2013年11月30日土曜日

環境保全型農業とは何か--消費者の理解が必要!

 境保全型農業」という言葉があり、農水省ではその支援策も講じている。まず消費者の方にも理解していただくため、その意義を少々述べてみたい。

Ⅰ.保全型農業の意義は・・・

①環境保全とは言え、その農法の多くは減化学肥料・減化学農薬に裏打ちされたもので、食の安心・安全に大きく貢献する。

②上記農法は、光合成によってCOを取り込んだ植物を有機肥料の形で土壌に還元し、有機の炭素物質(炭酸塩や重炭酸塩)としてC=炭素を土中に蓄積する・・・石炭や石油もこの例。ただ地表で植物を腐らせれば、CはCOとしてすぐ空気中に戻ってしまう。

③有機肥料は土中の多様な小動物、細菌等によって分解され、粘液質の物質を生み、土壌を「団粒構造」にする。この団粒構造は、土中のおける水、空気、養分を吸着し、保持に役立ち、植物の健全な成育を促がす。

④団粒構造の土壌はiイオン交換作用で、クロム、カドミウムといった危害物質を吸着し、水の浄化にも貢献する。 

表―1 ①~⑦を図に表現したもの
各種堆肥(イネわら・家畜糞)、有機肥料→保全開始
土中のミミズ・昆虫・カビ・細菌→ 分解促進と死骸
粘着物質・コロイドを生成↓
団粒構造・隙間
必要な水・空気・
養分の吸着↓
植物の成長
土壌の
団粒構造
(循環のコア)
肥沃な土壌↓
有機態栄養素の
生成と保存
危害となる重金属等の吸着↓
水の浄化
団粒構造及び地表緑肥で覆う↓土壌流失減少
無機態栄養素に分解・保存↓植物吸収・成長

   ⑤団粒構造は、ミニズ、昆虫、土壌微生物の生物の多様性をうながし、その排出物、死骸を生産、さらに団粒構造を促進するとともに、植物に必要な水、アンモニア、硝酸塩、他の無機物となり、栄養分を持続的に提供する。化学農薬の投はこの生物連鎖を断ち切ってしまう。
 ⑥緑肥は有機肥料として土中に還元され植物の栄養分になる。また豆科の緑肥は根粒バクテリアの働きで空気中のN=窒素を固定し、窒素分の補充に役立つ。イネ科の緑肥は、土中の余分な栄養素を吸い上げ、養分過多の弊害を解消もする。カバークロップとして他の作物と併用すれば、常時土表を覆うことで保水力を高めるたけでなく、土壌の流失を防ぐことにもなる

 ⑦水田は、貯水の面で貢献する。このため「耕作期間外の冬期堪水」も保全型農業の一つになっている。浸透して地下水となるばあい、先記のとおり浄化作用も果す。

・・まだまだ書き落としたこともあるはずだが、多くはクリーン農業(北海道)、グリーン農業、エコファーマー、特別栽培、有機栽培と呼ばれる「減化学肥料・減化学農薬といった栽培法」がその役割を担い、食の安心・安全と不可分の関係にある。農水省の「環境保全型農業」の表現は、環境保全に力点を置いているが、これでは「社会的貢献」の一部しか語られていない。

 農業保全型農業はコストがかかり、そのコストに対し直接払いの交付金を払っている(10アール=300坪につきカバークロップ8,000円、堆肥に施用による水質保全用4,400円、有機農業8,000円)。だが、本来なら「環境保全+食の安全」の付加価値を消費者にPRし、消費者にコストの一部(環境負荷の低減の面は別として)を負担してもらい、農業者が儲かるように努力すべきだ。

ここのところ、農水省の委員会の報告を見ても「補助にもかかわらず、環境保全型の実施の伸びが悪い」となっている。伸びが悪いのは、補助金は別として生産者がマーケットにおいてメリットを得られないからだ。
 
 現実に「最近はスーパー等から有機とか特別栽培の認証書を求められなくなった。その分、メリットも出なくなり、慣行栽培に近い値段だ」との関係者の不満も多く聞く。「安さ志向」が幅を利かす現状にもよるが、施策に見合ったPRの不足は否めない。これはトレサビリティ、GAP(良い農業の規範)、6次産業化等にも言える。

 私もスーパーの売り場チェックを繰り返しているが、牛肉のトレサビリティの掲示板件あるかないか、某優良店から有機や特別栽培品のコーナーが消える。デパート系スーパーなどの有機コーナーも幅90cmに過ぎない・・・といった姿を見ている。

 マーケットイン(消費者重視)の視点で施策を立案し、同時に消費者に施策の社会性を徹底してPRし、努力がマーケットにおいても認められなければならない。環境保全型の農業≒安全農業が、PRと同時にシール等により徹底すれば、対象品の価格も上がり、税金負担も軽減される。

 また消費者も「仮に万一価格の見返りがないばあい、補助金も当然」と理解を示してくれるはず。

Ⅱ.制度としての環境保全型農業

 「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和に留意しつつ、土づくり等により肥料農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続可能な農業」を支援。その掛り増経費を考えて平成23年度から補助・・・。その見直し調査が25年度に進められ、26年度からはさらに変わるはず。

1.対象となる農法  基準は化学肥料・化学農薬の5割削減と合わせた取組

25年度
(1)カバークロップ=主作物の前後に緑肥等を作付け
(2)炭素蓄留効果の高い堆肥の水質保全に資する施用=24年に終了していれば含まず。
(3)有機農法(別記)

23・24年度に含まれていたもの

リビングマルチ=主作物の畝間に麦・牧草等を作付け
 草生栽培=園地に麦類や牧草等を作付けする取組み
 冬期湛水管理=冬期間に2ヶ月以上湛水を確保する取組 

2.25年度補助内容  国1/2、都道府県1/2の交付金。
対象取組
国の支援単価
10a当たり
地方の支援単価
10a当たり
国・地方の合計
10a当たり
(1)カバークロップ
,000円
,000円
,000円
(2)炭素貯留効果
堆肥施用
,200円
,200円
,400円
(3)有機農業
 うちソバ等雑穀・
飼料作物
,000円
(1,500円)
,000円
(1,500円)
,000円
(3,000円)

 Ⅲ..環境保全型農業の多様性

1.同じ有機栽培でもレベル差
レベル
認定内容
(1)JAS認定有機栽培
化学肥料・農薬ゼロ(有機扱いの肥料・農薬認める)
第3者機関の認定
(2)JAS認定特別栽培
化学肥料・農薬の1/2カット(有機扱い肥料・農薬認める
第3者機関の認定
(3)都道府県認定特別栽培
国の基準に沿い1/2カットだが、県の認定
(4)  都道府県エコファーマー
国の基準に沿い1/2を努力目標にした改善計画を県が認定

この他にも「自然農法」といって、有機肥料すらまったく使わない農法もある・・・「砂浜の松は、肥料なしに育つ。本来の土壌には地力があるので、肥料は必要ない」という考えによるが、いくつかの派があり、一律に論じにくい・・・ネット検索を。

グリーン農業、クリーン農業という呼び名の場合は、(3)レベルのものが多いのではないか。

2.保全型農業(有機農法を含む)の努力分野

 今回、「環境保全型農業」の実態調査にタッチしたが、保全型農業の掛増し費用の調査対象としたのは、肥料、除草、病虫害の3分野の次のような項目であった。その努力領域の広さが分かるはず。

(1)土づくり及び化学肥料低減の取組
1.堆肥等有機質資材(注)の自給生産
2.堆肥等有機質資材(注)の購入・施用
3.緑肥作物利用(注2)
4.局所施肥      (例えば側条施肥)
5.肥効調節型肥料施用(コーティング品等)
6.その他
(注)堆肥=牛糞・豚糞・鶏糞の堆肥、
稲わら堆肥等、稲わら、麦わら、もみ殻、
米ぬか、油かす、作物残渣
(注2)エンバク、
 

(2)除草剤低減の取組
1.手除草       (季節臨時雇用)
2.機械除草     (カルチ)
3.除草用動物    (緬羊、山羊、鶏等)
4.紙マルチ栽培(水稲)
5.その他

 (3)病害虫防除剤の低減
 1.温湯種子消毒
 2.熱利用土壌消毒
 3.生物農薬利用
 4.対抗植物利用
 5.抵抗性品種栽培・台木利用
 6.光利用
 7.フェロモン利用
 8.被覆栽培
 9.マルチ栽培
10.育苗箱処理による化学合成農薬低減(稲)
11.化学合成農薬低減を実現する農薬散布機
(バンクルスプレーヤー、静電散布等)使用
12.粗皮削り(果樹)
13.誘殺バンド(果樹)
14.その他
他.茎葉処理機による茎葉処理(ばれいしょ)

 
  





 

 

 

 







































 








 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 
 

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