2013年10月6日日曜日

オランダ園芸はプロダクト&サプライ・チェーンだ!

   本ブログではオランダのスマート・アグリについてもテレビ放映の内容を紹介してきたが、きたる20131020日~25日、オランダ園芸産業界の企業・関係団体により構成される「オランダ園芸産業貿易視察団」が来日する運びとなりました。オランダでは、産官学の緊密な連携により、施設園芸分野において世界最先端のイノベーションを推進しています。今回の視察団は、施設園芸産業の集積地ウェストラント市のシャーク・ファン・デル・タック市長を団長とし、グローバルにビジネスを展開するオランダ企業12社の参加を得て実施される。


 視察団が来日するこの機会に、オランダ大使館は、仙台と東京にて、生産者・企業の皆様を対象とするビジネスマッチメイキング(オランダ企業との個別相談会)を開催します。オランダ企業が提供する設備・機器・サービス・専門知識の導入にご関心のある生産者・企業の皆様は、オランダ企業との出合いの場として、どうぞお気軽にイベントにご参加ください・・・とのこと。各種イベントは10日23日、24日に開催される。下記
は、オランダ園芸のPR内容である。


   オランダ政府は、数ある自国産業のなかでも、以下の9つの分野を主力産業と位置づけ、投資の対象
としています。政府による規制や補助金に頼ることなく、企業主導による良好な環境の構築、投資、イ
ノベーション、輸出の強化を図ることを主眼をしております。
 
·         食品・農業
·         園芸・植物繁殖材料
·        
·         エネルギー・持続可能性
·         ハイテク産業
·         化学
·         生命科学・健康
·         物流
·         クリエィティブ産業
 
最先端セクターとしての園芸産業 

   農業および園芸はオランダの経済と雇用のそれぞれ10%を占めています。農産物の年間輸出額は750億ユーロを超えており(同国総輸出額の17.5%)、米国に次いで世界第二位の農産物輸出国となっています。 

   園芸産業は、園芸を核とした関連産業全体における植物のプロダクトチェーンすべてから構成されています。幅広いセクターで、果樹・野菜、観賞植物・樹木、有名な花・球根(チューリップはオランダのシンボル)のプロダクトチェーンを含んでいます。このセクターは、一次栽培サブセクター、植物繁殖材料サブセクターおよび加工、供給、商取引、流通各企業から成ります。繁殖材料企業は、特に強さが際立つ園芸サブセクターで、世界的に有名な種子、苗および若木を開発しています。 

   園芸の一次生産では、何世紀もかけて磨かれてきた高度で利用可能な知識のすべてが駆使されます。栽培業者は個人レベルや(勉強会などを通じた)集団レベルにおいて、新しい栽培技術を相次いであみ出してきました。また、植物の異種交配により、高収量品種、まったく新しい風味や、従来よりも風味の良い品種、数多くの新しい色や新品種を生み出してきました。こうした栽培技術を核として、専門会社、専門機関、研究センター、リサーチ・ステーション、種苗会社、育種会社から成るまったく新しい知識複合体が形成されました。土壌・水利用、施肥、気候および作物保護といった専門家が、園芸分野を支えながら理想的な栽培条件の実現に向けて努力してきました。こうした知識および技術へのアクセスは、そのすべてについて十分可能となっています。オランダは喜んで、これらのコンセプトを日本と共有します。
 
園芸のプロダクション・チェーン
   オランダ経済をリードする園芸産業は、様々なつながりで網目のように結ばれている企業や機関のネットワークです。まず、一次生産サブセクターを見ると、以下が含まれます。
 
温室園芸(温室での園芸、作物栽培)
-        観賞植物栽培(切り花、鉢植え直物、球根花)

-        野菜栽培(レタスなどの葉野菜類、キュウリ、トマト、パプリカなどの果菜類)

-        果樹栽培

-        キノコ類栽培(温室ではなく、栽培室) 

路地園芸(屋外園芸、圃場での作物栽培)
-        野菜栽培

-        果樹栽培

-        観賞植物栽培(花、球根、多年性植物、樹木)

庭園、公園や大規模な景観事業といった景観整備も、園芸の一分野です。 

    園芸の一次生産サブセクターを取り囲むようにして、関連商社および商業から成る層ができています。園芸産物は、競り売り業、仲介商、(卸売)商社、輸出入業者を通じて市場に出されます。これらの業者は、園芸産物を加工会社(野菜加工、植物切断、缶詰)に供給するか、または直接、国内外の卸売業者、スーパー、小売業者に販売します。花や鉢植え植物などの観賞植物は、国際的に有名な競売企業や商社を通じて世界各地のバイヤーに届けられます。オランダは農業物流で最も重要な国のひとつです。この地位は、主要な航空および海運物流リンク、すなわちアムステルダム・スキポール空港や世界最大級のロッテルダム港などに支えられています。 

園芸のサプライ・チェーン 

   一次生産サブセクターを取り囲むもうひとつの層は園芸サプライヤーで、栽培条件や収量のさらなる改善を専門としています。オランダで温室園芸が「発明」されたのは、栽培作物の管理を向上させ、園芸が気候に左右されることを減らすためです。このため、大規模な温室複合施設が建設されました。この「温室」では、太陽の光と熱が集められ、利用されています。また、天然ガスなどの燃料を使用した設備でも温められます。地熱エネルギーを利用した温室もあります。オランダには、人工照明(植物育成灯)の利用といったエネルギー節約新技術の知識が豊富にあります。特に、作物照明用に発電する温室園芸企業は、余った熱を他の企業や一般家庭に供給しています。

    主として熱を使用して「電力を残す」温室は、これを住宅地に供給します。こうした企業や石油化学産業など他企業から発生した二酸化炭素は、温室園芸で作物栽培のために利用されています。作物の生育には二酸化炭素が必要だからです。これにより、オランダは二酸化炭素排出量を削減できます。 

   温室の気候はコンピュータにより制御され、効率的な気温や湿度パターンを作り出しています。収穫は自動化やロボット化が進んでいます。作物栽培で土の代わりにミネラルウール(ロックウール)を使用する温室は数多くあります。温室の屋根から集められた雨水は、肥料と最適な割合で組み合わせて植物に施されますが、その際にはドリップ式灌漑が用いられます。植物により吸収されなかった水は浄化され、再利用されます。作物を病虫害から守るには、主として生物学的作物保護法が使用されます。植物の天敵に対し、捕食昆虫、寄生虫や菌類が用いられています。温室での受粉にはマルハナバチが使われます。これらのサプライヤーは国際的に展開しており、日本の事業にも供給しています。

植物繁殖材料

   オランダでは、園芸の一次生産サブセクターの発展と並行して、栽培、育種、種苗各会社やリサーチ・ステーション、機関および試験所のネットワークが構築されました。このネットワークは、栽培業者が使用する植物繁殖材料を供給するもので、より良くより迅速な供給方法の必要性から生まれました。園芸セクターの幼植物や挿し木、球根や塊茎のみならず、農業セクターの種苗も対象となっています。 

   繁殖材料は様々な開発段階で生産されます。オランダには高度に専門化した組織や企業があり、植物品種の異種交配や選定を「古典的」方法で行っています。また、組織や細胞レベルで新品種を創出する企業や研究機関もあります。ゲノムの詳細な知識が得られるとともに発展した精密育種によって、従来よりも迅速に、そして特により具体的に(例:風味や栄養価の向上を目的とした)作物の品種改良を行う機会が生まれています。

   オランダの育種産業は世界をリードしており、前述の技術によって優位性をさらに高めていくでしょ

う。繁殖材料の開発と供給はオランダだけでなく、諸外国でも行われています。こうした専門企業の多

くは各国に支社があり、繁殖材料や栽培知識を販売しています。

   繁殖材料の開発と栽培の基礎は、望ましい作物の特性を追及することにあります。病虫害に対する抵抗性や水分需要の低さに関連する場合、乾燥気候帯や塩性地でも栽培できるようになります。種苗および挿し木会社の供給により、観賞植物商品や新しい色・形状のものが日変わりで登場しています。食物園芸に供給する種苗会社は、風味がよく、貯蔵寿命が長く、驚異的な色や高収量の新セレクションを供給する努力をしています。こうした企業は、持続可能性、食の安全、食料安全保障にも注意しながら、繁殖材料をグローバルに供給するという大志を抱いています。 

園芸産業は世界に何を提供できるか 

   オランダ経済を牽引する園芸産業には、食料安全保障や食の安全のみならず、健康、幸福および福祉のために、世界に向け持続可能なソリューションを提供するという夢があります。健康的で安全かつ十分な食料に対するグローバル需要の増大と世界人口の成長により、新しい食料供給システムの必要性が高まっています。大規模でローカルな園芸がその解決策となります。 

   同時に、気候変動の問題も存在しています。肥沃な土壌、水、ミネラルおよびエネルギーといった自然資源が希少になりつつあります。オランダ経済のトップに立つ園芸産業は、これらの地球規模の問題の解決に大きく寄与したいと考えており、また、実際に寄与することができます。そのために、園芸セクターは次の提案をします。

革新のための4テーマ 

1.     より少ない資源でより多くの生産を目指す:革新的なソリューションにより、世界77億人の人口に対し、より少ない空間、水、エネルギーで質の高い食料および持続可能な栽培による観賞植物品を提供します。繁殖材料サブセクターは、より少ないエネルギー、水およびミネラルで、生産量の拡大を目指しています。
2.     食の安全と食料安全保障:健康を増進し、病虫害を予防し、食料危機の回避に役立つ栽培と品種改良
3.     健康と福祉:健康的な食事は、心血管疾患、肥満、特定のガンといった、ますます増加している生活習慣病を予防できます。これに対し、フルーツや野菜などの健康的な食材が寄与します。私たちの生活・職場・日常環境に観賞植物品を置くことで、「健康的な空気環境」が作り出され、福祉が向上します。
4.    協働的なバリューチェーン:持続可能で経済的利益性の高いチェーンを構築し現代消費者を関与させていくことは、園芸産業が需要のあるものを責任を持って生産し、食品、原材料や資源の浪費を防止するうえでの方法となります。 

    以上の4テーマは、オランダ経済を牽引するアグリビジネス・食品、水、物流、生命科学・健康、エネルギーおよび化学/生物産業に立脚した経済(chemical/bio-based economy)と関連しています。様々な分野において、トップに立つアグリビジネス・食品セクターとの密接なコラボレーションがみられます。

詳細情報

·       オランダにおける園芸セクターの2011年総生産高は90億ユーロにのぼりました。輸出(再輸出を含む)は150億ユーロを超えています。園芸は農業生産高の40%を占めています。

·       オランダの園芸産物は世界貿易の中で飛び抜けて大きなシェア(ほぼ25%)を占めています。特に花き商品では、世界貿易の50%と支配的で、球根にいたっては80%にもなります。

·       オランダは世界最大の種苗輸出国です。種苗輸出額は15億ユーロで、年率5%で成長しています。

·       欧州市場には植物の新品種が毎年およそ1,800種入ってきますが、その65%はオランダからのものです。また、共同体植物品種権の全申請者のうち40%以上はオランダの育種業者です。

·       オランダは毎年、チューリップの球根を40億個余り生産しており、その半数以上が花に育てられています。このうち、欧州内に63,000万個が、欧州外には37,000万個が輸出されています。

·       2010年における花球根の耕作面積は約23,300ヘクタールです。

·       世界最大の切り花・植物競売会社はオランダ企業のフローラ・ホランドです。従業員数は4,100人で、2010年の売上高は40億ユーロにのぼります。毎日販売される花は3,450万本、植物は230万本で、46個の時計を使った取引は12万件に達します。

·       オランダは4年連続で、生鮮野菜の世界最大輸出国(価格ベース)となっています。2010年の野菜輸出量は46億キロ、市場価格で42億ユーロでした。あまり知られていないことですが、オランダは世界最大のタマネギ生産国です。 

出典:オランダ園芸委員会、フローラ・ホランド、グリーンポート・ホラント(Greenports Nederland)、農業経済研究所(LEI)、オランダ種苗協会(Plantum)、オランダ国際球根協会(Bloembollencentrum)、産業管理機構・農業卸売業(HBAG)

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