2013年6月22日土曜日

農産物の移動販売-セブン・イレブンに学ぶ!

  セブン・イレブンは東北の東日本大震災で自らの店舗を失った地域や、これとは別に今後の買い物不便地区の拡大を想定し、関東の茨城等でも、移動販売車を開発、「セブンあんしんお届け便」をスタートさせている。「顧客のあらゆる便利性のニーズ」を開拓して行こうとするその姿勢に、
おおいに学ぶべきではないか。

 セブンの移動販売のばあい、すぐに食べられ、購入頻度の高い、おにぎり、弁当、パン、飲料など150ほどを積んで販売するようだが、御用聞き-配達にもすでに着手している例もある。

 
   農産物の販売でも、直売所以外に①庭先販売、②HP-注文-宅配といった個人対個人の販売も活発になっているが、たとえHPやブログで宣伝しても、今後増える高齢世帯にはなかなか伝わりにくい。「待つ商法」から「顧客のところまで行く、攻めの商法」があってもよいはず。

 青果、鮮魚、精肉、加工食品など、総合的な「移動販売車」の歴史は古い。昭和40~41年に、冷蔵装備の移動販売車が正式が許可されたのを覚えている。これより前に、戦後いち早く青果の引き売りが登場し、昭和の30年代には、各市場に行くと仕入れや陳列を終えた移動車が、何台も市場で時間待ちをしていたものである。スーパーの拡大とともに、移動車の影は急減していった。

 だが、青果を中心とした移動販売の可能性は①こだわり農産物の拡大(スーパーではほとんど売っていない)、②顧客の高齢化で車で動けない買い物難民の増加、③新たに人のつながりを大切にする流れ・・・のなかで、充分あると見る。これは推測でなく、当方も実際に4農家の青果中心にした、タマゴ、農産加工品を積んだ移動販売を乗用車で実践してみて、可能性を実感した。


 <写真>乗用車の後部座席を倒し、売り場に変身。軽トラックでも良い

  これを成功させるには、いくつかの要件を満たす必要があることも分かった。これなら成功するだろう要件(失敗要件もふくめ)をあげると・・・

  ①我が家の近くにも、毎日曜にタマゴの移動販売車が、拡声器で「〇〇のタマゴ、よいタマゴ」とふれてくる。広域に回り、各地で固定客をつかんでいるはず。週1回と多頻度でなく、購入頻度を考えて巡回している。けっこう高額のこだわり商品のため(1kで500円近い)、ガソリン代も出る。

 ②野菜のばあい単価が低い。プラス果物、タマゴ、こだわりの6次産品まで混載し、単価の向上を図る。野菜だけでは300百円程度の客単価も、プラス商品があれば時に1,000円を超え、平均500円にはなる。

 ③宣伝カーの形を採り、随所で品目を上げ呼び込みをしても、顧客は外に全く出ってこない。一方、外に出ている人に声を掛ける方法もあるが(キャッチの可能性高い)、車の走行距離ばかり延び、ガソリン代が出なくなる。

 ④正しくは、名もでている住宅地図も用意し、特定団地群を軒並み呼び鈴を押して回り、「是非、車の商品を見てください」とアプローチする。この方法だと10軒に1軒は外に出てきて、品物を見てくれ、会話も弾み、固定客にできる。地図の名前に赤マルを付け、次回には必ず声を掛け、順次固定客を増やしていく。
 

  都市部はずれの新興・中高の住宅団地が500世帯としても1/20を獲得すれば25世帯・・・客単価500円とすれば、1日12,500円という数値にもなる。所得は1日5,000円になるはず。1/10を獲得すれば倍の効率になり、企業として成立もする。


  無為に庭先で待ったり、HPの反応を待っているより、この攻めのほうが顧客獲得の早道になるばあいもある。いずれににしても、濃密な住宅地を回り、日々2~3人の固定客を増やし、同時に顧客のニーズを聞き、自家で調達できないものも、注文-仕入-配達のスタイルでお届けしていく。こうした努力があれば、かならず上記の目標も達成できる。

 
 品名のPOP、プライスのPOP(両者切り離し、値段の日々の変化に対応)、釣銭も充分用意して(1日20,000円分の千円、100円、50円、10円玉)。1円は用意しやすいが5円刻みの売価でよい。さらに、持ち込む商品について品種、美味、安全、栄養価、料理法などを期した印刷物(コピーでよい)を用意し手渡しすれば、販促効果も高くなる。


7月31日追記
 
 
 セブン・イレブンだけでなく、イトーヨーカ堂本体も7月30日のテレビ報道によれば、中型バス並みの移動販売車を、東京の多摩ニュータウンの買い物困難地区の団地エリアで運行を開始した。ヨーカ堂の南大沢店が基地のようで、かさばる青果物については、別の車で荷を運び、路上販売もしているようだ。販売地点は、地元の市の要望にしたがい設定したという。

 地元の高齢者からは「大変、助かる」の感謝の言葉ばかりが聞かれた。移動販売の大きな流れが生まれようとしている。

 この多摩ヌータウン地区は、某チェーンの依頼で6~7回ほどマーケットリサーチをしたことがあるが、多摩センターと南大沢は商業集積が進み、買い物環境に恵まれているが、他の地区は、南北に走る丘陵の上に団地が造成され、昔はそれぞれ小型スーパーを含む商店街もあった。ところが、高齢化が進み、他からの顧客の流入がないため、次々と商店が閉鎖され、核となるスーパー
も撤退・・・買い物困難地区が拡大していった。
 

  一つには、団地のばあい公団の商業ゾーンの設計思想のまずさもある。駐車場が少なく、かつ車が進入しにくく、閉鎖的に設計され、広く外部の人も呼び込む姿になかった。地元民の高齢化で衰退に向かうというパターンなのだ。今後、大型団地の造成は少なくなるが、「外部に向かって解放型の商業ゾーンの設計にし、かつ福祉施設を含む永続型のゾーン作りの工夫が必要と言える。 成田ニュータウン他でも、同じ悲劇を見てきた。

 



 
 

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