2013年4月3日水曜日

スーパー直販コーナー出荷の近郊農業例!

 1.高回転-直売で高収益 Yさんは15万人都市の一隅で1.2haの露地野菜一筋、スーパーのインショップ4店に出し一筋・・・の経営をしている。「インショップ」とは農業者側で使う「スーパーの直売コーナー」のことで、Yさんは中堅のAチェーン2店、Bチェーン1店、Cチェーン1店と4店に生産品を全面供給し、粗収益は1,500万円ほど、所得は675万円(粗収益の45%ほど)と推定される。

 Yさんは父親が分家でこの土地に移ってきたのが33年前。現在も父親も畑に出て収穫作業を、母親は作業場で出荷作業を担当している。自有地が90a、借地が30aでコマツナ、ホウレンソウ、ブロコリー、ネギ、カブ、ダイコン、枝豆など17~18品目を栽培し、別表のとおり年3回転近く栽培している。面積に比し高収益なのはこのためと、直売による所得率の高さのためである。

果菜類のキュウリ、トマト、ナスなどは雨よけハウスなど設備もかかるため作っていない。せいぜい冬はマルチ、夏は虫よけの寒冷紗掛けですむ品目である。

機械にしてもトラックター25馬力1台だけで、主に整地用に4日に1回は使う。耕起機はアタッチメントの付け替え・調整の手間を省くため、畝立て用、種まき用、除草用、ネギの溝掘り土掛け用、一般消毒用、土壌消毒用と6台を有している。偉いのはトラクターも中古で買い、すでに10年以上使い、耕運機も償却期限を過ぎてなお使用していること。専用にして小刻みに使うため壊れないという。
 
徹底してミエを排除し、コストダウンに努めていることだ。種まき用は年150日も使う反面、土壌消毒用だけは、年1回使用するのみで、ややもったいない感じもある。しかし年の法定償却費はせいぜい17~18万円とのと(この他に出荷用のライトバンに年50万円ほど)。20万円以下のものは総て一括農具費?で落としているためもある。

黒土の肥沃な土壌で何でもよく育つが、堆肥だけは10aに1年当たり4~5トン投入する。近隣の酪農家からもらう牛糞を半年寝かし完熟にし、豚糞・鶏糞は発酵処理したものを450kg(軽1台分=15kg×30袋)を1万円で購入している。サラサラした堆肥を軽トラックに乗せ、スコップで手撒きしている。農地が狭いのでマニュアル・スプレッダーは使わず、ここでもムダを排除している。

 

2.枝豆を毎日播種で計画・連続出荷

 非常に興味を引かれたのが50aに栽培し、4~9月にかけての枝豆の計画生産・出荷体制だ。直売所出しが100%のため、少量ずつ長期に出す必要があるが1日に100束出荷を目標に、100日に分け毎日種を撒き、苗を40日間育て、マルチをした畝に定植して60日育て、6~9月に順次収穫する。種撒き機の稼働日数が多いのもこのためである。

 前作がホウレンソウ、コマツナなど土に養分が沢山残っている畑は、寒くても養分が多くて育つので早く撒く、ダイコン。カブの跡地は養分が少ないので気温が高くなってから撒く。いずれにせよ晩秋に堆肥を充分に入れておけば、追肥がゼロでも育ち、種代とマルチ代、消毒費のみですむとのこと。

枝つきのままきちんと調整し、2本250~300gの束にして298~398円で販売し。販売額は枝豆だけでも400万円を超える。新鮮で有機肥料栽培のため味もよし・・・このため「安くは売らない」とのこと。しかしカメムシが大発生する年があり、外から飛んでくるので消毒しても防ぐすべがなく、4年に一回は壊滅的な打撃を受けるとか。

特売を頼まれたときも値段は下げず、枝豆の場合朝取りしたものを大量に納品、そのばで茹で塩加減に注意し「新鮮・美味」でサービスする。他人はやっていない。

 

3.直売コーナーは20%+3%の手数料

 ところでスーパーの直売コーナーについては、農協の仲介で先の通り4ヶ所に出している。前日に収穫、水洗いし整え、翌朝8~10時の3時間かけ店を回り、ラベルプリンタでシールを打って貼り、決められたコーナー(普通1品60×90cmとか60×45cm)に陳列する。プリンターはスーパーの青果コーナー分と合わせて1台だが、並ばされることはないという。プリンター2~3台を要する直売所もあるが、インショップの場合1店6~8人の出荷で、1台で充分なようだ。シール代は無料という。

 農協が一括して受け、スーパーごとに生産者を配分しているが、手数料は委託販売代金の20%。この他、JAバンクに振り込まれた代金のなかから農協が3%を取る。スーパー側から当初「30%欲しい」との要請もあったそうだが、これは暴利である。スーパーの青果部門の最終粗利益率は平均23.2%、ロス率2.1%と言う統計もあり、特売ロスまで考えた値入率は平均33.3%と見られている。これに近いものを要求するのは買い取りならいざ知らず、残量経返品―包装・値付け・陳列まで生産者が行い、リスクと人件費がほとんど掛からない「委託販売」では暴利である。

 最近は直売コーナーの人気は高く、スーパー側の対応も丁重になった。店でチーフ他と生産者のミーティングが月に2回、1回と、2ヶ月に1回とまちまちだが、「もっと多くだしてくれ」という要望が主である。ルールを守れば苦情は出ない。支払もJA口座に3日後、1週間後、10日、15日と早い。

大量に収穫され特売したいときは、180×90cmの平台も準備してくれる。それだけではなく、返品も総ての店で2日まで・・・これは直売所の条件よりはるかに良い。夜間の営業時間も販売でき、1袋128円のホウレンソウを翌日は98円に下げ、表面に陳列すれば良く売れるとのこと。店によっては30円、50円引きのシールも用意されているそうが、貼れば目立つので販売促進にもなる。

土・日に限れば2~3倍も売れるとか。計画的に顧客ニーズに沿った品目を生産すれば、まだまだ伸びる余地があるそうで、「他人を使っても、必要となれば栽培をふやしたい」とのこと。そのため、市が紹介してくれる援農ボランティア制度にも注目している。「無料であっても、上手に働いてくれないとか、2~3時間でおしまいでは意味がない」とのことだ。

この9月から農業振興センターの紹介の実習生も入れた。原則、経営主の作業に合わせるため、朝6時からスタート。幸付近のため自転車で通勤という。

4.所得率はやはり50%を切る?

 正確に計算はしていないが、1袋の包装代に5円はかかる。また配達のためのライトバンを買えば、年に50万円も償却や保険にかかる。こまごま4店を回るのでガソリン代もかかる。共選品の農協出荷より輸送代はかさむ。そのうえ23%の手数料、生産用の農機具の償却、種代、マルチ費用、堆肥代、農薬代となると所得率は40~45%ほどと見ている。農水省の露地野菜の所得率は平均48.2%(24品平均―H17年)だが、直売の場合、単価が20%安としても手取り額が2倍ほどにもなり、所得率がやや低くても「所得の絶対額では180%ほど」というのが当方の試算である。

5.その他

(1)作業や出荷の記録は大学ノートを車につんでおき、欠かさず書いている。2年にまたがることも多く、前年の記録もすぐ見ること可能。皆もこうしたメモはしている。スーパーと取引するには、細かくデイターを取る必要があり、納品後に必ずいくつ売れ、いくつ残ったか、幾つ納品したか、そして売価等のメモをしている。晴れは別として他の時は天気の変化も記入。他の農家も皆な何らかの記録はしているという。

(2)夏の今頃はエダマメとオクラしかなく、4店回っても1時間で済む。5~6品となると、8時から10時半の2時間半かかる。

(3)噴霧機は泡状にも出来るもの。泡のほうが少量で済む。多品種少量生産の場合、背負い式でタンクは20リットルで良い。50mの畝1本分とか半分しか同じ品目を植えないので、その都度薬品が変わるためだ。15分もあれば消毒も終わる。

50mの畝で多くて7~8本分、5本分だと15リットルで足りる。

(4)暑いとか、「他人が播けないときに播け」・・・そうすれば高く売れる。

表-1 Yさんの作付け状況

品目
面積
回転
作付け面積計a
播種時期
収穫時期
ホウレンソウ
30
45
播種10~11月
播種3月
翌2~3月中
5月上
小松菜
10
70
播種10~11月
播種6月
 
7月中(学校給食用)
ブロコリー
15
30
播種7月10 
定植8月15日
定植2~3月
たまねぎ
ハクサイ秋播
(1/4切で販売)
定植9月上旬
 
11月上旬~
年内
ダイコン
.
15
播種9月上旬
11月~年内一杯
カブ
20
40
播種8月末
10月上~12月
エダマメ
 
50
 
 
50
 
播種4中~6下
定植5上~7中
6下~9月彼岸まで
 
オクラ
(毎日10本入り
 
50袋)
 
 
 
 
7上~9月一杯
ネギ
 
 
 
 
 
 
播種2下~3下
定植5中~6中
9~翌年3月
 
ミズナ
中止
 
 
 
今は皆が作り相場が下がってしまった
合計
137
 
255
 
9~翌年3月

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