掲の「環境保全型農業」に役立つ。発展途上国であれば、糞尿を処理した溶液も使うことも考えられる(そのまま使うと、チューブが目詰まり)。

 問題は日本の場合、純粋な液肥をつかうため見かけの肥料コストが高くつくこと。だが、①肥料(基肥不要・適正施肥)、②建設費(ハウスは並み、土壌は普通の畑地)、③センサーによる自働で注入で作業費・・・の3要素が大幅に削減、④適正な水・液肥の管理で多収になり、所得が高まる。
 

 外国製の注入チューブも見せていただいたが、細くきゃしゃな感じだが、ところどころに付けられた弁から、つまることなく溶液が点滴されるので、コストもかからない研究されつくした品である。

     問題はキュウリであれ、トマトであれ、この農法の収益性の資料が欲しい。設備投資や収支については、佐賀県「佐城普及センター」が取りまとめた資料を紹介しておきたい(ネットより。促成ナス)。明大の実践とは違いもあるはず。あくまで参考資料である。

表―1 システムの概要とコスト(10a当たり)


部品名

数量

金額(円)

液肥混入機(AV200V)


540,000

原水フィルター


47,000

原液タンクセット


23,000

撹拌機セット(200V)


39,000

Nタイマー基本2系統


60,000

電磁弁


29,000

点滴チューブ


114,000

メールアダプター

15

,000

ラインエンド

15

,200

PFメ―タ―


,800

ミズトール


,700

ECメーター


25,000

合計

 

903,700

注:施工・調整・ポンプ代・ポンプ制御等は別

 

表-2 溶液土耕栽培の効果(比率は導入前と比較)


項目

導入後

比率

労働時間

(施肥・灌水)

10.4hr

24%

肥料代

110,124円

60%

収量

19,779kg

125%

粗収益

,538,120円

125%

生産費

,643,090円

105%

所得

,895,030円

201%

秀品率

46.8%

106%

施肥N量の削減

 

76.1%

注:導入前が、どのような栽培かは不明。リアルタイムの

診断によらない水・液肥供給との比較?実額を参考に!

 
 
 いずれにしても・・・
①基肥不要・・・初期生育を抑え、生育段階に合わせるので過茂にならない。
 
②水と液肥の同時施用・・・生育を安定させ、収量もアップし持続で多収穫になる。
③土壌が良好に保たれる・・・細かく均一に水・液肥が点滴され、土壌の物理的性が悪化しない。。
④培地は土壌そのもの・・・自然の土地そのものが使え、コストがかからない。また土壌が緩衝力を持つので不意のトラブルにも耐えられる。

 

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