2013年10月5日土曜日

農業にも「工場管理手法」の導入が必要だ!

   友人コンサルタントから執筆本が届いた・・・「新・現場リーダー養成塾」(日刊工業新聞刊03-5466-7410。税込1,890円。実践マネジメント研究会の9人の執筆、代表連絡先・藤井春雄052-744-0697)。大いに購入してほしい。 

攻める農業、強い農業づくりのためには、農業内部(商業に置き換えてもよい)の管理技術だけでなく、「まだまだ世界から注目されている日本の工業における管理技術」を学ぶ必要があるのではないか。「他業界の人と接するほど、技術や経営のヒントが得られる」とは良く聞かれる言葉だ。 

本著は「リーダー養成塾シリーズ3部作」の1弾(4月号)だが、追って2弾(10月号)も紹介したい。1弾は「我が国の経済力の低下を憂うるミドルマネージメントの意識改革」を目的とするもの。農業のばあいも多くの大規模法人も増え、10~100人といったパートを抱える農場も増えた。この場合5~10人もいる正社員や後継者など、また直売所などでは店長、サブ店長などがミドルと言ってよい。これより小規模な場合、トップも己から現場にタッチし、トップ・ミドルの境は少ない。ミドルとともにトップも読むに値する内容と言える。 

Part1は「ミドルマネージメントに必要なイノベーションマネージメント」

Part2は「気づき・考え・革新する能力」

Part3は「日常管理に必要な能力」  ・・・である。 

本の全体を語り切れないので、巻頭のごく一部を紹介しておこう。

1.ミドルマネージメントは「気づき・考え・行動する」という小さな問題の発見・解決だけでなく、「気づき・考え・革新する」という課題設定・達成型の改革・大改革の主役たることが求められる。 

2.トップマネージメントの役割も積極的に担い、①理念の徹底、②経営戦略・事業戦略の立案に参加、③利益管理の遂行、④マーケティング能力の発揮など。 

3.ミドルマネージメントは、「職場の経営者」として、事前利益管理、毎日決算・単品管理、グループ別採算追求など責任をもって実施する。

(・・・以上はその主な職務を物語るのではないか) 

さらにミドルマネージメントには、人々の幸福とは何かを初心に返って考え直し、社会を再構築する努力も求められている。次のように「新 やる気を高める職場づくり」である。 


新・やる気を高める職場づくり

1.自己実現の場が

ある

①コミュニケートする

情報を提供する

規制を少なくする

②経営参加する

自己能力をフル発揮の機会ある

自己能力を伸長する機会がある

2.豊かな生活がで

きる職場環境整備

①高い報酬が得られる

②手当て(配慮)が行き届く

3.生活の場として

の職場環境整備

①自然がある

②休憩・健康への配慮がある

(以上、椙山女学園大学 澤田善次郎氏筆) 

 

・・・ともあれ、これだけのなかにも、農業(商業)のトップ、ミドルが学ぶべきことは多い。農業は日々気象条件、土壌、水などの条件が変化し、生産量も出荷量も、単価も変化して行く。このため、気づきを頻繁に繰り返しトップも、ミドルもパートなど現場作業員も、各人が考え、革新していく・・・こうした応用能力が工業以上に重要である。 

若手農業者の育成講座も、これまでに10回以上体験したが、後継者が自家の決算書も見せてもらえず、また進んで見て、巳づから経営に参加していく意欲に欠けている後継者いる。また雇用者意識のミドルがいる・・・ことも現実である。 

こうした場合、経営者が総て指示を出し、結果として失敗の原因を総て負っている例にも出会ったことがある。逆に、ミドルに大幅に権限を委譲し、他農家の育成に全国を飛び回る経営者にも会ったことがある。 

後継者やミドル側にも問題がある。ミドルとして己づから気づき・考え・改善・革新の気概を持たないと、経営者はワンマンになってしまう。例え狭い範囲の計数管理、特定作物部門、特定作業部門でもよい、「責任を持って任せてくれ」と言えるくらいでないと、経営主は信頼してミドルに何かを任すようにはならない。 

特に、後継者の人に言いた・・・「経営の奪権闘争は、自身の努力による」との認識である。本書も厭わず読むことがスタートになる。「やる気を高める職場づくり」にあるように、経営者1人が頑張る時代ではない。1人では1人力の域を出ない。
 
全従業員に自己実現の場を与え、全員野球をする土壌を形成することが、ミドルの責任である。また、こうした「全員野球によるやる気こそが、経営発展の基礎」であることを、経営者に気づかせることが、ミドルの大きな責任のように思う。 

  
「リーダー養成塾シリーズ3部作」の3弾は、Part1 現場力向上、Part2 基本と仕組みづくり,Part3 人材開発、Part4 その他の管理・・・である。これもごくさわりのみ触れると、 

「経営理念」・ビジョンを全従業員が具体的に反映させるという体質化を実現するには、全従業員が環境変化を知り、個人・組織の強み・弱みを把握し、強みを強化し弱みを是正する必要がある。全員が自らの考えを持ち互いに助け合いながら、課題・問題を自らのものとして革新する努力を継続的に積み重ねなければならない。 

そのためには、全員がある時には良きリーダーに、ある時には良きフォロワー(補佐役)として、日々の維持・小改善をしながら、改革・大改善(イノベーション)に取り組む必要がある。良いフォロワーとは、リーダーに対し冷静な批判と適正な貢献をする人材のことである(先記・澤田氏) 

・・・再び農業の立場で見ると、後継者や正社員は組織の弱みのみ批判するのではトップやパートの信頼は得られない。強みを特に認識し、課題解決について己づから改革のプランを持ち、イノベーションや全員野球の先頭に立つ必要があるのではないか。要は、従業員が自立した個人として機能できるようお手本を示すことがミドルマネージャーの役割ではないか。 

高度成長期は工業社会では、QC(クオリティー・コントロール)運動といって、全従業員の改善提案―改善で作業の質・商品の品質の向上を達成してきたが、バブル崩壊以降はむしろQC運動も形骸化してきた(先記・藤井先生)。
 
目先の利益に追われ出したためだろうが、目先に追われれば改善策やイノベーションの方策が見えなくなる。やはり、現場本位でなく、マーッケート志向で売れる物作り、販売ルートの開拓まで含めたQC運動の展開は、農業の場合に特に必要ではないか。 

このところ、ある調査で優良農業経営をいくつか見てきた。いずれも特殊栽培など安全・安心をベースに、中間業者を介在させながらも、小売、飲食などのチェーンと結びつき、乱高下のない、高くはないが「安定した価格」のメリットを追求している。
 
QC運動を展開する大企業や中堅企業は製造と販売が分離していて、生産重点のQC運動に成りがちだが、農業の場合は生産―販売は一体的であり、消費者動向、貯蔵、物流、小売・飲食の販売動向を見すえた総合的なQC運動であるべきだろう。

 

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