2013年4月18日木曜日

農産物直売所は売場面積により生産性に大差-改善策はある!

 
    直売所の皆さんに分かりやすいよう、面積は㎡でなく坪数としたが、表は「平成16年度農産物地産地消等実態調査」(農水省)をもとにした分析表である。数字が古いので、売上高レベルについては、おしなべて現在値より低いと思われる。 

  ここで問題にしたいのは、直売所の場合、売場規模による従業者1人当たり売上効率、1坪面積当たり売上効率ともに格差が極端にあることだ。明快に言えば、スーパーなどに比して「規模のメリットが出やすい」「小さい規模では生産性が低く、直売所側の人件費(労働所得)や利益も出にくい」といえる。 

表―売場規模別の3要素分析(最小2乗法による傾向値)


売場規模

区分

 

従業者

趨(人)

 

従業者1人

年売上高

(万円)

売場1坪

年売上高

(万円)

25坪

.

135

65

50坪

.

988

130

75坪

.

,487

169

100坪

10.

,840

196

125坪

12.

,115

217

150坪

14.

,339

234

175坪

17.

,529

248

200坪

19.

,693

261

    小型スーパーやコンビニの場合、小なりとも従業員の雇用を前提にスタートしてきたから、効率の悪い小型スーパーは消え、300~450坪クラスのスーパーのみ永続性が保たれている。またコンビニは合理的に効率化を達成し今でも微増している。 

    直売所は、家族営業や労力の無料奉仕による共同体として誕生したいきさつもあるため、労力費を正当に評価しなかったのか、25~50坪の経営では、75~200坪に比し、1/2以下の効率になっている。2要素の効率ともボールを斜め上に投げたときに描く放物線のように、初期に急上昇し、上(面積が)に行くほど伸びは鈍化する。それでも絶対値は大きくなる。 

    JAが直売所の大規模化を進めるのも、この表からすると妥当である。しかし、この「一般的傾向」を超え、小規模でも効率の高い店も沢山ある。ではどうすれば良いか・・・ 

    表からすれば、小さい店ほど2倍、3倍もの努力をしなければ大規模店並みになれない・・・との自覚がまず第一。努力が並みならまず50坪以下の小型店は消えるだろう。 

    1人当たりの売上効率は「売上高÷投入労力」だから、売上を増やす、労力を減らすの2要素で達成される。1坪当たりの売上効率は「売上高÷投入面積」だから、やはり売上を増やすことが第一・・・面積を減らすのは愚なことで、2段、3段利用も考え、品揃えを増やし、通路も広げ買い易く、働きやすくすることだ。 

    では共通する売上拡大はどうするか。大型直売所を圧縮した品揃えではなく、大型店にない個性商品を徹底して探し、時に創る(惣菜・和菓子とう6次化商品)ことだ。「あそこにしか無い」という商品があれば、遠方からも来てくれるし、ギフトとして宅配ルートにも乗せられる。減化学農薬・肥料のエコ野菜などもギフトになる。レストランや学校給食などにも歓迎される。店内で売るだけでは、飛躍は期待できない。

  次に投入労力の問題・・・これは適正な労働配置のコントロールと質が問われる。小さな店においても、開店1時間前から閉店1時間後くらいの刻みの表を作り、名前を書き込み、レジの客数も考え、日々労働時間を書き込み、むだがないかひと目で分かるようにする。

  ある時間帯は2人、ある時間帯は1人とシフトを日々見える化する。それでも手が空くときはレジから離れ、補充、陳列の乱れを直す、清掃する・・・と第2の作業も決めておく。ともあれ、1日10万円の販売で1.5人、20万円で3.0人ほどのシフトが標準である。もちろん店長も入れての話だ。

  質とは作業のスピード、確実性、臨機応変さ、商品知識などだ。これは先進店で実習するなり、店長が教えるなりの教育の問題だ。高い教育は従業員にとっても誇りにつながる。そして売上げがアップすれば、時給アップをするなどインセンティブを与え、やる気にあふれた店になって欲しい。

  
 

0 件のコメント:

コメントを投稿